2018年6月 4日 (月)

月山和紙 つくるひと つかうひと

2018年6月4日~2018年6月10日放送 
山形放送 報道制作局 制作部 鈴木紫乃 

【番組概要】
月山は山形県のほぼ中央にあり、出羽三山のひとつに数えられる霊峰です。その山麓にあたる西川町・志津は日本でも有数の豪雪地帯。6月中旬まで残雪が見られ、今は雪どけ水のせせらぎが心地よい時節です。清野真由美さんは、月山の自然の恵みがつまった伝統工芸品「月山和紙」を使ってランプシェードを手作りしています。2000年から独学で作り始め、現在では〝月山和紙あかりアーティスト〟として活動しています。清野さんが惚れ込む和紙を作っているのは、西川町・大井沢に工房を持つ三浦一之さん。およそ25年前に月山和紙の後継者として埼玉から移住してきました。以来しばらくひとりで月山和紙を守ってきたのです。月山和紙は国産の楮(コウゾ)を100%使用し、薬品や漂白剤を一切使いません。昔ながらの技法で今も作り続けられています。人生をかけて月山和紙を守る〝つくるひと〟、月山和紙の魅力を伝えたい〝つかうひと〟の想いを伝えます。

【制作意図】
月山和紙あかりアーティストの清野真由美さんには、5年ほど前にテレビの取材をお願いしたご縁があります。作品の美しさに魅了されたのがきっかけでした。実際に取材をしてみて強く印象に残ったのは、清野さんが月山和紙を千切る音です。力強くも優しい音が続き、聞いているだけでも月山和紙の手応えを感じている気がしたのです。制作当初から、音だけの世界で月山和紙の全容を伝えることは難しいと感じていました。そんな中でも、月山和紙とはどのような物なのか、はたまた〝月山和紙あかり〟とは実際にどのような物なのか、ラジオを聞いた方々に興味を持っていただくきっかけを作りたいと考え制作しました。三浦さんの月山和紙も、清野さんの月山和紙あかりも、力強く優しく美しいです。

【制作後記】
月山和紙職人の三浦さんと月山和紙あかりアーティストの清野さんとの関係性が素敵で、何気ないお二人の会話からそれぞれの和紙への愛情が感じられました。どちらも最終的に和紙やあかりに触れる人と魅力を共有したいという気持ちがあり、それがお互いの制作活動の刺激になっているそうです。実は昨年、三浦さんの後継者となる新たな和紙職人が西川町にやってきました。「大井沢から見る山々の美しさに涙が出た」と話す渋谷尚子さんもまた、ひたむきな愛情を和紙に注いでいます。自ら作った和紙で、バッグや名刺入れ等の小物の制作にも取り組んでいます。現代の生活において和紙はさほど身近な存在ではないかもしれません。しかし新たな形で月山和紙の歴史を紡ぐ皆さんを応援したいです。

2018年6月 1日 (金)

レトロが新鮮 ~純喫茶にも、いろいろありまして

2018年5月28日~2018年6月3日放送 
南海放送 ラジオ局 ラジオ制作部 稲田貴志

【番組概要】
イメージでは、“おじさんの憩いの場”“サラリーマンの休憩場所”“流行のシアトル系カフェには壁を感じて…”といったイメージの「純喫茶」。しかし最近、純喫茶が若い女性の間で静かなブームになっている。聞くと、昔ながらの喫茶店にレトロな空気を求めて足を運ぶ女性が増えているらしい。まず、本当かどうか愛媛県内にある昔ながらの「純喫茶」で取材をしてみると…?店のドアを開けた時に鳴るベル、サイフォンで一杯ずつ入れるコーヒーが落ちる雫、静かな空間で流れる女性客の会話…。
しかも、地元ならではのローカルルールも浸透しているとか。そこは、レトロが新鮮に感じる、今と昔が入り混じった空間が新たに生まれていた!!

