2008年5月26日 (月)

石と向き合う~赤間硯 若き後継者の情熱

山口放送 編制部 村田 俊子

赤間硯は山口県の代表的伝統工芸品ですが、制作者は六人までに減っています。

70代2人、60代2人、50代1人、そし30代の日枝陽一さんです。赤間硯は、原石の切り出しから完成品まで一貫して行います。原石の切り出しの資格を持っているのは日枝親子のみです。

しかし、日枝陽一さんには、唯一人の30代の後継者という悲壮感はありません。もの言わぬ石の声を聞き取りながら制作に励む陽一さんの静かな情熱を伝えたいと思いました。

2008年5月19日 (月)

輝きをもう一度~和歌山城再建50年

和歌山放送 編成制作部 花井 歩高

八代将軍吉宗を生み、紀州徳川家の反映のシンボルの和歌山城。現在は市民のシンボルとして親しまれている。昭和20年の和歌山大空襲で焼失したが、市民の熱意により募金が集まり、昭和33年再建された。

アマチュアカメラマンの武本弘さんは、当時貴重だったカラーフイルムで再建の様子をつぶさに撮影した。復興を願う当時の市民の力に思いをはせる武本さん。

地方都市に元気がないと言われる中、再建50年を迎えた和歌山市も例外ではない。城とともに市民のパワーもあのころの輝きを取り戻して欲しいと願う武本さんでした。

再建50年。武本さんは結婚50年の節目の年、「よい趣味だった」と振り返っていました。

2008年5月12日 (月)

飯坂温泉に響く三味線の音

ラジオ福島 放送部 石田 久子

飯坂温泉には、現在およそ10人の芸妓がいます。

かつては、300人を超える芸妓がいて、温泉にいらっしゃった方をお迎えし、地元の唄などの「芸」を披露していました。この芸を支えていた一つが、飯坂温泉の街にある小さな三味線店です。

現在のご主人は三代目の町田敏弘さん。
一度三味線作りから離れたものの、再び伝統や文化を守ろうと、三味線作りをはじめました。町田三味線店の作業場は、初代、先代の使っていた場所と同じ。表に面した場所です。

作業中に、観光に来た方がガラス越に眺めていると手招きして中で作業をご覧いただいたり、ミニ演奏会が始まることがあります。伝統だけではなく、これからの飯坂温泉を支えていくお店だと感じました。

2008年5月 5日 (月)

お遍路の想い

四国放送 ラジオ編成制作部 橋本 秀友

冬から春になり温かくなるこの季節、四国八十八箇所めぐりをするお遍路さんが増えます。

一番札所のある徳島県から、お遍路それぞれの想いを伝えるとともに、遍路転がしと言われる険しい道もあることも知ってもらう。山道を行く男性に出会い、取材するほうも人生について考えさせられる言葉をもらった。

2008年4月28日 (月)

三国祭~ほら祭囃子が聞こえる~

福井放送 ラジオセンター 越桐 清司

古くからの街並みに春が訪れると、祭ばやしが聞えてきます。
5月の19日から始まる三国祭りは今から約250年前、江戸時代から伝わったとされています。この祭りは、北前船の交易で港が栄えるとともに豪華になっていきました。

6メートルを越える武者人形山車が出て町の人達が曳きながら細い路地を練り歩きます。その山車に乗るのが三味線・笛・太鼓の囃子方。大人の演奏する三味線と笛に合わせて太鼓を叩くのは、小学校の子供たち。

手ほどきをするのは町内にお住まいの村田ひとみさんです。
村田さんは祖母の代からお囃子を教え込まれました。山車を出す係り、「山車番」は、町内の各区が持ち回りで行っているため、一つの区がまわって来るのは、数年に一度です。

子供たちが山車に乗って太鼓を叩く機会も一生に一度。練習にも熱が入ります。山車の武者人形を作っているのが人形師の岩堀薫さんです。竹を編むことから始まる人形作りは、その細部にいたるまで手作業で進められます。

祭りでは、山車とお囃子と町の人が1つになります。

2008年4月21日 (月)

ワイナリーの新たな旅立ち

信越放送 ラジオ局編成制作部 宮下 ひかり

地球温暖化の影響から国内のワインの産地が次第に北上する中、長野県ではワインの生産が盛んになりつつあります。

長野県原産地呼称制度も定着し、信州ワインの評価が高まる中で、新たなスタートを切ったワイナリーがあります。もともとは農家が共同で始めたものでしたが、経営難に陥り、昨年民事再生法を申請した安曇野ワインが安曇野ワイナリーとして生まれ変わったのです。

