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2021年1月

2021年1月26日 (火)

新しい信仰の様式~平等寺のリモート初詣

2021年1月18日~2021年1月24日放送 
四国放送 ラジオ編成制作部 三浦審也

【番組概要】
徳島県阿南市の四国霊場第22番札所 平等寺では、お寺に行かなくてもお参りができるよう、去年4月から本堂の24時間ライブ配信=リモート参拝を行っています。今年のお正月に実施された、1200年の歴史で初めてのリモート初詣の模様を御紹介します。

【制作意図】
4K映像にステレオ音声、リモート除夜の鐘にリモートおみくじなど、様々なアイディアが盛り込まれた平等寺のリモート参拝を通じて、新しい時代の信仰の形を探ります。

【制作後記】
昨年から続くコロナ禍は四国霊場を直撃し、札所を訪れるお遍路さんは激減しています。しかし、人々が不安を抱えている時こそ、心の拠り所となるお寺の役割は大きいと言えます。今後、お参りが全てリモートに置き換わる事はないでしょう。実際に参拝してこそ得られる感動もあります。しかし、心の安らぎを求めている人の中には、様々な事情でお寺に行けない人も多いでしょう。自宅や会社、病院のベッドからでもお参りできるリモート参拝は、新たな信仰の選択肢と言えます。

2021年1月12日 (火)

なまはげは泣かない~コロナ禍の伝統行事~

2021年1月11日~2021年1月17日放送 
秋田放送 加賀屋晃太

【番組概要】
秋田県の日本海側に突き出るように位置する男鹿半島。大みそかの夜には、山から神が下りて来ます。なまはげと呼ばれるその神は男鹿市内の各家々を回り、「泣く子はいねえが」「怠け者はいねえが」と雄たけびを上げます。秋田県を代表する伝統行事のひとつですが、新型コロナウイルスの影響で例年通りの開催が危ぶまれます。長い歴史の中はじめて中止を選んだ集落や、感染予防を取りつつ実施する集落。それぞれの想いを、男鹿の厳しい冬の風景を感じさせる音とともにご紹介します。

【制作意図】
秋田を代表する祭り 竿燈の中止をはじめとして、秋田県内でもお祭りや伝統行事が続々中止となった2020年。夏祭りだけでなく、冬の行事も例年通りの開催が危ぶまれています。そんな中、ユネスコ無形文化遺産登録などを受け、近年より注目されているなまはげ。後継者不足などに悩む中、新型コロナウイルスによる追い打ちを食らった形となり、もがきながらも伝統を受け継ごうとする姿を描くべく制作しました。

【制作後記】
現在28歳で、人生のほとんどを秋田県で過ごしているのですが、改めて「なまはげ」というもの自体について調査・取材をするうちに、ぼんやりとしたイメージ以外に詳しいことを知らないということに気づきました。私個人のことでもありますが、意外と見落としがちな地元の風習について詳しく知るきっかけとしてもこの作品を全国の方だけでなく、秋田県内のより若い世代にも聴いてもらいたいものになりました。

2021年1月 8日 (金)

継いでいく ~住民に愛された米飴

2021年1月4日~2021年1月10日放送 
北陸放送 ラジオ制作部 中川留美

【番組概要】
石川県能登半島の北端に程近い場所にある能登町松波。この地域に500年以上前から作られている米飴があります。材料はうるち米と大麦だけ、添加物は一切加えない天然の甘みです。甘いものが貴重だった時代には、米飴は住民の人たちにとってお菓子替わりになっていました。その頃を知る人々にとって、お米で作られた飴は懐かしい味です。現在、能登で一軒だけ米飴を作っている横井商店の横井千代吉さん。家族で伝えてきた飴作りの手仕事の様子を取材しました。

