2004年9月13日 (月)

広島の行商・小イワシ細腕繁盛記

中国放送 RCCフロンティア 角 賢直

広島の街角に立ち、小イワシをはじめとした瀬戸内の魚を売る女性。中尾静子さん(84才)は小イワシの行商一筋50年の大ベテランです。

小イワシとは、一般にいうカタクチイワシのことで、広島では昔から刺身や天ぷらにして食べます。

明治43年には、広島に200人以上いた小イワシの行商人も、今では中尾さんを含めて2人だけになってしまいました。

リヤカーを押して歩く中尾さんの「イワシはいりませんか~?」という呼び込みの声は、昔から変わらない広島の音のひとつです。

「もう、あっちこっち痛いんよ。」という中尾さんですが、リアカーを押して歩くスピードは年齢を感じません。しかも取材のあった8月は連日の猛暑。

この元気が行商を50年も続けられた理由なのかもしれないと感じました。

2004年9月 6日 (月)

情熱! 私たちの桜島焼

南日本放送 ラジオ制作部 冨山 貴司

鹿児島県、錦江湾に浮かぶ桜島。その麓にある窯元、桜岳陶芸(おうがくとうげい)では“桜島焼”という珍しい焼き物を作っています。その特徴は、

①桜島の火山灰を粘土に混ぜ合わせる。
②温泉水から鉄分を抽出して、その鉄分を釉薬(ゆうやく)に使う。(※釉薬(うわ薬)は、焼物を丈夫にして水漏れを防ぎ、器に色をつける役割がある)

出来上がった皿や茶碗は、光沢のある灰色や銀色という独特の色合いでとても丈夫です。

桜岳陶芸で始まった“桜島焼”の歴史は30年ほどで、現在陶芸師は女性のみ。工場は明るく活気があり、作品にも自由な発想と繊細な感性が活かされています。
工場隣の販売店は観光客や地元の方々で賑わっていました。

2004年8月30日 (月)

宇治川に吹く新風~女性鵜匠

京都放送 ラジオ制作部 坂下 かつ子

世襲制が多い鵜匠の世界に、「鳥が好き」という思いだけで飛び込んだ沢木さん。

まったく何も知らないゼロからのスタートで身につけた。本人はいかにもさらっと話すが、きっと人一倍努力したに違いない。そんな一面が少しでも出せればと思い制作しました。

ベテラン鵜匠さんたちは、「海の男」っぽくて(この場合は川の男ですが…。)気は荒いけどやさしいお酒飲みという感じで、私もさっそく洗礼をうけました。

2004年8月23日 (月)

日田の鵜飼と伝統漁法を受け継ぐ鵜匠の姿

大分放送 ラジオ編成制作部 青山 松嗣

大分県日田市の中心部を流れる三隅川では、鮎の解禁と同じ時期に鵜飼漁がはじまり、日田市の夏の風物詩となっています。

シーズン中(毎年5月20日~10月31日)は、三隅川に浮かんだ屋形船の間をぬって行われています。

400年の伝統があるといわれている日田の鵜飼は、以前は七人ほど鵜匠がいたが、今では3人となっています。その中の1人、西尾昭吾さんに話を伺いました。

・今回の取材では、実際に鵜飼漁を行っている舟に同行することができ、番組では、その臨場感をお伝えします。

2004年8月16日 (月)

山形鋳物~変わるもの 変わらないもの

山形放送 ラジオセンター 志田 陽子

900年の伝統を持つ山形鋳物。
全ての作業工程を工場でやるスタイルになってから30余年。工場の数は減ってきている。

「鋳心の工房」の増田さんは、山形市銅町に工房を持ち、主にデザイン・型作りを手がけ、後の工程は他の職人に任せる分業のスタイルをとっている。

「産地として鋳物に関わる人皆で生き残るためと、得意な分野に時間を使って、より良いものを作るため」という。風鈴、鍋、ポットと斬新なデザインの生活用品を次々と作り出す増田さん。

「伝統工芸とは、昔のものをそのまま作り続けるのではなく、その時代の人たちに多く使ってもらって新しい伝統になっていくもの」という。

その思いは、地元の町みこしへの協力、商店街の街灯製作などや、ヨーロッパ、アメリカへの輸出まで広がっている。

伝統を守り、伝えていくために自分のスタイルを変える、そんな増田さんのたくましい姿勢、山形鋳物への愛情を感じる取材であった。

2004年8月 9日 (月)

ウミガメの故郷・恋の浦海岸

RKB毎日放送 ラジオ局ラジオ制作部 永渕 秀昭

福岡県の玄界灘を臨む粕屋郡津屋崎町の海岸は昔からウミガメの産卵地として、知られている。今年も又夏の産卵シーズンがやってきて、一匹でも多くの親亀が沢山の子亀を生んで無事海に戻っていくよう、町をあげて注目している。

特に今年の秋11月12日から3日間は津屋崎町で「日本ウミガメ会議」が開催される予定で、実行委員会では会議の成功を祈り、地元を上げて故郷の自然を守る活動行うウミガメサポート隊を発足させた。

