2026年10月 1日 (木)

詩を武で舞う

2026年9月28日~2026年10月4日
LuckyFM茨城放送 編成事業部 小田原 壮志

【番組概要】
水戸で受け継がれる剣武。漢詩や和歌の心を、刀を手に舞う日本の芸道の稽古場    を訪ねた。稽古場での、刀の音、床を踏む足さばき、扇の返し、師範と門下生のやりとり など、稽古ならではの生の音で、剣武の世界と、水戸という土地に息づく詩心を描いた。

【制作意図】
“音”で情景を立ち上げることを目指した。あえて稽古場を選んだのは、刀・足・扇の音を、主役として聴いていただきたかったからです。

【制作後記】
刀を振り、絶えず動き続ける稽古の収録は、想像以上に手強かったです。舞い手を追う難しさ、張りつめた無音と、突然の打ち込みは初めての外での収音ということもあり大変でした。それでも、一つひとつの音が稽古場へ響き渡り、丁寧に稽古を重ねる師範と門下生の姿には、水戸に受け継がれる芸の厚みを感じました。

毛むくじゃらの子獅子

2026年9月21日~2026年9月27日
琉球放送 ラジオ編成制作部 高里翔

【番組概要】

沖縄県那覇市若狭、海を臨む崖の上に建つ神社、波上宮。
この地域には、戦前から長くお宮の獅子舞が愛されてきた。
今から25年前、子どもが演舞する用の獅子「子獅子」の誕生をきっかけに、
波上宮獅子舞保存会が発足。
今では神獅子、親獅子(交流獅子)、そして3体の子獅子が地域を見守る。
沖縄の獅子舞は2人1組で入る、胴体が毛で覆われた「毛むくじゃら」な姿が特徴だ。軽やかなレーヨンの毛が響かせる「ファサファサ」という柔らかな音が、演舞に迫力を与える。
世代を繋ぎ、地域を守る「毛むくじゃらの子獅子」に焦点を当てた。


【制作意図】
「その土地ならではの風俗」という大きなテーマを考えたときに、
華々しいお祭り(ハレの日)だけではなく、地道な練習の日々(ケの日)、
どちらにも触れる作品を作りたいと考えました。
伝統を守りながら、新しさに対応して継承していく。この難題に対し、しなやかな姿勢をもって、
次の世代につないでいく波上宮獅子舞保存会の在り方は、
地域の子供たちの健全育成・伝統芸能の継承その両方を実現しています。
演舞を終え、子獅子から顔を出した子どもたちに向けられる拍手。
そして、その誇らしく凛々しい姿から、地域の明るい未来を感じでいただければ幸いです。


【制作後記】
こども園に通う娘の生活発表会、その演目の一つにあった子ども獅子。
そういえば沖縄の獅子舞って毛むくじゃらだな、これは地域の特性があるかもしれない。
そう思い立ったところから、取材先を探し始めました。
那覇市出身の私。幼いころから幾度となく参拝してきた波上宮に、
地域を守る子獅子が3体もいたなんて!
取材に訪れると、練習の場にはたくさんの子どもたちが集まり、素敵な笑い声に溢れていました。
伝統芸能の継承といえば「堅くて厳しそう」というイメージを勝手に抱いていた私にとって、波上宮獅子舞保存会の皆様の柔軟な取り組みは、
地域の未来を紡ぐ大きな気づきを与えてくれました。

 

2026年9月30日 (水)

秘境・黒部 ~山小屋の守り人たち~

2026年9月14日~2026年9月20日
北日本放送 メディア本部 報道制作局 小丸明宏

【番組概要】

黒部峡谷の断崖に建つ山小屋「阿曽原温泉小屋」。
この小屋は雪崩の巣にあるため、毎年、冬を前に小屋を解体し、春になると再び立て直すという全国でも極めて珍しい運営を続けています。そうした中、登山者も利用する黒部峡谷鉄道のトロッコ電車の鉄橋などが、2024年1月の能登半島地震で落石被害を受け、2年間にわたり全線開通を断念。阿曽原温泉小屋は、トロッコ電車の終点から、12キロほどの場所にあり、この影響で2年営業ができていません。トロッコ電車が今年10月にようやく全線開通の見込みとなり、3年ぶりの小屋再開にむけ準備を進める小屋の仲間たちを追いました。

