JR中央線に架かる一本の陸橋
2016年2月15日~2016年2月21日放送
文化放送 制作部 中場健太
【番組概要】
東京都三鷹市、JR中央線の上に架かっている陸橋。
全長90mを越えるこの橋には、愛犬の散歩をするお年寄りや行き交う電車を金網越しにじっと見つめる子どもたちの姿があります。竣工されたのは今から87年前、1929年のことでした。
当時の面影を残しているこの場所から、かつて同じように三鷹の街を眺めていた作家がいました。日本の近代文学を代表する小説家、太宰治です。時代を超えて愛される陸橋から、目を閉じて見える景色をお届けいたします。
【制作意図】
三鷹の街で育った私は、陸橋を幼少期から何気なく利用していました。
途方にくれて物思いに耽るとき、この場所は私のお気に入りでした。
太宰治は執筆から離れて心を落ち着かせるとき、陸橋に足を運んでそこから夕日や富士山を眺めていたそうです。きっとラジオをお聴きのあなたにも、大切な時間を過ごした思い出の場所があるのではないでしょうか。この録音風物誌が、そんな青春に想いを馳せるきっかけになりましたら幸甚です。
【制作後記】
陸橋の取材を進めていくうちに、太宰治の足跡が三鷹の街のいたるところに残されていることを知りました。実家の目と鼻の先にも、太宰治の仕事場があったのです。今は残念ながら取り壊されていて見ることはできませんが、あらためて地元の魅力を再発見する良い機会となりました。
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