2024年7月 1日 (月)

竹の里は宝の山

2024年6月17日~6月23日
山口放送 ラジオ制作部 寺岡岳男

【番組概要】
山口県山口市、中国山地の山あい徳地地区、かつて重源上人が奈良の東大寺大仏殿の再建のために木材を切り出した、自然豊かな地域でもあります。過疎化と高齢化により、森林資源の手入れも行き届かなくなり、放置竹林が目立つようになっています。結婚を機に大阪から徳地地区へ移住してきた武石智絵さんは、イメージしていた整備された竹林と、現実の放置竹林との違いに驚きます。本業の林業のかたわら、竹林整備で竹を伐採していましたが、切り倒された竹を見て「資源として活用出来れば『宝の山』」と考え始めます。福岡県で先行していた、「伐採した竹からメンマを作る『美味しく食べて竹林整備』」の活動を知り、純国産メンマづくりを始め、持続可能な竹林整備を目指しています。

【制作意図】
番組を聞かれた方に、山口県山口市徳地地区の自然豊かな風景をイメージしていただければと思いました。ただ、観光地などの整備された竹林のイメージとは全く違う、中山間地域の土砂災害の原因にもなりかねない放置竹林の状況、その状況の改善に向けて取り組む武石さんたちの活動「純国産メンマプロジェクト『美味しく食べて竹林整備』」、収益化して竹林整備を持続させていくために、メンマを商品化するという活動が、徐々にですが広がりを見せつつあること。また、「竹林の問題だからといって山にとどまらず、川を通じて海まで、水環境全てに関わっている」ということを多くの方に知っていただければと思い制作しました。

【制作後記】
取材をしていく中で、山口県の竹林面積は全国4位ということを知りました。あまり高い山や寒い地域では育たないため、山口・九州に多くの竹林があることも知りました。これらの地域で共通の問題への対策の一助となればと思いました。武石さんへのインタビューのなかで、「山にふった雨は、川を下り海へ流れる、山の環境保全は命の水を守ることにつながる」というお話が印象的でした。


 

曲げわっぱの吐息

2024年6月10日~6月16日
秋田放送 編成局ラジオ放送部 工藤有成

【番組概要】
秋田県 大館市に江戸時代から伝わる「曲げわっぱ」諸説ありますが、きこりが弁当箱として木材を曲げて作ったことがはじまりとされ、現在も職人の手作業によってひとつひとつ丁寧に作られています。仲澤恵梨さんは曲げわっぱ作りに携わり、今年で22年目。自宅の車庫を改装して構えた工房にはある特徴があります。それは「お客さんからの様々なオーダーメイドに応える」というもの。これまで培った技術と経験、知識を活かした、オーダーメイドでの製品づくりに込められた思いをお送りします。

【制作意図】
中澤恵梨さんの工房では、曲げわっぱの技術を用いて、弁当箱はもちろんイヤリングやせいろなど、多岐にわたるオーダーメイドに応えています。「伝統工芸品と現代様式の架け橋になれるように」
伝統の技術を守りつつも、現代文化の象徴でもあるSNSとの共存も意識し、新たな形を創造する仲澤恵梨さんのオーダーメイドに込められた想いを伝えたいと思い制作しました。

【制作後記】
存在は知っていたものの、恥ずかしながらなかなか手に取ることの無かった「曲げわっぱ」。今回の取材にあたり、初めて実物を購入しました。実際に使ってみると、時間が経ってもご飯はふっくら。曲げわっぱから、ふわっと香る木の香りが食事を豊かにしてくれます。こんなに素敵な伝統工芸品が身近にあったのに、どうして今まで触れてこなかったのだろう…!と後悔するほどでした。取材日の都合もあり「木を曲げる音」をはじめとした、製品づくりや工房の臨場感を感じる音の取材が十分に出来ず、反省しています。オーダーメイドにかける仲澤恵梨さんの想いとともに、
「曲げわっぱ」について興味をもつ、きっかけのひとつとなれれば幸いです。

 

駅ににぎわいをもう一度~元駅長奮闘記~

2024年6月3日~6月9日
中国放送 RCCフロンティア 兼清友希

【番組概要】
広島市と中国地方の山間部を走るローカル線・JR芸備線の志和口駅。無人となったこの駅の清掃をしているのは、元駅長の中原英起さんです。昔はたくさんの人が利用していた駅ですが、現在では利用者がほとんどいません。そこで中原さんは、2012年からねこを駅長に任命しました。すると、ねこ駅長へ会いに連日たくさんの人が訪れるようになりました。一方、ここ数年、芸備線は存廃が話題になっています。今年3月には、全国初の再構築協議会が開かれ議論が始まるなど、全国的に注目を浴びています。廃線の可能性があるのに、駅の活性化を続けているのはなぜなのか。利用者が減少していく芸備線に対する思い、中原さんが活動を続ける理由を取材しました。

【制作意図】
新聞で「広島にねこで盛り上がっている駅がある」という記事を読み、行ってみたくなったのがきっかけです。最初はねこに会いたい気持ちが大きかったのですが、芸備線の現状を調べるうちに、仕掛け人の思いを聞きたくなり取材することにしました。「地域に愛されている鉄道が存廃の危機を迎えている」という現状を伝えるとともに、少しでも目を向ける人が増えたら嬉しいです。

【制作後記】
今回の取材ではじめて志和口駅に行きました。到着してビックリしたのが駅のキレイさ。駅の構内には一つもゴミが落ちていないどころか、ゴミ箱が一つもありません。外には何本も竹ぼうきが置いてあり、とても丁寧に掃除をされていることが分かりました。記念館でも、中原さんがお客さん1人1人に声をかけていたのが印象に残っています。芸備線への思いとともに、おもてなしの心も大切にされていることが伝わってきました。先月、再構築協議会の幹事会で沿線の住民・利用者に意見を聞くことも決まりました。芸備線だけでなく、志和口駅付近の地域がどう動くのか。私もしっかり注目していきたいです。

半世紀の夢ー北陸新幹線、ようこそ福井へー

2024年5月27日~6月2日
福井放送 制作部 坂田茉世

【番組概要】
2024年3月16日、北陸新幹線福井敦賀開業を迎えました。整備計画決定から50年(半世紀)という長い月日がたち、やっと開業の日を迎えた県内。100年に一度のビッグチャンスとも言われています。この歴史的瞬間を一目見ようと、そして新幹線を迎えようと、4つの駅では普段見たことないほどの多くの人出で賑わい、活気に溢れていました。福井県内に北陸新幹線が開業してから2ヶ月。街には県内外を問わず開業前を上回る多くの人が駅周辺に訪れています。新たな商業施設の建設や恐竜のモニュメントの増設などもあり、にぎわっている様子をリスナーと一緒に散歩をしているような雰囲気で巡っていきます。今しかとれない「音」、そして開業時・開業後の喜びの声をお聞きください。

【制作意図】
半世紀もの間、県民が夢見てきた新幹線の県内開業。北陸新幹線開業後に駅周辺を歩いてみると、福井県民がいかに新幹線が来るのを心待ちにしていたのかが感じられると思いました。全国のリスナーの皆さんに、名物グルメや駅周辺の新たな観光スポットなど、福井の魅力をより身近に感じてもらいたいと思い、制作しました。

【制作後記】
”福井に新幹線がやってきた”という歴史的な瞬間・”長年の夢”がかなった瞬間を近くで取材し、福井県民の盛り上がりを感じました。駅の周りを歩いてみると、多くの県外から来た観光客に会い、楽しんでいる様子をみて、北陸新幹線が福井県内に開業した今こそ一層、全国の皆さんに福井のことを知ってほしいと思いました。今回ラジオを制作するのは初めてでしたが、「音」に着目することのむずかしさと面白さがわかりました。リスナーの人たちの中には外出するのが難しいという人もいるかもしれません。だからこそ、耳で聞いて”一緒に盛り上がっている福井駅周辺を歩きたい!””福井の魅力を、おいしい食を、感じてほしい!”と考え、取り組みました。

2024年5月15日 (水)

伝統と格式に新風を 四国霊場の若き住職

2024年5月20日~5月26日
四国放送 ラジオ編成制作部 前川貴宏

【番組概要】
徳島市の四国八十八か所霊場13番札所で住職を務める大栗弘昴さん(26歳)。9歳の時に当時住職だった父の弘榮さんを病気で亡くし、韓国出身の母が寺を守るとともに自身はアメリカに留学。大学卒業後に日本に戻って四国霊場最年少の住職となった。得意の語学力を生かして増加する外国人参拝客を迎えたり、趣味の筋力トレーニングが高じて寺に開設したジムで檀家に筋トレ指導するなど異色の取り組みでも注目されている。

【制作意図】
憧れの存在だった父を早くに亡くし、「自分が成人になるまで寺を守ってほしい」と母に頼んだ少年。当時はどんな思いだったのか。また20代の若さで実際に住職となり、伝統と格式のある寺を背負う立場でこれからどんな取り組みしようとしているのか、そのビジョンを取材した。

【制作後記】
韓国伝統舞踊継承者の昴先さんが大日寺に嫁いだ時から取材させていただいた縁があり、その息子である弘昴さんが住職になったのはとても感慨深い。広い視野を身に着けるためわずか9歳でアメリカ留学を決意し、国際感覚と異文化への理解力を身に着けて帰国した若き住職。多様性の時代に遍路文化の未来を担う存在として彼の今後に注目したい。


2024年5月10日 (金)

湯けむり せんぺい物語

2024年5月13日~5月19日
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 戸島夢子

【番組概要】
長崎県雲仙市。海に囲まれた半島の中心にあり、雲仙普賢岳がそびえる自然豊かな場所です。そして、温泉地として国内外から多くの旅行客が訪れます。硫黄の匂いが立ち込め、約30の地獄から噴煙が絶えず吹き上がる雲仙地獄は、キリシタン殉教の舞台となったことで有名です。そんな湯けむり漂う、雲仙地獄を抜けると、温泉街が見えてきます。今回の舞台はここ、温泉街にあるお土産屋さん「遠江屋本舗」です。明治時代に、木賃宿として創業し、昭和20年代に土産屋に姿を変えましたが、もてなしの心は変わらず雲仙を訪れた人々を迎えてきました。130年以上の歴史を持つ「湯せんぺい」を、今もなお、唯一の純一枚手焼きで作り続け、伝統の技を守るだけではなく、温泉街の風景をも守り、後世に伝えたいという、5代目隆太さんの湯せんぺいにかける思いをお送りします。

【制作意図】
雲仙と言えば、硫黄の香り、雲仙地獄、湯せんぺいと言ってもいいほど長崎県民にはとてもなじみの深いお菓子「湯せんぺい」。私も、子供の頃から家族旅行で訪れるたびに味わいました。食べると懐かしく優しい気持ちになれる「湯せんぺい」。この素朴で、どこか懐かしく感じる、優しい味の「湯せんぺい」の魅力。そして、雲仙の風景と共に、昔ながらの一枚一枚手焼きの製法を守り続ける職人の思いを伝えたいと制作しました。

【制作後記】
店舗の一角に作業場を構え、来る人が湯せんぺいを焼く姿を見ることが出来るのは、雲仙温泉街で唯一、遠江屋だけです。取材時に、隆太さんの”湯せんぺい”を焼く姿を熱心に見つめるお子さんや、
観光ついでにと寄られ「こんなにおいしいと思わなかった!」と、追加で注文される方など、沢山の方の旅の思い出に立ち会えた気がしてとても嬉しかったです。そして、並々ならぬ、5代目隆太さんの雲仙に対する思い、湯せんぺいに対する愛に心を打たれました。温泉街の風景と共に、”湯せんぺい”の味、手焼きの風景がこれからも、
残っていくことを願っています。

アニマル園長選挙開票特番

2024年5月6日~5月12日
KBS京都 ラジオ局編成制作部 西村佳恵

【番組概要】
京都市左京区にある京都市動物園は、1903年に全国で2番目に開園し、昨年度120周年を迎えた歴史ある動物園です。京都市動物園では2016年から、1年間の動物園の顔を“その年の干支にちなんだ動物”から投票で決める「アニマル園長選挙」を行っています。9代目は令和6年の「辰」にちなみ、龍のモチーフとなったワニなど爬虫類や、龍と同じく足に鱗を持つ鳥類より、計6個体が出馬し、約一か月間投票が行われました。番組では、3月24日に行われた結果発表の模様を中心に、選挙に関わる人々の声を選挙特番風にお届けします。
(なお、取材当時に園長だった坂本さんは2024年3月末で退任されたため、番組内では「元園長」の肩書きで紹介しています)

【制作意図】
動物の人気投票は他の動物園でも行っているかと思いますが、選挙さながらの形式で投票を行っているのは全国の動物園でも珍しいそうです。キャッチコピーと写真入りのポスターが作られたり、実際の選挙で使用される投票箱を使ったりと、動物園の職員も“本格的に”選挙に取り組んでいました。
また、今年のアニマル園長選挙が始まる少し前には、4年ぶりに京都市長選が行われ、16年ぶりに新市長が誕生しました。ちょうど市内は選挙ムードと新たなリーダーへの期待が高まっていた時期でもあり、“本格的な”アニマル園長選挙開票特番を作ろうと思いました。

【制作後記】
今年の干支にちなんだ出馬動物が、ワニやカメ、ヤモリなど「爬虫類」中心だったこともあり、鳴き声がなかったり、名前だけではビジュアルがイメージしにくい動物もいたので、飼育員さんにアピールポイントを話して頂いたりして補いました。
取材をしていると、小さな子供たちが投票している姿が多く見られて、このマニアックな動物たちを実際に自分の目で見て、自分の意志で気に入った動物の投票箱に入れるという行動は、実際の選挙の投票にも繋がるなと妙に感心してしまいました。
動物園の職員が選挙で盛り上がっている中、当の動物たちは何も分からないまま呑気に餌を食べていたのが面白かったです。


2024年4月26日 (金)

静岡の茶染め職人 ― ひと味ちがう、お茶の文化の楽しみ方

2024年4月29日~2024年5月5日放送 
静岡放送 ラジオ局 オーディオコンテンツセンター 村上修哉

【番組概要】
「立春」から88日数えた5月2日の前後は「♪夏も近づく八十八夜~」と歌われているとおり、お茶農家さんやお茶好きな静岡県民にとって…大切で特別な“1年に1度訪れる新茶の季節”がやってきます。
そんな私たちが大好きで日頃から慣れ親しんでいる静岡の名産品「お茶」と静岡の伝統工芸「駿河和染」とを見事に結び付け、“ひと味違った”かたちでのお茶文化を世に伝えようとしている職人さんが静岡市内にいらっしゃるということで、静岡市駿河区丸子にある国内最大級の伝統工芸を体験することができる施設「駿府の工房匠宿」にある「竹と染」の工房長、静岡市出身の駿河和染職人鷲巣恭一郎(わしず・きょういちろう)さん(44歳)と弟子の前田結嬉さん(22歳)の工房にお邪魔し取材しました。

【制作意図】
お茶と聞くと皆さんはどんなものをイメージするでしょうか。飲んだり、たまに食べたり、パウダー状にして料理やお菓子に使ったりと…ほとんどの方がそう思い浮かべると思います。お茶の名産地、静岡市にはひと味違うアプローチでお茶を楽しむべく、ものづくりをされている職人さんがいるという事を知り、その方と取り組みをたくさんの方に知ってもらいたく取り上げ取材しました。伝統工芸の職人さんと聞くとご高齢の方が…というイメージを勝手に持ってしまう事が多いと思いますが、師匠の鷲巣さんは44歳、そして弟子の前田さんは22歳の女性です。お茶が身近で普段から飲んでいる地域だからこそ気付ける”お茶を無駄にしない想い”や”若い職人さんだからこそ創ることができる作品作り”への想い、また、お茶業界が様々な角度でより盛り上がってほしい!という職人さんの願いをこの番組を通じて感じ取って頂きたいなという思いで制作しました。

【制作後記】
私もナレーションを担当した影島亜美アナウンサーは静岡県出身でお茶は本当に身近な存在で、ここまで成長できたのもお茶のおかげかなと思っております。そんなあまりにも身近過ぎて「灯台下暗し」なお茶を八十八夜の直前にひと味違った切り口でどう取材するか、どう表現するか非常に悩みながらの企画、構成、取材、編集でした。お忙しい中工房での取材に応じて頂きましたが平日ということで工房内が静かで、もう少しお客さんでにぎわっていたり実際に作品作りをしている様子を音で伝えることができればより臨場感が増したのかなと反省しています。そんな中ではありますがこの番組を通じて「お茶染め」の事を皆さんに知って頂ければ嬉しいです。

