2005年2月21日 (月)

よみがえる根津ピアノのメロディー

山梨放送 ラジオ制作部 小林 かおり

山梨には60歳から80歳後半の方が「根津ピアノ」と呼んで親しんでいたピアノがあります。

これは、東武鉄道や富国生命などを興した甲州財閥、根津嘉一郎が昭和一桁の時代に山梨の全ての小学校に寄贈した200台のピアノのことで、文房具も満足に与えられなかった時代に学校にやってきたピアノは当時の子供たちにとって初めて触れるものであり、宝物でした。

寄贈から70余年が経ち、いまや現存するものもわずかとなった根津ピアノ。その一台が山梨市の公民館に残っています。

今回の「録音風物誌」では、そのピアノがよみがえるまで、そして根津ピアノに寄せる当時子供だった人々の思いをまとめました。

2005年2月14日 (月)

女子高生・水中土木に挑む

IBC岩手放送 ラジオ制作部 中村 好子

太平洋に面した岩手県最北の町・種市町にある県立種市高校。

この高校の「海洋開発科」は潜水と土木を同時に学ぶことができる全国唯一の学科で、全国の海域で港湾工事や海底調査、沈没船引き上げといった水中作業に取り組むプロダイバーを養成しています。

実習の厳しさもあって、これまで男子生徒しかいなかった海洋開発科に、初めて女子生徒4人が入学したのは3年前の春でした。

十文字有香里(じゅうもんじ・ゆかり)さんもその一人。種市町伝統の「ヘルメット式潜水法」など男子生徒でもきつい実習を仲間と励ましあいながら乗り越えてきました。

3年生になり、今度は進路をめぐって夢と現実のギャップに直面した彼女。悩みながらまもなく卒業を迎えます。彼女を中心にすえながら、海洋開発科の生徒たちの一味違う高校生活を紹介します。

予定調和的に彼女が卒業後、水中土木の世界に進んでくれれば制作側も楽だったと思うのですが、世の中思うようにはいきません。実は彼女の両親は離婚し、貨物船の乗務員をしているお父さんは3ヶ月に一度しか帰ってこない状況。

そんな中で彼女が選んだのは、お母さんのそばで働くことでした。(スーパーに内定をもらっています。)お母さん自身は、娘に広い世界を見て欲しいと思っているのですが…。

2005年2月 7日 (月)

竹楽器の音色にのせて

山口放送 ラジオ編制部 高田 知太郎

山口県は約11,000haという、全国有数の竹林面積をもっています。しかし近年、竹の需要の低下や、竹の生産に関わる人々の高齢化にともなって、竹林の手入れが行き届かない状態になっています。

そこで、竹の良さを広く知ってもらい、竹の有効活用につなげるために、音楽を通じて竹に親しんでもらおうという動きがでてきました。

山口県が呼びかけ、竹林を再生させる活動をしているボランティア団体が母体となって、竹楽器の楽団「やまぐちバンブーオーケストラ」が去年、結成されたのです。

楽団が使う楽器は、東南アジアなどで多く見られる竹の打楽器をお手本にして作られたものや、しの笛など。地元の竹を使って、自分たちで作りました。
この竹楽器の楽団の音色には、美しい竹林の再生という願いが込められています。

2005年1月31日 (月)

炭との対話60年。熊野古道沿いで備長炭を焼く

和歌山放送 制作部 土橋 進

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つ、海辺を巡る「大辺路」が日置川を横切るあたりに「紀州備長炭研究所」がある。和歌山県西牟妻郡日置川町の研究所で今も「世界一の備長炭」を焼く玉井又次さん(78才)を訪ねる。

玉井さんの弟子たちは紀州を始め、アジア各国で活躍中。紀州備長炭指導製炭士として後継の指導にあたる玉井さんに「炭焼きさん」の苦労と楽しみを聞く。

2005年1月24日 (月)

白鳥がくれたもの~白鳥おじさん奮闘記~

ラジオ福島 制作部 深野 健司

福島市のあぶくま親水公園には毎年たくさんの白鳥が舞い降ります。

その白鳥の世話をしているのが白鳥おじさんこと八木博さんです。
番組では八木さんの白鳥との生活ぶりや白鳥への思い、親水公園での人間模様を紹介して、白鳥が私たち人間に与えてくれる何かを探ります。

2005年1月17日 (月)

大好きな画に囲まれて…現役高校生ただいま奮闘中!!

四国放送 ラジオ制作部 佐野 美香

徳島県と兵庫県の淡路島を結ぶ大鳴門橋。

この橋がよく見える徳島県鳴門市鳴門町に大塚国際美術館があります。ここでは、古代壁画から西洋名画およそ1000点が、2000年以上にわたって、そのままの色と姿で残ると言われている陶板によって、オリジナル作品と同じ大きさで再現されています。

そして、この美術館で、2004年8月から、絵画などの説明を無償で行うボランティアガイドとして活躍しているのが、香川めぐみさん16歳。実は、香川さんは、徳島工業高校に通う現役の高校生でもあるんです。

香川さんは小さいときから絵が大好きで、ボランティアガイド募集の新聞記事をお母さんが見つけたのがきっかけで、この仕事にチャレンジすることになりました。

絵の前に立って解説をする香川さんは、高校生と思えないほど、しっかりとした口調でユーモアを交えながら、お客様を楽しませています。そんな香川さんをご紹介します。

2005年1月10日 (月)

めざせ 港の花形

福井放送 ラジオセンター 谷戸 礼子

鉛色の空、吹き付ける冷たい北風、荒れる海。日本海に面する福井県越前町は厳しい季節を迎えている。しかし、越前ガニ漁が解禁になると町は一気に活気付き、越前ガニ一色につつまれる。

越前町は福井県一のカニの水揚げ量を誇る港町である。この港町に生まれ育った一人の青年が、今、カニの競り人を目指し修行をしている。

清水高幸君、22歳。「魚が大好きで、魚に携わる仕事に就きたい。」と地元の漁業共同組合に就職を決めた。

先輩の手伝いをしながら仕事を続けているうちに、「この世界に入ったら一番の花形はやっぱり競り人」と強く思うようになり、成人式が終わったその日に競り人を目指す決心をした。

今はまだ、競りの準備に事務処理、配達、競り人の横で価格を記録する帳面つけなどに追われ、市場で競り人としての声を出すことはありませんが、夢に向かって一つ一つ力を付けていこうとしています。


越前ガニのシーズンを迎え活気づく福井県越前町に、カニの競り人を目指す地元の若者を追った。

2005年1月 3日 (月)

諏訪湖のコハクチョウとカメラマン

信越放送 ラジオ局制作部 中島 信子

2005年は酉年、それにちなんで白鳥の話題を取材しました。

諏訪湖畔に在住の西村久司さん(44歳)は日本でも珍しい、コハクチョウの個体識別調査のための撮影をしているカメラマンです。 

コハクチョウが諏訪湖に飛来して31年目。一羽一羽に名前を付け、見分けることが出来るそうです。愛着もわき、別れのときはその分つらいとか。

撮影の苦労やコハクチョウの魅力について語ります。(とてもシャイな方で取材をOKしてもらうのが大変でした。)

2004年12月27日 (月)

セリ作りとともに伝わるふるさとのくらし

東北放送 ラジオ制作部 伊香 由美子

宮城県仙台市の南隣に位置する名取市。最近では仙台のベットタウンとなりつつありますが、古くからの農業地帯でもあります。

年末年始は、「仙台雑煮」に欠かせないセリの出荷がピークを迎えます。
80歳のセリ作り名人、三浦素直さんの若い後継者、隆弘さんと一緒にセリ田に入って泥の中、悪戦苦闘する中で、ふと顔を上げて言われた方を眺めてみたら、遠く仙台市内の高層ビルが見えました。

そして更に言われるままに目線を上に移すと、くるくる回るトンビが三羽。「色んなものが見えるでしょ」と隆弘さんは笑います。

機械の導入、行事の省略、全てが簡略化されてゆく昨今ですが、体を使うこと、土のエネルギーを取り入れること、代々伝わっている習慣が当たり前のように組み込まれている暮らしがありました。

環境や気候の変化もあるがままに受け入れ、昔からの知恵で乗り切っています。家族を媒体に受け継がれてゆく、そうした暮らしを切り取ってみました。

2004年12月20日 (月)

能登の海~牡蠣の養殖にかける想い~

北陸放送  ラジオ制作部  野村 未来子

能登半島の中央に位置する七尾西湾は、昔から牡蠣の養殖で栄えてきました。冬になると漁師たちは、朝早くから牡蠣の水揚げに出かけ、浜では待っていた女たちが水揚げされた牡蠣貝から身を取り出す作業をしています。

牡蠣の養殖には、絶対不可欠といわれる自然のままの、きれいな海。その海を守っている人たちと長年むき作業に従事しているお母さんたちの話をお伝えします。

牡蠣むきの作業ってやってみるとけっこう大変です。
ベテランのお母さんたちも慣れない時はメスで手を刺してよくけがをしたそうです。
いまでも作業している横には、傷の手当て用に救急箱が置いてありました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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