セリ作りとともに伝わるふるさとのくらし
東北放送 ラジオ制作部 伊香 由美子
宮城県仙台市の南隣に位置する名取市。最近では仙台のベットタウンとなりつつありますが、古くからの農業地帯でもあります。
年末年始は、「仙台雑煮」に欠かせないセリの出荷がピークを迎えます。
80歳のセリ作り名人、三浦素直さんの若い後継者、隆弘さんと一緒にセリ田に入って泥の中、悪戦苦闘する中で、ふと顔を上げて言われた方を眺めてみたら、遠く仙台市内の高層ビルが見えました。
そして更に言われるままに目線を上に移すと、くるくる回るトンビが三羽。「色んなものが見えるでしょ」と隆弘さんは笑います。
機械の導入、行事の省略、全てが簡略化されてゆく昨今ですが、体を使うこと、土のエネルギーを取り入れること、代々伝わっている習慣が当たり前のように組み込まれている暮らしがありました。
環境や気候の変化もあるがままに受け入れ、昔からの知恵で乗り切っています。家族を媒体に受け継がれてゆく、そうした暮らしを切り取ってみました。