2003年9月 1日 (月)

夏を詠む音・三十一文字

信越放送 ラジオ局制作部 西沢 修

四季の移り変わりに富む日本ではその時季、時季の音があり、これまでにも多くの風物誌が人々の耳を楽しませてきました。

今回、制作を担当することになった夏のこの時期も、涼しげな音や、暑さを伝える音など沢山あるのですが、そうした夏のモチーフを詠み込んで歌う「短歌教室」も、立派な「季節の音」なのではないか?

そう思ってマイクを携えてお邪魔してきた次第です。参加者たちが短歌の三十一文字に託して歌い上げた夏への思いは、それそのものが季節の宴として、地元の風物誌になりつつあるようです。

2003年8月25日 (月)

新北上川のヨシ原と共に生きる

東北放送 ラジオ局制作部 長瀬 直之

宮城県南三陸国定公園の北に位置する追波(おっぱ)湾、その北上町と河北町にはさまれた新北上町の河口から、上流およそ10Kmほどの河辺には、日本でも有数のヨシ原が広がっています。

この土地に生まれ育った熊谷貞好さんは、このヨシ原と共に生きてきました。ヨシを材料に屋根をふく仕事を続けて今年55年。

年々縮小してゆくヨシ原を憂いながらも、このヨシ原を後世に何とか残したいという思いが彼を動かします。

水の浄化作用もあるといわれるヨシ原が、今後も人々の生活を支え、川に生きる生き物の安住の地となることを願いながら、彼は日々暮らします。

2003年8月18日 (月)

伝統の力 白峰ハイヤと中学生

北陸放送 ラジオ局放送部 小林 万希子

冬になると雪が1メートルは簡単に積もる、石川県の山間にある豪雪地帯 白峰村で、古くから守り伝えられてきた伝統芸能にスポットを当ててみました。

どちらかというと“かんこ踊り”の方が代表的なのですが、現在中学生に毎年教えられている“白峰ハイヤ”を中心に取材・構成しました。

中学生たちは、意外に積極的で、何よりもその表情がとてもいきいきと輝いていました。
ちなみに“かんこ踊り”とは、たたく太鼓の呼び名が“かっこ”であるということや、虫除けに腰からぶらさげていたかがり火が“かんこ”であるということ、そして 泰澄大師をお迎えしたことが“神楽”であるという3つのいわれがあり、これもほんとうのところは定かではありません。

2003年8月11日 (月)

食べて美味しい西米良ホオズキの夏

宮崎放送 ラジオ制作部 渡辺 康晃

宮崎県西米良村のホオズキは、7月中旬から8月中旬にかけて生産のピークを迎えます。S63年から本格的に生産を始めた西米良産のホオズキは、昼夜温度差のある好条件に恵まれ、毎年大きな実を付けます。

今では生産5万本と県内では最高の生産量です。最近ではツヤのある実を「食用」として利用しようと村おこしに精を出しています。番組ではホオズキ生産者の浜砂典子さんと役場の協力を得て、「西米良村・夏の風物」の美味しい魅力を描きます。

2003年8月 4日 (月)

朝日温泉の名物おばあちゃん

西日本放送 ラジオ放送部 片岡 三佐子

香川県でも銭湯の数は減ってきています。残っている銭湯も改装し、色々な施設やお風呂が併設されるようになりました。

そんな中、昔ながらの銭湯を守っている大野ハル子さんは、今年91才。おそらく香川県内、番台に座っている方の中では最高齢になります。7、8才のころから家業の手伝いをしていたということで、色々ご苦労もあったようですが、いつもにこにこして穏やかなハル子さん。その人柄か、50年以上も通ってくるお客さんも少なくありません。

そんなハル子さんの人柄や、皆が楽しみに通ってくる朝日温泉の様子が少しでも紹介できればと思います。

2003年7月28日 (月)

遊覧船にかける夢

長崎放送 放送制作部 三輪 准子

長崎県の九十九島を巡る遊覧船「パールクイーン」の船長を目指す赤石茂美さん(25歳)が、先輩の船長から訓練を受け、一人立ちするまでを取材したものです。

小さい頃から海が大好きな赤石さんの夢は、船乗りになることでした。そして中学卒業後は、山口県の「国立大島商船」に進学し、女性では数少ない「3級海技士」の免許を取得しました。

