2013年7月 1日 (月)

ヨッチョレで人の輪つなげて~よさこい祭り60年~

2013年7月1日~7月7日放送
高知放送 報道制作局 ラジオセンター 村山 佐織


【番組概要】
南国土佐の真夏の祭典「よさこい祭り」は、今年で60回。
8月の本番を前に、観光客らによさこいの雰囲気に触れてもらおうと、5月から7月の毎週日曜日、高知市の商店街アーケードで代表チームによる「まちなかよさこい」が開かれています。
「まちなかよさこい」の中心的存在が、第1回から「よさこい祭り」本祭に連続出場している、地元「帯屋町商店街」のチーム【帯屋町筋】。よさこいを通して商店街を盛り上げるため、「まちなかよさこい」でも本番さながらに情熱的な踊りを披露しています。
番組では、【帯屋町筋】チームの運営にかかわってきた商店主たちに、よさこいの思い出や、60年目の祭りにかける思いを取材。『ヨッチョレ』(土佐弁で「脇に寄っていろ」の意)の掛け声で、むしろ多くの人の輪をつないでいる「よさこい」の魅力をお伝えしたいと思います。

【制作意図】
“自由民権発祥の地”土佐が生んだ「よさこい祭り」は、よさこい節のメロディーさえ取り入れていれば、音楽もアレンジ自由、衣装も振り付けも制約はありません。
その枠にとらわれない魅力で、いまや全国に「YOSAKOI」と名のつく祭りが広がっていますが、多くの人に愛されて『進化』を遂げてきた元祖・高知の「よさこい祭り」を、60回の節目でぜひ取り上げたいと企画しました。

【制作後記】
【帯屋町筋】の皆さんに取材をしていると、代々受け継いできた商店街への愛着と「よさこい」への情熱が伝わってきます。「第1回よさこい祭り」はちょうど高知放送開局の頃で、当時の録音が残されており、改めて聞いてみると60年前にタイムスリップするようです。
今回、踊りの迫力を「音」で伝えられればと「まちなかよさこい」会場のアーケードに何度も通いました。音楽と鳴子の音が反響するのに苦労しましたが、この踊り子との近さが「よさこい」。本番の熱気の一端を感じて下さい。

2013年6月27日 (木)

もう一つの灘の酒

2013年6月24日~6月30日放送
ラジオ関西 放送制作部 井上正之助


【番組概要】
日本酒と云えば灘の酒所として神戸・東灘界隈の造り酒屋が全国に知れ渡っています。ところが、神戸の隣町、明石の西部地区も「灘」と呼ばれ、江戸時代初頭から良き湧き水と播磨平野の良質のお米によって灘の酒として名声を博していました。今この造り酒屋では海外からも見学者が訪れ、今人気のシングル・モルト・ウイスキーはフランス、オーストラリア、香港などに輸出されている。日本酒は秋冬に、焼酎は春先、今はシングル・モルト・ウイスキー造りが始まっている。

【制作意図】
ベンチャー企業、これは今に始まったことではなく各地で古くから起業家たちが努力を重ねてきた。その中にはすでに消えていった企業もあるが、ここに登場するのは江戸時代に端を発し、小さな所帯ながら日本酒、焼酎、ウイスキー、ワインの総合酒類メーカーとして発展させている。製造量は増やさずに時代を乗り切っている。ネット通販にも取り組んでいる様子など、これからの活路を聞いてみたい。

【制作後記】
社長は技術屋さん、それにジャズの演奏が趣味。笑顔いっぱいでのお話楽しいひとときでした。取材は外国からの見学者が来られる日に合わせオーストラリアからのウィスキーバーの若い経営者ご夫婦とバイヤーさん、酒造りにはモーツァルトとか所々固有名詞でしゃべっている中身を想像。そのためか、こちらではジャズの生演奏をウィスキーの樽のそば、テイスティング・ルームで聞かせるとか。外国での人気が嬉しかった。

 

2013年6月18日 (火)