【制作意図】
地域ならではの音を追いかけたわけではありません。「一周回っておしゃれ」「インスタ映え」などをキーワードに都会で人気が再燃している純喫茶ブームが、地方にも浸透しつつあるということで、取材をしようと企画しました。全国の純喫茶を100軒近く楽しんでいる方からの情報を元に、いくつか地元の店をめぐる中で、”愛媛にしかない!”純喫茶を発見。マスターを軸にした、「会話」をコンセプトの作品作りとしました。

【制作後記】
本当は、女性に人気が出てきた純喫茶の、しっとりとした雰囲気を音で6分30秒描くべくいろいろリサーチや準備を進めていたのですが…。「店の雰囲気も歴史もメニューもザ・純喫茶だけど、純喫茶の範疇を飛び越えている店が1軒だけある」という情報を元に訪れた今回の「フレンド」。マスターの雷のような大声でお客をいじり倒す様子と、その会話を嬉々と楽しむお客のキャッチボールや、今では観光地と化した近所の鍋焼きうどん名店の逆手を取ったメニューなど、意表を突く、しかもネットやガイドブックに絶対乗っていないローカル情報を描くことになりました。
録音風物誌に似つかわしくない作品になってしまったかもしれません…。

2018年5月31日 (木)

マリンポートの母

2018年5月21日~2018年5月27日放送 
南日本放送 ラジオ部 七枝大典

【番組概要】
大型クルーズ船が接岸する鹿児島市南部にある「マリンポートかごしま」は鹿児島と海外の観光客をつなぐ海の玄関口。船の写真を撮ってブログにアップする人、船を見るのが好きな人、そして寄港のたびにお出迎えやお見送りを行っている人たちが大勢いらっしゃいます。その中のお一人が東浜子さん(71歳)。船が入港する度に 自宅からおよそ2時間かけて 自分で車を運転してやってきます。4年前の2014年から雨の日も、雪の日も一度も欠かすことなくお見送りとお出迎えをする浜子さんの一日を追いました。

 【制作意図】
何気なく「マリンポートかごしま」へ行くと、両手にたくさんの国旗を持った女性がいました。話を聞くと「船の見送りにきた」とのことですが、手にした国旗の数や雰囲気など(いい意味で)「只者ではない」印象を受けました。これが浜子さんの第一印象です。一緒についていくと、そこには浜子さんと同じくお見送りをする方々が大勢いらっしゃいました。程なくして船が出港すると、みんな一斉に大きな声で「ばいばーい!!」とお見送りを始めます。僕には不思議な光景でしたが、なんだか胸が熱くなりました。しかも、完全にボランティアで お出迎えの時も同じように集まって自分たちの声でお出迎えをするという事実も発覚。出迎えも見送りも笑顔になる、スポットに集う皆さんをご紹介します。

【制作後記】
浜子さんと出会った時は、お出迎えとお見送りの回数がそれぞれ297回目。その原動力を探っていたのですが「何と言いようがない」の一点張り。「この魅力は体験した人でないと分からない」との事でした。ならば!と思って密着取材を始めたのですが、そこには浜子さんと同じく「何と言いようがない」お出迎えとお見送りの人たちが集うコミュニティがありました。明治維新150周年を機に観光に沸く今年の鹿児島ですが、知られざる人たちによる知られざるお出迎えとお見送りの声をお届けします。

 

茶碗にこめた一期一会のおもてなし

2018年5月14日~2018年5月20日放送 
大分放送 メディア局 ラジオ放送制作部 那賀ひとみ

【番組概要】
大分県の南に位置する佐伯市。この町で生まれ育ち、茶の湯の世界を学び、後世に伝える男子生徒がいます。今年の春、高校3年生になった岩井駿空(しゅんすけ)君。茶道をはじめてまもなく2年。今年は大きなお茶席があります。大分県で今年の秋、20年ぶりとなる「国民文化祭」で開かれるお茶会で、お手前を披露することになりました。全国から、そして世界から人々が集う大舞台。
おおいたで“一期一会”の出会いを“茶道でおもてなし”します。

【制作意図】
今回の国民文化祭のテーマは「おおいた大茶会」。期間中は、日本各地に限らず、海外からも参加者や観光客の来県が見込まれています。その催しのひとつとして、佐伯市直川の正定寺で開かれる「茶会」。その席で、高校に入学して「茶道」を習い始めた現役男子高校生・岩井駿空(いわい・しゅんすけ)君がお手前に挑戦。普段は週に1度、加藤宗枝(かとう・そうえ)先生と山田宗香(やまだ・そうこう)先生から指導を受け、地元のお祭りや小学校の学童保育などで披露しています。新たな出会いに繋がる一期一会の席を迎える岩井駿空君を紹介したいと思い、制作しました。

【制作後記】
普段の学校生活と稽古はあまり変わらないと言いながらも、お手前本番になると自分の世界に入り込む姿が印象的な岩井君。岩井君は“おもてなしの心”を一期一会のお茶席でも伝えようと、週に1度だけの稽古をとても大切にしていました。茶道のおもてなしをどのように“音”で伝えるか悩みましたが、
岩井君の優しいお手前が、リスナーの皆さんに伝わればいいなと思います。

