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2021年4月

2021年4月28日 (水)

風を感じて~つながるベダルは心のバリアフリー~

2021年5月3日~2021年5月9日放送 
南海放送 メディア編成局 古茂田圭

【番組概要】

二人のり自転車「タンデム自転車」で障害者支援をおこなる「NPO法人NPNちゃん倶楽部」活動して10年、代表の津賀薫さんは現在70歳です。きっかけは「お前が俺の眼になり、俺がお前の脚になる」
これは、ご主人「徳行」さんの言葉からでした。徳行さんは扁桃腺の治療薬で5万分の1の確率で薬害に遭い、視力障害となりました。そして津賀さん自身も股関節がわるるいのですが、そんなご夫婦の夢が「タンデムで公道を走ること」その願い叶わないままご主人は亡くなりました。「障害」のあるなしは関係ない「タンデム自転車」はべダルがつながるっているように人と人との心もつなげていきます。そんなダンデム自転車の魅力を感じれられるのが定期的に開催されている「サイクリングイベント」。今年3月に新型コロナ感染症対策をしながら開催された「春のサイクリングイベント」の1日を追いながら、参加者の声を交えてお送りします。

【制作意図】
愛媛県はサイクリングは“健康”と“生きがい”と“友情”を与えてくれるという『自転車新文化』を提唱しています。広島県の尾道から愛媛県の今治まで、8つの島々を9本の橋でつないだ「瀬戸内しまなみ海道」はサイクリストの聖地ともいわれるようになりました。またダンデム自転車の公道走行許可も2010年8月解禁され(これば全国で4番目の許可)様々なかたちのサイクリストたちが年々増えています。愛媛の文化となった「自転車の音」を伝えたいという想いとダンデム自転車で障害者支援を10年間続けている「NONちゃん倶楽部」の活動を紹介したいと思い制作致しました。

【制作後記】
今回私自身もにタンデム自転車にのせて頂きました。参加されている方もおっしゃっていましたが、「会話」が楽しい自転車です。またべダルがつながっているため、自然と同じ呼吸で走る、まさに「絆のマシン」なのです。30キロのサイクリングはかなり大変だろうとおもっていたのですが、楽しく 清々しさ そしてもちろん「風」を五感で感じられます。障害のある方も視覚・聴覚・知的・脳性麻痺といらっしゃいましたが、どの方も笑顔でゴールを迎えられました。タンデム自転車おすすめです。

2021年4月22日 (木)

紙芝居 むかしもいまも これからも

2021年4月26日~2021年5月2日放送 
山形放送 報道制作局 庄司紫乃

【番組概要】
山形県の北西部・日本海に面した地域を庄内地方と言います。庄内地方は日本有数の米所で、北前船の寄港地として栄えた港町・酒田市もその一部です。酒田市出身の紙芝居師・米田佐之助さん(60歳)は、元・小学校教師。定年を前に教職を辞めて、紙芝居師に転身して4年が経ちます。きっかけは偶然の出会いでした。コロナ禍で披露の機会が減る今ですが、地域の魅力を紙芝居で未来へ残したいという新たな取り組みが始まっています。

【制作意図】
昔の民話が現代に伝わっているように、現代で生まれた紙芝居のストーリーがいつか地域の民話になる-そんな予感にワクワクしたことがきっかけです。また、大好きな庄内弁を素敵な「音」として残したいという思いもあります。私は山形県・庄内地方の情報番組を5年ほど担当していまして、いわゆる「庄内弁」を話す様々な方々と接してきました。ひとくちに「庄内弁」と言っても城下町、港町、農耕地域と風土によって、また人によっても違います。米さんの喋る方言は、港町・酒田市ならではの明るく闊達な印象、そして元・先生ならではの優しさを伴っているように感じます。米さんは 「紙芝居をしていると、隣の人が笑うと、また隣の人も笑う。そうしているうちにお客さん同士も友達になっている。そんな時間が生まれることが幸せだ。」と話します。紙芝居の合間に繰り出される庄内弁はお客さんがいるからこそ。米さんとお客さんとのコミュニケーションの賜物かと思います。途中、意味がわからない言葉もあったかもしれませんが、地域のあたたかみを感じとっていただけたら幸いです。ちなみに「佐之助の母ちゃん!この間はデゴヅケもっけだっけの~!」は、「佐之助さんの奥さん!先日は大根漬けありがとうね~!」という意味です。 

