2024年3月14日 (木)

音を紡ぐ~おとつぶハープの夢~

2024年3月18日~2024年3月24日放送 
山形放送 制作部 佐藤嘉一

【番組概要】
プロのアーティストも絶賛する、小さなハープ「おとつぶハープ」を作った工房は、山形県山形市の一軒の民家。 工房を主宰する芹沢朋(せりざわ・とも)さんは、元は横浜に住む音楽家。アコーディオンやピアノ演奏、作曲も手がけ、70人もの生徒を抱える人気ピアノ教室を開いていた。
しかしコロナ禍で状況は一変。何もすることが無くなった芹沢さんは、かねてから思い描いていたハープに取り組んだ。しかし、小さくてプロの音楽家の演奏に耐えられる楽器は無く、パキスタンから輸入したハープのフレームを生かして試行錯誤の末、オリジナルハープを作り上げた。
その音色は手指を病んで失意の底にいた1人のアーティストを救い、そのワクワクは多くの仲間を生み出している。山形から世界をキラめかせる「おとつぶハープ」が広がっていく姿を描く。


【制作意図】
温和で知性溢れる女性、芹沢朋さんが命を吹き込んだ「おとつぶハープ」原理はとても原始的な楽器が、人びとの心を鷲づかみにしている地方移住の推進が叫ばれている中、ここまで条件が合致し、作曲やハープ制作という芸術部門で躍進する人は決して多くない。深く静かにゆっくりと広まる心の癒しを、おとつぶハープの音色でリスナーに届けたい。

【制作後記】
主人公の芹沢朋さんは、明るくて機転も効き、動じない性格が表面からにじみ出ていて、インタビューも面白く本当に丁寧に受け答えしていただき、演奏と合わせて3時間半をゆうに超えた素材になってしまった。プロ奏者の上松さんのパートもあり、お二人の心底小さなハープが好きだという姿を存分に写し取れたか?質問の仕方、スポットの当て方、構成など工夫の余地はまだまだ大きい。



~300年続く守りたい味、おきゅうと~

2024年3月11日~2024年3月17日放送 
RKB毎日放送 オーディオコンテンツセンター 大場敬一郎

【番組概要】
福岡の朝ごはんにはおきゅうとが添えられます。おきゅうととは、ところてんのような食べ物でエゴ藻と言われる海藻を裏ごしして、薄く手のひらサイズに延ばした食べ物です。 おきゅうとは300年の歴史があり、記録によれば江戸時代に初めて現在の福岡市東区、 箱崎で作られたそうです。福岡市博多区の老舗おきゅうと店「林隆三商店」ではエゴ藻にこだわり、作り続けて90年余りになります。おきゅうとは朝ごはんのお漬物の代わりとして昔から食べられており、九州の甘い醤油をかけて頂きます。塩分が控えめでおきゅうとによく合う醤油が、福岡市に隣接する糸島市船越にあります。「北伊醤油」という老舗醤油店で、創業127年になります。お店の裏山から美味しいお水が採れ醤油作りには欠かせません。

【制作意図】
おきゅうと作りにスポットを当て、おきゅうとには欠かせない九州独自の甘い醤油を取り上げました。おきゅうとの材料のエゴ藻は養殖ができない為、収穫量も年々減少しています。20年ほど前までは博多湾でも採れていましたが、現在は石川県能登を中心に収穫されています。しかし、今年1月1日に起こった能登地震の影響で、海底の地形が変化し、エゴ藻の収穫に影響が出ています。「林隆三商店」ではエゴ藻にこだわりおきゅうと作りをしている為、エゴ藻が採れなくなるとおきゅうとの生産を終了せざるをえません。300年続いている博多の朝の伝統食文化を、後世に引き継ぎたいけれど 自然災害には逆らえないもどかしさを滲ませており、博多の朝の伝統食文化おきゅうとを少しでも多くの方に知っていただければ幸いです。

【制作後記】
福岡生まれ福岡育ちの私は、おきゅうとを幼い頃から食べており、身近な食べ物でした。       おきゅうとは一般的に醤油をかけて頂きますが、味があまり無く海藻の風味を感じられるため、海藻サラダにして青じそドレッシングなどをかけて頂く事も出来ます。また、胡麻と相性がいいので、胡麻ドレッシングでも美味しく頂けますが、やはり私は、おきゅうとに胡麻と薬味を添えて九州醤油をかけて頂くのが一番好きです。ごはんを何倍もかき込む事ができます。

