2021年11月 8日 (月)

400歳のパイプオルガン

2021年10月25日~2021年10月31日放送 
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 戸島夢子

【番組概要】
島原市にある岡崎潤子さんの音楽教室に突然やってきたパイプオルガン。
今ではとても珍しい蛇腹状のふいごを使って空気を送り演奏します。約400年前に実際に使っていたそのオルガンは、パイプまですべてが木でできていて、現代の金属のオルガンとは違い、その音色はリコーダーのような愛らしさがあります。岡崎さんは、コロナ禍で演奏会などが減っていましたが、古楽器を知ってもらうきっかけになれればと、パイプオルガンの音に合わせて読み聞かせや、子供たちに直接触れる機会を作っています。

【制作意図】
音楽教室には、チェンバロやリュートなどたくさんの古楽器がありました。私自身も音楽をしていて、ある程度の楽器は見たことありますが、数ある楽器の中で唯一見たことがなかったのが全て木製のパイプオルガンでした。木でできているため優しいくかわいらしい音がします。皆さんに聞きなじみのあるオルガンとはまた違った音を楽しんでほしかったので取材しました。

【制作後記】
ある古楽器制作者と親交のあった岡崎さん、会話の中で何げなく言った「古楽器のオルガンも見てみたいですね」という一言で、古楽器制作者が突然やってきて驚いている間にその場で据え付けられてしまいました。
現在、岡崎さんの音楽教室にありますが、ほかの人にもたくさん触れてほしいということで、年内中にどこか違う場所に置くことを計画されています。

ミシンの音が鳴り響く町

2021年10月18日~2021年10月24日放送 
西日本放送 報道制作局 報道業務部 アナウンサー 奥田麻衣

【番組概要】
「昔は町のあちこちからミシンの音が聞こえてきたんです。」ミシンの音はこの町の音なんですと話すのは、今年で創業82年を迎える江本手袋株式会社3代目の江本昌弘さん。香川県は「うどん県」として有名ですが、その東端にある東かがわ市は国内の手袋生産シェア日本一を誇る「てぶくろ市」でもあります。かつてこの地域には仕事も資源もなく、「地域の生活を安定させる仕事を作りたい」ともたらされたのが手袋作りの始まりでした。130年に渡って築き上げた技術はトップアスリートからも絶大な信頼を寄せられ、メジャーリーガーやプロゴルファー、今年東京オリンピックで金メダルを獲得したフェンシング日本代表選手のグローブもこのエリアで作られています。しかし、地域の地場産業として栄えてきた手袋産業も時代が移り変わるにつれて多くのメーカーが生産拠点を海外へ。また、手袋職人たちの高齢化も進んでいます。職人たちの仕事は少なくなり、職人を目指す人も減り、かつて賑やかだったミシンの音が町から消えていく・・・。そんな中、手袋職人になりたいという10代の若者が今年50年ぶりに江本手袋に!職人たちの技を守り続け、次の世代の職人を育てていく。また賑やかにミシンの音が鳴り響く町にと奮闘する江本さんの想い、そして手袋職人たちが奏でる「この町の音」をお届けします。

【制作意図】
以前、別の取材で江本手袋を訪ねたときに工房から聞こえてくるミシンの音に心惹かれたのが取材のきっかけです。この手袋職人たちが奏でる様々な音を届けたい!!今もなお手袋づくりを全て手作業で行っている江本手袋。取材を進めてみると、その一つ一つの作業に職人のこだわりが詰まっていました。ところどころ錆つき味の出ている機械は、長年、職人が使い込んだ証。それは、職人の手に馴染んでいる機械だからこそ成せる技、そして音でした。一方で、今年50年ぶりに江本手袋に入社した夏田観可子さん19歳。彼女が奏でる音はまだまだたどたどしく、でもその音からは手袋を縫えることへの喜びや楽しさが伝わってきて、希望に満ち溢れていました。地元生産にこだわった、作り手の顔が見える手袋作り。その魅力を、音で少しでも届けられればと制作しました。

