2020年3月24日 (火)

季節をかたどる讃岐和三盆

2020年3月22日~2020年3月29日放送 
西日本放送 報道制作局 報道業務部  奥田麻衣

【番組概要】
香川県といえば「うどん県」と呼ばれるほど讃岐うどんが有名ですが、うどん以外にも誇れるものがあります。それが「讃岐和三盆」です。和三盆とは、香川県や徳島県で、200年余りの長きに渡り伝統的な技法で生産されてきた高級砂糖。現在、香川県で製造を続けているのは2社のみに。和三盆作りは主に冬から春にかけて行われますが、中でも今回は、熟練した職人にしか出来ない「押し船」「研ぎ」と呼ばれる工程を取材しました。

【制作意図】
取材させていただいた「ばいこう堂」さんは一部機械化されていますが、「押し船」「研ぎ」の工程だけは今もなお伝統製法を守りながら熟練した職人の手作業により丁寧に作られています。冬から春にかけて行われる和三盆作り。和三盆を使ったお干菓子は一年中作られていますが、一番人気は春のお干菓子。ふたを開けた瞬間に広がる春の景色、柔らかい色合いと甘さに心和みます。口にした時に感じる温もりや繊細な口どけに身も心も癒されて欲しい。私自身も大好きな讃岐和三盆の魅力を多くの方にお伝えできれば嬉しいです。

【制作後記】
最近は「和三盆をもっと身近に感じて欲しい」との想いから、動物や楽器などのポップなデザインのお干菓子を作ってみたり、観光地や美術館などともコラボレーション。伝統を後世に伝えていくべく、色んな試みをされています。和三盆のお干菓子は抹茶のお菓子として親しまれてきましたが、コーヒーや紅茶とも大変よく合います。見かけた際は是非お手にとってみて下さい!

祝いの謡いでもぐら打ち

2020年3月16日~2020年3月22日放送 
長崎放送 ラジオ制作部 米森 仁美

【番組概要】
長崎の県央、諫早市。島原半島に向かう入り口に位置する森山町の中の原地区では、明治時代の半ばから続くと言われている「もぐら打ち」という行事があります。無病息災、五穀豊穣などを祈って、竹の先に藁を括り付けた棒で家々の前の地面をたたいてまわります。九州には広く伝わる行事ですが、ここ原地区では独特な調子の祝いの謡いと共に行われます。地域の人も楽しみにしている年に1度のもぐら打ちの様子をお送りします。

【制作意図】
子どもたちが少なくなり、昔とは形を変えて続けられている原地区のもぐら打ち。いつから続いているかわからなく、詳しい文献も残っていない中、形を変えながらも小正月の行事として残ってきました。
独特な謡いを今回番組として形に残すことで、後世へつなげていくひとつの後押しになってくれることを願い、制作しました。

【制作後記】
地域の人が楽しみにしているもぐら打ち。少子高齢化が進み、地域の子供たちや、行事をしる先輩方が少なくなっている中、この行事を継続していくことの大変さも感じました。男の子の最年長の4年生岸川楽偉堂くんは、普段は年下の男の子たちと走り回って遊ぶ、やんちゃな男の子のです。しかし、このもぐら打ちの時には、自分がみんなを引っ張っていくぞ、という気持ちが強まります。地域の人とのつながりや、子供たちも育てるこの行事をこれからも長く続いていってほしいと願っています。

2020年3月 6日 (金)

水海の田楽能舞~池田町に受け継がれる芸能~

2020年3月9日~2020年3月15日放送 
福井放送 ラジオセンター 中村 謙太

【番組概要】
福井県池田町の水海地区は、山に囲まれた自然豊かな場所です。ここに鎌倉時代から伝わる田楽能舞を、能の演目を引き継ぐ父と子にスポットを当てて紹介しています。番組では、直前の本稽古から当日の禊、田楽能舞の奉納と、時系列を追って取材しました。どのように父と子が能を受け継ぎ、当日はどのように舞ったのか、水海の人にとっての田楽能舞の大切さを伝えています。

【制作意図】
田楽能舞が、約750年前の鎌倉時代から、脈々と受け継がれてきたという歴史の重みや、後世に伝えるという水海の人の熱意を伝えたいと思い、制作しました。特に、リスナーに池田の風景をイメージしてもらえるように、囃子、太皷や笛の音色、川の音など様々な種類の音を盛り込みました。

【制作後記】
下駄や雪の音など、小さな音を綺麗に収録できるように、マイクをできるだけ近くまで近づけました。

2020年3月 2日 (月)

令和につなぐ新年の舞い

2020年3月2日~2020年3月8日放送 
四国放送 ラジオ編成制作部 三浦審也

【番組概要】
霊峰・剣山を望む徳島県つるぎ町の伝統芸能「天の岩戸神楽」は、毎年1月1日の午前0時に、町内の松尾神社で奉納されます。神楽は世代交代の時期を迎えていて、舞台で踊るメンバーは今年から30~40代の若手に代替わりしました。令和に受け継がれる伝統の舞いを紹介します。

【制作意図】
過疎化や少子高齢化で伝統文化の継承が難しくなっている中、つるぎ町の天の岩戸神楽は若返りがうまくいっているケースと言えるでしょう。ストリートダンスの経験者が神楽のメンバーに加わるなど、新しい風が起きているのを感じます。令和最初の元日から活気あふれる元気なつるぎ町をお届けしたいと思います。

【制作後記】
「伝統芸能=古くさい」という考え方自体が、既に前時代的なのかもしれません。若い世代や子供たちは、もっとフラットに捉えているようです。新しい年の始まりを告げる神楽は、令和の時代も受け継がれていくことでしょう。

佃煮、時代を歩く

2020年2月24日~2020年3月1日放送 
秋田放送 ラジオ制作部 利部昭勇

【番組概要】
男鹿半島の付け根にある八郎潟。岸辺には佃煮屋が点在します。潟から獲れるワカサギやシラウオ、フナなどを材料に、明治から佃煮作りが盛んに行われてきました。深い雪に閉ざされる秋田では、冬期間の保存食として重宝されてきのです。しかし、平成に入った頃、食生活の変化が佃煮を直撃。柔らかい物を好んで食べる時代の人たちから、そっぽを向かれてしまったのです。起死回生をかけて編み出したのが「ワカサギの唐揚げ」。食感を工夫した新しい佃煮に売り上げが回復しました。時代は平成から令和へ。秋田の佃煮は新たな危機を迎えています。立ち向かうのは、家業を継ぐ決意をした若手経営者たちのグループ「スメルト」。佃煮の、さらに新しい愛され方を模索し始めました。

【制作意図】
地方の時代と言われながら、その実感は皆無と言っていいのが現実。人口流出に歯止めは掛からず、地方には次代を託せる人が激減するばかり。「国破れて山河あり」と言いますが、冗談ではありません。しかし、一方で、故郷の山河を、人を、暮らしを、生業を、文化を愛で、地方再生に立ち向かおうとする人材が、わずかずつ増えています。冷え切った地方経済の中で歩く道は険しい。しかし、彼らの視線の向こうには、はっきりとした「何か」が存在しています。地方で生きるということ。そのために今、起こすべきアクションは?全国に普遍的にある、この問題を、秋田のソウルフードのひとつ、佃煮を通して見つめたいと思いました。

【制作後記】
深い雪に閉ざされる地域では、冬に動物性蛋白質をいかに確保するかが大きな課題でした。その解決策のひとつが魚介の佃煮です。また、戦争中は戦地に赴く兵士たちの保存食として注目され、一般では入手困難な砂糖が、材料として佃煮屋に優先的にまわされたという証言もあります。 佃煮が命をつなぐ主役だった時代が間違いなくありました。今、佃煮は主役になりえないかもません。しかし、この文化が無くなることはないでしょう。なくても生活に支障はないが、あった方が、どこか豊かになれる。
令和の時代になり、佃煮は、そんな存在になっていくのでは?そして、金銭だけではなく、人としての豊かさを失わないために立ち上がった、佃煮店の若手経営者たち「スメルト」の活動を、これからも追い続けようと思います。

 

2020年2月21日 (金)

牡蠣炭火焼き 駅のホームが食堂に。

2020年2月17日~2020年2月23日放送 
北陸放送 野村未来子

【番組概要】
のと鉄道の穴水駅では、冬の2か月間、朝、七尾湾で水揚げされたばかりの牡蠣を炭火焼きで味わえる食堂が開店します。かつては能登半島の先端まで通じ、住民の生活の足として欠かせない存在だった のと鉄道ですが、現在は中間点であった穴水駅が終着駅になってしまいました。鉄道の利用促進と、終点である利点を生かし考えられたのがホームを食堂にするという取り組み。鉄道ファンのみならず、県内外から多くの人が、鉄道と冬の味覚、牡蠣のコラボレーションを愉しみに訪れます。そして、この食堂の魅力は店員が鉄道マンであること。駅長さんや整備士、運転士がこの時期ばかりはエプロンをして接客をします。慣れないまでも一生懸命、楽しそうに働く鉄道マンを取材しました。                                                          

【制作意図】
海沿いを走るローカル線に揺られながら辿り着く終着駅。その小さな駅で、冬の間だけ開店する牡蠣の炭火焼きの食堂。旅愁を感じさせる鉄道の音と炭火のほっこりとした温かい音、一生懸命に慣れない接客をする鉄道マンたちの姿を表現しようと思いました。

【制作後記】
取材を通して、のと鉄道の職員さんたちの生き生き働く姿に感銘を受けました。その接客ぶりは本職顔負けです。皆さんが口を揃えて言うのは「鉄道も食堂も、おもてなしという点では同じ」鉄道マンの神髄を見た気がしました。

笑顔が開くシャッター通り

2020年2月10日~2020年2月16日放送 
山口放送 ラジオ制作部 千田 正秀

【番組概要】
人口14万人に満たない山口県東部の岩国市。市の中心部、JR駅近くにある中通商店街は普段は人通りが少なく、シャッターを下ろしたままの店も目立ちます。そんな地方都市にありがちな小さな商店街が月に一度、多くの人でにぎわっています。それが10年前に始まった軽トラ市、「軽トラ新鮮組」が開かれる日です。番組では「軽トラ新鮮組」当日の様子を軸に、このイベントを企画した商店街理事長の   商店街に寄せる思いを紹介します。

【制作意図】
笑顔が印象的な商店街理事長の紳士服店店主、藤田信雄さん。「軽トラ新鮮組」は藤田さんを中心にして商店街の店主たちと農家のおじさん、おばさん、そして地域住民が結び付くことで10年続いてきました。何もしなければ文字通り「死んだ」商店街になっていたかもしれない中通商店街を「生きた」街にしているのはそこに人々の笑顔があったからだと思い、今回のサブタイトルを「笑顔が開くシャッター通り」としました。売り手と買い手双方が楽しみにしている「軽トラ新鮮組」の賑わいの一端を伝えます。                       

【制作後記】
自分自身、同じような地方都市の商店街を遊び場にして育ち、進学で街を離れ、帰省の度にシャッターが閉まったままの店が増えていくのを寂しく見ていました。地元の商店街は結局アーケードを解体して街の形を変えましたが、中通商店街は「昭和の商店街」の匂いをとどめながら今も地域に根を張っています。「軽トラ新鮮組」から派生した様々な企画も人気で、中でも獺祭で知られる旭酒造をはじめ岩国市にある5つの酒蔵の酒と「軽トラ新鮮組」の生産者たちの食材を地元の飲食店主が 調理したアテが楽しめる「麻里布酒祭り」は毎回1万人近い吞兵衛を集めていて、それこそ 客の肩と肩が触れ合う賑わいです。酒好きな私も過去にプライベートで足を運んだことが あり、まさに「人、もの、こと」がクロスする商店街です。今回の取材の際には晩御飯のおかずや食材を調達させてもらいました。    

2020年2月 7日 (金)

つなぐ~家康が眠る1159段までの近道~

2020年2月3日~2020年2月9日放送 
静岡放送 ラジオ局編成制作部 和田紗弓

【番組概要】
静岡市には、国宝で徳川家康が眠る久能山東照宮と、富士山を望む景勝地、日本平の二大観光地があります。その2つをつないでいるのが、「日本平ロープウェイ」です。ゴンドラにはガイドが乗り込み、ゴンドラから見える静岡の風景や、久能山東照宮の歴史を独自の語り口で解説してくれます。しかし、ロープウェイが開通する前は、「イチイチゴクロウサン」と親しまれていた石段を登らなければ、久能山東照宮へ参拝することができませんでした。その「イチイチゴクロウサン」のくだりをはじめとする、静岡への思いが、名物ガイドの鈴木美音さんから、今年1月にデビューした新人ガイドの大塚朋美さんへとつないでいきます。

【制作意図】
静岡市の二大観光地をつなぐ「日本平ロープウェイ」。そのゴンドラの中で、ガイドが独自の語り口で「静岡」というものを伝えているのが風物であると感じ、このテーマにしました。実は、久能山東照宮へ参拝するには、日本平からロープウェイに乗るルートと、久能山側から1159段の石段を上る2つのルートがあります。ガイドの中には、ロープウェイが開通する前は、1159段の石段を「イチイチゴクロウサン」とシャレを言いながら登っていたことが語られています。この静岡の古き良き風情を感じるガイドに焦点を当て聞かせることで、50年前のガイド、現在の名物ガイドの鈴木さん、新人ガイドの大塚さんへと語り継がれ、静岡への思いもつながっていることを伝えたいと思いました。

【制作後記】
日本平ロープウェイの名物ガイドの鈴木さんに密着していると、研修中の大塚さんに出会いました。取材をすると、大塚さんのガイドの中にも、開通当時から引き継がれているガイドのくだりが含まれていることを知り、「つなぐ」というテーマで番組を制作したいと思いました。富士山と徳川家康をつないでいるロープウェイの中のガイドを聞いていただき、皆さんの頭の中に、静岡の風景が浮かんでくれたらうれしいです。

広島親子三代 この街でビールをつぐ

2020年1月27日~2020年2月2日放送 
中国放送 RCCフロンティア 大橋綾乃

【番組概要】
広島市の中心部にある繁華街・流川で、連日行列ができる「ビールスタンド重富」。重富酒店の倉庫の一角に設けられた店舗は、わずか3坪の敷地ながら「うまいビールが飲める店」として、全国からお客さんがやってきます。営業は1日2時間、注文できるのは1人2杯までと、一風変わった業態のお店を始めたのは、重富酒店の社長で、ビールスタンド重富のマスターでもある、重富寛さん。昭和のサーバーと現代のサーバーを使って、同じ銘柄のビールを注ぎ分けます。「うまいビール」の提供を通して、重富さんが目指すこととは。極上のビールの背景に迫ります。

【制作意図】
流川で育ち、地元を愛する重富さん。この地を元気にするには何ができるのかと考え、自分が得意な「うまいビールを注ぐこと」を思い立ったそうです。集客のための店舗なので、営業時間は短く、「仕事じゃなくて趣味だ」と仰っていました。「ビールスタンド重富」は、流川でやることに意味があります。こだわりのビールが飲める人気店、というだけではなく、地元の活気を取り戻すために活動する姿を伝えます。

【制作後記】
重富さんの地元への愛やビールへのこだわりを聞くと、ビール好きな方はもちろん、あまりビールが得意ではないという方にも、訪れてほしい店だと感じました。また、取材中、ビールを飲んだお客さんの、「うま!」という反応がとても印象的でした。うまいものには人を笑顔にする力がある。それを強く実感する取材でした。重富さんが愛する流川の地、ぜひ訪れてみてください。

雪国に響け おらのスコップ

2020年1月20日~2020年1月26日放送 
青森放送 制作局ラジオ制作部 斉藤暢

【番組概要】
青森県五所川原市で生まれた宴会芸、スコップ三味線。スコップを三味線のように抱え、栓抜きをバチ代わりに叩きます。曲はCD等で再生しますが、まるでスコップから聞こえているかのよう…。
宴会芸とはいえ、究めようとすると奥が深いものです。そんなスコップ三味線の達人である、青森市在住のサフロ吉崎さんに、スコップ三味線の魅力を教えていただきました。

【制作意図】
スコップと言えば今の季節の青森には必需品ですが、それを楽器にしてしまう人たちがいます。津軽三味線のある青森県で、わざわざスコップ三味線に手を出すなら熱い想いがあるはず。軽く見られがちな宴会芸ですが、それが人の心を救うこともあるのです。

【制作後記】
取材にお邪魔するまで知らなかったのですが、吉崎さんは意外な経歴をお持ちの方で驚きました。厳しい状況はいくらでもあったかと思いますが、スコップ三味線があれば笑顔にあふれていたそうです。
細かい音の違いまで教えてくれた吉崎さんですが、スコップ三味線は楽しむことが第一だとしきりに言っていたのが印象的でした。これを機に、少しでも触れる人が増えることを願っております。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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