過去と未来をつなぐ糸

2013年6月17日~6月23日放送
北日本放送 報道制作局報道制作部(ラジオ) 熊野智元


【番組概要】
富山県西部、南砺市城端で毎年5月に開かれる「城端曳山祭り」。この祭りは、この城端で440年続く「絹織物」によって育まれ、かつての交易先だった京都・江戸の文化を色濃く残しています。しかしいま、城端の絹織物は衰退の一途を辿り、大正時代に25軒あった機屋もいまは3軒を残すのみ。その中の1軒、松井機業(まついきぎょう)は136年続く老舗機屋で、「絓絹(しけぎぬ)」という特別な絹を織っています。この会社の六代目が、松井家の三女、28歳の紀子さん。
五代目の父の下、お世辞にも楽観できない状態の中、決して下を向かず、絓絹の新しい可能性と、新たな販路を精力的に開拓する彼女の姿を追いました。

【制作意図】
父と子、先達と後進、過去と未来。この街は、無数のつながりの「糸」で織りあがっている。ある父と子の「いま」を垣間見ることで、この街で絹織物が織られてきた440年の時間を、「伝統」や「歴史」というただの「言葉」ではなく、もっと血の通った、過去にこの街で生きていた人々の「人生の連続」として描きたいと思いました。この松井家のような「伝承と変化」が、いつの時代にもきっと起きていて、そのひとつひとつが積み重なったものが、結果的に440年という時間になったんだと思うのです。

【制作後記】
松井紀子さんは、現在独身。ご両親からは「嫁に行ってもいいが、会社は残してくれ」と言われているそうです。紀子さん本人も「会社に通える範囲なら…」ということ。私自身も、父の文一(くにかず)さんには取材中に、唐突に「あんた、独身け?」と聞かれ、この事案が松井家にとって切実な問題であることが伺えます。ちなみに大変雪深い地域のため、夫の条件に「雪かきができる」は外せず、自分の絓絹で作ったドレスで式を挙げることが、目下の紀子さんの夢です。

2013年6月10日 (月)

愛知のパナマ運河”に響く鐘 ~愛西市、船頭平閘門(せんどうひらこうもん)

2013年6月10日~6月16日放送
東海ラジオ放送 制作局制作部 北 敏明

【番組概要】
閘門とは水位の異なる河川の間で、その水位を調整して船を通行させるための施設。“パナマ運河”がその代表例です。船頭平閘門は明治期に木曽川と長良川を繋ぐ水路つくる際、両河川の水位が違うことからつくられました。2000年には重要文化財に指定されています。 通行しようとする船は、予約も必要とせず、自由に通ることができます。 船が来たことを知らせるのは、門の上に取り付けられた鐘。 鐘の音をはじめ、門の開閉音、通過する船舶など背景の音を交えて閘門のしくみを紹介する他、作業員の心意気をお伝えします。

【制作意図】
 かつて木曽川、長良川、揖斐川のいわゆる木曽三川は下流にあたるこの地域で複雑に合流していました。このため水運が栄える一方で、頻繁に洪水の被害に遭ってきました。その対策として明治期にこの三つの川を分流する工事が行われたことは広く知られていますが、その中でこのような施設がつくられたことはそれほど知られていません。携帯電話が普及した現代でも鐘の音で開閉を知らせることに惹かれ、文化財でありながら今も機能しているこの閘門を知っていただければと思い取材しました。

【制作後記】
 予約がないということは、いつ船が通過するかわからないということで、天気のよい休日に1往復する観光船を頼りにゴールデンウィーク期間での収録となりました。準備から3日目、収録ができたこの日は晴天に恵まれた絶好の行楽日和で、おだやかな川のように時間がゆっくり流れているようでした。

2013年5月31日 (金)

燃えよ剣!平成25年の土方歳三

2013年6月3日~6月9日放送
北海道放送 ラジオ局編成業務部 榊原満

【番組概要】

毎年5月に函館で行われる五稜郭祭。そのメインイベントが「土方歳三コンテスト全国大会」である。
今年5月18日、全国から土方に心酔するファン17組が参加して繰り広げられた。番組では今や函館の風物誌となったこのコンテストを伝える。

【制作意図】
今から一世紀半前、函館で戦史した「ラスト侍」土方歳三。
未だに老若男女多くの日本人の心を捉えて離さない彼の魅力をコンテストを通じて紹介する。

【制作後記】
取材のため、新撰組資料を調べるうちにすっかり魅了されてしまいました。来年はコンテスト参加を考えています。

時を超え、心に響く古時計の音色

2013年5月27日~6月2日放送
山梨放送 ラジオ本部ラジオ制作部 石川治

【番組概要】
山梨県山梨市にある藤原時計店。創業1856年の老舗の時計店です。
こちらでは現在販売中の時計の他に、年代物の貴重な時計もたくさん保管されています。江戸時代、文字盤に干支が刻まれた和時計や、高さ2メートル以上もあるアメリカ製の時計、さらには中国・清の時代の時計など。時計の構造を見ることで時代の変遷を知ることができます。
四代目の藤原義久さん(30歳)を始め国家検定の時計職人がいるこちらのお店には、年間1000件以上の古時計の修理依頼があります。「使い捨て」などと言われる現代ですが古時計に込められた持ち主の思いが伝わってきます。

【制作意図】
「大量消費」「使い捨て」などと言われる現代社会。時計も安価なものがたくさんあります。そんな中、藤原時計店には年間1000件も壊れた時計の修理依頼があります。持ち主一人一人の時計に込められた特別な思いを大切にしようとするお店の姿勢を伝えたいと今回企画しました。また、普段目にすることも聞くこともない、貴重な年代物の時計の音色をお届けしたいと考えました。

【制作後記】
藤原義久さんは30歳とまだお若いのですが、時計を見る目は確かな「プロ」です。壊れた時計もぱっと見ただけでどこが悪いのか瞬時に判断を下します。また、時計の歴史にも詳しく、そのお話を伺うだけでもあっという間に時間が過ぎてしまいます。

2013年5月20日 (月)

歌い続けて50年 ふるさと八幡の歌

2013年5月20日~26日放送
RKB毎日放送 RKBミューズ 三輪肇

【番組概要】
1963年2月10日、旧五市(小倉、八幡、門司、戸畑、若松)も合併で誕生した福岡県北九州市は今年、市制50周年。工業都市として発展しながら、一方で公害問題を克服。環境再生を果たし、新たな街づくりが進んでいます。その旧五市の中でも、日本の近代化を支えてきたのが、製鉄の街・旧八幡市。その時代に作られた歌が「八幡市歌」です。その歌詞、メロディは、まさに製鉄所の城下町という活気に満ち溢れ、北九州市になり50年を経た現在でも、当時の息吹、そしてふるさとを思う気持ちをそのままに、今や口伝で市民の間で歌われているのです。

【制作意図】
八幡製鉄所をシンボルとして、この地から日本の発展の基礎が作られていったという自信と誇り、そして公害を乗り越えた現実を受け入れながら、歌い続けられている「八幡市歌」。半世紀を越え、なお生き続ける「八幡市歌」と、この歌を歌い続ける人々との関わりを描いていこうと考え、企画しました。

【制作後記】
今回の取材でお会いした、地元町内会役員の浜辺篤さん、旧八幡市役所OB会副会長の岸野利之さん。お二人とも、当時の「製鉄の街」の活気ある情景をご自身の宝物のようにお話しして下さいました。岸野さんとの取材後の雑談では、「最盛期の製鉄所に勤めながら、後に産業構造の転換などで、全国各地に移った方々も多い。どこかで、この歌と懐かしく再会してくれる人もいるのでは?」という印象的でした。

2013年5月14日 (火)

発掘!アセテート盤

2013年5月13日~19日放送
文化放送 報道スポーツセンター 新岡瑞佳


【番組概要】
1959年から1970年代後半にかけて、文化放送ではニュース番組用の音素材を【アセテート盤】に録音していました。様々なところで取材をした『音』を一度、【アセテート盤】にダビングし、そして放送する・・・報道記者は、日々そのような中時代の動きや人々の暮らしぶりを伝えていたのです。
今回は【アセテート盤】に残されていた音声の中から、”集団就職者たちの歌”、”上野山でのお花見”、夏の風物詩でもあった”ビール電車”の様子を当時の現場を知る報道記者の声と共にお届けします。
あの頃のままの懐かしく、生き生きとした『音』が時を超えて蘇ります。

