2011年9月12日 (月)

僕たちのメロディ~たけだの響(ひびき)

福井放送 ラジオセンター 吉川 圭一

福井県の北東部、石川県との県境にある坂井市丸岡町竹田地区。
市街地より10キロほど離れた自然に囲まれた集落です。

かつては賑わいをみせた集落も過疎化が進み2010年この地区の中心的存在だった竹田小学校が休校となりました。

休校式で子ども達が歌ったのは「僕たちの景色」
子ども達から寄せられたメッセージカードを基に地元出身のシンガーソングライター ヒナタカコさんが作ったオリジナルソングです。

歌詞にはしだれ桜・竹田川といった地域を象徴する景色のほか、地域をあげて取り組むテニスや校庭の風景など学校の日常が織り込まれています。

涙の休校式が終わり子どもたちは近隣の大きな学校に旅立ちました。それでも「僕たちの景色」のメロディーは竹田地区に流れ続けています。この春、24本パイプが「僕たちの景色」を奏でるメロディーチャイム・たけだの響(ひびき)が完成しました。チャイムにはふるさとを大事にして欲しいという地域の皆さんの想いがこもっています。

山里に響くメロディーはいつまでもふるさとを見守りつづけます。

2011年9月 5日 (月)

あの井戸のまわりで

東北放送 ラジオ局制作部  伊香 由美子

仙台市中心部から車で20分ほどの若林区下飯田。
集落に一つだけの商店「フードショップ茶屋」の手押しポンプ式井戸の周りはまさに井戸端会議。入れ替わり立ち替わり人が訪れます。
近所の人、子ども、そして震災の復旧にあたる作業員の姿も。
井戸の周りで、今もあの日のことが語られます。

下飯田は海岸から4キロ。3月11日には津波が到達し、人々の日常を奪いました。水も電気もない、食料も調達できない一ヶ月も続く混乱の中、小さな商店には市場でやっと仕入れた食料品が並び、井戸からは水が湧き続けました。

落ち着きを取り戻した今、井戸のそばで涼しげな水音を聞いていると、
「お茶飲んで行って」「私が作ったクッキーがあるよ」とみんなが声をかけてくれます。

こんなほっとするような、懐かしいような場所に出会えることが、今は心から嬉しく、感謝の思いです。

2011年8月29日 (月)

能登に響くジャズ~被災地から音の恩返し

北陸放送 ラジオ局放送部  川瀬 裕子

石川県の能登にある七尾市では、毎年夏のジャズイベント、
「モントレージャズフェスティバル イン 能登」が開催され、全国からジャズファンが訪れます。

このイベントは世界3大ジャズフェスティバル開催地であるアメリカ、モントレー市と七尾市の交流から始まったもので23回目です。
単にステージを楽しむだけではなく、「ジャズの普及と教育」をテーマに中学生や高校生がプロミュージシャンから指導を受ける機会も設けています。

今年は東日本大震災の被害にあった東北から3校が招待されました。中でも閖上中学校吹奏楽部は、近江町市場青年部から贈られた金管楽器で元気な演奏を聞かせてくれました。

2011年8月22日 (月)

歌声よ響け! SLおばさん

静岡放送 ラジオ局制作部  山中 貴弘

静岡県島田市の金谷駅と、南アルプスの玄関口でもある川根本町(ほんちょう)の千頭(せんず)駅とを結ぶ大井川鐵道の鉄道路線があります。
SLの旅を、さらに想い出深いモノにしてくれるのが「もてなし車掌」こと通称「SLおばさん」。「SLおばさん」の仕事は客をもてなすこと!
マイクを片手に、歌やハーモニカでお客さんを盛り上げています。

「SLおばさん」を務めるのは、「大原ひで子」さん(67歳)。若い頃、バスガイドになる事が夢だった大原さんは「乗客の笑顔が見たい」と、
「もてなし車掌」の道を選びました。

人気のSLは一便の乗客数だけでおよそ500人!
それでも持ち前の明るさとハーモニカでお客さんの心を掴んでいます。

(48歳の時に始めたこの仕事も19年のベテラン。今では大井川鐵道の名物になっています。

2011年8月15日 (月)

92才のキミ婆ちゃん 切符の手売り50年

山口放送 ラジオ制作部 大谷 陽子

山口県宇部市。JR宇部線の草江駅は、駅員もいない、切符の自動販売機も無い、無人駅です。駅には、こんな掲示があります。『切符は、駅前の西村商店でお買い求めください。』

