2011年12月12日 (月)

街と人をつなぐ発車メロディ

文化放送 報道スポーツセンター 関根 英生

駅の発車メロディを「ご当地ソング」に変更し、地域密着を図る取り組みは既にお馴染みとなった。

都心の巨大なベッドタウンである埼玉県所沢市でも、議会で所沢駅に新たなご当地発車メロディを導入しようという動きがある。所沢は都心へのアクセスが良く、澄むのに適した環境となっているが反面、新たに引っ越してきた人が多く、街の印象が内外に関わらず薄くなってしまっている。

どのような発車メロディを採用すれば、地元の人に定着するのか?
市民の声を聞き、所沢に相応しいメロディを導入することで、地元に対する愛着を増幅させるための取り組みを取材し、街に新たな風物誌が生まれる可能性を追う。

発車メロディの取り組みに関しては賛成の人が多いが、実際に流すとなると局をパッと思いつかない人がほとんどだった。
これから所沢という地域に定着するご当地ソングが現れてくることを願う。

2011年12月 5日 (月)

師匠は先生! 子ども寄席

信越放送 ラジオ局 編成制作部 西沢 修

日本人はもともと「笑い」を愛する国民であると、何かで読んだことがあります。それは滑稽本や風刺画などに見られる江戸文化にも結実していますが、落語もまた間違いなくその代表の1つでしょう(幸いこうした話芸はラジオとも大変相性の良いものです)。

そんな日本の伝統文化である落語を、赴任先の小学校で子どもに伝えている先生が長野市にいらっしゃいます。
アマチュア落語家・快楽亭狂志こと、中村雅則先生。(参考までに、教師である中村先生に“狂志”と命名されたのは快楽亭ブラックさん。過日逝去された立川談志師匠ともエピソードの深い噺家さんです)

個人的には、久しぶりに録音風物誌の制作を担当しました。
「あの街・この街の話題を…」という番組コンセプトを考えるたびに、「今の世の中に必要なもの・呼び起こしたい感情や聞いてほしい音は何だろうか…」とクギンするのですが、「2011年」は私たちの誰もが明るい前向きな気分に飢えたまま年末を迎えました。
 
そんなご時世だからこそ、今回の制作ローテーションを迎えて、「ここ長野の街に、落語を通じて子どもの感性を育み、地域に笑いをもたらしている1人の先生がいるのです!」ということを 皆さんにもお伝えしたいと思った次第です。

2011年11月28日 (月)

交響曲第九番 国内初演の地から歌い継がれる歓喜の歌~

四国放送 ラジオ編成制作部 新谷 雅彦

年末の風物詩として広く親しまれているベートーヴェンの第九交響曲。第九が日本で初めて演奏されたのは、1918年6月1日のことで、徳島県鳴門市の板東俘虜収容所で第一次世界大戦で捕虜となったドイツ兵により、全曲演奏されました。

この日を記念して鳴門市では、毎年6月に第九演奏会を行っています。ことしの演奏会は東日本大震災の発生を受けて、被災地の復興を願う思いを込めて歓喜の歌が熱唱されました。

日本の第九のふるさととして親しまれているなるとの第九演奏会には、毎年全国から多くの人が参加していて、様々な交流が生まれています。鳴門に来たことがきっかけとなって被災地に行くことになった群馬県の合唱団の女性の話を紹介します。

また2018年には第九の国内初演から100年を迎えます。
鳴門ではもうすでに100周年に向けた取り組みが始まっています。またドイツとの間では、合同演奏会の話が持ち上がっています。

NPO法人鳴門「第九」を歌う会が、第九の交流の担い手として積極的に活動する様子をお伝えします。

2011年11月21日 (月)

日之影町大人歌舞伎~農村歌舞伎が繋ぐ絆~

宮崎放送 ラジオ営業制作部 仮屋 幸一郎

宮崎県北部の山間の町・日之影町。
町のシンボル「青雲橋」から西に入った所に、大人と書いて”おおひと”と読む地区があります。
この地区に400年以上の歴史がある農村歌舞伎、県の無形民俗文化財に指定されている大人歌舞伎が、毎年秋に上演されています。

歌舞伎の衣装・小道具なども代々受け継がれており、専用の歌舞伎の館という舞台もありました。歌舞伎役者の口上が聞こえてくる~秋の風物詩でもあります。

夜に上演されるもので、虫の音も効果音的な役割をし、時間がゆっくりと流れる感覚も味わいました。また、今回、町を離れていた方が歌舞伎のお手伝いの為戻ってこられており、その方に故郷の思いなども伺えました。
 
また、客席には、50年程前に役者として舞われていた方も何人かいらっしゃり、時折、目を閉じられて、役者の口上に耳を傾けていらっしゃいました。また、小学生・中学生の姿も見られ、真剣な眼差しで、舞台を見ている子供もおり人が感覚や姿、想いなどで繋いでいく「伝承」というものが見た様な気がしました。

2011年11月14日 (月)