【制作後記】
「手袋を通して、地域の仕事を守る。」社会の変化によって何度も危機的状況に陥りながらも、先代からの想いを受け継ぎ、地元生産にこだわってきた江本手袋。昨年からは新型コロナウィルスによる影響でアパレルブランドや量販店からの注文は減少。再び厳しい状況に置かれています。それでも、手袋職人の継続的な仕事を確保したいとの思いからマスク作りを開始。さらに、手袋づくりの技術を活かしてハンドソックスを開発。新型コロナウィルスの感染拡大により、ドアノブや電車のつり革、パソコンなど特定多数の触った場所に手が触れることへの不安があることを知り、少しでも不安や悩みを解消できればと開発したそうです。「着けた人の気持ちが良くなる手袋を届けたい。」今回の取材を通して、工房から聞こえてきた音に心地よさを感じたのは、その一つ一つの音に手袋職人たちのそういった想いが込められているからなんだと心が温かくなりました。

沖縄の伝統漁船「サバニ」の魅力を伝える造船大工

2021年10月11日~2021年10月17日放送 
琉球放送 ラジオ局編成制作部 上原圭太


【番組概要】
沖縄県本島北部の大宜味村、塩屋湾に面した場所に、沖縄の伝統漁船「サバニ」と呼ばれる木造船を造り、販売だけでなく、クルーズツアーも夫婦で運営する「ヘントナサバニ」の邊土名さん。琉球王朝時代の丸木舟にルーツを持つサバニは、金属の釘や部品などを一切使わず、全て木や竹を使ってできています。もともとは漁船として、1950年ごろまで使われていたサバニ。エンジンや強化プラスチックの登場により、一時は全く受注が無く、沖縄の伝統が廃れるところでしたが、2000年からマリンスポーツやアクティビティ用として、最近では多くのサバニ愛好家が増えました。数年前までは旅行会社に勤め、これまで物作りをしたことが無かった邊土名さん。あることがきっかけでサバニに魅了され、やがて自身でサバニの店を立ち上げました。県内の職人は高齢という中、30代の若さでサバニ大工になった邊土名さん。どうやってサバニが出来上がるのか、そしてサバニの魅力は何かを語ります。

【制作意図】
沖縄に古くから伝わる木造船の「サバニ」は、沖縄県民でもその名を聞いたことはあっても、乗ったことが無いという方が多いかと思います。実際、エンジンや強化プラスチックの登場により、1950年ごろからほとんど使われなくなってきました。一度は途絶えかけたサバニの文化は、今やアクティビティ用として見直されています。しかし、若い職人は県内にはほとんどいません。
そんな時、沖縄県北部の大宜味村に30代の若さでサバニ大工になった方がいるという情報を聞きました。沖縄の文化「サバニ」を邊土名さんがどう伝えているのか、そしてサバニの魅力を知るため、取材をしました。

【制作後記】
切る・彫る・削る、全てを行っている邊土名さん。1艇のサバニを作るのに3か月かかるようです。サバニについて熱く語る邊土名さんは、本当にサバニが好きなんだと感じました。「ヘントナサバニ」の工房のすぐそばには海があり、そして裏には小さい山。自然に囲まれて、ゆったりした時間が流れます。サバニ造りを見学しているだけでも楽しいですが、実際に乗ってみると、少し強い日差しと優しい海の風、そして「ドボンドボン」とサバニを漕ぐ音。遠くからは鳥の声も聞こえ、本当に癒されます。
今は簡単に旅行に行くことが難しい時代になりましたが、いつか沖縄にいらっしゃる時は
沖縄の伝統的な木造船「サバニ」に乗って癒されてみませんか?