【制作意図】
登山者が当たり前のように感じている山小屋かもしれませんが、毎年、小屋を解体しては、組み立てている小屋もあることをまず知っていただきたいです。
また、2024年1月の能登半島地震の影響で、2年以上、通常営業にもどれない黒部峡谷鉄道や山小屋など、地震被害の大きさや被害の長期化の現実を伝えたいと思いました。
そして、3年ぶりの営業再開に向けて、かたい絆で結ばれた小屋の仲間が集まり、人がいない秘境で、人知れず小屋建てを進める人たちの存在、そして山小屋のありがたさが伝わればと思います。

【制作後記】
阿曽原温泉は、富山県の黒部峡谷の秘境の断崖にあります。およそ100メートル下には清流・黒部川が流れています。川の流れる音、森にすむ虫や鳥たちの声も意識しました。 
この小屋の営業期間は今年は10月1日に営業再開しますが、11月1日までの1か月間です。秋の紅葉シーズンは、多くの登山者でにぎわうと思われます。ただ、日本一危ない温泉ともいわれるくらい、危険個所が多いルートにありますので、登山されるみなさんには事故やけがのないように気を付けて来てほしいと願っています。

磨く時間、味わう時間、大人の秘密基地

2026年9月7日~2026年9月13日
山梨放送 ラジオコンテンツ部 鈴木 翔太

【番組概要】
山梨県甲府市の幹線道路沿い店舗を構える「靴磨き専門店BASE」。
外見だけを見ると、喫茶店、もしくは雑貨屋、はたまた美容院かと思うような
アンティークな雰囲気を醸し出すお店で、店主の井上将司さんは、お客さんから依頼を受けた革靴を無心でピカピカに磨き上げ、待ち時間に気分上がるようなこだわりの珈琲を提供しています。
そんな井上さんがそれぞれにかける想いを、お店の中で日々聞こえてくる
「大人の秘密基地を彩る音」とともにお届けします。

【制作意図】
靴磨きと珈琲、ともに「大人の嗜み」と括ることができるかとは思いますが、
一見、共通点があるようには思えない2つを同じ店内で提供をする意図と想い、
そして、そんなお店が山梨県にあることを伝えたいと考え制作しました。

【制作後記】
今回は私が8年ほど愛用している革靴を、井上さんに磨いていただく様子を
収録させていただいたのですが、音や作業中の姿はもちろん、磨き上がりの靴が
最初に購入した際と同じように輝いているのを見て気持ちが明るくなると同時に、
状態を維持する日常のケアの大切さを改めて実感させていただきました。
また、珈琲もオリジナルブレンド、ブラジル、エチオピアをいただき、
芳醇な香り、深みのあるコク、爽やかな酸味、それぞれの面で特徴があり、
その日の気分に応じて選ぶことができるのは魅力的だなと感じました。

2026年9月 1日 (火)

温度ジュ~ぶん!アツすぎる飯田焼肉

2026年8月31日~2026年9月6日
信越放送 ラジオ局編成制作部 町田篤朗

【番組概要】
 長野県南部に位置する飯田市は、人口1万人あたりの焼肉店舗数が日本一(2021年南信州畜産物ブランド推進協議会調べ)でコンビニよりも焼肉店が多い「焼肉の街」です。
 精肉店が肉や野菜だけでなく、鉄板やガスボンベといった焼肉道具一式を届けてくれる「出前焼肉」や、黒モツやサガリ、カシラといった他の地域ではなかなか見かけない部位を食べるなど独自の焼肉文化が根づいています。また、7月には音楽と焼肉が融合した「焼來肉(ヤキニク)ロックフェス」が開催されるなど、まちのいたるところで焼肉が行われています。
 今回は、アナウンサー2人の掛け合いとともに、鉄板の上で肉を焼く音や人々の賑わいから、飯田市民の熱すぎる焼肉愛に迫ります。

【制作意図】
 単なる「肉が焼ける音」でなく、飯田市全体で焼肉が大切なコミュニケーションの場であることを伝えるため、焼肉を通して聴こえてくる人々の「声」に焦点を当てました。焼肉の音自体は「ジュ~」という単調な音になりがちなため、出前焼肉の車の音やフェスの音楽なども織り交ぜ、市内のいたるところで焼肉が行われている情景を表現しました。
 また、早いテンポ感によって現場の熱気を伝えようと実況と解説(飯田市出身アナウンサー)風の掛け合いナレーションにしました。
 飯田市民の熱狂的な焼肉愛を聴きながら、「今晩は焼肉にしよう」と思っていただけたら幸いです。