【制作意図】
昔から農業と漁業の文化が色濃く残る町で、代々、家族で受け継いできた味、「米飴」があります。
その飴は先人たちの「お米がもったいない」という気持ちから生まれたもの。 戦前までは各家庭で作られていましたが、時代とともに飴を作る人は減り、現在は、能登で一軒のみ。小さな町で何代にも渡り、同じ製法で家族だけで米飴を作り続けている。「継ぐとはどういうことなのか」横井千代吉さんに尋ねました。

【制作後記】
母親の手伝いから始めた横井千代吉さん。米飴づくりは30年以上の経験を持っていても作り手としてまだまだで、最近になってやっと飴作りが楽しくなってきたと言う 姿に感銘を受けました。親の代から味を継ぐということは、単に作業や手順を覚えるということではなく、家族で繋げてきた思いを本気で受け取る気持ちが大切になるということ感じました。

新型コロナ収束願い   届け!那覇大綱挽 旗頭

2020年12月28日~2021年1月3日放送 
ラジオ沖縄 制作報道局報道部 竹中 知華

【番組概要】
沖縄には、地区ごとに「旗頭」と呼ばれる全長10メートルにもなる大きな旗があります。その地区のシンボルでもあり、守り神のような存在です。お祭りの時などには、旗頭の持ち手たちが、銅鑼や鐘、ほら貝、掛け声とともに旗頭を順番に持ち上げ、盛り上げます。那覇市で、いちばん旗頭が活躍するのが、毎年10月に行われる那覇大綱挽です。那覇の各地区の旗頭が集まり、一斉に旗頭を掲げます。しかし、2020年。新型コロナウイルスのため、「那覇大綱挽」は、中止となりました。                                                        実は、那覇大綱挽の綱は、2019年、綱挽きの最中に切れています。何か不吉なことが起こる前兆ではないかと囁かれるなか、同じ月に首里城が焼失しました。そこからの2020年の那覇大綱挽 中止。県民はとても心を痛めていたのです。この状況を少しでも活気付けたい。2021年は賑やかな那覇大綱挽にしたい。そんな想いから、旗頭の持ち手たちは立ち上がりました。綱挽きは行われないけれど、那覇大綱挽の当日の正午に、一斉に各地で旗頭を掲げることを決めたのです。                                             練習も十分に出来ないなか、新型コロナウイルス収束を願い、旗頭の旗が那覇の空に舞う、その様子をお伝えします。

【制作意図】
2020年。沖縄県は本当に静かでした。                               ゴールデンウィークから初夏にかけて、海人たちが爬竜船で競い合う「ハーリー・ハーレー」は、ほとんどが中止でした。旧盆に、祖先のお見送りのため、太鼓を持ち勇壮に踊る「エイサー」も各地で縮小中止となりました。そして、五穀豊穣を願う、各地の「綱挽き」もほとんどが中止。                         沖縄の伝統行事には、掛け声や太鼓の音、銅鑼の音がつきもの。鳴り響くその音が聴こえてこないことで、県民にとっては、沖縄の"四季”を、そして、沖縄自体を感じることができない1年でもありました。この、旗頭が掲げられる勇壮な音を届けることで、一年の締めくくり、またはスタートの放送時期に、皆さんに、少しでも明るい気持ちと希望をもっていただけるように、制作しました。                         

【制作後記】
この日、旗持ちの皆さんは、全員が黒いマスクをし、リハーサル中もアルコール消毒を繰り返しながら、旗頭演武をおこなっていました。久しぶりの旗頭に緊張しているようでしたが、本番では素晴らしい集中力で、何度も倒れそうになる旗頭を見事に立て直し、旗頭を掲げきることができました。
終わったあとには、笑顔が溢れ、これまでのお祭りでの印象に残っているエピソードなどを沢山話してくださいました。掛け声や銅鑼の音鐘の音が聞こえなかったことで寂しい想いをしている人が沖縄にはたくさんいますが、何よりも旗持ちの皆さんたちがうずうずしていたのだな、ということがよく分かりました。2021年こそは、那覇大綱挽 を成功させたい。伝統を途絶えさせてはいけない。という強い想いを感じました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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