2021年10月14日 (木)

屋久島民謡 まつばんだ

録音風物誌2021年度番組コンクール 最優秀賞作品
再放送

2021年10月4
日~2021年10月10日放送 
南日本放送 ラジオ制作部 七枝 大典


【番組概要】
1993年。世界自然遺産に登録された「屋久島」は太古から続く自然と その自然と共存するため、人々は様々な知恵を出し合い、暮らしてきました。この屋久島には「まつばんだ」という民謡があります。「屋久の御岳を愚かに思うなよ 金の蔵よりゃなお宝」は、この歌の象徴的な歌詞。音階は琉球音階に似ていますが、いつのころから歌われているのか、だれがつくったのか。そして曲のタイトルである「まつばんだ」の意味を知る人は いません。記録にもありません。しかし、「この歌こそ屋久島の宝」と信じて、後世のために歌い継いでいる人たちがいます。先日、地元の有志で動画が作成され、インターネットでも公開されました。歌に込めた思いや自然との共存について伺うと共に、屋久島は育んできた文化の1つをご紹介します。

【制作意図】
鹿児島県は南北およそ600km。ここには様々な文化や風習、そして歌が残っています。特に南方の島々には サンシンという三味線に似た楽器と歌声で残る「島唄」という素晴らしい文化が残っているのですが 世界遺産の島・屋久島には、オリジナルの楽器は存在せず、代々歌い継がれている歌も ほとんどないという事を知りました。数少ない屋久島民謡「まつばんだ」を多くの方に知っていただきたい、そして途絶えようとしている民謡を独自の解釈で歌う方や集う方を紹介することで この歌のルーツを検証する機会のきっかけの1つとしたいという思いで取材しました。

【制作後記】
ほかの局の皆さんと同じくコロナの影響で取材の目途を立てることができず、しかも屋久島町から「入島自粛」が発表されたため、取材予定を立てるのは大変難しく、ようやく取材ができたのが10月下旬。そこからバタバタと…。そもそも、今回のテーマである「まつばんだ」という言葉と出会ったのは自分が小学3年生のころの夏休みに屋久島で見かけた「まつばんだ交通」という看板。地元の観光会社の車だったのですが、それ以来「まつばんだ」という言葉が心のどこかに残っていました。今から2年ほど前に 屋久島に特化した番組を担当することになり まつばんだを調べたところ、民謡らしいことが判明。しかも途絶えかけているという事が分かり 今回取材させていただいた次第です。今回、心の閊え(?)が ようやく解けたのですが、取材をきっかけに知り合った屋久島の方々から頻繁に「まつばんだ情報」をいただき、ありがたい限りです。

ねえちゃんの駄菓子屋

録音風物誌2021年度番組コンクール 優秀賞作品
再放送

2021年9月27
日~2021年10月3日放送 
ラジオ関西 報道制作局報道制作部 山本洋帆

【番組概要】
神戸市兵庫区にある老舗の駄菓子屋「淡路屋」。令和の時代に駄菓子屋なんてと思う人もいるかも知れないが、地元の子どもたちから絶大な人気を誇る、ホットスポットだ。クレープが得意な店主の「ねえちゃん」が守り続ける、子どもたちの大切な場所。時代が移り変わっても、変わらない駄菓子屋の風景を切り取る。

【制作意図】
コロナ禍で移動を規制されるなか、子どもたちの伸び伸びとした姿が集まる場所があった。駄菓子屋というプラットフォームで、出会い、交わり、時にぶつかる。そんな、昔から変わらない、懐かしくてあたたかい景色を「音」で記録したいと思い、制作した。

【制作後記】
子どもたちから絶対の信頼を得ている、店主の伊藤さん(=ねえちゃん)。コロナ禍で、伊藤さんを心配した”かつての子どもたち”が、代わる代わる様子を見にきてくれたそうだ。春はまた新しい小さなお客さんがやって来る季節。苦しいニュースが多い時代だが、ねえちゃんと話す子どもたちの顔は、キラキラと輝いていた。

