2016年12月 6日 (火)

四日市工業地帯 近くから遠くから

2016年12月5日~2015年12月11日放送 
東海ラジオ放送 井田勝也

【番組概要】

三重県四日市市。石油化学コンビナートを擁する産業の街。市内では、ひっきりなしに大型車両が走ります。しばしば物流は人間の血の巡りに例えられます。四日市市はいわば産業の鼓動を、目で、耳で感じることができる街です。それは何も産業に直接携わる人だけではありません。現役の「跳開式可動鉄道橋梁」や近年、注目を集めるようになってきた「工場夜景」など「人が」「街が」働いてる様子を愛でる人がいます。そんな様子をお伝えしていきます。

【制作意図】
「現役の跳開式可動鉄道橋梁が四日市にある」という驚きからスタートした取材でした。平日にも関わらず、その雄姿を写真や動画におさめようとする鉄道愛好家たちの熱意にも驚かされました。「橋梁の取材をしよう」と決めたのと同時に、四日市と言えば「工場夜景の聖地」であることも思い浮かびました。「誰かの働く姿を愛でる人々」の姿を通じて働く人に励みになるような番組を作れればと制作しました。

【制作後記】
ディーゼル機関車を撮影している鉄道愛好家の様子を取材していて感じたのは「最高の瞬間は一瞬しかない」ということ。事前の想像とは裏腹に彼達の写真撮影はほとんど一瞬で終了していました。鉄橋と列車を「最高のアングルでおさめる」ことができるのは一瞬であり、シャッターは一度しか押す必要はない、言い換えればシャッターは一度しか押せないのです。「画像」と「音声」、追いかけるものは違っても、その集中力と情熱を見習いたいと感じました。



2016年11月29日 (火)

朴の木の音

2016年11月28日~2015年12月4日放送 
東北放送 阿部航介

【番組概要】
朴の木コーラスは、宮城県北部に位置する栗原市栗駒地区を拠点に活動する女声合唱団です。七十代以上の女性が全体の半数以上を占めるこの合唱団。メンバーは週に一度の練習日を心待ちにしています。合唱祭という目標に向け、声と心をひとつにして歌う彼女達の思いを柔らかくも深みのある歌声に乗せてお届けします。

【制作意図】
合唱団という「集団」を扱うに当たり、メンバーそれぞれの思いや週に一度集まる理由を見つけ集めていく作業に注力しました。この物語を聴いた方々には朴の木コーラスの存在意義を考えて頂き、胸の中にほんの少しの暖かさを感じてもらえれば良いと思っています。

【制作後記】
今回お話を伺ったおばあちゃんたちはとにかく元気でパワフル。取材に行く度に可愛がって頂、私にとってのある種のパワースポットのような場所になりました。完成した作品を聴いて頂くのが楽しみでなりません。

2016年11月21日 (月)

山峡に響く月明かりの神楽

2016年11月21日~2015年11月27日放送
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 大谷彩歌

【番組概要】
全国各地で伝承される神楽。宮崎でも200以上の神楽が受け継がれています。一方で地域の高齢化や後継者不足によって消えゆく神楽も少なくありません。小川神楽は、宮崎県西米良村小川地区―人口100人にもいたない山間の集落に受け継がれる神楽です。夜になると、月明かりのほかに何もない集落で、消え行くのを待つだけだった小川神楽。今、月明かりに見守られる稽古場からは、年嵩の舞い手達の力強い声と共に、若い舞い手の声も聞こえてきます。地域に人が増えれば神楽を継承できるわけではありません。続ける意志と日々の練習もまた、必要不可欠なのです。

【制作意図】
宮崎では、冬の風物詩として親しまれている神楽ですが、その少し前―秋が終わりに差し掛かる頃に聞こえ始める桂子の音は、地元の人々にとって秋の風物詩です。神楽の担い手達はどんな思いで、そうして神楽を舞うのでしょうか。12月に行われる神社社殿での奉納が本番ですがそれに向けて夜毎稽古に励む舞い手達の声を届けたいと思いました。

【制作後記】
若い舞い手の方々に。神楽を好きな理由を尋ねると、「かっこいいから」という答えが返ってきました。伝統の継承を重んじる一方で、神楽や神楽を担ってきた先人達への純粋な憧憬があることがとても素敵なことのように思えました。稽古場からは、指導の声と同じくらい笑い声も聞こえてきます。「好きだから舞う」「伝統を残すために舞う」どちらも大切で、だからこそこれからも小川神楽は受け継がれていくのではないかと思います。

2016年11月16日 (水)

未来神楽 福島から風を

2016年11月14日~2015年11月20日放送
ラジオ福島 編成局 大槻幹郎 

【番組概要】
平成28年8月27日、福島市内の稲荷神社に現代の創作神楽、ふくしま未来神楽の第三番「天・天・天狗」が奉納されました。前衛的かつ幻想的な音声・演奏とプロジェクトの発起人である詩人・和合亮一さんの創作神楽への思いをおおくりします。

【制作意図】
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年と半年が経過。震災前とほぼ変わらぬ生活をしている人もいれば、2011年3月11日で時が止まったままの人・地域もいまだにたくさんあります・「風化させてはいけない」「語りつがなければならない」その想いを伝える福島の動きを全国の人々に知ってほしい、と考えています。

【制作後記】
神楽自体は1時間を超えるもので、その中のほんの一部しか届けられず、正直「分かりづらい」と思いますが、その中でも特子供達の優しい声の響きは取材していても後で聴いても印象的でした。

心も躍る 祭り金太郎たち~ 地域の絆を一つに結ぶ 御坊祭

2016年11月7日~2015年11月13日放送
和歌山放送 報道制作部 柘植 義信

【番組概要】
毎年10月のはじめになると町中の人の心が騒ぎ、心が一つになる時がある。和歌山県の中部のまち御坊市に江戸時代から伝わる「御坊祭」は小竹八幡宮の例大祭。神と氏子が親密感を増し、一体となる祭りで 地域に根付いた祭りです。9つの地域が仕立てた組と呼ばれる連が参加し、神輿や太鼓を積んだ櫓をかつぐ大人。笛を吹く子供、雀踊りの女性たち。住民がそれぞれの役割を担い、祭をみんなで楽しむ。それをリードするのが祭り金太郎と呼ばれる年中「祭」のことが頭から離れない男衆。祭り金太郎が地域の人の心をつかみ、地域の絆を深める。祭りを通して過疎と高齢化が進む地方の元気を回復させる一つの姿が見えてくる。

【制作意図】
御坊祭を一年中、頭のどこかに置いていて、祭では地域の結束を固める役割を担う男衆を「祭り金太郎」と呼んでいる。番組では、祭り金太郎と祭りに参加する住民の表情を紹介しながら、地域と祭りの関係について改めて考えてみたい。各地では、過疎と高齢化が進み地域の絆が脆弱になっているが、祭り金太郎の役割を通して地域の人の心を一つにするきっかけを探るとともに祭りが持つ、高揚感を住民が体感することで地域に生き続ける意味を問いかけたい。

【制作後記】
御坊祭は、地域の人が神とふれあい、楽しむことがあくまで主体で、観光を目的とした見せる祭りでないことがわかります。地元の人が力を合わせ祭りを盛り上げ、今年も共に元気で生きていることを確認しあっています。移り住んできた人も古くからの住民と一緒になって祭りに参加。排他的でなく融和な雰囲気から絆の深さがみえてきます。災害などで地域住民の自助共助が求められる中、祭りを通して築いている住民の絆を引き続き取材していくことで地元局として地域再生のあり方を考えていきたい。

2016年11月 4日 (金)

地域が慕うワインへの想い

2016年10月31日~2015年11月6日放送
新潟放送 ラジオ本部制作部 五十嵐滋章

【番組概要】
米どころ新潟にあって、ワインづくりの道を切り開いた岩の原葡萄園。120年以上の歴史がある老舗ワイナリーでは、毎年10月に収穫祭が行われます。また、この収穫の期間、一般客に向けたワイン葡萄の収穫体験も行われています。摘み取る葡萄の品種は「マスカット・ベーリーA」。岩の原葡萄園の創業者、川上善兵衛が、日本の風土にあったワイン葡萄を、と品種改良を重ねて生み出したものです。この品種を全国に広めたことから、善兵衛は「日本ワインぶどうの父」と言われます。また、善兵衛が葡萄園を開業したのは、地域の農民が出稼ぎに行かなくてもいいように、という想いからでした。地元の小学校では、今も善兵衛にまつわる学習活動を続けています。ふるさとの人々への想いをワインに託した創業者は、今も地域の人々から「善兵衛さん」と呼ばれ、慕われているのです。

【制作意図】
新潟県上越市にある老舗ワイナリー「岩の原葡萄園」。その創業者、川上善兵衛は、大地主の長男として生まれますが、7歳で父を亡くし幼くして川上家の当主となります。勉強のため上京、慶応義塾で学び、勝海舟を訪れてワインと出会います。やせた土地でも葡萄は育つと知って、地域の農民が冬、出稼ぎに出なくても良いように、と、葡萄園を立ち上げたのは、まだ22歳のときでした。私財を投じ、川上家の庭をつぶして葡萄畑にしたこと、ワイン醸造のために石蔵を建て、雪を運び入れて温度管理を行うといった苦労、品種改良の末作り出した「マスカット・ベーリーA」を独占せずに全国に広め、今では国産赤ワイン用葡萄で最も用いられる品種となっていること、いまだに地域では「善兵衛さん」と呼ばれ親しまれていること。知るほどに、「岩の原葡萄園」そして川上善兵衛について発信したい、という想いに駆られ、この番組を制作しました。

【制作後記】
番組内にも登場する、収穫祭でインタビューに答えて下さった方。子どもの頃は「遠足に来る場所」大人になってからは、創業者川上善兵衛を知り、その懐の深さに感銘を受けている。取材を通じて「岩の原葡萄園」そしてその創業者、川上善兵衛がいかに地域の人々から愛されているか知ることが出来ました。本編には登場しませんが、善兵衛Tシャツを着て収穫祭に参加している方もいらっしゃいました。地域の人々の暮らしに尽くした126年前の善兵衛の想いは時代を超えて、季節が巡るごとに甘く瑞々しい果実となっているのだな、と感じました。

2016年10月28日 (金)

里海づくり、はじまっています。

2016年10月24日~2015年10月30日放送
西日本放送 営業局ラジオセンター 堀部直子

【番組概要】
「里海(さとうみ)」とは、人と自然が適切に関わることで豊かな恵みをもたらす海のこと。山と海が近く、瀬戸内海が身近な香川県の人たちにとって、「里海づくり」は自然とともに豊かな暮らしを実現するための、まさに利に合ったキーワードとなっています。しかし、香川県が行った「海」についてのアンケートでは、約6割の方が海にほとんど行っていないという驚きの結果が出ました。今、私たちができる「里海づくり」とは何なのでしょうか?

【制作意図】
香川県が行った「海」についてのアンケートで、約6割の方が海にほとんど行っていないという驚きの結果が出たことを知り、単純に海に行ってほしいと思いました。そんな中、香川県では楽しみながら海を知ることができる「里海ツアー」を積極的に行っており、このような企画に参加することで、海は遊び場なんだということを思い出してもらい、豊かな海を次の世代に残す「里海づくり」を意識してもらえればと制作しました。

【制作後記】
実は私も最近、海には行っていませんでした。でも、今回の「里海ツアー」に参加し、取材ということを忘れ無我夢中でカニや魚をみつけることに必死になってしまいました。

海は・・・自然はそういった力があるんですね。

 

芭蕉紙~300年の時を超えて

2016年10月17日~2015年10月23日放送
琉球放送 ラジオ局編成制作部 宮國宏美

【番組概要】
沖縄本島北部 今帰仁村謝名にある染織工房バナナネシア。芭蕉布と芭蕉紙を作る福島康宏さん。自然豊かな今帰仁村で、静かにゆっくりと芭蕉紙と向き合っています。芭蕉紙は1717年、琉球王国時代に誕生しますが、1879年琉球処分とともに衰退。幻の紙となりますが、人間国宝 阿部栄四郎の弟子勝公彦の手により復活。そして、来年2017年、誕生から300年を迎えます。芭蕉布を作る工程でいらなくなった部位を使用する芭蕉紙。糸芭蕉100%にこだわり続ける福島さんの芭蕉紙は、力強さにあふれています。誕生から300年、芭蕉紙は、静かにゆっくりと受け継がれています。