阿蘭陀船の数え歌~白秋が見たNagasaki

長崎放送 ラジオ局制作センター 松尾 千代

北原白秋、山田耕筰のゴールデンコンビによる数多くの曲の中に、長崎を舞台にレコードが発売されたのは昭和8年。当時小学生くらいの子どもが歌っていたとしたら現在80代の方が知ってるはずである。

しかし、その曲は戦争がきっかけで、敵国の言葉が入っているため歌われなくなり長崎の地からも忘れ去られていった。

長崎の老舗洋菓子店の梅月堂の本田邦子さんはずっとこの曲を求め、70年の時を越え再会することが出来た。再び甦った白秋の詞から、白秋の眼に当時の長崎はどのように映ったのだろうか。

探すにつれ、他にも歌われ、レコードになっているものもあった。現在、本田さんを初め、宮川さんらは、長崎の童謡として歌われることを願い、行動を起こしているところである。

2011年11月 7日 (月)

醤油発祥のまち、湯浅

和歌山放送 報道制作局 報道制作部 花井 歩高

毎日の食卓に欠かせない、しょうゆ。

何気なく食べてますが、紀州・和歌山が発祥なのをご存じでしょうか。鎌倉時代、由良に禅寺の興国寺を開いた法燈国師が中国から金山寺味噌の製法を伝えました。その製造過程で、上澄みから出た汁を味わってみたことがしょうゆのはじまりとか…。

熊野詣での宿場町、海上交通の要衝であった湯浅の古い町並みは、「重要伝統的建造物群保存地区」として町歩きを楽しむ観光客も増えてきています。そこにはいつもしょうゆのあまい薫りが漂います。

ラジオから香りは出ませんが、しょうゆ蔵に入って一緒に杉桶をまぜる気分に浸ってくれればと思います。なお、湯浅はシラス漁も盛んです。出来たての釜揚げシラスをごはんにたっぷり載せて手作りのしょうゆに梅干しを…これは和歌山で味わって欲しいですね。

2011年10月31日 (月)

異郷の灯火

新潟放送 報道制作局 ラジオ制作担当 高坂 元己

原発事故で福島県南相馬市を追いやられた酪農家 黒木正三さんは、福島県内の友人宅に1ヶ月滞在した後の4月半ば、飼い犬のモモを連れて新潟市の避難所にやって来ました。

ふるさとに戻れる見通しが全くたたない中、異郷の地で働く黒木さんは、どんな気持ちで毎日を送っているのだろうか?それを知りたくて取材を始めました。

そこで…見えてきたものは、冗談を交えながら黒木さんを励ます職場の仲間やスポーツ仲間の存在。そして黒木さんの酪農への想いでした。

番組の性格からは少し離れるかも知れませんが、黙々と前向きに生きるひとりの人間を描きたかった。それが制作意図です。

2011年10月24日 (月)

100年の歴史 ~動く電車博物館

西日本放送 営業局ラジオセンター 湯浅 直子

今年開業100周年を迎えた琴平電気鉄道。通称ことでん。

この”ことでん”は昔から関東、関西、九州など全国各地から電車を譲り受けているという事で、鉄道ファンの間で注目されている四国・香川の私鉄です。

通常車両の耐用年数は35年ほどだそうですが、香川にやってきた車両たちは丁寧に修理・点検され、新たな人生を送っています。

その中には大正生まれの80歳を超える車両もあるんです。
”ことでん”でたくさんの車両と向き合ってきた鉄道マン山下良吉さんや、”ことでん”を見に来た鉄道ファンの方の声には愛が感じられます。

電車の音と皆さんのお話振りで、穏やかな讃岐の様子を感じながら、少し旅した気分を味わっていただければ幸いです。

2011年10月17日 (月)

お値段なんと1本100万円 伝統の南部箒に込められた想い

IBC岩手放送 ラジオ放送部 宮崎 格

岩手県九戸村、県北に位置するこの村では、農閑期に日用品をつくり生活していました。

この日用品の中から南部箒をつくる職人が生まれました。ホウキに使われるほうき草からほうき作りまですべて自分達で行う南部箒は、高いものだと1本100万円になるという。

ホコリやゴミが驚くほどよくとれるという南部箒、その秘密はこの地域でしかとれないほうき草にあった。

日本全国のデパートで催事を行っているので見かけた人は是非手にとってその性能をお試し下さい。

2011年10月10日 (月)

幸せな春を願って…会津の縁起物「初音笛」

ラジオ福島 編成局放送部  山地 美紗子

会津の民芸品「初音笛(はつねぶえ)。」

竹と糸だけの素朴で小さな笛が出す、鶯そっくりの音色に驚きました。どうしたらきれいな音が出るのだろう。そのようなことから取材は始まりました。

鶯の音色に、春を待ちわびる人々の思いがつまっています。
この笛を元旦に吹き鳴らすことで、福を招くとされ、以前は笛を吹いて売り歩く方がいたといいます。

ところが近年は、初音笛を見かけることがほとんどなくなってしまいました。現在の作り手はただ一人。

82歳の山田さんの工房で作る姿、思いを取材しました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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