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2021年5月

2021年5月31日 (月)

銃砲店の若き職人〜修理の技と銃砲の魅力を後世に

2021年5月24日~2021年5月30日放送 
RKB毎日放送 RKBミューズ 金子哲也

【番組概要】
狩猟用・射撃用の銃を主に取り扱う銃砲火薬店「塩田屋」は1890年(明治23年)創業の老舗。スポーツ競技としてオリンピック種目にもなっているクレー射撃や農作物を守るための鳥獣駆除にも使用される銃砲ですが、県内をはじめ、全国各地の猟友会や銃砲店で高齢化が進み後継者が不足しています。そのような中で、「塩田屋」は7代目・48歳の店主 春木聡さんと入社5年目・24歳の妹尾翼さんという若き2人が店を支え、銃砲の販売はもちろん、九州圏内で唯一、複雑な修理も行っています。日々、銃砲の販売・修理に取り組んでいる若き2人の仕事の様子・銃砲にかける想いに迫りました。

【制作意図】
クレー射撃や猟銃に使用される銃砲。「銃」「鉄砲」などと聞くと怖いイメージを持つ方も多いと思いますが、我々が生活する上で無くてはならない存在で、決して怖いものではありません。オリンピック種目にもなっているクレー射撃は生涯楽しめるスポーツですし、毎年、県内で農作物に大きな被害をもたらし、木の新芽を食べ荒らすことによって、時に、大雨の際の土砂災害の原因を作るとも言われる野生鳥獣の駆除にも大きく役立っています。日本では銃砲の所持・製造・販売には、警察や自治体のいくつもの厳しい審査や許可が必要で、射撃の腕を磨くのにも時間はかかりますが、1人でも多くの方に、クレー射撃の楽しさ、猟の重要性を知り、関わる人が増えていくことを願い、番組を制作いたしました。

【制作後記】
塩田屋のお2人とはまったく別の取材で出逢い、最初は余談として銃砲の話を聞いたのですが、正直怖いイメージしかなかった自分がこんなに銃砲の魅力に惹き込まれるとは思ってもみませんでした。修理場には相当な数の工具があり、銃の種類やメーカーごとに細かく使い分けていて、時には手作りで工具を作ることもあるというのには驚きでした。また、修理中、力強く真鍮を打ちつける一方で、ミクロ単位の細かい部品は慎重に扱うという相反する作業をする様子、また、集中力から解き放たれた瞬間の汗と深い呼吸を間近で見て、お2人の銃砲に対する強い想いを感じました。今回の放送で、特に、以前の私のように「銃砲ってなんか怖い」と思っている方の「銃砲」へのイメージがより良いものになることを願っています。

茨城から全国へ~全寮制・畳高等職業訓練校が育む若き職人たち~

2021年5月17日~2021年5月23日放送 
茨城放送 編成事業部 菊地 真衣

【番組概要】
海と山に恵まれた、茨城県の北に位置する高萩市。海を見下ろせる小高い山の中に『畳の学校』があります。日本で唯一の全寮制の畳高等職業訓練校には、北は北海道、南は九州と全国から訓練生があつまります。今年で50周年となるこの学校からはこれまでおよそ400人が卒業。機械化が進む中でも訓練生はあえて手作業での繊細な技術を学びます。手縫いや裁断など畳専用の道具を使い慎重に行います。実際にお客さんから預かった畳を自らの手で整備するため、失敗は許されません。畳と向き合うその表情は真剣そのもの。20代の若き訓練生たちの目の奥にはすでに畳職人としての熱い魂が宿っていました。

【制作意図】
茨城県でもこの畳高等職業訓練校があることはあまり知られていませんが、全国の畳屋さんでは、この学校を卒業した人が多く活躍しているそうです。二代、三代と継いできた畳店などでは、親子でこの学校の同窓生ということも少なくありません。自然が豊かなこの高萩市という土地で寮生活を送りながら畳の技術を学ぶ訓練生たち。どうして全国にいくつかある畳の学校から『茨城』を選ぶのか、その理由や魅力に迫りたいと思いました。

【制作後記】
在校生は2年生が2人、今年入った1年生が2人の計4人で、全員茨城以外の地域から来ていること、親もかつてここで学んでいたことなど、それらが決して珍しいことではないということに驚きました。4人全員が実家の畳屋を継ぐためにこの訓練校を選び、技術習得に取り組んでいます。畳を整備し終えたあと、昼食の時間には全員で協力して準備・片づけをしたり、その後はキャッチボールをするなど、共同生活で培われたチームワークの良さや仲の良さもうかがえました。卒業してからもここ茨城で生まれた絆を広げながら伝統技術を継承していくとおもうと、これから先も守らなければいけない貴重な学び舎だと感じました。

スタートはいつでも ギター職人・坂田久

2021年5月10日~2021年5月16日放送 
山梨放送 ラジオ局制作部  秋山幸江

【番組概要】
SAKATA GUITARSは、山梨県甲府市に工房を構える、ギターブランドです。ビルダーの坂田ひさしさん(65歳)は、ギター製作の傍らカレーと喫茶専門店「ハーパーズミル」を経。ご.自身もミュージシャンとして活動しています。坂田さんの作るギターは世界的にも評価が高く2018年専門誌アコースティックギターマガジンにおいて「世界の名匠100人」に選出されました。友部正人、寺岡呼人、竹原ピストルといった数々の一流ミュージシャンからも、高い信頼を得ています。番組では、ギターの音色とともに、魅力的な坂田さんの生き方をご紹介します。


【制作意図】
弾いたミュージシャンが口をそろえて「別格の音」という坂田ギター。何故そんなに素晴らしい音が鳴るのか。そのギターはどんな思いで製作されているのか。実際に音色が生まれる現場に行って確かめたいと思い制作しました。また、45歳でギター製作を始められ、世界の名匠に選ばれるまで技術を高められた坂田さんの生き方から、コロナ禍の今学ぶことが多いのではないかと思い、取材をお願いしました。

【制作後記】
「天職」ともいえるギター製作に出会った坂田さんが「今が一番自由で楽しい」と語った言葉が印象に残っています。老若問わずコロナ禍で不自由な思いを抱きがちな今、SAKATA GUITERSの音色の中に
新しい時代を生きるヒントを感じてもらえたら幸いです。

 

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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