【制作意図】
来年、2017年に誕生から300年を迎える芭蕉紙。亜熱帯の自然の中で、糸芭蕉を使う芭蕉紙は沖縄独自の神。材料も製法も、芭蕉紙ならではのめずらしい紙です。その中に、沖縄を垣間見ることが出来る気がします。島々の記憶、風、太陽、青空。分厚く力強い芭蕉紙の中にある繊細なもの。芭蕉紙を手に取った時、それを感じてもらえる内容にしたいと思いました。

【制作後記】
芭蕉紙の材料の糸芭蕉。取材前、恥ずかしながらいつも見ているはずの芭蕉と糸芭蕉を見分けることができませんでした。染織工房バナナネシアでは、福島さんの漉いた芭蕉紙に、妻の律子さんが紅型で絵を挿しています。芭蕉紙と紅型から生まれるあたたかな美しさ。改めて琉球文化の奥深さを感じ、芭蕉紙が今後途絶えることがないようにと、強く思った取材でした。

2016年10月11日 (火)

詩吟王国いばらき~詩吟今昔物語~

2016年10月10日~2015年10月16日放送
茨城放送 編成局編成制作部 鴨川貴史

【番組概要】
詩吟王国といわれる茨城。その茨城では、昭和の時代、詩吟を吟じるという行為が、現在のカラオケのようにとても身近にありました。今回、インタビューに答えて頂いた長岡鳳晃先生は、7歳ごろから詩吟を始め、詩吟黄金時代と言われた昭和40年代を支えた一人です。そのキャリアは、70年におよび、現在は、吟道鳳晃流の宗家を継いでいらっしゃいます。そこで、今回は、時代と共に詩吟がどのように変化したのか。高齢化が進む詩吟界の今後についても伺いました。

【制作意図】
詩吟特有の節回し、発声、歌い方など最近では、あまり日常では聴くことが出来なくなった一流の詩吟を聴いてもらうことにより、江戸時代から続く伝統文化を次代に継承することが出来ればと思い、企画しました。

【制作後記】
今回、あえて伴奏なしで歌っていただいた詩吟は、とても心に響くものがありました。高齢化が進み、若い人たちの参加が減っているという詩吟界ですが、この素晴らしい名詩、名句をこれからも伝えていければと思いました。※茨城放送では、48年続く詩吟の番組「吟詠百選」を放送中です。最近では、radikoの普及で全国の詩吟愛好家がリスナーとして増えています。

2016年9月29日 (木)

自由な空へ

2016年10月3日~2015年10月9日放送
山形放送 報道制作局制作部 新野陽祐

番組コンクール入賞作品 再放送
(優秀賞)

 
【番組概要】
主人公は山形県南陽市の加藤健一さん(35)。加藤さんは全身の筋肉がしだいに衰えていく難病「筋ジストロフィー」に冒され、車いす生活を送っています。病気のため「ひきこもりがちになった」という加藤さんは2年前、障がい者支援の市民団体を立ち上げました。現在の目標は車いすに座ったままパラグライダーに乗り大空を飛ぶことー。そして飛行距離の日本記録を樹立することです。バリアフリーな社会の実現を自由な空に重ねる加藤さんの挑戦を追いました。

【制作意図】
パラグライダーの離陸場・南陽スカイパークは空のキャンバスに色とりどりの機体が舞い、地元の風物詩となっています。この場所で加藤さんは人生を楽しむことをテーマに、バリアフリー社会の実現を体現していました。ハンデがあっても前向きに生きる1人の男性の姿を通して、障がい者への理解を深めてほしいと感じています。

【制作後記】
加藤さんはこれまでに、車いすパラグライダーに2度挑戦。いずれも飛行距離が伸びず、日本記録の樹立には至っていません。現在もチャンスを伺い飛び続けていて、その都度取材を続けています。また、この活動のほかにも旅館などの施設でバリアフリー化のアドバイスを行っていて、今後の活動に幅を広げています。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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