2018年1月10日 (水)

やねよりの箸屋

2018年1月15日~2018年1月21日放送 
山口放送 ラジオ制作部 千田 正秀

【番組概要】
山口県東部にある周防大島。ここに「やねより」という屋号を掲げた箸屋があります。そこの主、河合 悦生さん69歳は40年ほど前から竹を使った箸を作り続けています。その箸は孟宗竹を使ったものと希少な煤竹を使ったもので、どちらもしなやかで使いやすく、そして美しい箸です。そんな箸を黙々と作る悦生さんは大の人好き、お酒好き。夕方になると部屋の中央にある囲炉裏に炭を起し、海の幸を肴に晩酌するのが日課。お客さんがいれば一緒に囲炉裏を囲むことを勧めてくれます。そして酔いが回ってくると、箸を作る気持ちを表した自作の「詩」を披露してくれます。そんな愉快な主人がいる「やねよりの箸屋」を「絵に描き」ます。 

【制作意図】
河合 悦生さんが作る箸も魅力的ですが、ご本人の人としての魅力と「やねより」の雰囲気を伝えたいと思いました。職人であり、大酒飲みであり、詩人でもある。一度、その人柄に惹かれるとまた会いに行きたくなる。「やねよりの箸屋」を描くことは悦生さんという「人」を描くことだと考えて制作しました。

【制作後記】
「やねよりの箸屋」へは会社から車で行くしか交通手段がありません。3回、取材にお邪魔し、3回とも晩酌にお付き合いさせてもらいましたが、いずれの取材も運転手だったため、毎回ノンアルコールでお付き合い。絶品のコノワタやサザエの刺身など、酒好きにはたまらない肴の数々をお茶で流し込みながら、次は必ず運転手確保してお邪魔したいと心に強く誓った次第です。            

-60℃の世界~焼津のCold Space Creator

2018年1月8日~2018年1月14日放送 
静岡放送 ラジオ局編成制作部 鈴木保

【番組概要】
日本で有数の冷凍マグロ・冷凍ガツオの水揚げを誇る静岡県焼津市の焼津漁港。私たちが普段、何気なく食べている魚の味、品質の裏側には過酷な環境で作業する人たちがいました。焼津のとある水産加工会社では-60℃の冷蔵庫で働く作業員の方を「Cold space creato」と呼んでいます。「Cold spac eace creator」とはどんな仕事なのか、普段は見られない裏側の仕事を紹介します。

【制作意図】
焼津は魚で有名な街です。漁港やさかなセンターの認知度も高いのですが、この寒い季節に極寒の世界で働く人がいることはなかなか知られていません。私たちが何気なく食べている魚が過酷な作業の上に成り立っていることを伝えたいと思いました。また漁港の雰囲気や冷蔵庫の迫力ある音も体感してもらいたいです。

【制作後記】
今回、はじめて漁港のセリの様子や-60℃の冷蔵庫の中を見させてもらいました。-60℃の世界は、鼻の中やまつ毛まで凍ってしまうなど想像以上の寒さでした。この過酷な環境で毎日何時間も作業されている方たちのおかげで新鮮で美味しい魚が食べられていることを痛感しました。過酷な環境ですが若い「Cold space creator」も増えてきています。大変な仕事であることもそうですが、若手の社員が先輩社員のお、想いを受け継いで頑張っている様子なども伝わればと思います。

2017年12月20日 (水)

つなげるエール 我ら、不死鳥応援団!

2018年1月1日~2018年1月7日放送 
中国放送 RCCフロンティア 宮崎夏音

【番組概要】
広島県の中央部に位置する、東広島市西条。豊かな自然に囲まれ、酒造りが盛んなこの街に、広島大学、通称 “広大”があります。夕暮れ時、この大学の片隅から「声」が聴こえてきます。その声の正体は、広大で活動している、『広島大学体育会応援団』です。蘇りし伝説の鳥、“不死鳥”を応援団のテーマに掲げ、運動部の試合や大学行事、地域のイベントなどで演舞を行っている彼らですが、実は、2010年頃から、団員の数は0で休部状態でした。今から4年前・・・一人の学生の入団を機に、応援団は復活を遂げます。手探りの中でエールを始め、広大の伝統を蘇らせた不死鳥応援団の声をお聴き下さい。

