わが町、わが祭り、チキリンばやし ~鉦が奏でる大分魂~
2025年3月17日~2025年3月23日
大分放送 音声コンテンツ部 山下花恋
【番組概要】
大分県大分市の夏を彩る民謡「チキリンばやし」は、1970年に「大分市民で歌い踊れる民謡がほしい」という声をもとに、大分市民の手で作詞・作曲・振り付けが行われた大分市独自の民謡です。歌詞は方言をそのまま活かし、曲には大分に古くから伝わる「チキリン」という鉦のリズムが取り入れられています。チキリンばやしの踊りには2種類あり、どちらの振り付けも2本のバチを持って太鼓をたたく動作が組み込まれており、軽快な踊りが特徴です。大分市中心部の人々は小学生の頃から体育の授業や学校の行事でこの踊りを踊っており、地域に根差した踊りとなっています。制作当時を知る人は少なくなりましたが、若いころから「チキリン」の演奏を続けている浜町チキリン保存会の清水進正さん、唯一制作当時を知る歌い手の松井猛さん、そして踊り手の筑紫晴美さんなど、チキリンばやしに関わってきた人々がそれぞれの思いを語ります。
【制作意図】
このチキリンばやしは、毎年8月に開催される大分七夕祭りの中で「チキリンばやし市民総踊り」として行われています。町でこの音楽が流れると、思わず踊りたくなるようなリズミカルな音楽が特徴です。この音楽に使われるのは、大分で古くから伝わる「チキリン」という鉦の音です。鉦は銅と錫(スズ)の合金で作られており、丸くて平たい底がある形が特徴です。竹を削った柄(え)に、長さおよそ4センチに切った鹿の角を直角に取り付けた撞木(シュモク)で演奏します。このチキリンは演奏の難しさや複雑さから、後継者不足が課題となっています。チキリンばやし以外でも様々な祭りで使われる「チキリン」。その特徴的で独特な音色を、多くの人に知っていただきたいと思い、今回の制作に至りました。
【制作後記】
チキリンばやしが今年で55年目という節目を迎えるにあたり、この活動に関わることができたことを大変誇りに思っております。私はこの度、録音風物誌を制作するまでチキリンばやしの存在を知っていましたが、実際に触れる機会はあまりありませんでした。しかし、長年演奏者、歌い手、そして踊り子として携わってきた3名の方のお話を伺い、チキリンばやしに対する深い思いや愛情を知ることができました。その結果、チキリンばやしが守るべき大分県の貴重な財産であることを改めて実感いたしました。8月に開催される「チキリンばやし市民総踊り」では、飛び入りで踊り手として参加することも可能です。この放送をお聞きになり、ぜひ多くの方に現地へ足を運んでいただき、一緒に歌って踊っていただけることを心より願っております。
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