【制作後記】
冒頭の「怪人伝説」は、米さんが弟子入りした際に、師匠から最初の手引きとして授かった作品なんだそうです。師匠が作った、オリジナルの紙芝居-米さんは御守のように大切にしています。米さんの師匠は、「ヤッサン」という愛称で親しまれた伝説の紙芝居師・安野侑志さん。酒田市のお隣:鶴岡市のご出身で、偶然の出会いはそうしたご縁もあったようです。♪カンカンカン…♪と鳴らしている楽器は、クラベスと言います。勤務先だった学校の音楽室で出会った楽器で、拍子木よりも軽やかな音色が気に入って愛用しているそうです。後半に紙芝居づくりの依頼主として登場する内藤小容子さんと長船裕紀さん。米さんを知ったきっかけはYOU TUBEだったそうです。山形の自然に魅力を感じて根付いたおふたりは、地元の子供達に自然について教える機会も多く、展示や説明で終わらず物事を一緒に考え「伝える」、そのために紙芝居というツールが素晴らしいと感じたそうです。そして地元の方言で米さんに語って貰いたい-そんな思いから今回のコラボが生まれました。紙芝居はお客さんのリアクションに応じてアップデートしていくのだとか…今秋の完成、その後がとても楽しみです。           

山の造船所~伝統を繋げて

2021年4月19日~2021年4月25日放送 
信越放送 飯田放送局  久保田くに子

【番組概要】
南アルプスと中央アルプスに囲まれた伊那谷を流れる天竜川。シーズンには、どこか懐かしい櫓の音を響かせて観光客を乗せた舟が川を下ります。春まだ浅い2月。天竜川沿いの造船所から小気味よいつち音が響いてきます。このリズミカルで踊り出したくなる音は舟づくりから聞こえるのです。天竜川を下る舟は笹舟と呼ばれ、設計図はなく 木と釘で船大工さんの長年の経験と勘によって造られます。木のご機嫌を伺いながら1ミリずつ釘を打ち込む音が、トントト トントトと独特な弾むリズムを生み出します。しかし現在は合成樹脂の舟が主流で、伝統的な木造船の造船技術は全国的にも失われつつあるのが現状。天竜舟下りでは、船頭さんが冬の間は船大工さんとなって、伝統の技を無くしてはならないと後世へ繋いでいます。 

【制作意図】
新型コロナウィルス対の影響で観光客も減少した「天竜舟下り」。しかし地元の観光の目玉である舟下りの灯を消すわけにはいきません。浅春の頃 造船所から聞こえる舟づくりの心弾む音は天竜川に春を呼び、私たちの心にも春を届けてくれます。初めてこの音を聞いた時誰もが驚き、感動し、楽しい気分になるのではないでしょうか。でもこの伝統的な木造船の技術を伝えているのは全国でもほんのわずかな船大工さんで、天竜舟下りではその担い手は船頭さんです。船頭でも一人前 船大工でも一人前を目指し、消えつつある技を何としてでも残したいと頑張る船大工さんの心意気を軽快な舟づくりのリズムとともに伝えたいという思いです。