【制作意図】
ラジオは常に『音』を通して様々なことを伝えています。特に人々の生活と密接に繋がっている日々のニュースにはこれまで多く『音』が使われ、保存されてきました。その中でも今回スポットをあてたのはアセテート盤】の『音』。これまであまり知られることになかった、【アセテート盤】の存在と、その中に刻み込まれた『音』たちを紹介することで、昭和の一時代を再現し、伝えたいと思います。

【制作後記】
「【アセテート盤】の音を復活させたい、そして聞いてもらいたい」、それが一番の目的でした。1枚1枚丁寧に袋をあけ、ターンテーブルに乗せるところから始まった番組制作は、これまで聞いたことのなかった当時の『音』に驚かされると共に新たな発見の連続となりました。そして制作を経て、この【アセテート盤】に刻みこまれた『音』たちを更に多くの人々に伝えたい、その当時の空気感を感じてほしいという思いを改めて強くしたのです。

2013年5月 9日 (木)

変わらない空間 ジャズ喫茶YAMATOYA

2013年5月6日~2013年5月12日放送
京都放送 ラジオ編成制作局制作部 永田和美

【番組概要】
1960年代に最盛期を迎えたジャズ喫茶。京都でも多くのジャズ喫茶が開店し賑わいを見せました。しかし、店主の高齢化や高音質の音楽を自宅で楽しめるようになったことから、多くの店が閉店していきました。そんな中今もなおそこにあり続けるジャズ喫茶“YAMATOYA”。今でも京都に来ると寄って帰るという多くのファンがいます。耳に響くジャズと、ほっとする場所、そしてご主人の熊代さんが作り出す雰囲気、そこに集まる人たち、すべてが一つになって上質の空間を作り出しているジャズ喫茶“YAMATOYA”の 魅力を少しでもお伝えできれば幸いです。

【制作意図】
今回紹介したYAMATOYAさんは今年3月に建物の建て替えに伴いリニューアルオープンしました。話しやすい雰囲気を作るためカウンターを増やしたりしたものの、昔ながらの雰囲気を極力壊さないように改装されました。昔なじみのお客さんが今もなお通い、ほっとしていく空間。普段ジャズ喫茶に触れあっていない方々にもその空間が少しでも伝えられたらと思い制作しました。無理に行ってください!とはいいません。気になった方がいたら、ちょっと勇気を出してドアをあけてみてはいかがでしょうか??

【制作後記】
私自身、ジャズ喫茶というものに行ったことがなく、今回の取材で初めてお邪魔しました。ざわついた道路から一歩入り、ドアをあけた瞬間、ガラッと雰囲気が変わり、なんだか不思議な空間にきた感じがしました。昼と夜でもまた雰囲気が違い、自分のお気に入りの空間を見つけて、ちょっと一休みしてみるには本当にすばらしい場所ではないでしょうか。来ている方々も各々が自由な時間を過ごしています。それでもジャズという一つのエッセンスでつながっている。今日もそうやって人が集まり、音楽を楽しみ、時間を楽しんでいるんだなと、そしてそれがまたジャズ喫茶の魅力でもあるんだろうなと感じました。

 

 

 

 

2013年5月 2日 (木)

春の惜別 ~ 安曇野 北帰行 ~

2013年4月29日~2013年5月5日放送
信越放送 ラジオ局 編成制作部 西沢修

【番組概要】
安曇野は長野県の豊かな田園地帯として知られますが、ここを流れる「犀川」の周辺は、信州屈指のハクチョウ飛来地でもあります。晩秋に飛来して毎シーズンを越冬するハクチョウたちは、春風が吹き始める頃、数千キロ先のシベリアへの北帰行を始めます。地元の人々はどんな気持ちで見送るのか、伺ってみました。

【制作意図】
北アルプスを望む安曇野の厳しい冬を、ハクチョウたちの滞在を見守りながら過ごす純朴な人々がいます。信濃の春暦に刻まれた「冬の使者の旅立ち」を見送る複雑な気持ちをお伝えできればと思います。

【制作後記】
制作ローテーションが 4月のアタマに回ってくる場合、新年度のオンエアを念頭に 旧年度中に取材するので、ともすれば取材に出かけた日が ずいぶん過去のことのように感じられるという 不思議な感覚を抱きました。 冬から春へ季節が加速して変わっていくせいなのでしょうか…

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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