2003年12月 1日 (月)

エイサーでつながる 地域・世代・シマへの思い~兵庫県高松地区

AM神戸 報道制作部 西口 正史

兵庫県における“琉球狐”出身者の町といえば、尼崎か長田が有名だが、宝塚市・高松町もその1つ。わずか10分で1周できてしまう狭い範囲に、金城、渡嘉敷、糸数といった沖縄ゆかりの名前の表札を掲げた家が林立している。

その様子は、まさに高松の人々が“肩を寄せ合って生きてきた”ことを表しているように私には思えた。そんな高松町も近年、地域のつながりが薄まってきているという。

今回の取材では、エイサーという沖縄の風習(先祖供養のための踊り)を通して、地域のつながりを再構築しようとしているエイサーの団体・レキオにスポットをあててみた。

浮かび上がってきたのは、懐かしい故郷(シマ)での記憶をエイサーに重ねる沖縄1世と、エイサーを通じて自らの中の沖縄を発見しようとしている2世、3世の姿であった。

なお、本編において取り上げることはできなかったが、数年後には区画整理により、高松地区が“なくなる”という。高松の歴史、そして今後についてこれからも追いかけていきたい。

2003年11月24日 (月)

らっくり 瞽女唄

新潟放送 ラジオ制作部 高橋 京子

瞽女唄の魅力を後世に伝えようと、越後瞽女、小林ハルさん(103才胎内やすらぎの家在住)に師事し瞽女唄の伝承に努めた竹下玲子さんの「瞽女唄教室」に9年前に入門、現在6人で活動中の新潟市の金子真由さん(49才)は、2年前から新潟市を中心に単独で「らっくり瞽女唄」の活動をしている。

11月8日、旭稲荷神社を会場に、町内会の人々に呼ばれた金子さんは、和気あいあいとしたムードの中、瞽女さんの話や唄の説明をしながら、門付け唄や祭文松坂葛の葉子別れの段その3段を披露した。

始まる前、10人位かな?といっていた金子さんのもとには、なんと40代から92才の男女17人が集い、なつかしさのあまり涙する人もいた。

瞽女唄は親子の愛情や心のひだを題材にするものが多く、心がすさむ事件が多い現代に瞽女唄の魅力とそれを伝えたいという金子さんの思いが感じられた。

2003年11月17日 (月)

沖縄ボーリングカルチャー

琉球放送 ラジオ制作部 狩俣 倫太郎

ボクシングやゴルフなど何かとスポーツがさかんな沖縄。実はボーリングもかなり人気が高いスポーツという事実がある。

平成13年のデータで言うと県民1人あたり、年間ボーリングのゲーム回数が4.1ゲームこれは全国平均の1.7ゲームの2倍以上です。

この数字に着目して、何故こんなにボーリングが人気なのかを沖縄人の気質や、アメリカ統治下の様子なども含めながら紹介する。

これは沖縄の新しいカルチャーと言っていいでしょう。

2003年11月10日 (月)

受け継がれるワイン文化

山梨放送 編成局ラジオ制作部 依田 司

1870年日本で初めてワインの醸造が山梨で行われました。その歴史の中、古くから農家が共同でワイナリーを運営する協同組合(ブロック)が多く組織されましたが、近年減少しています。

この風物誌はなくなりかけたワイナリーを引き継いだ若い醸造家夫婦のお話です。地域に残るワイン文化を残しながら自分たちのワインを目指します。

私は山梨県に生まれ育ちましたが、取材を通し、甲府盆地東部、勝沼を中心とするワイン文化の根強さをあらためて知りました。
また発酵音にも驚きました。

2003年11月 3日 (月)

自宅の庭に建てた郷土芸能伝承館

IBC岩手放送 報道制作局制作部 関野 俊彦

東北5大まつりのひとつ「盛岡さんさ踊り」は、毎年8月1日から3日間、5000の太鼓、700本の笛、37000人の踊り手が盛岡市中央通をパレードします。

このさんさ踊りの笛や太鼓をはじめとした郷土芸能を子供たちに親しんでもらおうと、自宅の隣に郷土芸能の稽古場を建ててしまった学校の先生がいます。

岩手県紫波郡矢巾町の遊佐齊(ゆさひとし)さんで、建物の名前は「郷土芸能伝承館さんさの館」と呼びます。
 
遊佐さんの熱心な指導風景をお送りします。

2003年10月27日 (月)

