2023年3月 9日 (木)

白い輝きそうめんづくり

2023年2月20日~2023年2月26日放送 
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀

【番組概要】
香川県の小豆島で400年間続く手延べそうめんづくり。そうめんというと、夏のイメージがありますが、実はそうめんづくりの最盛期は冬。寒い冬は空気が乾燥していて、そうめんの味も引き締まるそうです。また、天日干しにすることで、太陽の光を浴び、そうめんはより白い輝きを増し、美味しく仕上がります。以前は、一つ一つの工程を手作業、足作業で行っていたそうめんづくりですが、最近ではずいぶん機械化も進み便利になりました。しかし、いくら機械を使っても、その日の温度や湿度、気候などにより、刻一刻と変化するそうめんの状態を確かめるのは、職人の五感。そして必ず仕上がりの部分には人の手による作業があります。マルカツ製麺所の三木さんは「面倒をみる」という表現を使っていましたが、まさに目が離せない幼い子どものように、常に見て、常に触って、においや音も感じながら、その状態を確認して作業しています。朝5時からスタートした作業は夕方5時まで、その間ほとんど、全力疾走するかのように家族みんなが動いていました。(機械はその工程ごとに代わるので、機械の方が休んでいるかも・・・)手間のかかる作業ですが、そうめんにまで心地よい音楽を聞かせる・・・なんて愛情もたっぷりかけて美味しいそうめんを作る三木さんの想いを届けます。

【制作意図】
小豆島でそうめん業をしているところは昔は250軒ほどあったそうですが、今は120軒くらいとかなり減っています。職人の高齢化も進み、60歳~70歳台の人が多いとか。三木さんは30歳台でかなり若手です。作業は、三木さんとお母さん、その日によって従業員さんがくる場合もあるくらい。ほとんど家族でされています。マルカツ製麺所5代目のお父さんは、三木さんが大学卒業後アパレルの仕事をしていた社会人2年目の時に亡くなられ、それを機に、島に戻ってきたそうです。叔父さんがいろいろと教えてくれていましたが、その叔父さんも早くに亡くなってしまい、以降いろんな人に教えてもらいながら、そうめん職人として育ててもらったといいます。若手ならではの工夫やアイデアをいろいろと試行錯誤しながら、これからのそうめん業を盛りあげていきたいと、日々努力を重ねています。若い職人さんがそうめんづくりに興味を持ってもらえるように、三木さんの思いが届きますようにと制作しました。

【制作後記】
そうめんづくりは、どの工程も大切で、朝5時から夕方までの作業すべては番組に反映できませんが、丁寧に丁寧に作られていることに、感動しました。三木さんご家族や、小豆島の皆さんの溢れる愛とお人柄にふれて、心が洗われるような取材でした。お昼ごはんには、生そうめんをいただきました。もともとまかないとして食べられていた生そうめん、最近ではマルカツ製麺所さんでも通販で販売していますが、この味が忘れられません。コシがあって、のど越しもよく、香り高く味わい深い生そうめんにすっかりハマってしまってます。生そうめんのことは、地元の人でも知らない人が多いくらいレアです。ちなみに、生そうめんに、そうめんつゆだけじゃなく、小豆島の特産品でもある「オリーブオイル」を少しかけると、これまた、最高です!!!意外と思われるかもしれませんが、「出会うべくして出会った運命の出会い」と言えるくらい、相性バツグンです。

ホーランエンヤ ~勇壮に、晴れやかに

2023年2月13日~2023年2月19日放送 
大分放送 OBSメディア21ラジオ本部 音声コンテンツ部 尾上 裕明

【番組概要】
九州の北東部に位置する大分県豊後高田市の「ホーランエンヤ」は、航海の安全と豊漁を祈願する伝統行事で、江戸時代中期に始まったと言われています。町を流れる桂川を舞台に、大漁旗や万国旗などで装飾された宝来船が、締め込み姿の13人の「漕ぎ手」と呼ばれる若者たちをはじめ、総勢50名ほどを乗せて、河口から上流へゆっくりと漕ぎ上がります。途中、川岸の観衆から祝儀が贈られると、締め込み姿の漕ぎ手たちは、厳寒の中、驚きの行動を見せます…
船が進む間、終始聞こえる「ホーランエンヤ!」という勇ましい掛け声に、人々は心を躍らせ、ご利益を願い、笑顔で新たな年の始まりを祝います。

