2026年9月 1日 (火)

祭りが鳴く、高知の夏

2026年8月31日~2026年9月6日
高知放送 ラジオ編成制作部 中川麿里七

【番組概要】
高知の夏を彩る「よさこい祭り」。祭りで踊り子が手に持つ≪鳴子≫は時代とともに少しずつ変化を遂げています。毎年2万本以上の鳴子の製造・販売を行う会社「やまもも工房」。そこにオーダーするよさこいチームの新しい挑戦を通じて見えた今ある鳴子の姿とはー。

【制作意図】
よさこい祭りには踊り、鮮やかな衣装、踊り子を先導するトラック〈地方車〉やそのトラックから響く大きな音楽、魅力的な要素がたくさん詰まっています。しかしそのなかでも鳴子は祭りを彩る大事な要素。鳴子はどれも同じもの。と思っている人もいるかもしれませんが踊り子の手元をよーく見るとチームによって鳴子の長さやサイズ、柄、使われる木材など種類はさまざまです。チームのこだわりに応えて、それを形にする職人の存在。「今ある鳴子の姿」を知ってもらいたく、制作をしました。

【制作後記】
よさこい祭りに触れる機会があれば、それぞれのチームが手にもつ鳴子にぜひ目を向けて、耳を傾けて、祭りを楽しんでいただきたいです。同じようで違う。こんなところにもこだわりが!とそれぞれに発見が必ずあると思います。


再生~謎の踊りに魅せられて~

2026年8月24日~2026年8月30日
東北放送 ラジオ局制作部(tbcAz)坂部亮太


【番組概要】
仙台市の東部、太平洋に望む地域「荒浜」、東日本大震災の発生以前は約800世帯の住民が住んでいましたが、今は誰も住むことができません。
そこで生まれ育った庄子隆弘さんは震災後、地元の歴史を集める活動をしている際に、100年前に途絶えてしまった『荒浜磯獅子踊』という謎の踊りの事を知ります。
残された資料が少なく謎が多い『荒浜磯獅子踊』。70年前に文化財保存のために録音された「カセットテープ」の音を頼りに、失われた故郷の文化の再生に向けて活動をする庄子さんの想いを伝えます。

【制作意図】
私が担当しているワイド番組のイベント紹介コーナーで知った100年前に途絶えた「荒浜磯獅子踊」。
展示会でこの踊りを残した70年前のカセットテープの音声を聞き、こういったものが残されていることに驚きました。
また、学芸員の方にこのカセットテープの音や、残された各資料をもとに踊りを再生しようとしている人たちがいるという事を聞き、「荒浜磯獅子踊」という踊りに興味を持ったのが制作のきっかけです。
70年前に録音されたものであるため音質は悪くなっていますが、この音からどんな踊りなのかも想像しながら、荒浜という土地に思いをはせてもらえればと思います。

【制作後記】
仙台市若林区荒浜は仙台市内唯一の海水浴場「深沼海水浴場」がある地域でもあります。
この海水浴場は昨年、15年ぶりに入場制限なしで楽しめるようになりました。
取材した時期はちょうど海水浴シーズンという事もあり、多くの人で賑わっていましたが、この場所の元の風景を覚えている人はどのくらいいるのだろうかと考えると、月日の流れを感じずにはいられません。そんな中、100年前に途絶えてしまった地元の文化を再生させようとしている庄子さんたちの活動は輝いて見えました。
荒浜では多くの物が津波で流されてしまいましたが、踊りや歌は伝え繋いでいくことができます。
庄子さんたち「荒浜磯獅子踊を再生する会」の皆さんが作り上げる新たな「荒浜磯獅子踊」が、荒浜の歴史と共にこれからも繋がっていくことを祈っています。

小さな社会 ~駄菓子屋のおばちゃんの教え~

2026年8月17日~2026年8月23日
山陰放送 コンテンツ制作部 丸山聡美

【番組概要】
鳥取県米子市の路地裏で150年以上続く駄菓子屋「実重菓子店」。そろばんを弾く店主と、小遣いを手に工夫しながら好きなお菓子を買う子どもたちの日常を切り取りました。手作りのくじや昔ながらの対面販売を守り続ける店主。そこには、単にお菓子を売るだけではない、世代を超えた「学び」と「繋がり」の時間が流れています。

【制作意図】
子どもたちが、予算内で買い物をする経験は、経済感覚を養う「小さな社会」の入り口であります。 店主が計算中にあえて話しかけず見守る姿勢や、カゴの返却を促すルールを通じて、公共のマナーや自立心を教える場として機能しています。
希薄になりがちな現代の人間関係において多世代が交流し大人が子どもを見守る「地域の居場所」の大切さを伝えます。

【制作後記】
店主の実重幸子さんは90歳。新聞を読むのが毎日の日課だそうです。自分で仕立てた服をきて凛とお店に立っていらっしゃる姿はとても美しいです。幸子さんとの会話も楽しみにやってくるお客さんとの触れ合いをお楽しみいただきたいです。

2026年7月31日 (金)

宮崎釜揚げうどん物語~長嶋茂雄が愛した店~

2026年8月10日~2026年8月16日
宮崎放送 柳田紗緒里

【番組概要】
創業61年、宮崎で愛され続けている釜揚げうどんの老舗「重乃井うどん」。創業したのは義理の母・美津子さん。現在はお嫁さんである伊豫展子さんが暖簾を守っています。麺もおつゆも創業当初から変わらず、すべて手作業。特におつゆは先代のこだわりが詰まっていて、のぶこさんがその味を受け継いでいます。変わらぬ味を求めて連日たくさんのお客さんで賑わい、長嶋茂雄さんは晩年までここの釜揚げうどんを食し続けました。重乃井と長嶋さんの絆、そして、その味の継承を追いました。

【制作意図】
宮崎県民のソウルフードである釜揚げうどん。中でも重乃井うどんは、ミスターこと長嶋茂雄さんが愛したお店として県内のみならず、野球ファンにも広く知られています。なぜ長嶋さんはこれほどまでに重乃井を愛し続けたのか?味の秘密やお店の歴史を紐解いていければと思いました。

【制作後記】
重乃井の釜揚げうどんが出来るまでの工程をすべて見させていただきました。それはそれは丁寧なお仕事で、そこには職人の技、そして愛情が込められていました。厨房や店内は作業の音でいっぱい。その音を拾っていく事で重乃井の様子が想像出来ればいいなと思います。そして店主であるのぶこさんの存在はとても大きく、何よりお店を心から愛していました。味はもちろんですが、のぶこさんに会いにくる方もいらっしゃいます。連日たくさんのお客さんがやってくる理由が取材を通して改めて分かりました。

祭りが鳴く、高知の夏

2026年8月3日~2026年8月9日
高知放送 ラジオ編成制作部 中川麿里七

【番組概要】
高知の夏を彩る「よさこい祭り」。祭りで踊り子が手に持つ≪鳴子≫は時代とともに少しずつ変化を遂げています。毎年2万本以上の鳴子の製造・販売を行う会社「やまもも工房」。そこにオーダーするよさこいチームの新しい挑戦を通じて見えた今ある鳴子の姿とはー

【制作意図】
よさこい祭りには踊り、鮮やかな衣装、踊り子を先導するトラック〈地方車〉やそのトラックから響く大きな音楽、魅力的な要素がたくさん詰まっています。しかしそのなかでも鳴子は祭りを彩る大事な要素。鳴子はどれも同じもの。と思っている人もいるかもしれませんが踊り子の手元をよーく見るとチームによって鳴子の長さやサイズ、柄、使われる木材など種類はさまざまです。チームのこだわりに応えて、それを形にする職人の存在。「今ある鳴子の姿」を知ってもらいたく、制作をしました。

【制作後記】
よさこい祭りに触れる機会があれば、それぞれのチームが手にもつ鳴子にぜひ目を向けて、耳を傾けて、祭りを楽しんでいただきたいです。同じようで違う。こんなところにもこだわりが!とそれぞれに発見が必ずあると思います。


時代を超える汽笛 SLばんえつ物語

2026年7月27日~2026年8月2日
新潟放送 オーディオコンテンツセンター 橋本大暉

【番組概要】
現代においてのSLがただの移動手段ではなく、SL自体がもはや旅行の一要素になる。「SLばんえつ物語」というSLの名前の範疇を超えて、乗客・運行に関わる人すべての人たちのものがたりが、現代では珍しいSLが新潟の地に日常的に存在している。そのSL、「SLばんえつ物語」は今年80歳を迎え、年齢・SLという機関車である点どれにしても運行するのは他の電車・列車に比べて当たり前ではない。故に価値があり、人がそれぞれの思いを背負って物語が生まれる。80年前から皆が聞いて来た汽笛とともに物語がまた生まれる。

【制作意図】
SLの運行が当たり前に行われるには、それ相応に人が関わっていること。故に関わっている人、乗る人それぞれがSLを巡って物語を持っていること。ただ「SLばんえつ物語」と名乗っているわけではない。それを音声で伝えたい。

【制作後記】
制作した橋本は今年本厄。当初の想定から段々と変化する状況に応じて構成を変え作っていくのは面白かったが、一番本厄を実感した。

2026年7月13日 (月)

精密な技術とこだわりが生んだ優しい音

2026年7月20日~2026年7月26日
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀

【番組概要】
自然豊かで田園風景が広がる香川県のまんのう町にある長峰製作所。創業100年を超える歴史の中で培ってきた精密金型技術を生かし「お米のオカリナ」を作っています。
金型から一貫生産している工場で作られるのは、精密金型技術を核にセラミックス射出成型、ハニカム触媒など、電子部品を製造する際の微細なノズル、小さな小さな部品といったものです。
その工場で20年ほど前から「オカリナ」が作られてきました。陶器のオカリナよりも、音が安定し、割れないオカリナを作ろうと試行錯誤してできたのは、「お米のオカリナ」
一見すると普通のオカリナ。しかし、その素材には食用ではない資源米から作られた米粉を配合したバイオマスプラスチックが使われています。
こだわりぬいた、やさしいオカリナの音色に口上で働く人も地域の人も魅了されていきます。

【制作意図】
スマートフォンや自動車などの電子部品製造で使われるマイクロセラミックノズルや、自動車の排ガス浄化に使われるハニカム触媒など、高度な産業分野で活用される小さなものを作る会社で、意外とも思えるオカリナづくり。創ると決めたら、どこまでもこだわる、ものづくりへの想いを伝えたいと思いました。そして従業員の皆さんが、その音色に魅了され、オカリナ同好会として、自社での楽しみはもちろん、地域のお年寄りや病院などでその音によって、人の心をいやす存在であること・・・。
あの優しい音色がそうさせているんでしょうか?
放送を聞いた人も、やさしい気持ちになってもらえたら…と思います。

【制作後記】
私もこの取材をきっかけにお米のオカリナを手に入れ、その優しい音に魅了された一人です。音は、簡単に出ます。が、息の入れ方で音が複雑に変わります。なので、演奏するのはかなり奥深い・・・難しくはないのに、奥深いです。
いつか、私も人前で披露できるようになりたいと思い、今、練習中です。
お米のオカリナは、ふいているとほんのり香ばしいようなお米の香りがするのも、気持ちいいです。陶器のオカリナに比べ、価格も手に入れやすく、小さいお子さんや入門用にいいですね。。。早く上手になりたいです。

湯けむりの街に、蒸気は踊る 〜別府・鉄輪の地獄蒸し〜

2026年7月13日~2026年7月19日
大分放送 OBSメディア21 梅田 裕之

【番組概要】
源泉数・湧出量ともに日本一を誇る温泉の街・別府。
そのなかでも古くから湯治場として栄えた「鉄輪温泉」を舞台に、何百年もの間、人々の暮らしに息づいてきた独自の温泉利用文化「地獄蒸し」を紹介します。
かつて人々が畏怖を込めて「地獄」と呼んだ圧倒的な大地の熱。先人たちの知恵によって日常の営みへと手懐けられたその熱気は、今も「湯突き(ゆづき)」の音として街に響き渡り、現代の旅人をも温かく包み込んでいます。風土が育んだ「人と温泉の共生」という固有の文化をお届けします。

【制作意図】
別府・鉄輪温泉の伝統的な噴気利用文化「湯突き」と、それを用いた郷土の調理法「地獄蒸し」に焦点を当てることで、温泉県ならではの音と、そこに関わる人々や、その温かさが伝わればと考えました。

【制作後記】
かつて人々が恐れを込めて「地獄」と呼んだ圧倒的な自然の熱を、暮らしの知恵へと変え、日常の調理に活かしてきた「地獄蒸し」の歴史。
その固有の文化を限られた時間の中でいかに立体的に伝えるかに注力しました。
取材中、お釜の重い蓋を開けた瞬間に広がる真っ白な湯気と、そこに集まる人々の弾んだ声、そして「また帰ってきてね」という温かい見送りの言葉に、私自身が鉄輪の持つ深い包容力に魅了されました。激しく、そして誇らしげに踊る蒸気の音とともに、大分・鉄輪が誇る「人と温泉の共生の音」が、リスナーの皆様に伝われば幸いです。

あったかーい、 こおり。

2026年7月6日~2026年7月12日
秋田放送 ラジオ放送部 石﨑 富士子

【番組概要】
今年創業100年を迎え、今なお地域にとってなくてはならないお店、
秋田県大館市の「河田氷や」を取材しました。
街の氷やさんとして、夏だけでなく冬も営業、暑い日も、寒い日も、市内・県内外問わず老若男女がが一年中集います。取材時は、祖父母・両親もお店に来ていたという高校生や、自身も子供の頃からお店に来ているという方が孫を連れて訪れていました。
日が暮れると、大館市内のお店からの注文に応じ昔ながらの手押し車で氷を配達します。40年以上のお付き合いのスナックからご新規さんのバーまで、市内およそ300軒のうち、80軒がお店のお得意さんです。昼も夜も、地域に長く愛されるお店の音、街の声をお届けします。

【制作意図】
三代目店主の河田訓忠さん(74)のお仕事の様子を取材していく中で、氷に対するこだわりとその氷を口にしてくれる人への優しさを感じ、100年お店が続く秘訣を、日常に聞こえる昼の氷の音、夜の氷の音からお伝えしたいと制作しました。
純氷と称される河田さんこだわりの氷は、48時間かけてゆっくりと凍らせてるので、解けるのもゆっくりなのが特徴。昼の氷の音は、細かすぎず、粗すぎず、シロップの味がからみやすいふわふわのかき氷の音。ふわふわながらも、解けにくいので最後まで味が薄まらず美味しくいただく事が出来ます。
夜の氷の音は、お酒の味をひきたてる、グラスの中の氷の音。
不純物のない透明度が高い氷は作っても美しく、解けにくくお酒の味を変えないため、同じ氷で五杯も楽しめるというお客さんにとっても、お店にとっても嬉しい氷です。
決して主役にはならない氷が、昼も夜も大館の街をあたたかく支えている風景を取材、制作しました。

【制作後記】
今回取材をして感じたのは、見えないところで企業努力をしているということ。そして体力勝負であるということ。
河田さんは毎朝、135キロの氷を氷の販売単位、一貫目、3.75キロの角氷にしています。お得意さん一軒一軒のリクエストに応じ角氷からさらに切り分けますが、一貫目の角氷のブロックも、それを切り分けた氷も同じ値段でした。
また、角氷のまま販売する場合でも少しでも角が欠けた氷は角氷ではなく「欠け氷」なので販売せず、クラッシュ氷などに形を変えて販売するなど、氷やとしてのこだわりと同時に、氷を無駄にしない工夫もしています。午前中に氷の仕込みを終えると、午後は街のかき氷やとしてお店に立ち街の人たち優しく迎え、夜はほろ酔いの人たちの氷が切れないよう配達に向かうという毎日。
この日かき氷やのお客さんとして訪れた高校生は、アルバイトとしても働き、そんな河田さんの姿をそばで見ていて、この店の存在の大きさを感じている一人でした。
大館なまり少々強めですが、街の声として是非お届けしたいと思いました。

雑賀崎の海まちの味を守り継ぐ~おおやさ

2026年6月29日~2026年7月5日
和歌山放送 報道制作部 花井歩高

【番組概要】
万葉集に「紀伊国の 雑賀の浦に出で見れば 海人の燈火 波の間に見ゆ」と歌われる、古くからの景勝地和歌山市雑賀崎。イタリアの海岸線にならい「日本のアマルフィ」とも呼ばれ、斜面に家々が密集した独特な景観が特徴の漁師町です。この地域だけで親しまれてきたおやつが、ヨモギが香るお団子「おおやさ」。番組では、いまや最後の作り手となった「たっちゃん」こと谷龍子さんの指導のもと、Uターンした漁師の池田佳祐さんと、妻で古民家で食堂を開業した美紀さんがその味を受け継ごうとする姿を、中川智美アナが体験取材。漁港の音風景とともに描きます。

【制作意図】
和歌山市中心部から車で10分にある雑賀崎漁港は、獲れたての魚を漁船から直接買うことができると市民に人気です。しかし、かつて90隻あった漁船が半分近くに減るなど、少子高齢化で町に活気が失われつつあります。そんな漁師町に移住し、「海や雑賀崎を100年後も守りたい」という大きな目標を掲げる池田佳祐さん、美紀さん夫妻。古くからの住民との交流で、伝統食を復活させたいとの思いを「おおやさ」づくりを通じて伝えたいと考えました。

【制作後記】
取材中、最も印象的だったのは、80代半ばを超えた「たっちゃん」が取材スタッフにヨモギを収穫する様子をみせてくれると、急な坂道を軽快に登っていく姿でした。年間を通して作れるよう、年はじめからたくさんのヨモギを摘み取り、冷凍保存。解凍しても立ち上るよもぎの野性的な香りは、海と山に囲まれた雑賀崎の春を感じさせてくれました。
たっちゃんが語る独自の粉の配合や、黒蜜が絡みやすいように作る「つの」の成形には、長年の知恵と愛情、自信が詰まっているように感じました。「誰か残してくれたらなあ」とつぶやくたっちゃんに、「残します」と決意する美紀さん。地域に溶け込んだ若い夫婦によって味のバトンがつながった瞬間に立ち会えました。


半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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