地域で伝える豆腐づくり~繁多川の豆取祭(マーミドゥイフェスタ)~

2024年4月22日~2024年4月28日放送 
ラジオ沖縄 報道部 小橋川 響

【番組概要】
豊富な水量の湧き水からかつては豆腐づくりが盛んだった沖縄県那覇市繁多川。「豆腐と言えば繁多川」といわれ、戦後の最盛期は地域の3軒に1軒が豆腐屋だったと言われましたが、現在では3軒の豆腐屋が残るのみ。地域でもその歴史を知らない人が増えた状況で、19年前から豆腐作りの町・繁多川の記憶の継承に取り組む繁多川公民館の南信乃介館長。在来大豆の栽培と豆取り、豆腐作り体験を通して記憶の継承活動をおこなう南館長の思いと3月におこなわれた豆取祭(マーミドゥイフェスタ)での豆腐作り体験の様子を音で紹介する。

【制作意図】
沖縄の人々にとって熱々の島豆腐は昔から親しまれている県民食。かつての豆腐の町・繁多川で3月におこなわれた豆取祭(マーミドゥイフェスタ)の豆腐作り体験には地域のお年寄りから親子連れ、観光客などが豆腐作り体験を楽しんだ。その様子を音で紹介し、記憶の継承が楽しくにぎやかにおこなわれていることを伝える。また南館長の声で繁多川地域への温かなまなざしを紹介したい。

【制作後記】
豆取祭にはたまたま通りがかったという60代くらいの観光客の女性4人もいた。ゆし豆腐の存在を初めて知ったそうで、食べると「美味しい!」と声を上げていた。放送で流れたゆし豆腐を食べた人たちの最初の声が彼女たちのものである。話を聞きたいとマイクを向けると恥ずかしがって逃げてしまったが、県外の方の声でゆし豆腐という沖縄独特の豆腐料理についてもっと聞きたかった。残念である。
残念と言えば石臼での豆挽きも。もっとごりごりと音が出るかと思ったが、予想以上に滑らかに回転するので、放送を聞いている人が石臼挽きの様子を想像しにくくなってしまった。会場でゆし豆腐を食べた人はみんな笑顔で、本当に楽しそうにしていた。沖縄の豆腐料理は熱々のものが多いが、なかでもゆし豆腐は格別である。ぜひ沖縄に来た際にはゆし豆腐を味わってほしい。

 

2024年4月11日 (木)

ここはふるさと~ゴッタンが奏でる島立ちの唄~

2024年4月15日~2024年4月21日放送 
南日本放送 ラジオセンター音声メディア部 岩佐清太郎

【番組概要】
鹿児島県の西部、東シナ海に浮かぶ甑島列島。この島で幻の楽器「ゴッタン」を復活させ、島に音楽文化を根付かせようと活動している人々がいる。そのグループ「ゴッタン甑の会」のオリジナル楽曲「ここはふるさと」は島を離れる子どもとその親の気持ちを歌った曲である。甑島には高校がなく、島の子どもたちは中学校を卒業すると実家を出て、鹿児島市などの本土で暮らしながら高校に通うことになる。この別れは「島立ち」という。15の春に新たな一歩を踏み出す子どもと送り出す親の気持ちを素朴で優しいゴッタンの音色とともにお届けする。

【制作意図】
島立ちは離島の多い鹿児島県だからこそ起こりうる巣立ちの儀式だが、15の春に故郷を離れ、親元を離れるのは子どもにとっても親にとっても寂しいこと。そして甑島には音楽文化が根付いていなかったため島の事を思い出すことのできる島唄がなかった。ゴッタン甑の会のオリジナル楽曲「ここはふるさと」は甑島の島唄として島立ちを経験する子どもたちの支えになってほしいと思うと同時にゴッタンで奏でるこの唄を甑島の住民に限らず、同じように故郷を思う人々にも聴いてほしいと思い制作しました。    

【制作後記】
はじめての1人取材、はじめての離島、さらに取材日の鹿児島は春の嵐が吹き荒れており、船の欠航もちらつき・・・始まる前からどうなるかわからないドキドキの状態でした。ゴッタンを通しての交流の場・演奏の場は年々増えており、島の文化として着実に根付き定着していると感じました。多くの人が癒されている素朴で優しいゴッタンの音色を生の演奏で聴いてほしいです。4月に島立ちを控える親子にインタビューをさせていただきましたが、生まれ育った故郷を離れなければならないという過酷な現実を決して悲観することなく前向き捉えており、新しい生活を楽しみにしていると答えてくれました。私も微力ながら何らかの形で甑島出身の子どもたちを応援していければと思います。
                                        

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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