【制作意図】
コロナ禍で中止されていた各地の行事が少しずつ再開される中、タイミング良く取材時期と重なったのが、この威勢の良い行事でした。誰もが耐え忍んだ行動制限の鬱憤を晴らすかのような勇壮な掛け声は、どんな困難にも決して負けない!というメッセージのようで、心強く、安心感さえ与えてくれました。また、漕ぎ手たちの勇姿、町の人々の声援、そこに溢れる笑顔が、厳しい寒さの中、温もりを与えてくれました。豊後高田市の「人」が放つエネルギーを全国の方々に届けたいと思い、制作しました。

【制作後記】
「ホーランエンヤ」では、川を登る船から川岸の観衆に向けて紅白の餅が撒かれます。縁起物の餅を取ろうと人々が必死に船を追いかけ、手を伸ばす中、収音作業で両手が塞がった状態の私の頭や背中には、餅がいくつも降り掛かりました。そんな時、ひとりの女性が声をかけてくださり、私の上着のポケットに餅を入れ、ご利益を分けてくれました。その後、そのエピソードを豊後高田市の方に伝えたところ、「幸せを分け合う優しい町なんです」と嬉しそうに言葉を返してくださり、私自身、年始早々、晴れやかな気持ちになりました。



「明日の空を守る」~航空自衛隊パイロットの故郷から

2023年2月6日~2023年2月12日放送 
山口放送 ラジオ制作部 奥田貴弘

【番組概要】
山口県の中部、瀬戸内海に面する防府市は、日本三天神の一つ防府天満宮や、その昔は塩田が広がった場所に発展した工場地帯など、歴史と産業の町です。この町の上空を、小型機の編隊がプロペラの音を響かせながら飛んでいます。

市内にある航空自衛隊・防府北基地に所属する、第12飛行教育団の初等練習機T-7です。
航空自衛隊の戦闘機や輸送機、ヘリコプターなどを操縦する全てパイロットは、必ず最初に航空学生として防府北基地に配属され、パイロットとしての初期教育課程を学びます。
今回はソロフライトを重ね、次のステップへと進もうとする航空学生や、指導をする操縦教官。地上でバックアップする整備員の思いをお伝えします。

【制作意図】
防府市内では制服姿の若い自衛官や、上空を旋回する練習機は日常の一部です。
しかしその基地の中で自衛官たちがどのように訓練を重ねているのか、基地祭などのイベントだけではなかなか知ることができません。国防について関心が高まっている今、どんな若者が厳しいパイロットへの道を歩んでいるのか。また、どんな教官が指導をしているのか知りたいと思い、防府北基地を取材しました。張りつめた空気のブリーフィング、T-7練習機のターボプロップエンジンの音をぜひお聞きください。

【制作後記】
防府市で毎年12月に行われる防府読売マラソンは、山口放送でテレビ・ラジオの実況生中継をしています。以前、テレビ技術の仕事をしていた頃、中継ヘリのパイロットと飲む機会がありました。その方は航空自衛官OBで、防府の町の上空を初めて飛んだ航空学生の頃の思い出を懐かしく話していました。OBは「死ぬほど厳しい!」と話していた訓練でしたが、実際に取材をしてみると、恐ろしい量の課題をテキパキとこなす学生と、厳しいながら静かに見守る教官にイメージが変わりました。
いつか戦闘機のパイロットになって、その後は教官になって防府に戻ってきたいという学生の声に心強さを感じました。


 

ナガサは硬く、柔らかく

2023年1月30日~2023年2月5日放送 
秋田放送 編成局ラジオ放送部 井谷 智太郎

【番組概要】
マタギの里、秋田県北秋田市 阿仁地区には唯一残る鍛冶屋、西根鍛冶店があります。山里で暮らす人々の生活の道具が店先に並び、その中に ”ナガサ”と呼ばれるひと際目を引く打刃物が並んでいます。この”ナガサ”こそがマタギの魂、マタギにとって命の次に大切な道具といわれ、山の中で枝を切り払い、山から授かった獲物を解体し、その肉の塊をマタギ仲間に切り分ける際に用います。更に熊に襲われたときには、ナガサ1本で自分の命を守る役目を果たす究極の狩猟刀、ナガサ。伝統の技法により鉄の棒がナガサに姿を変えていく様は、実に鍛冶職人がマタギの魂を吹き込んでいるかのようです。番組では、マタギを支える道具、ナガサを造る鍛冶職人の想いに迫ります。

【制作意図】
マタギの里に唯一残る鍛冶屋には、鉄と鋼を接着し、叩いて叩いて鉄を鍛える音が毎日響き渡ります。職人にとって一番気をつかうのは「焼き入れ」と「焼き戻し」の作業です。”ナガサ”には、「硬さ」と「柔らかさ」が求められます。どんなに質の良い鋼を使っても「焼き入れ」と「焼き戻し」のバランスが悪いと刃はすぐにボロボロになってしまうからです。わずかな変化を見逃さず、すばやくあせらずにじっくりと刃物を育てる様は、人の育て方に通じる気がします。人を育てるとはどういうことなのか。職人の刃物造りを通して再考する機会になればと思い制作しました。

【制作後記】
鍛冶店での取材を終えた数日後、伝統工芸のイベントに出展するということで挨拶に伺いました。その日は、小学生が校外学習で職人にたまたま取材しているところで、とっさに録音機をまわしました。その時に語った職人の声は、取材に訪れた際に職人が緊張した面持ちで語った話よりも、今回のテーマの核心に迫る話でした。今回の取材体験を通して、良い音、核心になる声というのは、想定外の場面にも隠されているのだと感じ、これからの取材姿勢に活かしたいと思いました。

継承される競り人の声-越前がにの要石-

2023年1月24日~2023年1月29日放送 
福井放送 報道制作局制作部 増谷寧々

【番組概要】
日本海に面する福井県越前町。越前ガニの最大漁港です。ここでは福井が誇る冬の味覚の王者、越前がにの競りが行われ、解禁されたあとは、特に盛り上がります。競りをするのは、越前町漁業協同組合の職員のみ。年々数も減って、今は4人しかいません。30代の競り人が多い中で、今、この町で生まれ育った26歳の八田航さんが、先輩の姿を追っています。競りには教科書がなく、見て盗む。そして経験。2年目の今、責任を感じながら、漁師が命がけで獲った魚やカニを、仲買人にどれだけいい値段で売り渡すか、かけひきの場に立っています。特に毎年11月7日「おりぞめ」と呼ばれる初競りの日は経験を積んだ競り人でも緊張します。さまざまな基準をクリアしたカニだけに与えられる称号、最高級の越前がに「極」は特に注目が集まります。越前町には料亭も多数あり、料亭を営む人たちにとっても越前がには無くてはならない存在で、ふるさとの宝として大切に守られています。この時期に威勢の競り人の声がないと、越前がにが届かない。この声がないと越前町ではないと言っても過言ではありません。思いをのせた声が今日も漁師まちに響きわたっています。

【制作意図】
福井といえば「越前がに」。全国にも名を轟かす冬の食の恵だが、毎年メディアで報道されるのは越前がにそのものです。その裏に隠されているのは命がけで戦う海の男たち。漁師はもちろんだが、なかなかスポットが当たらない競り人も越前がにという福井のブランドを絶やさぬように盛り上げています。町で取材をしていても、「競りの声がないと越前がにが届かない」という意見が。高齢化も進み、売り手・買い手も年齢層が高くなる中、20代の若き競り人が地元を盛り上げたいと立ち上がりました。「野球で言うと競り人はピッチャーだ。自分で采配をふる責任のあるポジションである」と話していました。1人ひとりがプライドをもって戦う様子、町を、声を継承していく様を感じていただけると幸いです。

【制作後記】
競りの声は、福井で生まれ育った私が聞いても何と言っているのかわかりません。聞き取れるのは単語くらい。ただ、わからなくても、情熱だけは不思議と伝わってきます。するどい目つき、激しく威勢のいい声、緊張感。まさに競り人と仲買の戦いの場で圧倒されます。コロナ禍でなかなか声を出すのが制限される中、前を向いて継承していく様子を見て、守っていくべき宝だなと感じました。

2023年3月 8日 (水)

世界に1つだけの子供平和記念塔

2023年1月16日~2023年1月22日放送 
四国放送 ラジオ編成制作部 芝田和寿

【番組概要】
昭和23年、徳島の子どもたちが世界中に呼びかけて作られた平和の塔が徳島市にある。それが「子供平和記念塔」。高さは約4,6メートル。てっぺんにある噴水用のブロンズから地元では「小便小僧」の塔として知られる。表面に散りばめられた小石は国内の小中学生だけでなく、アメリカの子供たちからも贈られたもの。日本とアメリカの子供による平和共同プロジェクトだったが、数年後には経費がかかるとの理由から噴水の水は止められる。傷みはすすみ、茶色い錆に覆われた塔の存在は忘れ去られていく・・「子どもたちの手による平和記念塔は世界平和と友情の象徴、世界でも例がない」と
訴えるのはカナダ出身のモートン常慈さん(徳島大学准教授)。日本文化と歴史の専門家で、塔が建設された詳しい経緯を調べるも手がかりはなかなか得られない。コロナ禍でもアメリカの図書館などのデジタル検索で糸口をたどり、論文にまとめた。原動力となったのは、日本軍の捕虜となった祖父アルバートさん。「死の鉄道」と恐れられたタイ・ビルマ鉄道の建設に従事、 その生活を小さな手帳に
記していた。終戦まで耐え抜き、帰国を果たした祖父。「人への敬意と友好の精神が不可欠」との言葉が平和記念塔の精神と重なる。 

【制作意図】
ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ紛争や虐待、暴力や差別のニュースは毎日のように。
人間はなぜ、他人を価値のないようなものとして扱えるのか・・・
平和塔の重要性を訴えながら、関係各所をあたって調査を続けるも、なかなか成果が得られないモートン先生を見つめるたび、70年以上の年月とともに、戦争は人々の心の中でも「風化」していることを痛感する。戦争の悲惨さ、平和のありがたさ、そのための国際友情の大切さが叫ばれている今こそ
徳島に遺され、忘れ去られた子供平和記念塔の意義を再認識する時であると考える。

【制作後記】
コロナ禍で思うような調査ができないでいたが、国会図書館のデジタルアーカイブ検索で新たな発見があったほか、アメリカの図書館、赤十字とのやりとりもようやく再開した。
今後、小石を送ったアメリカ人へ徳島県知事が送ったとされる礼状や、石の輸送保管に関わる資料が発見されれば、塔建設のいきさつが劇的に解明される可能性がある。私にはこの塔が、オスカーワイルドの短編小説「幸福の王子」の像と重なる。像を飾る金箔や宝石を悲しみや苦労の中にある人に分け与えた末、汚れてみすぼらしくなってしまった像は市民によって取り外され、溶鉱炉で溶かされてしまう。
子供平和記念塔もそうならない間に・・
年月とともに、心の中で「風化」しかけた平和の誓い、国際友情の証を
今後もモートン先生と追い続け、 伝え続ける。

 

やってみよう加賀万歳

2023年1月9日~2023年1月15日放送 
北陸放送 ラジオ開発部 中川留美

【番組概要】
石川県金沢市の無形民俗文化財の指定を受けている加賀万歳。この伝統芸能は、おめでたい歌詞と舞で新年の祝いや、祭りの出しものとして、市民に親しまれてきました。加賀万歳の歴史は、かつて加賀藩祖・前田利家が越前の府中(現在の福井県越前市)を治めていたことがきっかけで、正月に金沢へ呼び寄せていた越前万歳が元になっています。能の要素を取り入れながら伝承発展してきました。全国に残っている古典万歳の中でも、座敷の中で演じられる万歳は加賀万歳だけと言われています。加賀万歳保存会では、伝統を守り、伝えていくだけでなく、時代に合った形で、多くの人に親しんでもらえるような演目も作っています。番組では、市内の中学校で加賀万歳を披露している様子を取材しました。

【制作意図】
北陸の城下町、金沢市のお正月に欠かすことのできない伝統芸能が加賀万歳です。真っ赤な大黒頭巾や侍烏帽子などの衣装を身にまとい、独特な節回しで唄い舞う様子を見ていると、歌詞の面白さもあり、おもわず真似をして唄ってみたくなります。加賀万歳を伝承していく人も減っている中で、若い世代に伝え、守っていくだけでなく、新しい可能性を求めて、「令和金沢新名所づくし」という演目も作っています。時代にマッチした形のものを作りながら、継承している姿を伝えたいと思いました。

【制作後記】
保存会のメンバーが中学校を訪問し、加賀万歳を披露する様子を取材しました。中学生にとって、加賀万歳の独特な節回しを覚えるのは難しいのではないかと思っていましたが、少し練習するだけで、すぐに曲を覚え、楽しそうに唄う姿に驚きました。歌詞の面白さもあり、私も一緒に口ずさんでしまいました。

2022年12月22日 (木)

平和の歌咲く ひまわり

2023年1月2日~2023年1月8日放送 
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 久保田 麻智子

【番組概要】
夏の日差し降り注ぐ8月9日。この日、長崎市では祈りの歌声が響きます。
1945年(昭和20年)8月9日11時2分、1発の原子爆弾が長崎に投下され、約7万5千人が負傷し、7万4千人が亡くなりました。長崎県の南西部に位置する長崎市松山町の小高い丘にある平和公園では、毎年8月9日、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を世界に訴えるため、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が執り行われています。世界で唯一、被爆者だけで作られた合唱団『被爆者歌う会 ひまわり』は、2010年から毎年、式典の開始前に「もう二度とわたしたち被爆者を作らないで」というメッセージを歌を通して世界に訴え続けてきました。被爆者の平均年齢は84・53歳。「被爆者だけ」での会の存続は困難と判断し、2022年8月の式典で最後の歌唱となりましたが、被爆者以外の市民を加えた「平和を歌う合唱団 ひまわり」として10月に再スタートしました。団員のみなさんの活動に込める思いを伺います。

【制作意図】
長崎に生まれ育った私達は、被爆の悲惨さ、核兵器の恐ろしさ、被爆者の悲しみ、平和の尊さを幼少より学びます。8月9日、11時2分には、学校・職場・商店街…、皆手を止め立ち止まり、黙とうをささげます。ですが、県外ではこの光景が「当たり前」ではないことに衝撃を受けたことがありました。
「ノーモアナガサキ」を、日本中で当たり前にすることが長崎県民である私達の義務ではないかと考えます。被爆者だけで作る世界で唯一の合唱団『 被爆者歌う会 ひまわり 』は、10月から被爆者以外のメンバーを迎えて『 平和を歌う合唱団 ひまわり 』として再出発することになりました。ロシアによるウクライナ侵攻でほのめかされた核兵器の使用。さらに北朝鮮によるミサイル発射など、“平和が脅かされる事態”が続く近年、全国にひまわりの歌声を届けます。

【制作後記】
長崎に生まれ育った私達は、被爆の悲惨さ、核兵器の恐ろしさ、被爆者の悲しみ、平和の尊さを幼少より学びます。8月9日、11時2分には、学校・職場・商店街…、皆手を止め立ち止まり、黙とうをささげます。ですが、県外ではこの光景が「当たり前」ではないことに衝撃を受けたことがありました。
「ノーモアナガサキ」を、日本中で当たり前にすることが長崎県民である私達の義務ではないかと考えます。被爆者だけで作る世界で唯一の合唱団『 被爆者歌う会 ひまわり 』は、10月から被爆者以外のメンバーを迎えて『 平和を歌う合唱団 ひまわり 』として再出発することになりました。ロシアによるウクライナ侵攻でほのめかされた核兵器の使用。さらに北朝鮮によるミサイル発射など、“平和が脅かされる事態”が続く近年、全国にひまわりの歌声を届けます。

山あいから世界へ!オクシズ産まれのウイスキー

2022年12月26日~2023年1月1日放送 
静岡放送 SBSメディアビジョン 小林正樹

【番組概要】
いま、世界が注目するジャパニーズウイスキー。世界の5大ウイスキーのひとつにも数えられています。中でも、2018年に製造を始めた、静岡市の中山間地」「オクシズ」にある、ガイアフローディスティリング株式会社静岡蒸留所は、多くのウイスキー愛好者に注目されています。なぜ、注目が集まるのか、それは世界に、「ここだけにしかないもの」があるから…  創業者の情熱と、土地にまつわる数奇な運命。そして、静岡市の中山間地「オクシズ」の豊かな自然が育むウイスキーに迫る。