【制作意図】
「休部状態だった応援団を、復活させた大学がある。」ということを知り、広島ではあまり馴染みのない”大学の応援団”が、どんな演舞を行うのか、そもそもなぜ、応援団を復活させたのか気になったので、会いに行きました。団員も少なく、今後の成り行きによっては再び休部になりそうな広大応援団ですが、彼らの迫力ある声を聴いて心を打たれました。広大応援団が、全身全霊かけて贈るエールを、たくさんの人に届けたいと思い、企画に至りました。

【制作後記】
学園祭をもって応援団を復活させた4年の先輩たちが引退、団員数が大幅減となりました。録音風物誌の中で、その落差を描こうと企んでいたのですが・・・新応援団のエールに驚かされました。
確かに、人数が減った分、声に厚みはなくなりましたが、迫力は衰えることなく、力強い声に圧倒されました。新応援団の姿を見て、すぐに番組の構成を変えました。今後、どのように先輩から託されたエールを繋いで伝統の応援団を守るのか。これからの活躍がますます楽しみになり、目が離せない存在になりました。



アフリカの村に命の灯を

2017年12月25日~2017年12月31日放送 
秋田放送 ラジオセンターラジオ制作部 利部昭勇

【番組概要】
秋田県内のイベント会場で最近、注目を浴びている屋台「ザンビア風お好み焼き」。アフリカの国、ザンビアの貧しい村に診療所を建てる資金集めのために、秋田大学医学部の学生たちが切り盛りしています。チームリーダーでメニューを考えたのは、医学部3年生の宮地貴士さん。実際にザンビアで貧困と医療弱者の現状を目の当たりにしました。宮地さんは命の尊厳を求め、診療所建設に向けての活動を続けています。

【制作意図】
日々、新たな殺人事件やいじめによる自殺を報じるニュースを目にします。これほど命が軽んじられていることに、怒りとむなしさを感じている人が多いと思います。命は大事なもの。その理屈は誰かが教えてくれても、本当に命の大切さを想像できているでしょうか?きな臭さを増している国際情勢の中、まだ平和な日本、成果と効率だけが評価される日本。今、命の重さを考えなければ、すべてが綻んでしまうのではないでしょうか。命の尊厳を考えてほしいと思います。

【制作後記】
医学生・宮地貴士さんは、これから現場実習に入り、人の臓器の温度を実際に彼の手で感じることになります。また、患者たちの心理的な訴えも耳にするようになります。お好み焼きを売っている今は、夢を追う若者ですが、いよいよ命の重さに向き合い、大きな壁に何回もぶつかることでしょう。彼は「命の尊厳」をどう考え、どう言動にしていくのか。今回の録音風物誌は、彼の物語の序章です。ABSラジオは「命」をテーマに宮地貴士さんのこれからを追い続けます。次回もお楽しみに!

お法使さん~世代を越えてつなぐ、つながる~

2017年12月18日~2017年12月24日放送 
熊本放送 報道制作局 ラジオ制作部 岡村久美

【番組概要】
熊本県の益城町・菊陽町・西原村の合わせて12地区で、600年以上続くと言われる「お法使祭(おほしまつり)」。毎年10月30日に行われるこの祭は、神殿を持たない神様を1年ごとに地区から地区へ受け渡すもので、今年は菊陽町の辛川地区から益城町の平田地区へ受け渡されました。この祭の一風変わったところは、ご神体を乗せた神輿を田畑や道に投げたり転がしたり、手荒に扱うことです。少子高齢化などの問題から継承が難しくなっている現状もありますが、今年も祭は賑やかに執り行われ次の地区へと引き継がれました。今年は、去年の熊本地震で被害の大きかった地区に受け渡すということもあり、様々な想いのこもった祭となりました。その様子を地区の人々の声と共に届けます。

【制作意図】
3町村12地区で1年ごとにご神体を受け渡し600年もの間続いてきたと言われるお法使祭。この祭最大の特徴は神輿を落とすことですが、去年は熊本地震直後ということもあり、神輿を手荒に扱うことなく次の地区へ渡されました。そして、今年ご神体を受け渡すのは、地震の被害の大きかった地区。復興お法使祭として開催された今年の祭を取材しました。12年に1度の祭に込めた思いや、熊本地震からの復興への思いなど、様々な思いを、祭のにぎやかな雰囲気、神輿を落とす音と共に伝えたいと思います。