【制作後記】
私も久しぶりに舟づくりのトントト トントトの音を聞いたのですが、何度聞いても楽しい!天竜舟下りの船頭さんはベテランから若い人まで18人。意外と若い人が多く、しかもかっこいい!一人前の船大工さんになるには10年はかかるというが目標を持った人の姿は眩しい。設計図通りでは舟は出来ない AIでも無理じゃないかと船大工さんたちは思っています。人間の勘が頼りの仕事がここにあるのです。船大工さんは春からは船頭さんとして川を下りガイド役も務めます。ガイドにはそれぞれの個性があって面白いので何度も楽しめます。水の上から眺める景色に和み、水鳥たちもやってくる 豪快な水飛沫もかかりスリルも満点。乗船人数も制限しコロナ対策も行っている舟下りを是非多くの人に味わってもらえたら嬉しいです。 

春の山・ペンションのオルゴール

2021年4月12日~2021年4月18日放送 
IBC岩手放送 ラジオ放送部 滝村知大

【番組概要】
岩手県八幡平市は豊富な森林資源を使った工芸や木細工が有名な地域です。ペンション安暖庭(あんだんて)では地元の木々を使って手回しオルゴールを作成、夕食時にやわらかなメロディを奏でています。あたたかな音色に乗せてオルゴールをめぐる人と人とのつながりを描きました。

【制作意図】
海外では「ストリートオルガン」とも呼ばれる手回しオルゴール。100%木で作られるものはとても珍しいと聞きます。その音色はリコーダーの様でオルガンの様でなんとも形容しがたい音色でした。ペンションオーナーの安井さんは音楽経験が全くなく、最初はチューニングもうまくいきませんでした。しかしいまでは聞く人を圧倒する名曲の楽譜がうずたかく積まれています。優しい木の音色に乗せて、かけがえのない友人とのストーリーをお伝えしたいと思いました。

【制作後記】
3オクターブ・37本の笛を備えるオルゴールは小さなパイプオルガンの様にも見え不思議な迫力を感じさせます。写真で見たその楽器に最初は「どんな音がするのだろう」という興味だけで取材を開始しましたがお話をうかがうと、オルゴールがいまの形に至るには大切な友人との関りがありました。オルゴールの楽譜にあたる「ブック」の制作は地味な作業で、堅い厚紙を2ミリ、3ミリ単位で刻み続けます。それでも少しずつ楽譜を切り続ける安井さん。友人が残した楽譜すべてをメロディにしたいという強い想いに感銘を受けました。

2021年4月 6日 (火)

明日、晴れたら~サンドイッチがつなぐ私toマチ~

2021年4月5日~2021年4月11日放送 
北日本放送 報道制作局報道制作部 岩本里奈

【番組概要】
「1つのサンドイッチで、1人でも街を歩いてくれたら」。そんな思いから、三輪自転車に乗ってサンドイッチを販売するお店があります。富山県富山市にある「トマチサンドイッチ店」は、“カーゴバイク”と呼ばれる三輪自転車に乗って販売する移動型のサンドイッチ店です。出店するのは月に1回~2回の晴れた日だけ、時間と場所は当日の朝にお店のSNSでお知らせ。予告はせずにSNSを上手に使い、富山市中心街を練り歩きます。店主の針山佳奈恵さんは、結婚を機に富山へ。「街を歩いている人が少ない」。その光景を目にし、職を辞めて自分が大好きなサンドイッチを持って外にでることを決意しました。なぜ、街に人を呼びたいのか。そこには“まちづくり”ではない針山さんの思いが色濃く出ていました。

【制作意図】
出会ったのは1年前。針山さんのお人柄、そしてそのお人柄が滲みでたような優しい味わいのサンドイッチに私も何度か買い求めに行っていました。SNSで居場所を見ながら探すも見つけられない日があったり、でも見つけたときは興奮したり!いつもそこに必ずあるわけではない存在にドキドキワクワク。次第に興味が高まり、移動販売車ではなく“移動型”である意味とは。針山さんの奥底にある人物像とは。新型コロナウイルス感染拡大防止のため離れることが求められている世の中ですが、出会いを求めて歩き続ける針山さんの思いと、お供のカーゴバイクの音から、富山の音をお届けします。