2018年5月16日 (水)

守ろう里山 ~おんちゃん部隊はきょうも行く~

2018年5月7日~2018年5月13日放送 
高知放送 ラジオ制作部 手島 伸樹

【番組概要】
春になると、山ではタケノコが顔を出す。春の恵みです。しかし、喜んでばかりはいられず近年は竹が浸食し、山(里山)の生態系を壊し始めています。森林整備を目的に設立されたボランティア団体、
「こうち森林救援隊おんちゃん部隊」。こつこつと黙々と日々、間伐に精を出すおんちゃん部隊。
その活動の一頁です。

【制作意図】
高知県は森林率84%と日本一を誇ります。翻って、人の手が入らなければ、みるみる山は荒れていきます。財政面も、人口も少ない高知県にとっては課題の一つ。そんな中、森林整備に精を出すおんちゃん部隊(全員リタイア組。80代の隊員も)こうした人たちによって、山(里山)が守られていることを伝えたい。

【制作後記】
こうち森林救援隊おんちゃん部隊の皆さんは、拍子抜けるほど飄々としていました。「山を守ることが、川・海、そして自分たちを守ることになる」などという形式張った理想を語ることなく、ただ単純に「山に入るのが好き」「みんなと一緒に昼飯を食うのが楽しい」「リハビリよ」と言います。
肩肘張らず活動する。その姿を淡々と伝えました。

奇跡のオルガン ~東日本大震災で被災し、修復された希望の音色~

2018年4月30日~2018年5月6日放送 
IBC岩手放送 放送本部 編成局ラジオ放送部 佐々木美穂

【番組概要】
3月3日、岩手県立博物館で「天に響け 陸前高田 奇跡のオルガン演奏会」が行われました。人間の手で修復され、元の音色を取り戻したリードオルガンの力強い音色を届けます。

【制作意図】
被災したオルガンが、本来の音を取り戻し演奏されている生命力をラジオから流し、聴いた人の心に響く演奏をお届けしたいと考えます。現在震災から立ち直ろうとしている人に自分と重ね合わせ、勇気づけられるような番組作りを目指します。

【制作後記】

現在はあまり目にする機会がないオルガンが奏でる優しい音色に、心癒されながら制作しました。会場には涙を浮かべながら演奏を聴く姿も印象的でした。

 

2018年5月15日 (火)

まるでゴールドラッシュ!ホタルイカが湧けば人も湧く

2018年4月23日~2018年4月29日放送 
北日本放送 報道制作部 西崎雄一郎

【番組概要】
富山湾の春の風物詩「ホタルイカ漁」が3月1日に解禁され、初日の水揚げ量は荒天のせいもありここ最近では最も少なかった。研究者によれば今年は少な目とのこと。毎年浜辺では幻想的な光りを求め多くの人で賑わうが果たしてどうなるか。。。?

【制作意図】
まだまだ寒いこの時期、深夜に500人を超える人が集まる海水浴場なんて日本中どこを探しても富山湾だけじゃないでしょうか。。。SNS上での情報、あるいは長年の勘を頼りにホタルイカを掬いに集まる人たちの熱意と光る姿を身近で見られた時の感動を少しでも伝えられたらと思い制作しました。


【制作後記】
意外にホタルイカの身投げを見たことがない富山県民も多いです。一説によれば新月間近の穏やかな夜にチャンスがあるらしく仲間を引き連れてリベンジしたいと思っています。今回の取材ですっかりホタルイカ掬いにはまってしまいました。

 

2018年4月12日 (木)

兵庫いかなご譚~春を運ぶ漁師たち~

2018年4月16日~2018年4月22日放送 
ラジオ関西 報道制作局報道制作部 山本洋帆

【番組概要】
春になると、当たり前のように食卓に現れる「いかなご」。兵庫・播磨灘の地域では冬が終わると、そこかしこの家から、いかなごの釘煮の甘辛い匂いが漂い、まさに「風物誌」と言えます。しかし、ここ数年はいかなごのシンコの漁獲量が減ってきており、価格の高騰もすすんでいます。そこで番組では、垂水の海で行われていたいかなごのシンコ漁に密着し、港に春を運ぶために奔走する漁師さんの姿を収録しました。

【制作意図】
「いかなごが減ってきているらしい」そんなニュースが数年続いていることは知っていましたが、実際に現場でその問題に直面している方たちの存在まで意識せずに聞き流していた気がします。シンコの数が減っても、変わらず海に出る漁師の方たちの姿を知りたい……そんな思いで取材させていただきました。いかなごが、地域に愛される名物であり続けるためにも、いま改めて漁師の方たちの漁と向き合う様子を、少しでも伝えられていればと思います。

