« 2022年10月 | メイン | 2022年12月 »

2022年11月

2022年11月25日 (金)

磨いて輝け!靴と人生

2022年11月28日~2022年12月4日放送 
京都放送 ラジオ編成制作局 制作部 大坪右弥

【番組概要】
京都の御池通に店を構える、靴の磨きと修理の専門店『株式会社 革靴をはいた猫』
2017年、当時学生だった代表の魚見航大さんが、龍谷大学構内のカフェで障がいのある若者と共に働く中で、メンバーの成長と自立の必要性を感じ、靴磨き専門店を起業します。1足1,100円~靴を磨いてくれるこのお店では、障がい者と健常者が靴磨き職人として共に働いています。靴磨き職人に求められるのは預かった靴を時間内に綺麗にすること。職人歴5年の藤井琢裕さんは、約15分でお客さんの求める仕上がりを実現するために、靴を大事に磨きます。これまで3,000足を超える靴を磨いてきた藤井さんの技術とスピードをお届けします。そして、魚見さんが、なぜ靴磨きという仕事を選び、株式会社を起業したのかについても迫ります。

【制作意図】
きっかけは、お店で革靴を磨いてもらったときに磨く音の微妙な違いを聞き、革靴をはいた猫の靴磨きの様子をラジオで伝えたい。と考えたからです。「正当に評価される職人が活躍する世界観を作りたかったので...」という代表の魚見さんの言葉を受け、靴磨き職人の技術やスピードを先に伝えてから、革靴をはいた猫の歴史や背景を伝える構成にしました。また、靴磨きの技術やスピードを伝えるために実況風のナレーションを試みました。さらに、靴を磨いている藤井さんがどんな靴磨きをするのかが分かるように、職人仲間の竹内さんのインタビューも入れるなど立体的に伝わるように演出しました。「靴を磨くことで、靴の寿命だけでなく、お客さんの人生、そして革猫の職人たちの人生が輝いていく。」ということが伝わればと思い、このタイトルにしました。

【制作後記】
靴磨きの様子を音だけで想像してもらうにはどうすればいいだろう?という点と、起業の背景をどのように伝えるのがいいだろう?という点に悩みました。約6分間で、靴磨きの様子をスピード感と丁寧さを両立させてお届けすることを意識して番組を制作したのですが、番組を作っていくうちに、番組の構成が靴磨き職人のみなさんの仕事ぶりと重なる部分があるのかなとも思いました。取材の際に、私の革靴も磨いていただいたのですが、思い入れのある靴がピカピカになった時の嬉しさやそれを履いて歩く高揚感など言葉にできない喜びを感じることができたので、お聞きいただいた皆さんにもぜひ体験していただきたいです。



荒海が育む極上サーモン

2022年11月21日~2022年11月27日放送 
青森放送 ラジオ制作部 斉藤暢

【番組概要】

三方を海に囲まれ、海産物の豊富な青森県ですが、近年県内外で評判の魚があります。その名も海峡サーモン。津軽海峡の荒波が育てた引き締まった身と脂のりは、非常識と言われた荒海での養殖の末にたどり着いた味です。「獲る漁業」から「育てる漁業」へ。決して穏やかではない道のりをたどってきた、漁業生産組合の濱田勇一郎さんを取材しました。

【制作意図】
高い店でも安い店でも、どこで食べてもそれなりに美味しいと思われているサーモンですが、良い物は全く違います。その味を完成させるには、並大抵の試行錯誤では足りません。荒々しい津軽海峡という土壌と、その荒海に負けない熱意を持った濱田さんだからこそ育てられた魚なのです。

【制作後記】
私自身、元々サーモンが大好きなので「ノルウェー産が食べたいけど値上がりが…今日はチリ産で…」というような日々を過ごしておりましたが、海峡サーモンと出逢ってしまうとそうはいきません。濱田さんの情熱を知ってしまうとなおさらです。弊社アナ筋野とのやり取りで、濱田さんが楽しんで仕事をしている様子が少しでも伝われば幸いです。

未来に響け!お多賀さんの祭りばやし

2022年11月14日~2022年11月20日放送 
RKB毎日放送 オーディオコンテンツセンター 山田健太

【番組概要】
福岡県の北部に位置し、石炭産業で栄え、自然豊かな直方市。「おたがさん」の愛称で親しまれる神社・多賀神社で300年以上の伝統を誇るお祭り御神幸(ごじんこう)。福岡県の無形民俗文化財で、直方市民に古くから愛されていましたが、神社の改築や資金不足、人員不足から1992年を最後に途絶えていました。ようやく今年30年ぶりの開催となりました。復活に燃える御神幸執行委員の毛利良幸さんと、御神幸で行列の先導役を担当した地域の小学生たちの姿を追いかけます。