【制作後記】
地方の祭には、多かれ少なかれあると思いますが、この祭も少子高齢化の問題に直面しています。私は10年ほど前に別の地区でこの祭を見たのですが、地区の違いというだけでなく、確かに少し勢いが落ちているように感じました。今回取材をする中で、若者が地区の行事から離れつつあるという言葉を聞きました。しかし、当日は平日にも関わらず老若男女、初参加の人からベテランまでたくさんの人が参加し、賑々しく祭が執り行われました。こういった行事のない地域で育った私としては、少し羨ましくもありました。地域の伝統を受け継いでいくことの素晴らしさ、また、地震後元気にがんばっている熊本の様子も感じて頂ければと思います。


2017年12月12日 (火)

隠し味はラッパの音~豆腐の移動販売

2017年12月11日~2017年12月17日放送 
信越放送 ラジオ局ラジオ編成制作部 笠原公彦

【番組概要】
長野県山ノ内町で5年前から豆腐の移動販売をしている北沢豆ふ店。店主の北沢善延さんは、なぜ移動販売を始めたのか?その魅力は?販売に同行しました。

【制作意図】
豆腐販売のラッパ音が地域でどんな意味を持っているのか?販売に密着することで、売り手と買い手、それぞれの思いを描きたいと思いました。

【制作後記】
取材とナレーションを担当した石井嘉恵アナウンサーは新入社員。東京生まれの彼女に、長野県の良さを知ってもらいたいと指名をしました。取材後、スピードや効率といった尺度で測れない価値がある事に気づきましたと話していました。

Shogi is life~ポーランド出身 女流プロ棋士の挑戦~

2017年12月4日~2017年12月10日放送 
山梨放送 ラジオ本部 ラジオ制作部 小林奈緒

【番組概要】
今年2月20日。山梨県甲府市に、日本将棋界で初となる外国人の女流プロ棋士が誕生しました。彼女の名は、カロリーナ・ステチャンスカさん。ポーランド出身の26歳です。山梨学院大学大学院に在学しながら、女流プロ棋士の1級として活動しています。16歳で将棋と出合い、日本から遠く離れたヨーロッパのポーランドから2013年に単独来日。彼女が悲願の女流プロ棋士になるまでの道のりと、日本将棋界の未来を担う夢の背中を追いました。

【制作意図】
日本中に将棋ブームが巻き起こる中、山梨県に誕生した外国人女流プロ棋士・カロリーナさんが、いったいどのようにして将棋と出合ったのか、興味が湧いて取材を開始しました。言葉の壁・文化の壁を乗り越え、努力に努力を重ねて夢をつかんだカロリーナさん。この番組で、将棋を指すときの気持ちの良い駒の音とともに、将棋の魅力やカロリーナさんの将棋への愛を伝えられたらと思い制作しました。

【制作後記】
「Shogi is my life(将棋は私の人生!)」と語るカロリーナさんの瞳はキラキラと輝いていました。正直、”将棋=お堅い協議”というイメージを持っていましたが、実際に彼女が通っていた将棋クラブに取材に行ってみると、小学生から70代のおじいちゃんまで、幅広い世代の方々が楽しんで将棋を指している姿がとても印象的でした。対局中の会話はありませんが、心と心で会話をしているようにも感じられ、張りつめた空気の中に「強さ」と「あたたかさ」のある競技でした。カロリーナさんが、将棋の魅力を世界に発信する存在になってくれたらと願っています。

2017年12月 1日 (金)

初耳!自転車ベルの世界

2017年11月27日~2017年12月3日放送 
文化放送 報道スポー ツセンター 佐藤圭一

【番組概要】
見通しの悪い場所で存在を知らせたり、危険を回避したりするために使われる自転車ベルが、いま多種多様になっています。東京の下町荒川区に昭和初期から自転車ベルを作り続け、国内シェア最大を誇る会社がありました。昭和から自転車ベルはどのように変わってきたのか。素材による違い、変わり種のベルなど、多彩な自転車ベルの世界をご紹介します。

【制作意図】
東京の下町には多くの製造工場があります。そんな下町のものづくりを紹介するイベントで自転車ベルを作り続ける会社の存在を知り、これまで聞いたことのなかった自転車ベルの数々に出会いました。小さなベルにもこだわりがあり、時代とともに変わっていることをお伝えしたいと思い、制作しました。