白壁の町の大道芸人

山口放送 ラジオ編制部 高田 知太郎

山口県南東部に位置する柳井市の観光名所「白壁の町並み」は、江戸時代の商人たちの家が立ち並ぶ古い町並みです。

三島好雄さん(47才)は、この白壁の町で、観光客に向けて大道芸を披露しています。本業は地元の新聞記者である三島さんが大道芸を始めたのは11年前。

芸名・風鈴亭独楽助を襲名してから10年が経ちました。この間、小学生の弟子をもうけ、仲間も増えました。この秋からは、毎週日曜日に白壁の町での定期公演を開催するなど活動を広げています。

2003年10月20日 (月)

山上の小宇宙に響く声明

和歌山放送 制作センター 中村 和哉

真言密教の聖地 高野山は平成16年6月の世界遺産登録に向け、様々な取り組みが行われています。

その一つとして9月13日、「2003祈りの徑・山上の小宇宙~いにしえの薫りと千年の祈りに出逢う」が高野山壇上伽藍 根本大塔前などで開催されました。

プログラムは高野文化を紹介する「高野山学」と声明を中心とする「高野楽」で構成され、「高野楽」ではオーケストラとシンセサイザーとのコラボレ-ションにより創られた声明のコンサートが企画されました。

声明は日本音楽の基礎であり、謡曲や民謡に大きな影響を及ぼしたと言われていますが、人の心を癒す音楽として、最近特に注目度が高く、高野山声明の会が行うコンサートにも多くの人が足を運んでいます。

本来仏教音楽である声明は、一般の人々の耳に触れる機会は多くありませんでしたが、高野山の人々によりイベントでの演奏も行われるようになりました。

日本人の心の響きともいえる声明で、やすらぎを感じていただければと思います。

2003年10月13日 (月)

民話と水の恵み

ラジオ福島 編成制作局放送報道部 深野 健司

福島県では平成13年にジャパンエキスポ「うつくしま未来博」が開かれました。

県内の語り部が民話を披露する「からくり民話茶屋」が大好評でした。その「からくり民話茶屋」で活躍した1人が後藤みずほさんです。

後藤さんは地元大玉村に「森の民話茶屋」を作りました。そこには後藤さんが伝えたい自然と伝説がありました。

番組では、後藤さんの語りを紹介すると共に、後藤さんの語りの背景にある安達太良の豊かな水にスポットをあて、「民話と水の恵み」を伝えます。

2003年9月15日 (月)

声の教科書・朗読人生半世紀

四国放送 ラジオ局編成制作部 大野 逸次

徳島市内に住む平岡実さん(70)は、仕事の傍ら、50年もの長きにわたって、小説や教科書などの朗読奉仕を続けています。

視覚障害者や、お年寄り、そして子供たちのために、朗読会を開き、多い年には年間100時間以上のテープを録音してきたという平岡さんのもとに、近頃、「朗読を学びたい」という人が集まり始めました。

平岡さんの朗読に賭ける思い、そしていまだ衰えぬその情熱を、名人芸とも言える朗読とともにお送りします。

2003年9月 8日 (月)

取り戻そう! おばあちゃんたちの井戸端会議

福井放送 ラジオセンター 佐藤 正幸

城下町として栄えた古くからの町並みが今も残り、静かな和風情緒に満ちた町として知られる福井県大野市。

中心部から少し離れた所にある「御清水」(おしょうず)と呼ばれるわき水は、環境庁の名水百選に選ばれたこともあり、市民の憩いの場として親しまれてきた。

今年7月、この大野市で全国でも珍しい取り組みが始まった。市民の自宅を開放してもらい、一人暮らしや、家に引きこもりがちなおばあちゃんたちの交流の場を作ろうという「自宅開放交流事業」。

このきっかけをつくったのは泉洋子さんという1人の女性。泉さんはかって「御清水」と同じようなわき水の周りで、おばあちゃんたちが井戸端会議を楽しそうに開いていたことをよく覚えていた。

泉さんの想いと、泉さんのもとに集まる十数人のおばあちゃんたちの声を通して、井戸端会議を取り戻すことの大切さを伝えたい。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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