2024年2月27日 (火)

幻想的な氷の美術館~青い湖が魅せる輝き

2024年3月4日~2024年3月10日放送 
北海道放送 オーディオビジネス局編成制作部 横山佳菜絵

【番組概要】
札幌からも、新千歳空港からもアクセスしやすい、人気観光スポット「支笏湖」。11年連続で透明度日本一に輝いたこともある、その湖の青さは「支笏湖ブルー」と呼ばれています。北海道を代表する冬の祭典「千歳・支笏湖氷濤まつり」は今年で46回目。支笏湖ブルーが作り出す幻想的な青の世界は、多くの人を魅了します。その美しさの背景には、24時間体制で、夜通し行われる氷像制作がありました。「氷の美術館」はどのようにして完成するのか。37年間、氷像制作に携わり続ける制作部長、小林さんの熱意とこの幻想的な空間にやってきた人たちの声を、氷の世界でしか聴くことのできない音とともにお伝えします。

【制作意図】
札幌で生まれ、札幌で育った私にとって一番身近な湖は「支笏湖」です。よく晴れた日に、ブルーに輝く湖の周りをドライブしているだけで、とても癒され、すがすがしい気持ちになるのです。透明な湖の上で漕ぐクリアカヤック、全身で感じる風は気分爽快。6月~8月にだけ漁が行われる「チップ(ヒメマス)」のお刺身は絶品。自然に囲まれた支笏湖の温泉は「ととのう」以外のなにものでもありません。そんな私が、実は訪れることができていなかったのが「千歳・支笏湖氷濤まつり」でした。ここにしかない音がきっとあるはず、そう思ったのがきっかけです。


【制作後記】
小林さんは、「こんなに追い込まれた年は初めて」と話してくれました。準備期間に例年よりも気温の高い日が続き、作業が遅れ気味だったそうです。2月初旬、開幕した会場に訪れると、幻想的な青の世界が出来上がっていました。氷だけで作られる、その美しさに「わっ」と声が出ました。2月中旬、またも気温の高い日が続いたことで氷像が崩れ、予定していた終了日より10日以上も早く中止となってしまいました。厳しい自然との闘いがあってこそ成り立つ「氷の美術館」。来年、さらに美しく、さらに幻想的に輝く「支笏湖ブルー」の世界が楽しみです。

 

津軽の雪とずぐり回し

2024年2月26日~2024年3月3日放送 
青森放送 ラジオ制作部 田村啓美

【番組概要】
青森県の津軽地方では雪が積もると、子どもたちが「ずぐり回し」をして遊びます。「ずぐり」とは野菜のカブの形に似た大きめのコマ。雪の上でもよく回るように足の部分が太くなっているのが特徴で、雪上で回転する時間を競い合います。黒石市の「津軽こけし館」などでこけしを製作している工人たちが、津軽こけしと同じ手法で今もずぐりを作っています。冬になると子どもたちはずぐり回し大会にむけて、自分のずぐりに色付けをし、練習に励みます。回し方をおしえているのが地元で生まれ育った相馬大輔さん。長時間ずぐりを回すのに重要なのはコマが接する雪の「バン」作りだと言います。子どもたちが練習を始めると、レジェンドと呼ばれる祖父たちの世代も集まってきました・・・。

【制作意図】
今は民芸品としても人気が高い「ずぐり」ですが、本来は雪の上で回して楽しむ身近な遊び道具でした。しかし近年は津軽でも屋内でゲーム機に夢中になる子どもたちが大多数です。そんな中、黒石市周辺では、学校でずぐり回し大会が行われたり、ずぐり回しのイベントが開かれるなど、故郷の遊びの伝承がすすめられています。地元の職人が作る伝統工芸品をいまの子どもたちに遊び道具として広め、次の世代へ受けついで行きたい・・・そんな地域の人たちの思いを伝えようと考え、この番組を制作しました。

【制作後記】
黒石市は藩政時代の面影が残る古い街です。そのためか、シルバー世代の話す言葉は昔のままの津軽弁。いろいろインタビューをしましたが、全国のリスナーには理解できない難易度だったため、今回は残念ながら割愛となりました。また、上手な人のズグリ回しは動きが止まっているように見え、それを「寝た」状態というそうですが、まったく音もしないので録音には思わぬ苦戦をしました。
今年は青森県も記録的な暖冬小雪で心配しましたが、黒石市では予定通り2月に全日本ずぐり回し選手権大会が行われ、レジェンドたちは5分近い記録を出しています。ちなみに優勝タイムは70代男性の4分44秒です。


2024年2月15日 (木)

出雲国のたたら製鉄

2024年2月19日~2024年2月25日放送 
山陰放送 コンテンツ制作部 木野村尚子

【番組概要】
日本古来の製鉄技術「たたら製鉄」を日本で唯一継承している島根県奥出雲町の「日刀保たたら」で火入れ式があり、この冬の操業が始まりました。「たたら製鉄」とは砂鉄と木炭を3日3晩、砂鉄と木炭を燃焼し続け、日本刀の原料となる「玉鋼」が生み出す昔ながらの鉄づくりです。
良質な砂鉄と木炭を得る森林に恵まれた島根県東部・出雲地方は鉄の一大産地として栄えました。
伝統を受け継ぐ音を、地元刀匠の思いも交え、紹介します。

【制作意図】
日本刀の原料となる玉鋼を作り出す「たたら製鉄」。村下(むらげ)と呼ばれる操業の技術責任者のもと、3日3晩、不眠不休で操業を続け、生み出されます。やり直しがきかない緊張感と、古来から今に伝わる音を通して、長い歴史に思いをはせてもらえれば、と思います。

【制作後記】
たたら製鉄の炎が今につたわる奥出雲町では、たたら製鉄は良質な鉄を生み出すだけでなく、原料の砂鉄を採取した跡地は棚田に再生され、ブランド米「仁多米」が生産されています。鉄の一大産地として栄えた出雲地方は、自然と共存しながら、地域文化を育んできました。このたたら製鉄が育んだ出雲地方の歴史や風土は「出雲国たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」として日本遺産に認定されています。たたら文化が残る出雲地域にぜひお出かけください。

 

つくり手からつかい手へ「とべりて」のぬくもりを

2024年2月12日~2024年2月18日放送 
南海放送 メディアセンター 宇都宮郁美

【番組概要】
愛媛県伊予郡砥部町は、国指定の伝統工芸品「砥部焼」の産地。現在は、約100の窯元が砥部焼を制作している。毎年秋の砥部焼まつりには、2日間で10万人の来場者が訪れるなど県内外から人気の焼き物である。
その砥部焼を女性目線から盛り上げようと、10年前に結成された女性7人グループが砥部焼のつくり手「とべりて」である。その中のお一人、梅乃瀬窯の作家、佐賀しげみさんにお話しを伺った。佐賀さんは、自身の制作活動の傍ら、砥部焼を使ってもらい良さを知ってもらいという想いで3年前に「カフェ&ギャラリーもえぎの」をオープンさせている。自身の作品だけでなく、他の窯元のコーヒーカップが並べられた棚から、お客さんが好きなカップを選びコーヒーや紅茶を頂くことができる。女性作家グループ「とべりて」のおひとり、梅乃瀬窯の佐賀しげみさんの想いを「音」で伝える。

【制作意図】
砥部焼を女性目線でひろめたいと結成された、女性7人グループ「とべりて」は結成10年を迎えた。砥部焼のつくり手である「とべりて」の活動内容は、企業とのコラボ作品の制作、愛媛の観光名所である道後の旅館をプロデュース、県外へ出向いてのPR活動など多岐にわたる。そのメンバーのお一人、梅乃瀬窯の作家佐賀しげみさんは、自身の作家としての活動が30年を超えるベテランだ。佐賀さんが、カフェとギャラリーのお店「カフェ&ギャラリーもえぎの」をオープンさせたのには、食材が盛られ使ってもらい、砥部焼の魅力をより感じてもらえるという想いがある。砥部焼作家佐賀しげみさんの想いがカタチになったお店では、自身の作品だけでなく他の窯元の作品も並ぶ。つくり手がつかい手へ直接魅力を伝えられ、それを受け取ることができる場所「カフェ&ギャラリーもえぎの」。 
ひとりの女性砥部焼作家を通して愛媛県砥部町の特産品を伝えたく番組を制作した。