九十九島は、佐世保港から平戸瀬戸まで連なっており、島の密度は日本一といわれています。真近で九十九島を見ることができる遊覧コースは、操船する船長にとっては、岩場と浅瀬に注意しながらの航行となり、とても難しい所です。

その遊覧船「パールクィ-ン」に初めての女性船長が誕生するということで、地元では話題になっています。

2003年7月21日 (月)

曲げわっぱ 木のぬくもりに足跡を

秋田放送 ラジオ局ラジオ放送部 新井 八月

同じ木を取り扱う仕事でも、前の仕事は営林局。友達の何気ない一言「儲からないけど、何百年も続いてんだぞ!」という言葉に曲げわっぱの世界に飛び込みます。

奥さんに多大な苦労をかけながらも今まで30年どうにか続けることができました。幸い、伝統工芸につきものの、後継ぎの問題は息子がいます。後は、後世に、自分を生かしてきた証の「曲げわっぱ」という足跡をどうにかして残していきたい。取材をしていると、柴田さんの、そんな思いが胸に響きます。

工場には、何百年も前の曲げわっぱから、海外のものまでたくさんの作品が展示してありました。

2003年7月14日 (月)

みしま風鈴の引き売り

静岡放送 ラジオ局ラジオ制作部 篠宮 康彰

静岡県三島市で陶器店を営む関ね久雄さん(38)は、夏が近づいてくると風鈴の引き売りをします。

腹掛け、股引きに半纏を羽織り、麦わら帽子をかぶって、風鈴をつる下げた屋台仕掛けのリヤカーを引きます。

 売り歩く風鈴は全て関根さんの手作りです。
関根さんは自らの風鈴に「みしま風鈴」という名前を付けました。北に富士山を仰ぎ、伊豆の玄関口にあたる三島市。

関根さんの「みしま風鈴」には、ふるさと三島への思いがこめられています。

2003年6月30日 (月)

童謡に限りない夢を託して

熊本放送 ラジオ局 原武 博之

童謡を歌い続けて30数年。歌手、大庭照子さんは「スクールコンサート」を通して童謡・唱歌の持つパワーを痛感しました。そして、童謡は、子どものためだけでなく高齢者や、障害を持つ人たちに「生きる活力」を与えることに気づきました。

RKK熊本放送のロビーでは、大庭照子さんが館長をしている日本国際童謡館の協力で、毎月1回「RKKランチタイム童謡コンサート」を開催しています。2001年10月から数えて、今年6月で18回を数えます。

およそ120席の会場は毎回満席となりデイサーイスのお年寄りも今はすっかりご常連。そして今年3月「大庭照子と行く童謡ツアー」が企画され、一行35人は、ホノルルの老人ホームを訪問したり、日系人の人たちとの童謡コンサートでの交流を行いました。

10年を迎える「日本国際童謡館」大庭さんの夢は限りなく膨らんでいきます。

2003年6月23日 (月)

自然と共に生きる! ホエールウォッチング

高知放送 編成報道局報道センター 中澤 誠

沿岸漁業の不振などを背景に、14年前に始まった土佐湾での「ホエール・ウォッチング」は、地域も広がり、すっかり定着した感があります。中でも、最も早く始めた大方町のこだわりと今後の展望にスポットをあてました。

県内で最も規模が大きく、船の数も多いのですが、8年前をピークに船の数も、乗船客数も減りつづけています。ライバルも増え、厳しい中にもかかわらず、独自のスタイルにこだわっています。

ウォッチング客の歓声などを通して、ホエール・ウォッチングの楽しさが伝わればと思っています。

取材の際(6/8日)、乗り合わせた団体客は、埼玉からの合唱団のグループで、鯨に遭った時には、感動のあまり即席の替え歌も飛び出すほどで、楽しいツアーとなりました。
鯨もかなり船の近くで見えてラッキーでした。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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