【制作意図】
静岡県は食の都です。と同時に、酒の都でもあります。日本酒の世界では「吟醸王国」と言われ、静岡独自の酵母による香りをお抑えたスッキリとした「食中酒」を極めています。また、小規模なビールの醸造所の数も多く(国内4位)静岡市の繁華街を歩けば、いたるところにビアパブがあります。近年、そんな街のうわさで持ちきりなのが「静岡生まれのウイスキー」オクシズに出来た蒸留所でした。そして、その創業者と話をすると、意外なドラマがあったのです。今回はこれをテーマにしようと意図しました。。

【制作後記】
蒸留所には、全国からここでウイスキー造りがしたいという若者が多く働いています。地元の働き手が、町へ働きに行くその道を、遡って通勤してきます。一方でえ蒸留所は、地元にも雇用を作り出しています。また、こうした中山間地では林業が盛んですが、、間伐材の有効利用が進すまず、そうなると山林も荒廃します。薪による直火加熱の燃料になることで、活用が進めば、持続可能な活動になる可能性があります。社長の中村さんが言うように、300年後もここで、地元の人たちがウイスキーを作り続けている未来を、私も見たくなりました。

うちのやぶ~お仕事は神様の警護と道案内

2022年12月19日~2022年12月25日放送 
中国放送 RCCフロンティア 森下 朋之

【番組概要】
広島県呉地区の秋祭りに出没する「やぶ」。山に囲まれた狭い地域の中で、怖がられる存在だったり、憧れる存在だったり。姿・格好は鬼のようで、シャープな鬼とは違う肉厚の「やぶ」らしいといわれる面に着物、しめ縄のたすき姿。ヒーロー的に強いあこがれを持つ人たちも多いです。ただ、この「やぶ」、いろんなことが、地域によってちょっとづつ違います。基本的に地元の「やぶ」しか、見て過ごしていないがゆえに他の地域の「やぶ」を見ると違和感しか抱かない状態になるという面白い状況に。
SNSなどの発達でうちの「やぶ」によその「やぶ」の影響が出始めている中、昔ながらのお祭りを丁寧にやっている場所もあります。その八咫烏神社の俵神輿を氏子が神社に奉納する神事・俵もみの様子を取材。力と力のぶつかり合い。次世代を担う子供たちにも、当たり前のように、うちの「やぶ」が育っている、その息吹をお届けします。

【制作意図】
9月下旬から11月23日までの呉の秋祭りで「やぶ」という怖い存在がいるというのを知ったのが取材のきっかけ。なんでも、竹棒や綱で子供をバンバン叩いたり、追っかけまわしたりするそうで。今どきそんな怖いものがいるのか?と思い、ふたを開けてみれば収拾がつかないほど様々な「やぶ」の宝庫。怖い「やぶ」はある地域に実際に存在してましたが、他にも強いあこがれやヒーロー的な存在となっている地域もありました。神様の使いで基本的な衣装の共通点はあるものの細部は実に多種多様。そして、多様性がありながら、しかも、よそを認めない貧境なローカリズム。どこの地域でも、うちのやぶがナンバーワンで、実は地元の人も気づいてないけどオンリーワン。しかも、それを競うわけでもなく。そして、コロナ禍でお祭りが派手な部分だけを残したり、よそから「やぶ」を輸入して来たり、フェス化したりする状況も。長期の取材の中で地元にある、この変わらないことが、かっこいい、大切にしないといけないという文化を守ろうとする地域に出会えました。呉地域の人が愛してやまない「うちのやぶ」に興味をもってもらえればと思い、制作しました。

【制作後記】
広島の隣町に、こんなにも多様性と地域的性格がある「やぶ」がいるとは思っていもいませんでした。週末には集中してお祭りが行われるため、どこの神社にいって音をとるか、また、「やぶ」は神社の管理ではなく、基本的に地元の青年団の管理。しかも天気やコロナの状況で当日・直前に内容が短縮されたり、中止されたりで、「やぶ」の音になかなか出会えませんでした。また、お囃子一つとっても同じものがないです。その地域ならではのお囃子などが楽しめます。また「俵もみ」なる神事は、お祭りの大きな見どころの一つ。大人の力と力のぶつかり合いを、録音のためということで、最前列にいることが出来ましたが、息をのむほどの迫力に、気がつけば自分もすっかり「やぶ」に魅せられてしまっていました。ひとくちに「やぶ」と説明できない「やぶ」を伝えられたらと思っています。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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