駅前の小さな商店で、50年以上にわたって切符の委託販売をしているのは、西村キミさん、92歳です。始発電車が来る朝5時から、日曜も定休日もなくお店を開けています。駄菓子や食料品、日用品などを扱って50年以上。1人でお店を切り盛りしてきました。

お店には、老若男女、ポツリポツリといろんな人がやってきます。100円を握りしめてくる近所の子ども。出勤前と後には必ず立ち寄る若者。毎日のようにやってくるお年寄り…。それは、駅前という場所だからだけでなく、50年以上変わらずお店に座っているキミ婆ちゃんがいるからです。初めてのお客さんが来ても、キミさんは必ず言葉をかけます。そこには、切符の手売りとともに、温もりがあります。

「お昼寝をしたくなりしませんか?」そんな質問に、「それもええけど、癖になるから。働かんにゃ、バチが当たる。」と、休む間もなくお店に出ます。激動の時代を生きてこられた女性の強さとたおやかさを教えていただきました。

2011年8月 8日 (月)

叉鬼山刀(マタギナガサ)を打つ

秋田放送 ラジオセンターラジオ制作部 鎌田 智循

秋田内陸縦貫鉄道は秋田県の内陸を南北に94.2キロ走るローカル線です。車窓から見える自然や田舎の風景は鉄道ファンをはじめ、多くの観光客を癒してくれます。

今回私は沿線の中から阿仁地方を取り上げました。マタギの里として現在も観光地としてにぎわいを見せていますが、実際にマタギとして生計を立てる人は少なくなりました。
それに伴ってマタギの必需品・ナガサと呼ばれる刀を作る鍛冶職人も減りました。マタギナガサを作る技術、そしてかつてマタギが生きた自然、そして人々の暮らしを残したいと思いました。


(取材こぼれ話)
鍛冶工場を訪れたので、どれぐらい近付けば良い音が録れるのか分りませんでした。職人の方に「まり近づけば服に穴があくぞ」と話をされて恐怖と戦いながらマイクを向けました。熱い音が届いていればうれしいです。

2011年8月 1日 (月)

夏に響く指笛

琉球放送 アナウンス室 片野 達朗

日本一早く訪れる沖縄の夏。

毎年多くの県民が注目する高校野球の窮状ではいくつもの指笛が鳴り響く。今回は音楽のシーンから高校野球の応援まで、沖縄では様々な場面で吹かれる指笛に注目した。

春1回、夏3回の甲子園出場を誇る浦添商業高校の応援団を取材。
指笛係という、沖縄ならではのポジションについた3年生のインタビューを交えながら、球児達の夏を彩る「指笛」を紹介する。

2011年7月25日 (月)

金魚ぇー金魚

熊本放送 ラジオ編成制作部 高野 泰宏

今回の主人公 浦島義弘さんは76歳。
8年前に青森県在の方が引退して以来、日本唯一の金魚のふれ売り師となりました。

76歳とは思えない声の持ち主で取材のために一節やっていただいたところ、ご近所の方々が出てきました。

浦島さんが実際に販売することはありませんが、「実際に売らんで声だけ真似ても、カラオケで売っているのと同じで心が入っとらない」
と話していました。

浦島さんの声は鹿児島水族館でも聞くことが出来ます。

2011年7月18日 (月)

写真部の匠

中国放送 RCCフロンティア 板倉 由布子

写真部というと、文化部のちょっと地味な?イメージかも知れませんが、こちら庄原格致高校の写真部は例えるなら強豪野球部。
土日は撮影、平日はプリント作業にコンテストへの応募、撮影させていただいた方へのお礼の手紙も欠かしません。

今年は写真甲子園出場はなりませんでしたが、全国高校総合文化祭で福島に行き、被災地も訪ねるそうです。

人との関わりがちょっと苦手で写真部に入部してくる生徒に、あえて人を撮りに行かせる。
教卓では教えることの出来ない貴重な授業を、田村先生は23年間続けてこられたように感じました。

2011年7月12日 (火)

鮫神楽

青森放送 ラジオ編成制作 夏目 浩光

3月11日の東日本大震災で青森県鮫地区も被災しました。
鮫地区は八戸藩の移出入港として栄えた街。
300年以上前から伝承されてきた鮫神楽という民俗芸能があり、毎年発表会を行っています。
津波被害があっても中止にすることはありませんでした。

長年続いている鮫神楽も後継者問題には、関係者も頭を悩ませています。最年長81歳の細川富雄さんと、若手で期待されているそう前真さんの関係を取材しました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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