2016年3月 4日 (金)

果樹に新たな命を吹き込む木工職人

2016年2月29日~2016年3月6日放送
山梨放送 ラジオ本部ラジオ制作部 山田有子

【番組概要】
葡萄、桃、すももの生産量は日本一。その他サクランボ、柿、林檎、梅など多種多様な過日を作っている山梨。果樹は休眠期に入ると来シーズンも充実した実をつけるようにと剪定がおこなわれます。役目を終えた果樹は破棄されますが、その果樹を木工品として蘇らせる職人がいました。果樹と出会い、果樹に学び、そして果樹に命を吹き込む様子と想いをお届けします。

【制作意図】
破棄されるしかないと思っていた果樹が皿や名刺入れとなっていることにまず興味をひかれました。果樹は樹齢が長いほど重宝される杉やヒノキと違い、15~30年でその役目を終えます。廃棄の道しかないと思っていた果樹がどのように生まれ変わるのか?なぜ果樹なのか?この疑問を解明したい、そして地元の新たな魅力を知って欲しいと思い、制作しました。

【制作後記】
「木から教わる」この言葉がとても印象的でした。長年木を扱ってきた荒井さんでも果樹となると未知の世界。品目、品種によって特徴が異なり、使用できる部分もほんの一部。しかし、木に育てられ、愛し、いやされてきた荒井さんだからこそ、木に教わりながらその特徴を活かして蘇らせることができる。手にとった木工品はここにしかない逸品だと誰もが感じることでしょう。

街中に響く園児達のお勤め~繋がる大切な心~

2016年2月22日~2016年2月28日放送
RKB毎日放送 吉留樹里

【番組概要】
福岡県福岡市ヤフオクドーム近く、多くの車が行き交うと買いに「浄満寺」という歴史あるお寺があります。その横にある「浄和幼稚園」は設立された62年前から園児にさせているこ事があります。それは「手を合わせてお経を唱える」というお勤め。10分もの長文を暗記している園児達の声と姿からと買いの幼稚園の”今”と先生達の思いが聞こえてきました。

【制作意図】
短いお経や歌を歌いながら手を合わせる幼稚園はありますが、10分もの長いお経を音で覚えている事に驚きました。福岡の中心部にあるのに12人という少人数。それでも園児達は皆で助け合い、考えながら過ごしています。教育方針の選択肢が増えている今、62年変わらない教えと、来年度には聞こえなくなってしまうこの声を伝えたく制作しました。

【制作後記】
園児達はドキッとするほど素直で、とても優しく、自分が恥ずかしくなるほどでした。それは変わらない教えがあるからなのでないかと思います。12段あるお経のうち11段覚えている年長さんは、卒園までに全て覚えるそうです。卒園式を見に行きたくなりました。


2016年2月26日 (金)

JR中央線に架かる一本の陸橋

2016年2月15日~2016年2月21日放送
文化放送 制作部 中場健太

【番組概要】
東京都三鷹市、JR中央線の上に架かっている陸橋。
全長90mを越えるこの橋には、愛犬の散歩をするお年寄りや行き交う電車を金網越しにじっと見つめる子どもたちの姿があります。竣工されたのは今から87年前、1929年のことでした。
当時の面影を残しているこの場所から、かつて同じように三鷹の街を眺めていた作家がいました。日本の近代文学を代表する小説家、太宰治です。時代を超えて愛される陸橋から、目を閉じて見える景色をお届けいたします。

【制作意図】
三鷹の街で育った私は、陸橋を幼少期から何気なく利用していました。
途方にくれて物思いに耽るとき、この場所は私のお気に入りでした。
太宰治は執筆から離れて心を落ち着かせるとき、陸橋に足を運んでそこから夕日や富士山を眺めていたそうです。きっとラジオをお聴きのあなたにも、大切な時間を過ごした思い出の場所があるのではないでしょうか。この録音風物誌が、そんな青春に想いを馳せるきっかけになりましたら幸甚です。

【制作後記】
陸橋の取材を進めていくうちに、太宰治の足跡が三鷹の街のいたるところに残されていることを知りました。実家の目と鼻の先にも、太宰治の仕事場があったのです。今は残念ながら取り壊されていて見ることはできませんが、あらためて地元の魅力を再発見する良い機会となりました。

2016年2月25日 (木)

函館ガンガン寺 鐘を継いで祈りを継いで

2016年2月8日~2016年2月14日放送 
北海道放送 ㈱HBCフレックス ラジオ本部 榊原満

【番組概要】
北海道の陸の玄関口・函館には来月に迫った新幹線開業を前に、大勢の観光客がやって来ます。みんなが目指すのは朝市、函館山の夜景、元町散策・・・etc.元町散策の目玉は函館ハリストス正教会、通称「ガンガン寺」です。1859年に創立された函館ハリストス正教会は、日本性協会でも長い歴史を誇る教会として、その伝統を忠実に継承しています。毎週日曜日の朝、礼拝(れいはい)を知らせる鐘の音が港を望む丘に響き、司祭の祈りと、敬虔な信者たちの聖歌が聖堂を包みます。鐘の音を奏でるのは教会の信者で同じ元町に窯を構える陶芸家の高井秀樹(たかいひでき)さんです。去年の春、70年余り音色を守り続けてきた故・中居真行(なかい まさゆき)さんの後を継ぎました。普段何気なく聞いていたガンガン寺の鐘にまつわる伝統と継承の逸話を紹介します。

【制作意図】
今回は地元で「ガンガン寺」として親しまれている教会で、愛称の由来となった鐘を長年鳴らしてきた前任者の遺志を継ぎ、鐘の音を守る高井秀樹さんの姿を、鐘の音とともに伝えます。教会に奉仕しながら、鐘の音の継承にかける思い。日本の音100選に選ばれた鐘の音。ラジオでしか伝えられない「音」中心のドキュメントです。

【制作後記】
いつもは何となく眺めて通り過ぎていた名所ですが、今回は「日本の音100選」に選ばれた有名な鐘をつく方が去年代わったという話を聞きつけて、マイク片手に向かいました。主人公の高井秀樹さんは祖父の代からの信者で、教会の近くで窯を構える陶芸家です。神父さんに見込まれて鐘を打つようになりましが、最初から見よう見まね、練習なしのぶっつけ本番で打つことになります。当初は教会の厳粛な儀式を取材するという心持で構えて訪れましたが、高井さんの陶芸家然とした風貌と、飄々とした語り口に次第に和んでしまいました。とどめは去年の大晦日、教会にとって大事な新年の祈りを捧げる日。高井さん初めての年越しの鐘の事件・・・。その話を聞いてから、ガンガン寺の鐘の音に人の温もりを感じるようになりました。

BGMはジャズと仙台弁で

2016年2月1日~2016年2月7日放送
東北放送 ラジオ局制作部 阿部航介

【番組概要】
宮城県仙台市にある東北で最も大きな繁華街、国分町。多くの人々が集まり、年中喧騒が絶えない街です。そのすぐ近くの路地裏に「ジャズ喫茶カウント」はあります。そこげ足を運ぶ人々はレコードから大音響で鳴り響くジャズと、マスターや仲間との会話を心から楽しんでいます。

【制作意図】
音楽は今やストリーミングで楽しむ時代になりました。そんな時代の流れの中でもジャズ喫茶カウントに夜な夜な集い、レコードで音楽を楽しむ人たちがカウントにはいます。彼らを惹きつけるものは何なのかを表現出来ればと思います。

【制作後記】
今回、取材でお話を伺ったマスターの朴沢さんは、とても聞き上手な方。伺うのはこちらの方なのに、いつの間にか自分が喋っている、ということが何回かありました。マスターの周りに人が集まる理由がわかった気がします。

2016年1月29日 (金)

心をつなぐ音のテーブル

2016年1月25日~2016年1月31日放送
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 柳田紗緒里

【番組概要】
宮崎県最大の繁華街、宮崎市の西橘通り、通称「ニシタチ」
ここはたくさんの飲食店が立ち並び、入れ替わりの激しい激戦区です。そんな中で30年間も続くピアノバー「サティ」 何事も続けると言うのは難しいですが、バーとなると更に難しい。それが30年間続くには何か理由があるに違いない。変わらずそこにあり続ける魅力と「サティ」でしか味わえない雰囲気をお届けします。


【制作意図】
30年間も飲食店の入れ替わりの激しいニシタチにあり続ける理由は何なのか。そしてピアノをテーブルにしてお酒を楽しめるという珍しいお店のあり方に興味がわきました。ピアノを囲むお客さんとのつながりを感じた時、30年、40年、50年ずっとあり続けて欲しい場所だなと思い制作しました。

【制作後記】 サティではピアノをテーブルにして飲めるという魅力はもちろんですが、何よりもマスターのさりげない演奏による雰囲気作りがお客さんの気持ちを高めています。サティは今後もずっとニシタチでたくさんの方に癒しを与える存在であり続けるだろうと思います。

熱く、激しく、響け 「ヨイサー!」

2016年1月18日~2016年1月24日放送
ラジオ福島 報編成局 放送制作センター 今井江里子

【番組概要】
福島市松川町金沢地区には、平安時代から伝わるお祭りがあります。それが「羽山ごもり」です。旧暦の11月16日~18日までの3日間、2泊3日で行われるこの神事は、国の重要無形民俗文化財にも指定された、福島の誇れるお祭りです。今回取り上げたのは、神事初日の「ヨイサー」。金沢地区・黒沼神社境内近くの「こもり殿」で、水で身を清めた、ふんどし姿の男衆が、農作業を再現した「ヨイサー」を、熱く、激しく行いました。肌と肌とのぶつかり合い・激しい息づかいを、たっぷりとお伝えいたします。

【制作意図】
広い、広い「福島県」は、地域ごとに様々な「伝統」が受け継がれています。方言、食文化、生活習慣など、たくさんの「伝統」が繋がる中で、国の重要無形民俗文化財に指定されながらも、あまり知られていない「神事」…今回は、この部分にスポットを当てようと思いました。福島の伝統を多くの方々に知って頂き、更に福島を好きになって頂きたい…この想い一心で、制作させて頂きました。

【制作後記】
「ヨイサー」を取材して印象に残ったのは、皆さんの「笑顔」でした。参加者も、見学者も、この平安時代から続く神事を、同じような「笑顔」で暖かく見守っていて、伝統行事は、その「行事」だけではなく、関わる人々の「想い」を確かに繋げていくものなのだと、改めて感じました。声を掛けあい、肌を寄せ合うことで、きっと人々の繋がりは更に強いものとなってまた後世に受け継がれていくのだと思い、とても幸せな気持ちになりました。

2016年1月12日 (火)

「りんこう」5つの駅の物語 西日本一短い鉄道・紀州鉄道

2016年1月11日~2016年1月17日放送
和歌山放送 報道制作局 柘植義信

【番組概要】
現在日本で二番目に営業距離が短く、西日本ではもっとも短い鉄道が和歌山県の真ん中、御坊市にあります。紀州鉄道。愛称は「臨港」。昔から呼ばれている名前が今も生きています。町の中心と紀勢線を結ぶ鉄道で、地元の工場からの製品や特 産のみかん、木材を運ぶ貨物の役割も果たしていました。現在は旅客だけ で1両のレールバス がのどかな町中をゆっくり走っています。車 社会になっ ても利用者から愛され ている小さな鉄道。起点を含めて5つしかな い 駅を利用する人を通して過疎が進む地方の鉄道の役割を考えます。

【制作意図】
和歌山は大都市圏に比べ、鉄道や道路の発達が遅く、今回取り上げた紀州鉄道・「臨港」はおよそ90年前、今のJR紀勢線と町の中心、水運の中心日高川河口を結ぶアクセスとして地元の有志が開設した鉄道です。道路整備が進んで車社会になり、鉄道の利用客は減少の一途をたどっています。幾多の存続の危機を乗り越え、臨港は今も生徒やお年寄りらの生活を支えています。地方鉄道の経営環境は厳しく各地で廃線が進んでいます。番組を通して過疎化が進む地方に生きる人と鉄道の存在を考えることを目的としました。

【制作後記】
取材、ナレーションを担当した寺門秀介は東京出身。一時勤務の関係で当地に暮らしたことがあり、この鉄道を利用していました。都会にない暖かみのある地方の生活になじみ、地元のことを応援しようと、この作品に挑戦しました。取材を通して初めて知ったこと、知ってるつもりがそうではなかったことにたくさん気づいたとか。地元のラジオ局として地方に生きる人にとって必要な情報を提供し、発信することの使命感を改めて感じ取るきっかけになりました。地元のことをもっと知り、発信していくことの重要性を確認しあいました。

2016年1月 8日 (金)

佐渡の伝統 宿根木の杉木羽

2016年1月4日~2016年1月10日放送
新潟放送 営業局 ラジオ本部 営業企画部 北川 亮

【番組概要】
佐渡島、旧小木町にある宿根木の集落。昔ながらの街並みにを守ろうとしています。国の重要伝統的建造物保存地区にも指定されていて、現在106棟ほどの家屋が残り、佐渡金山繁栄期の面影を色濃く残した地域となっています。この建物に欠かせないのが木羽と呼ばれる屋根材です。毎年、秋から冬にかけて木羽作りが行われます。しかし木羽職人はたったの3人。収入面が不安定で木羽職人として生計を立てるのは難しい状況です。

【制作意図】
北陸新幹線の開業、新カーフェリーの就航と、佐渡の観光に追い風が吹き、実際、宿根木の集落を訪れる観光客は増加傾向にあります。しかし、その一方で観光客のお目当ての宿根木の昔ながらの町並みを保つのが非常に難しくなっています。その現実を多くの方に知っていただき、より多くの方が佐渡を訪れ、地域が活性化し、その結果宿根木の集落がこれからも未来も守られていけば・・・との思いから集落の方にお話しを伺いました。

【制作後記】
年々減り続ける佐渡の人口。それでも佐渡が好きで宿根木が好きで、一生懸命に守ろうとしている人々がいます。この先職人が増えるかどうかも分かりません。北陸新幹線の開業という追い風をどこまで活かせるのか、佐渡観光の正念場はこれからやってきます。木羽職人の石塚さん、宿根木を愛する会の浜田買会長をこれからも応援していきたいと思います。


 

2015年12月22日 (火)

幸多き一年は、さぬきの年明けうどんから!

2015年12月28日~2016年1月3日放送
西日本放送 営業局 ラジオセンター 池田弥生

【番組概要】
純白で清楚なうどんに、紅を一つ添えて、紅白もめでたい年明けうどん。年の初めに食べることで、その年の人々の幸せを願う、うどん県・香川で生まれた新しい風習です。決まりは、白いうどんに何か赤いものを一つ添え、1月15日までに食べること。赤い具材は、梅干しでもかまぼこでも、海老天でもなんでもOK.家庭で手軽にという点もポイントです。「全国年明けうどん大会」の会場から、年明けうどんの魅力、年明けうどんにかける想いをお伝えします。

【制作意図】
香川の県民食・うどん。 香川ではうどんをすする音で赤ちゃんが泣きやむともいわれます。太く・長いことで古来から縁起物とされてきたうどんを、さぬき流に進化させお正月にふさわしいめでたいうどんにした「年明けうどん」。香川にとどまらず、年越しそばに続く年中行事として年明けうどんを定着させたい。そんな想いが感じられる 「全国年明けうどん大会全国」
お正月にふさわしい話題と感じ 取り上げることにしました。

【制作後記】
12月12日(土)13日(日)の2日間にわたって行われた、「全国年明けうどん大会 2015inさぬき」。本場さぬきうどんをはじめ全国のご当地うどんが、赤い具材をもりこんだその土地ならではの年明けうどんをもって一堂に会しました。県内外からの来場者で会場は熱気にあふれ、「うどんで日本を元気にしたい!」という、うどん県の、うどんへの熱い想いがひしひしと感じられました。ちなみに赤い餡もちが、うどんのだしと絶妙なコンビネーションをみせる香川ならではの年明けうどんは、会場1時間で売り切れる人気ぶりでした。



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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