【制作後記】
取材を通して強く感じたのは、飯田の人々にとって焼肉は単なる食事ではなく、「コミュニケーションツール」だということです。鉄板を囲んでお肉を頬張る人たちの間には、常に温かい会話と笑顔があふれていました。
 今回は時間の都合上カットとなりましたが、各家庭で自作する「マイダレ」へのこだわりや、焼肉が好きすぎて自宅に「焼肉小屋」を建ててしまった男性のエピソードなど、市民の焼肉愛を示す魅力的な話題は尽きませんでした。
 一方で、焼肉の音はどうしても一辺倒になりやすく、構成をインタビュー(声)に頼る部分が多くなってしまったため、今後は「音」だけで情景を伝えられるよう取材をおこなっていきたいです。


再生~謎の踊りに魅せられて~

2026年8月24日~2026年8月30日
東北放送 ラジオ局制作部(tbcAz)坂部亮太


【番組概要】
仙台市の東部、太平洋に望む地域「荒浜」、東日本大震災の発生以前は約800世帯の住民が住んでいましたが、今は誰も住むことができません。
そこで生まれ育った庄子隆弘さんは震災後、地元の歴史を集める活動をしている際に、100年前に途絶えてしまった『荒浜磯獅子踊』という謎の踊りの事を知ります。
残された資料が少なく謎が多い『荒浜磯獅子踊』。70年前に文化財保存のために録音された「カセットテープ」の音を頼りに、失われた故郷の文化の再生に向けて活動をする庄子さんの想いを伝えます。

【制作意図】
私が担当しているワイド番組のイベント紹介コーナーで知った100年前に途絶えた「荒浜磯獅子踊」。
展示会でこの踊りを残した70年前のカセットテープの音声を聞き、こういったものが残されていることに驚きました。
また、学芸員の方にこのカセットテープの音や、残された各資料をもとに踊りを再生しようとしている人たちがいるという事を聞き、「荒浜磯獅子踊」という踊りに興味を持ったのが制作のきっかけです。
70年前に録音されたものであるため音質は悪くなっていますが、この音からどんな踊りなのかも想像しながら、荒浜という土地に思いをはせてもらえればと思います。

【制作後記】
仙台市若林区荒浜は仙台市内唯一の海水浴場「深沼海水浴場」がある地域でもあります。
この海水浴場は昨年、15年ぶりに入場制限なしで楽しめるようになりました。
取材した時期はちょうど海水浴シーズンという事もあり、多くの人で賑わっていましたが、この場所の元の風景を覚えている人はどのくらいいるのだろうかと考えると、月日の流れを感じずにはいられません。そんな中、100年前に途絶えてしまった地元の文化を再生させようとしている庄子さんたちの活動は輝いて見えました。
荒浜では多くの物が津波で流されてしまいましたが、踊りや歌は伝え繋いでいくことができます。
庄子さんたち「荒浜磯獅子踊を再生する会」の皆さんが作り上げる新たな「荒浜磯獅子踊」が、荒浜の歴史と共にこれからも繋がっていくことを祈っています。

小さな社会 ~駄菓子屋のおばちゃんの教え~

2026年8月17日~2026年8月23日
山陰放送 コンテンツ制作部 丸山聡美

【番組概要】
鳥取県米子市の路地裏で150年以上続く駄菓子屋「実重菓子店」。そろばんを弾く店主と、小遣いを手に工夫しながら好きなお菓子を買う子どもたちの日常を切り取りました。手作りのくじや昔ながらの対面販売を守り続ける店主。そこには、単にお菓子を売るだけではない、世代を超えた「学び」と「繋がり」の時間が流れています。

【制作意図】
子どもたちが、予算内で買い物をする経験は、経済感覚を養う「小さな社会」の入り口であります。 店主が計算中にあえて話しかけず見守る姿勢や、カゴの返却を促すルールを通じて、公共のマナーや自立心を教える場として機能しています。
希薄になりがちな現代の人間関係において多世代が交流し大人が子どもを見守る「地域の居場所」の大切さを伝えます。

【制作後記】
店主の実重幸子さんは90歳。新聞を読むのが毎日の日課だそうです。自分で仕立てた服をきて凛とお店に立っていらっしゃる姿はとても美しいです。幸子さんとの会話も楽しみにやってくるお客さんとの触れ合いをお楽しみいただきたいです。

2026年7月31日 (金)

宮崎釜揚げうどん物語~長嶋茂雄が愛した店~

2026年8月10日~2026年8月16日
宮崎放送 柳田紗緒里

【番組概要】
創業61年、宮崎で愛され続けている釜揚げうどんの老舗「重乃井うどん」。創業したのは義理の母・美津子さん。現在はお嫁さんである伊豫展子さんが暖簾を守っています。麺もおつゆも創業当初から変わらず、すべて手作業。特におつゆは先代のこだわりが詰まっていて、のぶこさんがその味を受け継いでいます。変わらぬ味を求めて連日たくさんのお客さんで賑わい、長嶋茂雄さんは晩年までここの釜揚げうどんを食し続けました。重乃井と長嶋さんの絆、そして、その味の継承を追いました。

【制作意図】
宮崎県民のソウルフードである釜揚げうどん。中でも重乃井うどんは、ミスターこと長嶋茂雄さんが愛したお店として県内のみならず、野球ファンにも広く知られています。なぜ長嶋さんはこれほどまでに重乃井を愛し続けたのか?味の秘密やお店の歴史を紐解いていければと思いました。

【制作後記】
重乃井の釜揚げうどんが出来るまでの工程をすべて見させていただきました。それはそれは丁寧なお仕事で、そこには職人の技、そして愛情が込められていました。厨房や店内は作業の音でいっぱい。その音を拾っていく事で重乃井の様子が想像出来ればいいなと思います。そして店主であるのぶこさんの存在はとても大きく、何よりお店を心から愛していました。味はもちろんですが、のぶこさんに会いにくる方もいらっしゃいます。連日たくさんのお客さんがやってくる理由が取材を通して改めて分かりました。

祭りが鳴く、高知の夏

2026年8月3日~2026年8月9日
高知放送 ラジオ編成制作部 中川麿里七

【番組概要】
高知の夏を彩る「よさこい祭り」。祭りで踊り子が手に持つ≪鳴子≫は時代とともに少しずつ変化を遂げています。毎年2万本以上の鳴子の製造・販売を行う会社「やまもも工房」。そこにオーダーするよさこいチームの新しい挑戦を通じて見えた今ある鳴子の姿とはー。

【制作意図】
よさこい祭りには踊り、鮮やかな衣装、踊り子を先導するトラック〈地方車〉やそのトラックから響く大きな音楽、魅力的な要素がたくさん詰まっています。しかしそのなかでも鳴子は祭りを彩る大事な要素。鳴子はどれも同じもの。と思っている人もいるかもしれませんが踊り子の手元をよーく見るとチームによって鳴子の長さやサイズ、柄、使われる木材など種類はさまざまです。チームのこだわりに応えて、それを形にする職人の存在。「今ある鳴子の姿」を知ってもらいたく、制作をしました。

【制作後記】
よさこい祭りに触れる機会があれば、それぞれのチームが手にもつ鳴子にぜひ目を向けて、耳を傾けて、祭りを楽しんでいただきたいです。同じようで違う。こんなところにもこだわりが!とそれぞれに発見が必ずあると思います。


時代を超える汽笛 SLばんえつ物語

2026年7月27日~2026年8月2日
新潟放送 オーディオコンテンツセンター 橋本大暉

【番組概要】
現代においてのSLがただの移動手段ではなく、SL自体がもはや旅行の一要素になる。「SLばんえつ物語」というSLの名前の範疇を超えて、乗客・運行に関わる人すべての人たちのものがたりが、現代では珍しいSLが新潟の地に日常的に存在している。そのSL、「SLばんえつ物語」は今年80歳を迎え、年齢・SLという機関車である点どれにしても運行するのは他の電車・列車に比べて当たり前ではない。故に価値があり、人がそれぞれの思いを背負って物語が生まれる。80年前から皆が聞いて来た汽笛とともに物語がまた生まれる。

【制作意図】
SLの運行が当たり前に行われるには、それ相応に人が関わっていること。故に関わっている人、乗る人それぞれがSLを巡って物語を持っていること。ただ「SLばんえつ物語」と名乗っているわけではない。それを音声で伝えたい。

【制作後記】
制作した橋本は今年本厄。当初の想定から段々と変化する状況に応じて構成を変え作っていくのは面白かったが、一番本厄を実感した。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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