【制作後記】
伝統工芸品である「砥部焼」は、白磁に唐草模様、藍色の染付が伝統的なものだ。県外でも、うどん鉢として使用されるなど丈夫で割れにくいという特徴がある。しかし、最近では軽く、染付も藍色に限らずカラフルで、窯元により様々な特徴がある。さらに、昨年12月には愛媛名物を砥部焼マグネットにした、カプセルトイが大人気。変化・進化をしながらも継承される砥部焼。そんな砥部焼で食事やデザートが頂けるカフェ&ギャラリーもえぎのだが、メニューの考案から調理まで作家の佐賀しげみさんが行う。お店をオープンし、「砥部焼制作だけでなく、料理をするのが好きだと後で気付いた」「月替わりのメニューを考えるのが楽しい」と語る。また店舗では、玄関先の灯篭をはじめ、手を洗う洗面ボウル、ランプシェード、いたるところに砥部焼を感じることができる。 

2024年2月 6日 (火)

仙台最後の屋台~60年灯り続ける赤提灯

2024年2月5日~2024年2月11日放送 
東北放送 ラジオ局制作部 鈴木美希

【番組概要】
仙台最後の屋台「大分軒」。1965年に宮城県から「屋台の営業は一代限り」と通知があり、昭和30年代には300軒あった屋台も、10年ほど前に「大分軒」が最後の1軒となりました。店主の内田菊治さんは90歳。60年屋台を続けています。メニューのおでんと支那そばはもちろん、お客さんが楽しみにしているのは…

【制作意図】
通勤時に大通りにポツリとある屋台を見かけてから気になっていて、今回初めてお店にお邪魔しました。お店には「ずっと来たかったけれどタイミングが合わず初めて来た」という方や、数十年通う常連の方などがいらっしゃいました。店主の内田菊治さん、妻・タイ子さん、お客さんが会話を楽しむ屋台の様子が伝わればと思い、制作しました。

【制作後記】
収録素材に自分の笑い声が多く、よほど収録が楽しかったんだろうなと思いました。お店の営業は不定期のため、「今日は営業しているかしら」とわくわくしながら歩いています。冬季はお休みですが、寒さが和らぐ3月頃にはまた営業する予定とのこと。仙台にいらした際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

レッツ!手前みそ

2024年1月29日~2024年2月4日放送 
山梨放送 ラジオ制作部 依田司

【番組概要】
山梨県甲府市に蔵をかまえる明治元年創業の五味醤油。社名には醤油とありますが、現在は味噌の醸造を行っています。6代目の五味仁さんと妹の洋子さん。2人とも大学で醸造学を学び、Uターンして家業を継ぎました。冬の寒い季節、味噌蔵では寒仕込みの最盛期・・・のはずですが、五味醤油では味噌を仕込む気配がありません。ここでは味噌の原料となる「麹」を毎日つくっていました。これは味噌を作る人のために「麹」を供給するため。そして、この時期は毎日のように「手前みそづくり教室」を開催して味噌づくりを教えるちょっと変わったお味噌屋さんです。

【制作意図】
今では少なくなった町のお味噌屋さん。また原料となる麹を扱ったお店も少なくなってきました。そんな中、味噌づくりをする人のために毎日「麹」をつくり、地域の食文化を支えるお味噌屋さんの冬の風物詩です。味噌づくりを分かり易く伝える「手前みそのうた」を制作し、小学校やワークショップで味噌や発酵の楽しさを伝える「発酵兄弟」。肩ひじはらず優しい笑顔で迎えてくてるとってもステキな発酵兄弟の魅力を少しでもお伝えできれば幸いです。 

【制作後記】
五味醤油で「手前みそ」をつくるために県外からも大勢の方がいらっしゃいます。「手前みそ」をつくるついでに、温泉に入って、山梨のワインやお酒を飲んで帰っていく・・・「手前みそづくり」がテーマパークのような目的地!?1つのエンタメになっています。あなたもレッツ!手前みそ!発酵兄弟、ただいま地域文化も醸し中です。

