2016年5月23日 (月)

 原点に帰れる音 帰ってきた汽笛の音

2016年5月23日~5月29日放送
京都放送 ラジオ編成制作局制作部 永田和美

【番組概要】
新幹線や在来線、近鉄線など様々な電車が発着を繰り返す京都駅。絶えず電車の音が響きます。この京都駅近くに店を構えているのはマルサン・靴履物店の三代目三輪あきひろさんです。およそ40年この場所でお店をされている三輪さんは汽笛と共に仕事をしています。隣接する梅小路蒸気機関車館で走り続けていたSLスチーム号の汽笛です。この汽笛と共に生活していた三輪さんにとって汽笛はどんな存在なのでしょうか?この梅小路蒸気機関車館はリニューアルの為一旦閉館し、汽笛がこえなくなったのですが、2016年4月29日に京都鉄道博物館として開業。再びSLの汽笛も走りだしました。今回はオープンの様子も伝えながら、汽笛への思いを伝えます。

【制作意図】
2016年4月29日、京都の新しい観光名所としてできた"京都鉄道博物館”。多くの来場者が訪れにぎわいを見せました。中でも人気はSLスチーム号。汽笛を軽快に鳴らし走ります。汽笛は乗る人や見る人のの気持ちを高揚させます。ではそこで暮らしている方にとってどんな存在なのでしょうか、、、、多くの新しいものがあふれ音があふれていく中で、変わらずある汽笛の音。この音(汽笛)を聞いて、何かあたたかい、懐かしいものを感じていただければと制作しました。

【制作後記】
最新式の新幹線の音、車の音。そんな新しい音と、蒸気機関車という古い音が一緒に聞ける場所。それが京都鉄道博物館でした。一度原点に立ち返れる場所なのかもしれません。また三輪さんにお話伺った際、「そういえば汽笛最近鳴らしてくれへんな~とか思ってたんや」とお話されてました。そういえば・・・暮らしの中にいつの間にか入っていたからこそ言える言葉なんだと思います。SLを経験したことがない世代ですが、それでも汽笛というのは、日本人を揺さぶる何かが秘められているんだなと感じました。

船浮音まつり~唄で島おこし~

2016年5月16日~2016年5月22日放送 
ラジオ沖縄 制作報道部 仲宗根妃花留

【番組概要】
沖縄県八重山諸島の西表島に陸路ではたどり着けない集落「船浮」があります。船浮に向かうには、石垣島から船で西表島に渡り、さらに船を乗り継がなければなりません。船浮の人口は44人。そんな船浮で生まれ育ったミュージシャン池田卓が、ふるさとを盛り上げるため、2007年から「船浮音まつり」を開催しています。今年は10回という節目。池田卓を中心に、音楽祭を通して、島を盛り上げようとする船浮の人々の様子と音楽祭の模様をお届けします。

【制作意図】
口44人の小さな集落。しかも交通の便が悪い陸の孤島。ただでさえ不利な場所であるにもかかわらず、毎年600人余の観客が訪れる船浮音まつり。小さいながらも観客を魅了する、船浮ならではの祭りを、地元の人や訪れた観客の言葉を織り込みながら伝えたいと思い制作しました。

【制作後記】
初めて訪れた船浮。会場設営や接客で忙しそうにしていた船浮の人々は、とてもいきいきとしていました。そしてなにより、自らもこの祭りを楽しんでいるように感じ、「自分が好きな船浮をみんなにも好きになってほしい」という一人ひとりの思いが、この祭りの取材を通してすごく伝わりました。来年も再来年もずっと続く音楽祭であってほしいし、船浮のファンになった一人として船浮を訪れてみてください。きっと好きになりますよ。

2016年5月17日 (火)