【制作後記】
今回初めて漁を間近で見ることができ、あらためて神戸という街が、いかに海と密接にあるかということを実感することができました。「いかなごの釘煮」は、播磨灘を中心とした兵庫の地域において、まさに”ソウルフード”と呼べる名物です。そのいかなごを、これからもこの兵庫の食卓から消してしまわないように、食べつづけていけるように。漁師の方たちの届けてくれる春を、地域の皆さんに伝え続けられる放送局でありたいと思います。

イレブンとともに 俺たちのコバルトブルー

2018年4月9日~2018年4月15日放送 
東北放送 ラジオ局制作部 阿部航介


【番組概要】

宮城県の北東部、太平洋沿岸に位置する街、女川町。2011年の東日本大震災の津波によって甚大な被害を受け、今でも街の至るところで復興工事が続けられています。人口6,500人あまりのこの小さな港町には、Jリーグへの参入を目指すサッカークラブ「コバルトーレ女川」があります。2011年には震災を受け一年間の活動休止を経験したものの、今季からアマチュアサッカーリーグの最高峰JFLに昇格し、日本全国を舞台に戦い続けています。4月1日は、ホーム開幕戦の日。地元女川の住民たちを中心に全国各地からサポーターが応援に駆け付け、声援を送りました。サポーターの中心人物で、コールリーダーを務める工藤貴之さんの思いを中心に、コバルトーレ女川が女川の人たちにとってどんな存在なのかを描きます。


【制作意図】

コバルトーレ女川は、プロではなくあくまでアマチュアのサッカークラブです。選手たちは女川で生活をしており、仕事を終えた後にサッカーの練習をしています。街の人々からの理解と支援がなければ到底出来ないことだろうと思います。別の取材で練習風景を見学させてもらった際、選手たちは仕事で疲れている素振りなど全く見せずに本当に楽しそうに練習に励んでおり、選手それぞれの顔が非常に輝いて見えました。その姿を目の当たりにして、女川という小さな街に住む人々が、コバルトーレ女川をどんな風に思い、どんな風に支えているのか、そして何を与えられているのかを描きたいと思いました。

【制作後記】

4月1日の開幕戦には、女川町内外から1,300人を超える観客が集まりました。女川町の人口が6,500人余りであることを考えると、これだけでもコバルトーレ女川がいかに街の人やサポーターに支えられているかがわかります。試合は惜しくも1対3で敗れてしまいましたが、戦いを終えた選手たち、そして相手チームにもサポーターから惜しみない拍手が送られました。「Jリーグへ行こう 道は厳しくとも 俺たち(おらだぢ)のコバルトーレ みんなで行こう」コバルトーレ女川の応援歌の一節です。この一文に、女川の人たちとサポーターの思いが込められていると思います。

 

名古屋に響く三線(さんしん)の音(ね)

2018年4月2日~2018年4月8日放送 
東海ラジオ放送 制作局報道部 村上和宏


【番組概要】
沖縄県知事任命の「美ら島(ちゅらじま)沖縄大使」である名古屋市在住の浜盛重則さんは、東海ラジオでの沖縄発信やエイサーグループ運営など、故郷沖縄の文化をこの地方に広めようと精神的に活動している。沖縄に対する差別と闘いながら、沖縄を理解してもらうことこそが偏見や誤解をとくカギだとの新ねんで生きる浜盛さんの姿をエイサーを通じてお伝えする。

【制作意図】
NHK朝の連続ドラマ「ちゅらさん」放送後、沖縄ブームとなり昔と比べれば沖縄に対する差別や偏見は減ったというが、基地問題に象徴される様にまだ完全になくなってはいない。謂れのないない差別と闘ってきた「ウチナンチュー」が日本各地で沖縄を何とか理解してほしいと様々な活動をしている中で名古屋の沖縄人代表ともいえる浜盛さんの「差別をなくすには闘うのではなく、理解を深めてもらうこと」という姿を取り上げることで、一切内容は表現しないが沖縄のアイデンティティーを訴えたかった。

【制作後記】
エイサーの練習に取材で初めて足を運んだが、沖縄出身者、名古屋生まれの人、様々な人達が互いに教えあいながら本当に楽しそうに演舞している姿に感動した。エイサーシーズンを前に練習にも熱が入っていて、今年は更に素晴らしい演舞を見せてくれると確信した。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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