【制作後記】
今年は大雪に見舞われ、天気予報に雪マークが混在する中とても気持ちの良い晴れた日でした。早朝に本日出店するとSNSに投稿し、歩き始めて数分で1人のお客さん。「さっきインスタで見てこの辺歩いていたから」と来てくれました。他にも遠くから見つけて駆け寄ってくるお客さんや、通りすがりで新たな出会いをしたお客さんの笑顔を目にし、入口は様々だけど、人との“繋がり”を感じることができました。途中、居場所を投稿するために何気ない街の風景を撮影したり、春の陽気が感じられる風景を撮影したり、店主の針山さんにとってサンドイッチがつなぐ出会いを大切にしているのだと思います。私も久しぶりに市街地をゆっくりと歩いてみて、春の富山の風景を感じました。

大人になるということ2021

2021年3月29日~2021年4月4日放送 
東海ラジオ 報道制作局第一制作部 源石和輝

【番組概要】
愛知県犬山市で毎年1月に開かれる「犬山二十歳の集い」。二十歳になる犬山市民が自ら企画、運営しています。2021年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれましたが、感染対策を万全にして1月10日に決行。山田拓郎市長も「実行委員の決断を理解、応援、共有する」と背中を押しました。集いは2001年、「荒れる成人式」が社会問題化するなか市主催の式典が廃止され、新成人たちが自ら立ち上げたのが始まり。以来ホテルの宴会場を使ってパーティ形式で行われていましたが2019年にホテルが閉館。2020年から市のホールで実施しています。実行委員長の岩村恵吾さんはコロナ禍で計画変更やリモート会議を余儀なくされながらも、ソーシャルディスタンス、二部制による密の回避、二次会禁止を呼びかけるなどして本番を迎えました。「二次会が好きだが実行委員なので我慢した」と語る副委員長の若山幸人さんらと支えあいながら集いは成功。市内に二十歳の感染者は報告されませんでした。山田市長は「集いをやったことが財産」と二十歳の市民をたたえます。今回のテーマは「支援」。若山さんは「今後の人生のテーマになる」、岩村さんは「自分たちにしかできない経験ができた。伝えていかねば」と振り返ります。支えられながらやりとげた集いを通して、やがて支える側に回ることを誓い、大人の自覚を高めていました。

【制作意図】
初春の風物誌ともいえる愛知県犬山市の「犬山二十歳の集い」。2001年「新成人の集い」としてスタートしたときから取材を続けています。セレモニーからパーティーに転換することで新成人同士が互いに成長を祝いあうスタイルが確立され、その影響は他の自治体にも及んでいます。あれから20年、成人式をめぐる環境は激変。成人年齢の18歳への引き下げ、少子化による新成人人口の減少、新型コロナウイルス感染拡大による開催の是非。さらに犬山市では会場だった大型ホテルの営業終了がありました。そんななか、2021年の集いは感染対策を万全にして開催。そこには当年度の実行委員たちや歴代の実行委員たちの努力、市長をはじめとする行政の尽力、そして市民たちの協力がありました。番組では現在と過去の集いの音源、実行委員や市長らのインタビューを通して、全国に誇れる犬山ならではの「大人になる通過点」を描き出してゆきます。

【制作後記】
奇しくも「集い」自体が二十歳の節目。正直ここまで追いかけるとは思ってもいませんでした。初年度は準備期間わずか3ヶ月。ゼロから作り上げたパーティに涙がこぼれそうになったのがきのうのようです。毎年その年代にしかできない集いを見せてくれましたが、コロナ禍の今回は初回以来のピンチだったと言っていいでしょう。1年半かけて準備しても無駄に終わるかもしれない恐怖。プレッシャーのなかギリギリまで迷った末に開催を決断。やはり集いは時代を映し、変わる環境の中で進化していました。実行委員たちを支えた47歳の山田市長は「年齢は違っても同じ大人。逃げたり隠したりごまかしたりせず、正直、丁寧、本気で向き合った。世代による感性の違いを異質と遠ざけず、刺激しあいながら価値を生み、社会を豊かにしていきたい」と若い大人たちに期待を寄せます。正副実行委員長として互いを支えあった岩村さんと若山さんは同じ中学の親友同士。ともに夢は教員になることです。今回の経験はきっと子どもたちにも伝わっていくことでしょう。冒頭に2年連続中止となった犬山祭の音を使用したのは、放送週に開かれるはずだった祭へのオマージュであり、祭のように集いが次代へ受け継がれることへの願いでもあります。