ワイド!!ワイド!!闘牛の島・徳之島

2016年5月9日~2016年5月15日放送 
南日本放送 ラジオ制作部 七杖大典

【番組概要】
鹿児島県奄美群島の1つ「徳之島」。ここは伊仙・天城・徳之島の3つの町からなる島です。この島の最大の娯楽は今から550年以上も前から始まった「闘牛」。700kgの小型の牛から1トンを超える大型の牛が出場し、直径およそ20mのリングで闘いますが、勝負以上に人と牛が共存し、家族同様に暮らします。

【制作意図】
鹿児島県は南北およそ600km、多種多様な文化が、特に県内離島には存在します。徳之島の最大の娯楽・・・というか、もはや「文化」になっている闘牛は、厳しい自然環境を生き抜く先人たちの「息ぬき」でもあり、500年以上も続いています。「島の日常=闘牛」を表現したく、取材いたしました。

【制作後記】
徳之島へ取材で入ったのは4月4日から6月までの3日間。この時期、島の天候は荒れやすく、しかも牛が牛舎から出ず(寝てる)、なかなか鳴き声がとれない・・・。事前にアポをとっていた方に島を案内していただきながら(方言の通訳も兼ねていただきました)取材したことは一生忘れないと思います。ますます徳之島が好きになりました。

2016年5月 9日 (月)

夢と想いをオルガニートにのせて

2016年5月2日~2016年5月8日放送
南海放送 報道制作局メディア情報センター 吉尾亜耶
 
【番組概要】
ふるさと・西条に帰り、77歳にして自身の好きな『オルガニート』のために1軒の家(=音楽の館「Pallet House」)を建てた、川崎昭子さん。「私はただ音楽が好きなだけなのよ」と言う、彼女を動かす情熱の源は何なのか。川崎さんの人生を辿り語って貰いながら、想い出の曲をオルガニートで演奏してもらいました。

【制作意図】
西条のまち、人で「音楽を好きになった」川崎さんのオルガニートへの想いは並々ならぬものがありました。あるひとりの人生のお話ではありますが、そこには沢山の縁があり、歓びがあり挫折があり感動があり、、、胸を打たれます。なにより「音楽が好き」という想いを貫き通したことで『オルガニート』にたどり着いた川崎さんの姿や言葉には勇気をもらえます。彼女の小さな手から奏でられるオルガニートの音色とお話から、熱い何かを感じて欲しいと思い、制作しました。

【制作後記】
西条の商店街の方から「素敵なおばあさまがいらっしゃるのよ」とご紹介頂いたのがきっかけで川崎さんと出逢いました。取材中「色々あったけど、今、とても幸せなのよ」とにこにこお話されるお姿とお声が印象的でした。その幸せな空気感も、挫折から辿り着いたオルガニートへの愛情も、自作の楽譜と手回しでの演奏に乗っています。「好きなものをずっと好きでい続ける」姿がかっこよく、また一途ま姿が愛おしくキラキラした方です。自分も何歳になってもそうでありたいと思える方でした。

2016年4月25日 (月)

自由な空へ

20164月25日~2016年5月1日放送 
山形放送 報道制作局制作部 新野陽祐
 
【番組概要】
主人公は山形県南陽市の加藤健一さん(35)。加藤さんは全身の筋肉がしだいに衰えていく難病「筋ジストロフィー」に冒され、車いす生活を送っています。病気のため「ひきこもりがちになった」という加藤さんは2年前、障がい者支援の市民団体を立ち上げました。現在の目標は車いすに座ったままパラグライダーに乗り大空を飛ぶことー。そして飛行距離の日本記録を樹立することです。バリアフリーな社会の実現を自由な空に重ねる加藤さんの挑戦を追いました。

【制作意図】
パラグライダーの離陸場・南陽スカイパークは空のキャンバスに色とりどりの機体が舞い、地元の風物詩となっています。この場所で加藤さんは人生を楽しむことをテーマに、バリアフリー社会の実現を体現していました。ハンデがあっても前向きに生きる1人の男性の姿を通して、障がい者への理解を深めてほしいと感じています。

