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2023年12月27日 (水)

名古屋のちんどん、海を渡る

2024年1月1日~2024年1月7日放送 
TOKAI RADIO 制作局編成制作部 山本俊純

【番組概要】
愛知県名古屋市を拠点に女性7人で活動する ちんどん屋「べんてんや」。
日本の伝統的な音の風景である ちんどんではあるが、これまでも様々な逆風にされされてきた。2019年末から続いたコロナ禍も、街頭宣伝の現場を奪うという形で大きな影響を与えた。
そんな苦しい期間を、7人力を合わせ前向きに乗り切った彼女たちに、新たな展開が!
チンドンで世界の道を練り歩く。そんな一歩が始まった。

【制作意図】
2024年最初の放送ということで、「日本らしく,そして華やかな音を」。そんな事を考えながら街を歩いていた私の耳に飛び込んできたのが、「べんてんや」の演奏でした。街に寄り添う選曲と、ちんどん太鼓の音色は、観光客を振り向かせ街の人を笑顔にしていました。
2023年アニメ映画も公開された「窓ぎわのトットちゃん」にも登場する"ちんどん屋”という職業も今の若者たちには馴染みがないのかもしれない。ただ、その音色に何故か耳が傾く。そんな不思議なちんどんの魅力と「べんてんや」の魅力をお伝えしたい。

【制作後記】
話を聞けば聞くほど魅力たっぷりなスージーさん。そしてそれぞれ個性的なメンバーの皆さん。その個性や魅力が、ちんどんの音色に詰め込まれているように感じました。
年末の大須商店街での取材でも、道ゆく人がそろって笑顔で振り返る。この音色には、本当に人を笑顔にする力があるのだと実感しました。 新年1発目の録音風物誌の音に選んでよかった。
 自分自身も10年前、九州でちんどん屋の一座に関わったひとりとして、この文化が国内で、世界で、これからも息づいていくことを願っています。

2023年9月22日 (金)

半年前に新幹線が発車します―福井が魅せるおもてなし―

2023年9月11日~2023年9月17日放送 
福井放送 報道制作局制作部 酒井拓海

【番組概要】
2024年春、福井県に北陸新幹線が開業します。
昭和に計画が決定し、平成に工事がはじまり、令和のその列車が到着する。半世紀越しの夢の実現は「100年に1度のビッグチャンス」とも言われていて、芦原温泉駅・福井駅・越前たけふ駅・敦賀駅の県内4駅では、各駅でおもてなしの準備が急ピッチで進んでいます。福井が魅せるおもてなしとは?もし今新幹線が開業したらという想定で、半年前に「音」で旅する新幹線を走らせてみました。芦原温泉駅には、駅名からも分かる通り、開湯140年と歴史ある温泉街があります。新幹線開業に向けて、13の温泉旅館の女将たちが手掛けた新名物・スパークリング日本酒「OKAMI no AWA」。使う米は、女将たちが収穫から田植えまで手掛けた山田錦。ボトルを開ければ、炭酸の音や甘い味わいを楽しめる1杯です。越前たけふ駅の周辺には、700年の歴史を誇る伝統工芸品「越前打刃物」の産声がこだまします。むらがないよう叩き続ける職人技が、切れ味よく長持ちする刃につながります。13の共同工房のタケフナイフビレッジは3年前にリニューアルし、製造工程を間近で見学できます。
半年先取りの福井の「音」の旅をお楽しみください。

【制作意図】
新しい施設が完成したり、名物が誕生したり、カウントダウンイベントも開催されたりと、新幹線開業に沸く福井県を違った目線で紹介したいという思いから制作しました。旅に「音」はつきものです。目的地で聞こえた音や現地の人との会話、さらに、移動中の新幹線の走行音など、音と旅の思い出はリンクしていると私は考えます。ただ紹介するのではなく、新幹線が本当に走ったら…?という期待感も合わせて紹介したいと思い、このような構成にしました。一世一代の大イベントに向けて、観光客をどう楽しんでもらい、また来たいと思ってもらうかと試行錯誤しながら取り組んでいる人たちが福井県にはたくさんいます。そんな思いが乗った渾身の音に耳を傾けて、来年春以降その音を現地で感じたいという人が増えるとうれしいです。

【制作後記】
スパークリング日本酒「OKAMI no AWA」の音を収録する際には、あわら温泉女将の会の副会長立尾清美さんにもボトルのオープンや注ぐシーンなど、協力していただきました。食前酒として飲むのがおすすめということで、ボトルを開けたときの食事が始まるという高揚感をどのように音で伝えられるか、一緒に試行錯誤しました。担当することが決まってから、田植えから収穫までという時間経過を表現するため、田植えの音もふんだんに使いました。タケフナイフビレッジは、800度の鋼を扱うこともあり、工房が熱気に包まれていました。その中で、わずかなズレがないよう、一心不乱に刃物と向き合う職人たちの姿勢に感銘を受けました。工房には、20代や30代の若者の職人も多かったです。越前打刃物には、700年の伝統をこれから受け継いでいく人たちの熱い思いも宿っているとと感じました。
報道記者から制作部に異動し、アナウンサーになって5か月。ラジオ制作もほぼ初めてでしたが、思いを込めて作りました。



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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