ねえちゃんの駄菓子屋

2021年3月22日~2021年3月28日放送 
ラジオ関西 報道制作局報道制作部 山本洋帆

【番組概要】
神戸市兵庫区にある老舗の駄菓子屋「淡路屋」。令和の時代に駄菓子屋なんてと思う人もいるかも知れないが、地元の子どもたちから絶大な人気を誇る、ホットスポットだ。クレープが得意な店主の「ねえちゃん」が守り続ける、子どもたちの大切な場所。時代が移り変わっても、変わらない駄菓子屋の風景を切り取る。

【制作意図】
コロナ禍で移動を規制されるなか、子どもたちの伸び伸びとした姿が集まる場所があった。駄菓子屋というプラットフォームで、出会い、交わり、時にぶつかる。そんな、昔から変わらない、懐かしくてあたたかい景色を「音」で記録したいと思い、制作した。

【制作後記】
子どもたちから絶対の信頼を得ている、店主の伊藤さん(=ねえちゃん)。コロナ禍で、伊藤さんを心配した”かつての子どもたち”が、代わる代わる様子を見にきてくれたそうだ。春はまた新しい小さなお客さんがやって来る季節。苦しいニュースが多い時代だが、ねえちゃんと話す子どもたちの顔は、キラキラと輝いていた。

健やかに育て、大空に舞う土佐フラフ

2021年3月15日~2021年3月21日放送 
高知放送 ラジオ編成制作部 石田佳世

【番組概要】
高知県では、端午の節句のお祝いに、鯉のぼりと共に大漁旗のような旗『フラフ』が揚げられます。そのフラフは、染め物工場で職人の手によって一枚一枚手作りされています。高知の伝統芸能の一つ、フラフ作りを御紹介します。

【制作意図】
フラフ制作は、一枚仕上げるのに2ヶ月ほどかかります。布に、糊で絵柄の輪郭を描き、染料で染め、川で洗い、乾かす。その工程はすべて手作業。五月の節句前に届けるために、2月・3月は制作のピークを迎えます。「寒染め」言われる寒い中での作業だからこそより美しく仕上がります。100年以上続く染物工場の職人のこだわりと伝統を紡ぐ思いを伝えるべく制作しました。

【制作後記】
3代、4代と続く老舗の染め物職人のこだわりはもちろんですが、高知県民の『フラフ』に托す子供への思いというのを改めて強く感じました。親や祖父母が跡継ぎができた時の喜び、地域の皆さんにも祝ってもらいたいという気持ちの表れが『フラフ』。贈る人の絵柄のこだわりとそれに応えて描こうとする職人。フラフにはやさしい思いがたくさん込められているのだということを多くの方に知って頂く機会になればと思いました。

おらちの除雪は日本一! ~雪国十日町の夜明け~

2021年3月8日~2021年3月14日放送 
新潟放送 ラジオ放送部 関口芳充

【番組概要】

新潟県十日町市は積雪が3メートルにも達する豪雪地帯。一晩で数十センチ積もり、市民生活を直撃する。深夜から早朝にかけて、道路除雪を担うのが建設会社だ。冬場に本業がなくなることから重要な稼ぎ口でもある。勝負は、通勤通学が始まる午前7時までの数時間。除雪車が放つ力強いエンジン音や除雪車内での作業員の声を織り交ぜながら、豪雪地帯の暮らしを支える縁の下の力持ちたちの一夜を伝える。

【制作意図】
私たち雪国に住む住民でも、除雪車のことは余り知らない。夜中に降り積もっても、朝にはきれいに除雪されている。住民は、「雪が降り積もる音が聞こえる」と話す。その音をかき消すのが、早朝にかけて響く除雪車のエンジン音だ。地鳴りのような爆音も市民にとっては、欠かせない音。それを操る作業員の熟練の技。市民の生活を守る除雪車内の様々な声を知りたいと制作した。

【制作後記】
大雪の日の早朝、外から聞こえてくる除雪車のエンジン音は何気ないものだった。しかし、実際に取材して作業員の声を聞き、除雪車の操り方を知ると、彼らがいかにプロ意識を持っているかがわかった。除雪が実施されるのは、新たに10センチ以上の積雪があった場合。豪雪地ではほぼ毎日のことだが、取材予定日の数日間は比較的、天候が安定していたため、空振りに終わるのではと気をもんだ。



祭り馬と共に~12年後は赤いちゃんちゃんこで~

2021年3月1日~2021年3月7日放送 
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 假屋幸一郎

【番組概要】

宮崎県東臼杵郡美郷町に、平安時代中期から続く伝統農耕行事「御田祭おんださい」この祭りに欠かせない神馬「祭り馬」を長年飼育・調教してきた、町外の馬主が、高齢と健康上の理由により、引退すると・・・このままでは、祭りの存続が危ぶまれる・・・同町出身の大野英樹(48才)さんは、30歳の時、Uターンし、和牛繁殖農家を。子供のころに祭りで見た「大きな馬」が、神田の中を駆け回る勇壮な姿が忘れられず、帰郷後も御田祭の馬の乗りてとして、祭りに関わってきた。祭りを存続させたい、その一心で、美郷町西郷では実に50年ぶりとなる「祭り馬」の飼育を決意。その矢先での、このコロナ渦。また、この年の御田祭は中止となり、馬の祭りデビューもできなかった。しかし、12年後が御田祭1000回目(つまり1000年目)、そして、自身還暦を迎えることとなることから「赤いちゃんちゃんこを着て、自分が育てた馬に乗り、神田を駆け回りたい」と、2頭の馬も同じく、その瞳を輝かせている。

【制作意図】
この「御田祭」には、ラジオ制作の仕事を始める前に、会場の音響として何度か、携わったこともあり、また、取材対象者も、当時、同業者で、幾度か、県内外の現場で一緒になることがありました。その後、彼が、Uターンし、また、祭りに、地元人として、関わっていることは知っていましたが、今回、 祭り馬の飼育も始めると聞き、その胸の内を聞いてみると、伝統を守る、続けることへの厳しさ、でも、故郷の為に、自分の為に、そして馬へ思いも、話してくれました。宮崎県内には、数々の、伝統ある祭りがありますが、高齢化、人口減少、担い手不足、様々な問題があり、途絶えていくものも少なくありません。この番組を聞いて、少しでもお役に立てたらと思ってます。

【制作後記】
何といっても、コロナ渦につきます・・・取材予定の令和2年度の祭りは中止に。                       また、令和3年1月7日には、県独自の緊急事態宣言が発令され、局としての取材活動ができなくなりました。取材対象、番組変更なども検討しましたが、取材ができないので同じこと。大幅に番組構成を変更、取材対象者へリモート取材、現場ノイズは、対象者に、機材を預け、牛小屋や馬小屋、そして、放牧場に、録音機を設置してもらい収録、祭りの音源は、過去のものを再編しました。どの局もそうでしょうが、コロナの事で、新たな番組制作の方法が、こんなこともできるんだ~と、業界30年にいて、また、勉強させられました。あと、ラッキーなことが一つ、2頭の馬の嘶きが綺麗に録音できていました。きっと、私たちが伺ってマイクを向けても、警戒したでしょう。以前にも、収録でかなり苦労した経験がありますが、その嘶きから、大野さんを信頼していることも感じさせられました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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