【制作後記】
加藤さんはこれまでに、車いすパラグライダーに2度挑戦。いずれも飛行距離が伸びず、日本記録の樹立には至っていません。現在もチャンスを伺い飛び続けていて、その都度取材を続けています。また、この活動のほかにも旅館などの施設でバリアフリー化のアドバイスを行っていて、今後の活動に幅を広げています。

語り継がれる”吉四六さん”

2016418日~2016424日放送
大分放送 ラジオ局ラジオ制作部 那賀ひとみ
 
【番組概要】
大分県の山間にある、自然豊かな臼杵市野津町。江戸時代初期、ここに生まれた伝説の人物、廣 田吉右衛門。皆からは「吉四六さん」と呼ばれ、親しまれていました。吉四六さんは得意の”と んち”で 庶民の苦難を救ったといわれています。その話は”吉 四六ばなし”と なり、を通じ、子どもたちへ、試練の多い社会で生きるために、目には見えない想いを伝えています。実際に、口演の様子を交えて、お送りし ます。

【制作意図】
野津といえば、とんちで有名な「吉四六さん」。”吉 四六ばなし”と して受け継がれ、子ども吉四六話大会なども開催されています。毎月2回、 吉四六ばなし口演も行われています。会場は「吉四六語り部の家」。今年、老朽化にともない取り壊され、新しい場所へ新築されることとなり ました。年月が経っても語り継がれる、とんちのきいた”吉四六ばなし”。 どんな時代でも、どんな場所でも、子どもたちには元気に過ごしてほしい、そんな想いを伝えたいです。

【制作後記】
吉四六語り部の家は土壁に藁の屋根で建てられており、口演をするときは、戸を全て開けて発表 します。会場へ足を運んだ3月の中旬は冷え込んでいましたが、こどもたちの発表で暖かくアットホームな空間になります。また、「吉四六さ ん」になり切るために着物を着たり、独自の化粧をしたり、平成の吉四六さんが多くいました。また、その日は小学校の卒業生もいて、「進学 してお部活と勉強と、吉四六ばなしも続けていきたい」という子も。次に会う時、どんな話が聞けるのか楽しみです。

2016年4月14日 (木)

お遍路~同行二人におもいをつないで

2016年4月11日~2016年4月17日放送
高知放送 ラジオ局ラジオ制作部 池上浩

【番組概要】
四国霊場八十八か所めぐり。四国遍路には春になるとたくさんのお遍路さんがやってきます。元々「遍路」とは辺境の地をめぐる修行のことです。真言宗の開祖・空海も修行のため歩き、その足跡をたどって四国遍路が形づくられたました。日常を離れたお遍路さんはこれまで見えていたのに見えなかった風景、聴こえていたのに聴こえなかった鳥の声に気づきます。そうした自らの変化を体験できるのが四国遍路の魅力と言えそうです。

【製作意図】
放送が4月ということで春らしさを出してお遍路の魅力を取り上げました。花や緑の木々はラジオでは見せることはできませんが音風景があります。この放送を聴いた方が四国遍路に行ってみたい、と思える内容にしたいと思いました。

【制作後記】
地元・高知に住んでいるとお遍路さんは見慣れて、あまり気にもとめなくなります。しかし、今回の取材ではいろんなお遍路さんが悩みもあるのでしょうが、自ら変わろうとお遍路をまわっていることに気づかされました。中でもあるお遍路さんが言った「脳は考えるためのものではなく信号を受けるためのものだ」というのが印象的でした。


2016年4月 7日 (木)

豊作を占うたろし滝

2016年4月4日~2016年4月10日放送
IBC岩手放送 編成局ラジオ放送部 照井達也

【番組概要】
岩手県の中央部に位置する花巻市石鳥谷町。毎年2月、町の中心部から山奥に10kmほど入った所で、その年の作柄を占う「たろし滝の測定会」が行われています。たろし滝は、地元に川に流れ込む沢水が氷る「つらら」のことで、昔からそのつららの太さが太ければ太いほどその年は豊作になると言われてきました。昭和50年から測定会が開始され今年で42回。一昨年、昨年とつららが崩壊し、計測不能。そして、今年はあいにくの暖冬ということで、今年の測定会も危ぶまれる中、果たして結果はどうだったのか。測定会の様子をお伝えします。