【制作意図】
私自身も30歳で、同じ30年に興味が湧き取材を始めました。取材を通じて、祭りを継承するためには中断は30年が限度。この機会を逃すと祭りが滅びてしまうと知り驚きました。この取材を通じて感じた直方市民の御神幸に対する思いと、復活にかける思いが伝わればと思い制作しました。ちなみに、ナレーションを担当したアナウンサーも30歳です。

【制作後記】
御神幸の当日は私も行列について回り、およそ5時間練り歩きました。この日、30年前の御神幸の姿を知っている人、初めて御神幸を見た人、そのすべての人たちが一丸となって盛り上げて、コロナ禍で鬱屈した世の中を明るく照らしていました。今後は5年に1度の開催になるそうですが、これからも復活にかけた人たちの思いを胸に絶やしてはいけない希望の光だと感じました。

2022年11月 8日 (火)

いくつになっても夢を追え!石狩のひつじ飼い

2022年11月7日~2022年11月13日放送 
北海道放送 オーディオビジネス局編成制作部 横山佳菜絵 

【番組概要】
北海道のソウルフード「ジンギスカン」。ですが、私たちが口にしている羊肉のほとんどが輸入でまかなわれているのをご存じですか?北海道札幌市の中心部から車でおよそ40分のところに、「石狩ひつじ牧場」があります。そこで「ヤンボー!」と叫ぶのは、ひつじ飼いの山本知史さん。
36歳からチーズ専門店を営む山本さんは、ある時「ひつじのチーズ」のおいしさに感動し、53歳になって、自らひつじのチーズを作ると決意!55歳で牧場をつくり、58歳でチーズ作りを始め、60歳でひつじのお祭りを開催。いくつになっても夢を追い続ける山本さんの次なる夢は?この夢が叶った時、「北海道産のジンギスカン」が当たり前になるかもしれません。・・・ところで「ヤンボー!」って何?

【制作意図】
山本さんと初めて出会ったのは、テレビディレクターとして牧場にお邪魔した2年半前。それから、会うたびに新しいことを始めているパワフルさに驚くばかりでした。
ある日、話を聞いてみると…「理想のチーズができた!」「フランスに輸出するんだ!」「ひつじのお祭りもやるよ!」「ひつじのマチを作りたいな!」その他にもたくさんの叶えた夢とこれから叶えたい夢を教えてくれました。山本さんの夢を聞いていると、自分もなんだか頑張れそうな気がしてきます。
この物語を聴いた皆さんにもそんな気持ちになってほしいと思い、制作しました。

【制作後記】
「どうして、新しいことにチャレンジし続けられるんですか?」と私。「自分よりも先にやっている人が必ずいる。だったら自分にもできる。」と山本さん。何をするにも、一歩立ち止まってしまう私は、その言葉にハッとしました。私は20代。人生まだまだこれから!
山本さんに負けないくらいのチャレンジ精神とあたたかさを持って生きていきたいと感じました。
是非一度、北海道の石狩で、山本さんとかわいいひつじたちにパワーをもらいに来てほしいと思っています!

 

朝日差す丘からサミットへ~3セクワイナリーの挑戦~

2022年10月31日~2022年11月6日放送 
山形放送 制作部 佐藤嘉一

【番組概要】
山形県朝日町は、町の中心を流れる最上川沿いの河岸段丘を生かした、果樹栽培が盛んな地域です。この町のブドウでワイン作りが始まったのは、太平洋戦争末期の1944年。ワインの滓や樽の内壁に結晶化する酒石酸が、潜水艦や魚雷などを探知する水中聴音機の部品の原料として軍需物資になりました。このため国は、ワイン作りを奨励。このとき全国で新たに作られたワイナリーの1つが、のちの朝日町ワインです。敗戦で、軍需物資は不要になり、大手メーカーにポートワインの原料として買い取ってもらうなどしましたが、ワインブームの盛衰により会社も大きく左右されます。町内のブドウ農家を守るため、町と地元農協の出資で第3セクター方式に転換。高品質なワインを作るため、町ぶどう生産組合と話し合い、研さんを続け20年。品質の向上で数々のワインコンクールで入賞。2016年の伊勢志摩サミットでは、各国首脳に提供する赤ワインに選ばれました。毎年10月、町の未来を担う中学生と保護者がブドウを収穫。6年後の成人の集いで出来上がったワインが手渡されます。

【制作意図】
軍需物資の増産という、いわば国策から始まった山間の小さな町のワインが、サミットのひのき舞台で、先進各国の首脳に飲んでもらう日本を代表するワインの1つにまでなった。町のワイナリーの草創期を知る人たちが、どんどんいなくなる中、貴重な本人のインタビューと、町の未来を担う子供たちの取り組みを通じて、「まじめで、ひたむきなモノづくり」の大切さを感じてもらいたい。

【制作後記】
報道制作の現場でも、主に報道、しかもテレビが中心の部署で仕事をして来たので、音だけで伝える難しさを改めて感じる取材現場となりました。収録の場所や、マイクなど機材を変えみたり、ワインの仕込みの工程ごとに通って収録し、分かりやすい音を探して見たりと、時間の許す限りやってみましたが、まさに「沼」の状態を体感させていただきました。ワイン仕込み最盛期の一年で最も忙しい中、お付き合いいただいた朝日町ワインの皆様、生産者の皆様には、感謝の言葉しかありません。中学生たちには、6年後の成人の集いでワインを受け取った時に、この番組が、思い出の一コマになっているといいなと思っています。

松江の隠れ名物・カツライス~音で感じる歴史の味~

2022年10月24日~2022年10月30日放送 
山陰放送 制作局制作部 森谷佳奈

【番組概要】
ご飯の上に揚げたてのトンカツを載せ、デミグラスソースをたっぷりとかけたご当地グルメ。「松江カツライス」をご存知でしょうか。「カツ丼」でもなく、「とんかつ定食」でもない、島根県東部に伝わる松江市発祥のグルメです。このカツライス、最近新たなご当地グルメとして、人気急上昇中なのですが、その歴史を調べてみると…なんと90年も前から親しまれていた味でした。洋食店では、牛タンシチュー、オムライスに並ぶほどの人気。では、なぜ今になって人気が再燃したのでしょうか。それは地元民では気づくことのできないある理由がありました。この松江カツライス、知れば知るほど奥深いものでした。音で味わえるようにカツライスを作る音にもこだわりました。どうぞお腹を空かせてお聴きください。

【制作意図】
ここ2~3年で、島根県松江市では「松江カツライス」というグルメをよく耳にするようになりました。ただ、松江市出身・在住の私なのですが「松江カツライス」の存在は知りませんでした。そこで「松江カツライスとはなんだ?」と思ったのが制作に至ったきっかけです。調べてみると、歴史的に貴重な食文化であると知り、多くの方に知っていただきたく制作に至りました。

【制作後記】
今回は「音で味わうカツライス」を裏テーマに収録し、編集しました。よりおいしそうな音、表現を工夫しながら制作していると、どうしてもお腹が空くテーマでした。放送後には、すぐに食べに行こうと思います。みなさんにもこの気持ちが伝われば嬉しいです。また、今回取材で伺った西洋軒以外にもいろいろな松江カツライスがありますので、お気に入りの一皿を探してみてください!

きてみさいや 迫力満点 「宇和島闘牛」

2022年10月17日~2022年10月23日放送 
南海放送 メディア編成局メディアセンター 百合田彩

【番組概要】
愛媛県の西南部にある宇和島市には「宇和島闘牛」という伝統行事があります。2頭の牛が角を突き合わせて戦う「闘牛」は全国6県9つの地域で開催されていますが、四国では唯一の開催地。正月やお盆といった人が集まりやすい時期に大会は開催され、相撲と同じように番付された牛たちが熱き戦いを繰り広げます。しかし、大会に出場する闘牛、牛主はピーク時の5分の1に減っています。後継者不足に悩む中、宇和島の観光の目玉として地域を盛り上げようと活動しているのは、宇和島市営闘牛場のスタッフで、大会の実況を務める、坂本健二さん。「牛が戦う姿を闘牛場に来て、体感して欲しい」と語る坂本さん・・・その魅力とは。8月に開催された、お盆場所の模様をお届けします。

【制作意図】
「宇和島市民の80%が宇和島闘牛は知っていても、大会を見たことがないんじゃないですか。」
坂本さんの言葉にドキッとしました。私は高校を卒業するまで宇和島市で過ごしましたが、宇和島闘牛を見たのは去年が初めてでした。1tを超える牛の迫力、勢子(せこ)と呼ばれる人が牛と一緒になって戦う光景に感動し、虜になりました。大会の模様は生配信されたり、YouTubeにUPされたりしていますが、坂本さんは「生で見ること」にこだわっています。その理由は、今は私も理解できます。
番組を通じて、一人でも多くの観客やファンが増えたらと願っています。

【制作後記】
牛はこれまでの取り組みを覚えている為、同じ相手ともう一度戦うことはありません。なので、闘牛場では「一度きりの本気の勝負」が繰り広げられています。土俵では力強く、激しい戦いを見せる牛たちですが、試合を終えると落ち着いていて、毛並みも綺麗で可愛らしいんです。そのGAPも感じて欲しいです。次回の場所は10月23日です。(全国闘牛サミット in宇和島 記念闘牛大会という名称)気になった方は、是非、宇和島に‟きてみさいや!”

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad