名水洗い場憩いの清水(しょうず)
北日本放送 報道制作局 アナウンス部 佐藤 栄治
富山県内には環境省が認定した名水百選が4箇所あります。
そのうちの一つ県東部を流れる黒部川が作り出した扇状地に湧き出る湧水群は昔から人々の生活に根ざした水です。
その中で、今も人々が毎日集う黒部市の海沿いの町、生地(いくじ)町内に18ヶ所ある清水(地元の人はしょうずと呼ぶ)の一つで、共同洗い場にもなっている清水庵を訪ねました。
ここはその昔、奥の細道の松尾芭蕉がこんこんと湧き出る清水を見て清水庵と命名したと言い伝えがあるほど、古くから地元の人々に大切に守られ親しまれた清水です。
最近では全自動洗濯機が普及しているので、「ひょっとしたらもう共同洗い場で洗濯をする人はいないのではないか。」と思い、早速、清水の近所の人に連絡をとってみると、「今でも毎日沢山の人が来ているよ」という返事が帰ってきたので、取材に伺うことにしました。
すると現地では午前中、ひっきりなしに人々がこの清水にやってくるのです。通りがかりの人が、一口水を飲みにくる。お茶用の水を汲みに来る。洗濯の仕上げをしにやってくる。
ペットボトルに入れた麦茶を冷やしに来る。様々な人が集まります。そして、みんな決まって長話し、井戸端ならぬ清水端会議がにぎやかに進められる、町の中のオアシスなのです。
番組ではその臨場感をたっぷりとお伝えします。