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2013年6月18日 (火)

過去と未来をつなぐ糸

2013年6月17日~6月23日放送
北日本放送 報道制作局報道制作部(ラジオ) 熊野智元


【番組概要】
富山県西部、南砺市城端で毎年5月に開かれる「城端曳山祭り」。この祭りは、この城端で440年続く「絹織物」によって育まれ、かつての交易先だった京都・江戸の文化を色濃く残しています。しかしいま、城端の絹織物は衰退の一途を辿り、大正時代に25軒あった機屋もいまは3軒を残すのみ。その中の1軒、松井機業(まついきぎょう)は136年続く老舗機屋で、「絓絹(しけぎぬ)」という特別な絹を織っています。この会社の六代目が、松井家の三女、28歳の紀子さん。
五代目の父の下、お世辞にも楽観できない状態の中、決して下を向かず、絓絹の新しい可能性と、新たな販路を精力的に開拓する彼女の姿を追いました。

【制作意図】
父と子、先達と後進、過去と未来。この街は、無数のつながりの「糸」で織りあがっている。ある父と子の「いま」を垣間見ることで、この街で絹織物が織られてきた440年の時間を、「伝統」や「歴史」というただの「言葉」ではなく、もっと血の通った、過去にこの街で生きていた人々の「人生の連続」として描きたいと思いました。この松井家のような「伝承と変化」が、いつの時代にもきっと起きていて、そのひとつひとつが積み重なったものが、結果的に440年という時間になったんだと思うのです。

【制作後記】
松井紀子さんは、現在独身。ご両親からは「嫁に行ってもいいが、会社は残してくれ」と言われているそうです。紀子さん本人も「会社に通える範囲なら…」ということ。私自身も、父の文一(くにかず)さんには取材中に、唐突に「あんた、独身け?」と聞かれ、この事案が松井家にとって切実な問題であることが伺えます。ちなみに大変雪深い地域のため、夫の条件に「雪かきができる」は外せず、自分の絓絹で作ったドレスで式を挙げることが、目下の紀子さんの夢です。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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