刹那のひと振りに掛ける ~佐渡の竹刀職人を訪ねて~
2023年12月4日~2023年12月10日放送
新潟放送 株式会社BSNウェーブ 吉田竜也
【番組概要】
「竹刀職人」は、かつて日本国内におよそ200人いましたが、インドネシアをはじめとする海外での大量生産の台頭により、現在ではわずか10数人といわれています。新潟県佐渡市でも、100年以上受け継がれてきた竹刀職人の灯が消えつつあります。この伝統を後世に残したいと、七年前に佐渡市役所を退職し、一念発起して竹刀職人の道を歩み始めたのが、今回の主人公「佐藤竹刀工房」の佐藤友典さん(47)です。わずか10数人と言われる竹刀職人の中で、「竹の切り出し作業」からを一貫して行い、1年の歳月を掛けて竹刀を作り出すのは、佐藤さんを含めて数人です。剣道人口そのものが年々減少する中で、「剣道」という普遍的な武道としての価値を信じ、剣士の一瞬の一振りに魂を掛ける「竹刀職人の想い」を届けます。
【制作意図】
『新潟県佐渡市の伝統を守ること』、そして『近い将来、もしかしたら消えてしまうかもしれない音』という2点をコンセプトに制作をしました。「佐藤竹刀工房」の佐藤友典さんと、その竹刀を愛用し、剣道において「未知の領域」とされる七段の中島郁子さんは、かつて私が担当するラジオ番組への出演でご縁があり、今回ご協力をいただきました。ナレーションを担当した大塩綾子(BSN新潟放送アナウンサー)も剣道三段の実力で、佐藤竹刀工房の竹刀を愛用している一人です。
【制作後記】
今回、1年を掛けてインタビューや取材を重ねる中で、佐藤竹刀工房の佐藤友典さんに情が沸いてしまい、最終的に「『人』にフォーカスをして番組を作るべきか、『音』にフォーカスして作るべきか」のバランスを自問自答しながら制作させていただきました。竹藪に入り竹を切り出す音から、工房で黙々と竹と向き合いながら20以上の工程を経る音に至るまで、竹刀職人の周りで厳かに奏でられる様々な音を、ぜひ耳を澄ましてお聴ききください。