なまはげは泣かない~コロナ禍の伝統行事~

録音風物誌2021年度番組コンクール 優秀賞作品
再放送

2021年9月20
日~2021年9月26日放送 
秋田放送 加賀屋晃太

【番組概要】
秋田県の日本海側に突き出るように位置する男鹿半島。大みそかの夜には、山から神が下りて来ます。なまはげと呼ばれるその神は男鹿市内の各家々を回り、「泣く子はいねえが」「怠け者はいねえが」と雄たけびを上げます。秋田県を代表する伝統行事のひとつですが、新型コロナウイルスの影響で例年通りの開催が危ぶまれます。長い歴史の中はじめて中止を選んだ集落や、感染予防を取りつつ実施する集落。それぞれの想いを、男鹿の厳しい冬の風景を感じさせる音とともにご紹介します。

【制作意図】
秋田を代表する祭り 竿燈の中止をはじめとして、秋田県内でもお祭りや伝統行事が続々中止となった2020年。夏祭りだけでなく、冬の行事も例年通りの開催が危ぶまれています。そんな中、ユネスコ無形文化遺産登録などを受け、近年より注目されているなまはげ。後継者不足などに悩む中、新型コロナウイルスによる追い打ちを食らった形となり、もがきながらも伝統を受け継ごうとする姿を描くべく制作しました。

【制作後記】
現在28歳で、人生のほとんどを秋田県で過ごしているのですが、改めて「なまはげ」というもの自体について調査・取材をするうちに、ぼんやりとしたイメージ以外に詳しいことを知らないということに気づきました。私個人のことでもありますが、意外と見落としがちな地元の風習について詳しく知るきっかけとしてもこの作品を全国の方だけでなく、秋田県内のより若い世代にも聴いてもらいたいものになりました。

2021年9月27日 (月)

ブリかな、タイかな、タイじゃい!タイじゃい!~唄が育む郷土愛~

2021年9月13日~2021年9月19日放送 
大分放送 OBSメディアワーク コンテンツ制作部 尾上 裕明

【番組概要】
大分市の東部に位置する佐賀関。沖合の豊予海峡は好漁場として知られています。早い潮の流れは身のしまった海の魚を育み、とくにアジとサバは「関アジ」「関サバ」としてブランド化され、全国に向けて発送されています。この港町「佐賀関」に元禄時代から伝わる「関の鯛つり唄」。古くは漁師たちによって唄われ、その後、振りもつけられ、佐賀関の民謡として大切に受け継がれてきました。関の鯛つり唄保存会の舞踊部長である岩津千津代さんは、この唄を、踊りと共に次世代の心と身体に伝承しています。

【制作意図】
ある日、テレビを見ていると、全国各地の様々な伝統行事が今年も中止になるというニュースが流れていました。その時、これらの伝統行事の伝承活動はどうなるのだろうか…とふと思いました。コロナ禍で伝統を受け継ぐという行為も難しくなる中、工夫をして伝えようとしている人たちもいるはずだと、取材対象を探しました。大分県にも様々な伝統行事がありますが、こんな時代だからこそ、明るくエネルギッシュなものをテーマにしたいと考えていたところ、この唄と出会いました。

【制作後記】
タイトルの通り、少しユニークな掛け声が印象的なこの「関の鯛つり唄」。鯛が釣れた漁師の喜びを表す「タイじゃい、タイじゃい」の掛け声を懸命に出す子供たちがとても微笑ましく、取材中、私自身元気をもらっていました。しかし、子供たちは小学生くらいの年頃になると、照れを感じ始め「タイじゃい、タイじゃい」の掛け声がだんだん小さくなると聞き、その話もまた微笑ましく思いました。照れはあったとしても、取材当日の子供たちの表情は真剣そのもので、しっかりと伝統の重みを感じ、郷土への愛情を持っていることを証明していました。

2021年9月 6日 (月)