そんな地元の人々のウミガメ及び故郷の自然を守る熱い気持ちを描く。

〔内容概要〕
あの浦島太郎を乗せたカメが、時を経て津屋崎の海岸にやってきて、地元の人々のウミガメを守る活動について話を聞く~という形で構成。後半は地元で創られたウミガメの童話を紹介。

声のウミガメ役のタレントさんを現場に連れて行き、ウミガメの気持ちになって演じてもらった。又海の音も現場で録音した。

2004年8月 2日 (月)

日本にエール! 野球拳

南海放送 ラジオセンター 柳田 さやか

夏の松山まつりで毎年暑く盛り上がる野球拳を、地元の人はもちろん、全国の皆さんにもっと知って欲しいと思い、制作しました。

野球拳は、全国的には“じゃんけんで負けた人が衣類を1枚づつ脱いでいくもの”というイメージが強いようですが、正当野球拳を伝える本家野球拳家元の澤田剛年さんのお話で、野球拳に秘められた想いが明らかになります。

また、野球拳をより身近により自由に楽しめる「野球サンバ」の魅力にも迫るべく、松山まつりで野球サンバを踊るチームの“練習風景”や“意気込み”をお伝えします。

取材に行った私も、実際に練習に参加してみました。普段運動不足のため、一曲踊っただけで疲れてしまいましたが、それでも心が弾んで笑顔がこぼれる楽しみがありました。

松山が誇る野球拳の、熱気と活気を感じてください。

2004年7月26日 (月)

名水洗い場憩いの清水(しょうず)

北日本放送 報道制作局 アナウンス部 佐藤 栄治

富山県内には環境省が認定した名水百選が4箇所あります。
そのうちの一つ県東部を流れる黒部川が作り出した扇状地に湧き出る湧水群は昔から人々の生活に根ざした水です。

その中で、今も人々が毎日集う黒部市の海沿いの町、生地(いくじ)町内に18ヶ所ある清水(地元の人はしょうずと呼ぶ)の一つで、共同洗い場にもなっている清水庵を訪ねました。

ここはその昔、奥の細道の松尾芭蕉がこんこんと湧き出る清水を見て清水庵と命名したと言い伝えがあるほど、古くから地元の人々に大切に守られ親しまれた清水です。

最近では全自動洗濯機が普及しているので、「ひょっとしたらもう共同洗い場で洗濯をする人はいないのではないか。」と思い、早速、清水の近所の人に連絡をとってみると、「今でも毎日沢山の人が来ているよ」という返事が帰ってきたので、取材に伺うことにしました。

すると現地では午前中、ひっきりなしに人々がこの清水にやってくるのです。通りがかりの人が、一口水を飲みにくる。お茶用の水を汲みに来る。洗濯の仕上げをしにやってくる。

ペットボトルに入れた麦茶を冷やしに来る。様々な人が集まります。そして、みんな決まって長話し、井戸端ならぬ清水端会議がにぎやかに進められる、町の中のオアシスなのです。

番組ではその臨場感をたっぷりとお伝えします。

2004年7月19日 (月)

米子の下町探訪

山陰放送 放送制作部 岡空 陽介

「鳥取県米子市」と聞いてどんな街を思い浮かべるでしょうか?
一般的には「商都」「山陰の大阪」とも呼ばれた商業の街と紹介されることが多い「米子」。

中心市街地は車が行き交い、百貨店などが立ち並ぶごく普通の地方都市風景ですが、そこからちょっと外れたところに江戸末期~明治時代の風情を残す町並みがあることを、ご存知でしょうか?

今回は、そんな米子の下町の味のある音や声を散りばめ、その町の雰囲気がじんわりと感じられるようなものになるようにという思いで制作しました。

地元の人でも実はあまり知らない米子の味を少しでも感じられたでしょうか?

2004年7月12日 (月)

姫路・灘のけんか祭り

ラジオ関西 報道制作部 田守 正和

姫路はなんといっても「祭り」。年に一度しか開かれない地区の秋祭りにすべてのエネルギーを注ぎ込む。

小さいころから自分の生まれ育った地区の祭りに参加しながら郷土愛を育み、立派な大人になって行く。

大人も子供も自分の屋台(おみこし)を一番と信じて、「ヨーイヤサー」の掛け声のもと、一つになって屋台をかつぎ練り歩く。姫路の人には「祭り」こそがすべてなのだ。

うわさでは、ある飲食店の店長が、店のバイトの少年から「祭りに出たいのでバイトを休ませて欲しい」と申し出られ、
「祭りなんかで…」と断ったところ、翌日、父兄や町内の有力者たちが一斉に店に押しかけ「祭りなのに、なんで休ませないんだ?!」と、
店長に詰め寄り、驚いた店長はあわてて少年に休むように言ったという…。

これほどまでに愛されている秋祭りが日本全国どこにあるだろうか?これほどまでに郷土を愛している人たちがいるだろうか?
それらがこの一言にこめられている。
 
「ヨーイヤサー」

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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