村に響く十日夜の声~子供たちが守る北相木村の伝統

2024年1月22日~2024年1月28日放送 
信越放送  上田放送局 斉藤 美穂

【番組概要】
長野県南佐久郡北相木村は人口650人ほどの小さな村です。この村には、毎年旧暦10月10日の夜に行われる子供たちの伝統行事「十日夜」があります。(2023年は11月22日に行われました)十日夜とは、東日本に伝わる翌年の豊作を祈る収穫祭です。北相木村では子供たちが地中のモグラを追い払うため、大声で歌いながら、長さ60cm程のわら鉄砲と呼ばれるもので地面を打ち鳴らします。この伝統行事、北相木村では参加している子供たちのほとんどが村で37年前から受け入れに取り組んでいる山村留学生。地域の子供の数が激減する中、地区によっては様々な伝統行事が途絶えてしまうところもあります。十日夜も、取材した北相木村の栃原地区では一度途切れてしまったそうですが、山村留学生が参加する事で、行事を復活させることができました。村に暮らしてわずか数年という子ども達が、立派に「北相木っ子」として元気な歌声を届ける十日夜。ここで育った子供達はみんな地域の宝。その思いが地域をひとつにし、村の伝統をつなげています。

【制作意図】
 
少子高齢化で日本のお祭りや伝統行事は、今存続の危機に瀕しています。子供の数が激減している山間の地域ではどのようにして残しているのでしょうか。今回取り上げるのは、長野県の東部に位置する南佐久郡北相木村。面積の9割を山林が占める人口およそ650人ほどの小さな村です。そこで、細々と行われている伝統行事が「十日夜」。主役の子供たちが通う北相木小学校の全校児童は53名。その内、28名が移住を含めた地元生、25名が山村留学や親子山村留学で来ている子供たちです。山村留学は、北相木村では昭和62年にはじまった長野県が発祥の取り組みです。37年にわたる村の取り組みが伝統行事を受け継いでいくことにもつながっている貴重な事例といってもいいのではないでしょうか。「村で育った子供は、みんな地域の宝。」十日夜に交わされる子供たちと住民とのあたたかいやり取りを感じて頂ければと思います。

【制作後記】
 
私自身は、長野県の東信エリアを専門に取材しているリポーターです。今回北相木村での取材を通してはじめて北相木村の山村留学生の多さを知りました。北相木村にはコンビニもファミレスも信号もありません。そのような場所になぜ都会から?と不思議に思いました。親子で山村留学に来ている親御さんに尋ねてみたところ「何もないのが良い」のだそう。十日夜の日、村の人達と交わす子供たちの何気ないやり取りや、満点の星空を見ながら感動する純粋な姿を見て、都会にはない北相木村の豊かさや温かさを知る事ができたような気がしました。
 「十日夜を続ける意味」を色々な人にインタビューしてみると、答えはバラバラ。「村に伝わる伝統行事だから」というより、「村の人が喜ぶから」や「村を元気付けるため」という答えがほとんどでした。子供たちの答えは「お菓子がもらえるから」がダントツ(笑)。「伝統行事」の一番の意味は「地域を一つにするためのもの」なのかもしれないと今回の取材を通して感じました。山村留学を通した体験が、長野県や北相木村を思う気持ちにつながってくれれば…と願います。

2024年2月 5日 (月)

朝市の活気をチカラに~農家の朝定食350円~

2024年1月15日~2024年1月21日放送 
IBC岩手放送 ラジオ放送部 照井達也

【番組概要】
岩手県盛岡市の神子田朝市で、昨年の秋から定食屋を始めた、専業農家の井上千嘉良(チカラ)さん34歳。基本メニューは、納豆定食とたまご定食で、値段は350円。農家だからこそ出せる価格だが、千嘉良さんは思った以上の反響で驚いている。今では、お客さんの要望もありメニューは10種類ほどに。「市場でのお客さんとのやり取りが、何よりの活力。売れない時も頑張れる」と、これまでの朝市に新しいものを取り入れつつ、更に盛り上げていきたいと、千嘉良さんは意気込む。

【政策意図】
昭和43年から始まった歴史ある朝市が、衰退の一途をたどる中、数年前から若い世代の組合員が活動しはじめ、再び活気を取り戻してきた。その朝市の賑わいと、その中で頑張る姿を伝えられれば、と思い制作しました。

【制作後記】
取材した井上農園は、明治時代から続く専業農家で、82歳の武男さんは井上農園の3代目、今回放送に出ませんが、武男さんの娘である明美さんが4代目。武男さんの孫の千嘉良さんは5代目と、3世代が揃う農家です。3人とも農業への情熱を持ち、話すと大変ユニークなお人柄。そのユニークさが今回、存分にお伝え出来なかったのがもったいないところです。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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