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2021年4月22日 (木)

山の造船所~伝統を繋げて

2021年4月19日~2021年4月25日放送 
信越放送 飯田放送局  久保田くに子

【番組概要】
南アルプスと中央アルプスに囲まれた伊那谷を流れる天竜川。シーズンには、どこか懐かしい櫓の音を響かせて観光客を乗せた舟が川を下ります。春まだ浅い2月。天竜川沿いの造船所から小気味よいつち音が響いてきます。このリズミカルで踊り出したくなる音は舟づくりから聞こえるのです。天竜川を下る舟は笹舟と呼ばれ、設計図はなく 木と釘で船大工さんの長年の経験と勘によって造られます。木のご機嫌を伺いながら1ミリずつ釘を打ち込む音が、トントト トントトと独特な弾むリズムを生み出します。しかし現在は合成樹脂の舟が主流で、伝統的な木造船の造船技術は全国的にも失われつつあるのが現状。天竜舟下りでは、船頭さんが冬の間は船大工さんとなって、伝統の技を無くしてはならないと後世へ繋いでいます。 

【制作意図】
新型コロナウィルス対の影響で観光客も減少した「天竜舟下り」。しかし地元の観光の目玉である舟下りの灯を消すわけにはいきません。浅春の頃 造船所から聞こえる舟づくりの心弾む音は天竜川に春を呼び、私たちの心にも春を届けてくれます。初めてこの音を聞いた時誰もが驚き、感動し、楽しい気分になるのではないでしょうか。でもこの伝統的な木造船の技術を伝えているのは全国でもほんのわずかな船大工さんで、天竜舟下りではその担い手は船頭さんです。船頭でも一人前 船大工でも一人前を目指し、消えつつある技を何としてでも残したいと頑張る船大工さんの心意気を軽快な舟づくりのリズムとともに伝えたいという思いです。

【制作後記】
私も久しぶりに舟づくりのトントト トントトの音を聞いたのですが、何度聞いても楽しい!天竜舟下りの船頭さんはベテランから若い人まで18人。意外と若い人が多く、しかもかっこいい!一人前の船大工さんになるには10年はかかるというが目標を持った人の姿は眩しい。設計図通りでは舟は出来ない AIでも無理じゃないかと船大工さんたちは思っています。人間の勘が頼りの仕事がここにあるのです。船大工さんは春からは船頭さんとして川を下りガイド役も務めます。ガイドにはそれぞれの個性があって面白いので何度も楽しめます。水の上から眺める景色に和み、水鳥たちもやってくる 豪快な水飛沫もかかりスリルも満点。乗船人数も制限しコロナ対策も行っている舟下りを是非多くの人に味わってもらえたら嬉しいです。 

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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