しかも事業を受け継いだのは全く畑の違う、真空ポンプメーカー。これは面白いと考え、取材しました。社長にインタビューをして感じたのは、作るものは真空ポンプととワインで全く異なりますが、「良いものを作るNo1を目指す」という信念に何ら違いはないということ。

また、ワインつくりに携わる方々の熱意を感じ、このワイナリーの将来が非常に楽しみになりました。あえて、企業名は出さずに制作しましたが、これを聞いた人が長野のワインに少しでも興味を持ってくれたらうれしく思います。

2008年4月14日 (月)

雄勝硯~伝統を受け継いで600年~

東北放送 ラジオ局編成制作部 佐々木 雄祐

宮城県石巻市雄勝町は硯の生産量日本一!
年間およそ130万枚生産しています。国内ではこの地域でしか採れないという「玄昌石」を使って作る「雄勝硯」には、600年もの歴史があります。

硬い石を美しく彫りあげるのには熟練の技が必要とされます。その技は職人たちによって世紀をまたいで代々受け継がれてきました。

素材も技術も品質も優れている雄勝硯ですが、近ごろは安価な中国製の硯に押され、需要は減っています。また、授業時間数減少などのため、日本の小中学生が書道に触れる機会が減っているとも言われます。

パソコンが普及し、“自分の手で字を書く”ことが少なくなっている今、あらためて墨をすり、書をしたためるという日本の伝統文化について見直してほしいと雄勝の人々は願っています。

2008年4月 7日 (月)

竹の箸に願いを込めて~加賀・竹割り祭~

北陸放送 制作部 川瀬 裕子

毎年2月10日に、加賀市大聖寺にある菅生石部神社では「御願(ごんがん)神事」=通称、竹割り祭が行われます。

約1300年前に天武天皇の勅願で国家安寧と万民救済を祈願して始まったとされ、県の無形民俗文化財に指定されています。

伝承によると大蛇を退治するために、この神事が生まれたと云われ、白装束の若衆たちが青竹を石畳にたたきつけ、青竹を割りつくし、大蛇にみたてた大縄を拝殿から引き出し、川へと投げ込みます。

地元の人は、割られた青竹を大事に持ち帰り、玄関に飾ったり、箸を作り無病息災を願います。箸を作ることで、新たに一年を迎える人々の様子をお伝えします。

2008年3月31日 (月)

一本の竹笛から~マイ箸入れにこめた願い~

宮崎放送 ラジオ制作部 福田 英明

温暖化をはじめ地球環境問題に大きな関心が寄せられ、もはや看過できないところまで来ています。

私たち1人1人の地球温暖化防止の取り組みも求められ、地道にその活動を続けていらっしゃる方も多数いらっしゃいます。

今回ご紹介するのは、着実なムーブメントとなっている「マイ箸」に関して、その箸入れを竹で作り、さらにそれを「竹笛」にしてしまった方です。竹笛といっても神楽や謡などの和楽器としても通用する本格的なもの。

「マイ箸入れ笛」にいきついた製作者の思いとまさにナチュラリストの和音階の響き、さらに製作過程である笛の調音工程をラジオの音の世界でご紹介します。

2008年3月24日 (月)

お城の中の小さなサロン

西日本放送 ラジオセンター 古茂田 圭

香川県丸亀市、丸亀城内で開かれているお城サロンを紹介します。数年前から丸亀城、長屋門から毎日正午になると楽しいおしゃべりと笑い声が聞えてきます。

そこは、お城サロンと呼ばれる青空サロン。誰でも自由に(無料)参加できるサロンです。このサロンをひらいているのは十河博子さん72歳。スケッチブックと座布団を持って長屋門にやってきます。

十河さんが丸亀城をスケッチしているとその回りに人が集まり、それならばと自然に生まれたのがこのお城サロンです。観光客の方はもちろん地元の方も訪れます。十河さんの人柄にふれたいと毎日通ってくる人もいます。

ある人は、元気になっただけでなく、昼間お城サロンにくるようになり、家の光熱費が下がった、ここは省エネサロン、と笑っておられました。本当に笑い顔と声がたえないサロンです。

このサロンは十河さんが最愛のご主人を亡くし、その悲しみを癒すためにお城のスケッチを始めたことから、今ではお城サロンが、そして十河さんがたくさんの人の心を癒します。

人は悲しみを1つ乗り越えるととても優しく、そして強くなれるのだと取材を通して考えました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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