えち鉄に笑顔をのせて~ふるさとへの恩返し~

2021年9月6日~2021年9月12日放送 
福井放送 報道制作局制作部 藤井友香

【番組概要】
 
福井県嶺北を走る「えちぜん鉄道」は、「えち鉄」の愛称で県民に親しまれています。福井市中心部の福井駅を拠点に、九頭竜川に沿って山間部を走る「勝山永平寺線」と、芦原温泉を経由して、東尋坊がそびえる日本海側に向かう「三国芦原線」からなります。利用客の多くが高齢者で無人駅も多いことから、通勤時間帯を除くほぼすべての列車に、アテンダントと呼ばれる女性乗務員が乗車し、切符の販売や観光案内、乗り降りの補助などを行っています。アテンダントの一人、猪部 光留(いのべ・ひかる)さんは入社3年目。東京での学生生活を経て、高校時代に毎日利用していた「えちぜん鉄道」を通して、ふるさとへの恩返しがしたいと就職を決めました。そんな猪部さんの「ステキな笑顔とおもてなし」の原点は、高校時代に所属していたチアリーダー部にありました。コロナ禍での変化や葛藤を抱える中で、高校時代の恩師の言葉を胸に、アテンダントに励む姿をお送りします。

【制作意図】
 
コロナ禍で移動が制限される中、「えちぜん鉄道」で働く方の思いを届けたいと取材を始めました。そこで出会ったのが「アテンダント」と呼ばれる女性乗務員です。アテンダントは車掌とバスガイドの中間のような役割で、お客さんに寄り添った「おもてなしの心」を大切にしています。移動が制限され、人との触れ合いが少なくなる中、お客さんと電車をつなぐアテンダントの姿に「コロナに負けない!」という強い気持ちを感じました。猪部さんのチアリーダー仕込みのハツラツとした声や明るい表情、車窓の景色などを通して「えち鉄」のほのぼのとした空気感を音で伝えられたらと思い、制作しました。

【制作後記】
 
田園風景の中を走る1両編成の電車。乗ってみると、当たり前ですが天候や季節によって見える景色が違います。取材をしたのが季節の変わり目ということもあり、セミの鳴き声が小さくなっていたり、稲刈りが始まり、トンボが飛び始めていたりと、違った風景を見ることが出来ました。乗車中、猪部さんが笑顔で「最近、空が高くなってきましたね」「ここ、秋の花が咲いてるんですよ」と話しかけてくれることがありました。車内の空間はもちろん、車窓から見える景色も含めて「えち鉄」のことが心から好きなのだと感じました。電車とすれ違う時、猪部さんが窓ガラス越しに手を振ることがありました。馴染みのお客さんが目を合わせてくれたので手を振って挨拶をするんだそうです。体を揺らしながら、全身で嬉しさを表現する猪部さんの姿に心が温かくなりました。
 

刃物全般お任せあれ~野鍛冶職人の誇り

2021年8月30日~2021年9月5日放送 
四国放送 ラジオ局ラジオ編成制作部 近藤英之

【番組概要】
日常生活で使う包丁や農具、山林工具などを作る職人は「野鍛冶」とも呼ばれます。徳島県勝浦町の鍛冶職人、大久保喜正さん69歳。半世紀に渡って野鍛冶の道を歩んできました。包丁ひとつとっても、包丁の本体に当たる軟鉄と刃(やいば)になる鋼を叩いて一体化させる「鍛接」という作業に始まり、槌で叩いて出刃や柳葉、刺身など様々な形に形成するなど昔ながらのやり方を踏襲しています。一方で古くなったクワやスキなどの農具の修理も広く手掛けています。徳島県南部は全国有数のタケノコの産地とあって、タケノコ掘り専用のクワの修理の注文も数多く舞い込みます。土壌の固さの違いや、使う人の年齢や癖によってクワの角度や長さが異なってくるため、微妙な調整が欠かせません。市販品にはない、きめ細かな対応に県内はもとより全国にファンがいるといいます。大久保さんは2018年、卓越した技能を持つ技術者として、国から「現代の名工」に選ばれました。大久保さんが考える「もの作り」とは何かをマイクで追いました。