【制作後記】
ロードバイクやクロスバイクなど販売時にベルがついていない自転車が増えており、必然的にベルを自分で選ぶ人も多くいる時代です。これだけ種類があれば選ぶときわくわくするなと感じました。ご協力頂いた東京ベル製作所は定期的に新しいベルのアイデアを出す会議を行っているということです。今後登場するベルも楽しみです。今回は音の違いを中心にご紹介しましたが、デザインも鳴らし方も様々です。お気に入りの自転車をみつけたら、それにあったベル選びも楽しんで頂きたいと思います。

 

豪雨被害から今立ち会がる親子十二代の窯

2017年11月20日~2017年11月26日放送 
RKB毎日放送 RKBミューズ 植木哲也

【番組概要】
平成29年九州北部豪雨により甚大な被害を受けた朝倉郡東峰村。そこに350年以上前から伝わる小石原焼の窯元が50軒ほどありますが、多くの窯元が陶器制作に必要な窯や道具、工房の建物自体が被災しました。秋の民陶むら祭りという大きな陶器市を控える中、どのように復旧し、陶器づくりが再開できたのか、ようやく復旧し陶器づくりができる状況に戻った様子を親子二代で守り続ける窯元にスポットをあて、音で伝えます。

【制作意図】
今回の豪雨の被災地、陶器の産地、ともにたくさんの場所がある中、取り上げられることが少なく、被災から現在に至るまでの状況が伝わってこない朝倉郡東峰村、そしてそこに伝わる小石原焼の復旧を、そこで暮らし陶器制作に携わる方々の生の音で伝えたい、そして親子二代さらにそのご家族の心通う陶器づくりへの情熱を少しでも音で残したいとの思いで制作しました。

【制作後記】
豪雨での被災も報じられてきた以上に生活に影響を与えていて、聞かないと分からない被害状況が分かり庵下。そのことが陶器づくりの復旧に多大なる影響を及ぼし、家族一丸となってきてくれるお客さんのために、毎日必死に元の状態になるようがんばり、ようやくいつもの窯の音が戻ってきて。陶器1つ1つに愛情を注いで制作していることがわかりました。普段見えない生活陶器を作る音が伝わればと思います。



2017年11月17日 (金)

松江ゴーストツアー~八雲の足跡を辿って~

2017年11月13日~2017年11月19日放送 
山陰放送 コンテンツ局報道部 森谷佳奈

【番組概要】
島根県松江市を代表する作家・ラフカディオ・ハーン。別名、小泉八雲。世界を転々とし、松江にやってきた彼は、その地で「怪談」を綴りました。作品には、「雪女」「耳なし芳一」があり、誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。こうしたなか、松江市では、10年前から、八雲の怪談ゆかりの地を巡るゴーストツアーが開催されています。ツアーは日没後にスタートし、語り部と共に市内を練り歩きます。暗闇に身を委ねると、聞こえてくるのは松江の夜の音とおどろおどろしい怪談話。しかし最後には、八雲が怪談に込めた心温まるメッセージを感じることができます。八雲の綴った怪談とその背景にあった松江の音風景。彼の足跡を辿る旅に皆様をご案内します。

【制作意図】
松江市は、山陰地方の中でも風情のある町のひとつです。この歴史深い景観をどうにか音で伝えられないかと考えた時に、松江ゴーストツアーと出会いました。
取材をしてみると、夜だからこそ感じることのできる音景色が広がり、怪談話がより一層鮮明に聴こえてきました。怪談とともに、五感を研ぎ澄まして、八雲の生きた松江の世界観を感じてもらえればと思います。

【制作後記】
松江ゴーストツアーでは、小泉八雲の怪談の舞台となった場所を巡るので、彼が過ごした松江の情景を感じることができます。取材をしてみて、普段何気なく過ごしていると分からない音や景色もあり、昔から変わらない早朝のシジミ漁の音、どう行列の太鼓の音、そして静寂の中から聞こえる水音や虫の音などが現代の松江に継承されていることに気づきました。

同時にこれが未来へ伝えていくべきものではないかと感じています。
また、八雲の怪談には怖さと、愛が詰まっています。それはどこか、日本人特有の愛情表現に思えてくるから不思議です。きっと松江を愛していた八雲のことですから、心はすでに日本人だったのでしょう・・・。



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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