【制作意図】
天気予報もない時代から、その年の農作物が豊作になって欲しいと願い、たろし滝に生活のすべてを託してきた先代の思い。その行事を受け継ぐ地元の人たち。自然と共に歩む伝統行事を、後世に音として残しておきたい。

【制作後記】
たろし滝保存会の会長の板垣さんは、17回の測定会から、その年の話題にかけた独自の川柳を発表し、測定会の楽しみの一つになっている。また、地元のお母様たちによる、ひっつみや甘酒の振る舞いもあり、厳冬期の山あいに賑やかな声がこだまする光景は、寒さを忘れるひと時です。

2016年3月23日 (水)

蛭谷和紙 唯一の継承者を訪ねて

2016年3月28日~2016年4月3日放送
北日本放送 報道制作部 西崎雄一郎

【番組概要】
富山県朝日町にある蛭谷(びるだん)地区に古くから伝わる蛭谷和紙。時代の流れと共に衰退していったその文化・技術を今なお継承し紙を漉き続けている工房はたった一軒。その唯一の継承者である川原隆邦氏を訪ねた。ところが現在は蛭谷ではない別の場所で紙を漉いているという。蛭谷という地を離れた蛭谷和紙。川原氏が考える伝統工芸のあるべき姿など山あいの水がきれいな里山で話を伺いました。

【制作意図】
蛭谷和紙の技術を持ったった一人の継承者が蛭谷の地を離れて別の場所で紙漉きを行ったらそこで作られた和紙は蛭谷和紙なのか?という素朴な疑問からこの和紙職人を取材。紙漉きの音以外にも古き良き里山の風景が浮かび上がる音が聞こえたらと考え、今回のテーマに取り上げました。

【制作後記】
紙漉きのほかにも様々な工程があることに驚かせられたのはもちろんたった一人の継承者としての孤独感や閉鎖的な空間を想像していたのですが実際話してみるとそこには今後の伝統工芸について自分がすべき事や和紙を使っての挑戦など未来への展望がはっきりと見え、そう前向きに話す川原氏の目がとても輝いていたのが印象に残りました。


2016年3月16日 (水)

茅葺の家がはえるまち

2016年3月21日~2016年3月27日放送
ラジオ関西 報道制作部 西口正史

【番組概要】
神戸といえば港町のイメージが強いですが、六甲山をまたいだ北区西区には、900を超える茅葺住宅が残っていて、茅葺の里という顔もあります。肥料や飼料にするために茅(ススキや葦)を刈り、屋根にも葺いて、20年後には土に返す。この営みは、全国各地で1000年2000年と途切れることなく続けられてきた悠久のサイクルといえます。農家を取り巻く環境が変わって茅の確保が難しくなる中、サイクルを途切れさせまいとニュータウンの真ん中でのススキ刈りを続けてきた茅葺職人・塩澤実さん(43)の取り組みを紹介します。

【制作意図】
「茅葺の家は建てるものではなく、生えてくるもの」---塩澤さんが茅葺屋根から学んだ教えです。当然、生えてくるには地中に根っこがあるはず。では、その「茅葺の家の根」を神戸はもちろん日本各地で、太く、広くはるために何が必要なのか。「茅葺の家がはえる(生える・映える・栄える)まち」の地下に広がる、豊かでおもしろい「根っこ」に思いをめぐらせるきっかけになればと思います。

【制作後記】
「神戸に茅葺?!しかも団地で茅刈り??」。神戸の人が持ってもおかしくない、大きな??を抱えながら、取材(というか茅刈り作業)を始めました。茅場の場所は、ニュータウンを通る幹線道路沿いの斜面。車だとすぐにすぎてしまう遊休地。そこに身をかがめて茅を刈り始めると、まったく違う風景があり、万葉の歌に歌われた日本古来の生態系にも触れることができました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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