【制作意図】
大久保さんに「技術の確かさ」とは何かと尋ねた時に帰ってきた答えは「器用な人が作る道具が必ずしも良い道具ではない。正解に1ミリでも近い方に一生懸命寄っていく人が作った道具が結果的に良いものになる」というものでした。そして「使う人が刃物をどう使うか」を一生懸命イメージすることの大切さが肝心だと言います。そんな野鍛冶職人の思いを少しでもマイクで伝えられたらと思い、取材に取り組みました。

【制作後記】
大久保さんの工房で、完成した包丁を使って試しにキュウリを切らせてもらった時、力を入れてないのにスッと刃が入り、断面は瑞々しさで光っていました。野菜の繊維質が押されて潰れるのではなく、断ち切られているので切ったあとの鮮度が市販の包丁とは全く違うそうです。今回の取材で、野鍛冶職人の技術の素晴らしさと誇りに触れた思いがしました。

未来につなぐ鉦の音 ~花輪ばやし 想いの伝承~

2021年8月23日~2021年8月29日放送 
秋田放送 編成局ラジオ放送部 井谷 智太郎

【番組概要】
秋田県北東部、鹿角市花輪地区に800年余り続く花輪祭の屋台行事「花輪ばやし」。日本三大ばやしの1つとされ、屋台は豪華絢爛、引退制を設けているのが特徴で男性の数え年42歳がそれにあたります。番組では、花輪ばやしの長い歴史の中で、旭町という町内で正式に引退した女性を取材。花輪ばやしのお囃子は太鼓、三味線、篠笛、摺り鉦で構成され、彼女はすべての楽器を使いこなせるとは言うものの、オーケストラの指揮者にあたる役目の摺り鉦を任せられるのは珍しいといいます。技術の継承にはこれまで取り組んでいましたが、少子化による担い手不足と新型コロナウィルスによる祭り中止の2重苦。苦肉の策で、祭り本番の雰囲気を少しでも再現したい思いで開催された月1回のイベント「花輪ばやし 実演披露」。師匠からの直接指導により培う演奏の感覚は、祭りの本番を重ねなければ身に付きません。祭りの熱は地域の人々の心をひとつにしてきました。卒業してから見えた祭りの景色、祭りが開催されない街の景色を見てきた彼女が、いろいろな新しいカタチを模索しながら伝承しようとする花輪ばやしへの想いに迫りました。

【制作意図】
花輪ばやしの主役は屋台とお囃子です。お囃子の太鼓は幼少期から習い、その後師匠から三味線や笛を習って技術を磨いていきます。取材を重ねるごとに、お囃子の1つ摺り鉦の重要性に気づかされました。見物客の盛り上がりを観察し、お囃子全体を鉦のリズムでコントロールする役目があるため、演奏技術だけではなく町内の人からの信頼も必要とされます。その町内で初めて鉦を任された女性が、少子化とコロナ禍による祭り中止の現実に向き合い葛藤する花輪ばやしへの想いを紹介することで、花輪地域の良さ、何かを残すためには何かを犠牲にせざるを得ないのか、先人たちが大事に継承してきた祭りの未来について考えるキッカケになればという思いで制作しました。

【制作後記】
花輪ばやしの主役は屋台とお囃子です。お囃子の太鼓は幼少期から習い、その後師匠から三味線や笛を習って技術を磨いていきます。取材を重ねるごとに、お囃子の1つ摺り鉦の重要性に気づかされました。見物客の盛り上がりを観察し、お囃子全体を鉦のリズムでコントロールする役目があるため、演奏技術だけではなく町内の人からの信頼も必要とされます。その町内で初めて鉦を任された女性が、少子化とコロナ禍による祭り中止の現実に向き合い葛藤する花輪ばやしへの想いを紹介することで、花輪地域の良さ、何かを残すためには何かを犠牲にせざるを得ないのか、先人たちが大事に継承してきた祭りの未来について考えるキッカケになればという思いで制作しました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad