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2022年12月

2022年12月22日 (木)

平和の歌咲く ひまわり

2023年1月2日~2023年1月8日放送 
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 久保田 麻智子

【番組概要】
夏の日差し降り注ぐ8月9日。この日、長崎市では祈りの歌声が響きます。
1945年(昭和20年)8月9日11時2分、1発の原子爆弾が長崎に投下され、約7万5千人が負傷し、7万4千人が亡くなりました。長崎県の南西部に位置する長崎市松山町の小高い丘にある平和公園では、毎年8月9日、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を世界に訴えるため、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が執り行われています。世界で唯一、被爆者だけで作られた合唱団『被爆者歌う会 ひまわり』は、2010年から毎年、式典の開始前に「もう二度とわたしたち被爆者を作らないで」というメッセージを歌を通して世界に訴え続けてきました。被爆者の平均年齢は84・53歳。「被爆者だけ」での会の存続は困難と判断し、2022年8月の式典で最後の歌唱となりましたが、被爆者以外の市民を加えた「平和を歌う合唱団 ひまわり」として10月に再スタートしました。団員のみなさんの活動に込める思いを伺います。

【制作意図】
長崎に生まれ育った私達は、被爆の悲惨さ、核兵器の恐ろしさ、被爆者の悲しみ、平和の尊さを幼少より学びます。8月9日、11時2分には、学校・職場・商店街…、皆手を止め立ち止まり、黙とうをささげます。ですが、県外ではこの光景が「当たり前」ではないことに衝撃を受けたことがありました。
「ノーモアナガサキ」を、日本中で当たり前にすることが長崎県民である私達の義務ではないかと考えます。被爆者だけで作る世界で唯一の合唱団『 被爆者歌う会 ひまわり 』は、10月から被爆者以外のメンバーを迎えて『 平和を歌う合唱団 ひまわり 』として再出発することになりました。ロシアによるウクライナ侵攻でほのめかされた核兵器の使用。さらに北朝鮮によるミサイル発射など、“平和が脅かされる事態”が続く近年、全国にひまわりの歌声を届けます。

【制作後記】
長崎に生まれ育った私達は、被爆の悲惨さ、核兵器の恐ろしさ、被爆者の悲しみ、平和の尊さを幼少より学びます。8月9日、11時2分には、学校・職場・商店街…、皆手を止め立ち止まり、黙とうをささげます。ですが、県外ではこの光景が「当たり前」ではないことに衝撃を受けたことがありました。
「ノーモアナガサキ」を、日本中で当たり前にすることが長崎県民である私達の義務ではないかと考えます。被爆者だけで作る世界で唯一の合唱団『 被爆者歌う会 ひまわり 』は、10月から被爆者以外のメンバーを迎えて『 平和を歌う合唱団 ひまわり 』として再出発することになりました。ロシアによるウクライナ侵攻でほのめかされた核兵器の使用。さらに北朝鮮によるミサイル発射など、“平和が脅かされる事態”が続く近年、全国にひまわりの歌声を届けます。

山あいから世界へ!オクシズ産まれのウイスキー

2022年12月26日~2023年1月1日放送 
静岡放送 SBSメディアビジョン 小林正樹

【番組概要】
いま、世界が注目するジャパニーズウイスキー。世界の5大ウイスキーのひとつにも数えられています。中でも、2018年に製造を始めた、静岡市の中山間地」「オクシズ」にある、ガイアフローディスティリング株式会社静岡蒸留所は、多くのウイスキー愛好者に注目されています。なぜ、注目が集まるのか、それは世界に、「ここだけにしかないもの」があるから…  創業者の情熱と、土地にまつわる数奇な運命。そして、静岡市の中山間地「オクシズ」の豊かな自然が育むウイスキーに迫る。

【制作意図】
静岡県は食の都です。と同時に、酒の都でもあります。日本酒の世界では「吟醸王国」と言われ、静岡独自の酵母による香りをお抑えたスッキリとした「食中酒」を極めています。また、小規模なビールの醸造所の数も多く(国内4位)静岡市の繁華街を歩けば、いたるところにビアパブがあります。近年、そんな街のうわさで持ちきりなのが「静岡生まれのウイスキー」オクシズに出来た蒸留所でした。そして、その創業者と話をすると、意外なドラマがあったのです。今回はこれをテーマにしようと意図しました。。

【制作後記】
蒸留所には、全国からここでウイスキー造りがしたいという若者が多く働いています。地元の働き手が、町へ働きに行くその道を、遡って通勤してきます。一方でえ蒸留所は、地元にも雇用を作り出しています。また、こうした中山間地では林業が盛んですが、、間伐材の有効利用が進すまず、そうなると山林も荒廃します。薪による直火加熱の燃料になることで、活用が進めば、持続可能な活動になる可能性があります。社長の中村さんが言うように、300年後もここで、地元の人たちがウイスキーを作り続けている未来を、私も見たくなりました。

うちのやぶ~お仕事は神様の警護と道案内

2022年12月19日~2022年12月25日放送 
中国放送 RCCフロンティア 森下 朋之

【番組概要】
広島県呉地区の秋祭りに出没する「やぶ」。山に囲まれた狭い地域の中で、怖がられる存在だったり、憧れる存在だったり。姿・格好は鬼のようで、シャープな鬼とは違う肉厚の「やぶ」らしいといわれる面に着物、しめ縄のたすき姿。ヒーロー的に強いあこがれを持つ人たちも多いです。ただ、この「やぶ」、いろんなことが、地域によってちょっとづつ違います。基本的に地元の「やぶ」しか、見て過ごしていないがゆえに他の地域の「やぶ」を見ると違和感しか抱かない状態になるという面白い状況に。
SNSなどの発達でうちの「やぶ」によその「やぶ」の影響が出始めている中、昔ながらのお祭りを丁寧にやっている場所もあります。その八咫烏神社の俵神輿を氏子が神社に奉納する神事・俵もみの様子を取材。力と力のぶつかり合い。次世代を担う子供たちにも、当たり前のように、うちの「やぶ」が育っている、その息吹をお届けします。

【制作意図】
9月下旬から11月23日までの呉の秋祭りで「やぶ」という怖い存在がいるというのを知ったのが取材のきっかけ。なんでも、竹棒や綱で子供をバンバン叩いたり、追っかけまわしたりするそうで。今どきそんな怖いものがいるのか?と思い、ふたを開けてみれば収拾がつかないほど様々な「やぶ」の宝庫。怖い「やぶ」はある地域に実際に存在してましたが、他にも強いあこがれやヒーロー的な存在となっている地域もありました。神様の使いで基本的な衣装の共通点はあるものの細部は実に多種多様。そして、多様性がありながら、しかも、よそを認めない貧境なローカリズム。どこの地域でも、うちのやぶがナンバーワンで、実は地元の人も気づいてないけどオンリーワン。しかも、それを競うわけでもなく。そして、コロナ禍でお祭りが派手な部分だけを残したり、よそから「やぶ」を輸入して来たり、フェス化したりする状況も。長期の取材の中で地元にある、この変わらないことが、かっこいい、大切にしないといけないという文化を守ろうとする地域に出会えました。呉地域の人が愛してやまない「うちのやぶ」に興味をもってもらえればと思い、制作しました。

【制作後記】
広島の隣町に、こんなにも多様性と地域的性格がある「やぶ」がいるとは思っていもいませんでした。週末には集中してお祭りが行われるため、どこの神社にいって音をとるか、また、「やぶ」は神社の管理ではなく、基本的に地元の青年団の管理。しかも天気やコロナの状況で当日・直前に内容が短縮されたり、中止されたりで、「やぶ」の音になかなか出会えませんでした。また、お囃子一つとっても同じものがないです。その地域ならではのお囃子などが楽しめます。また「俵もみ」なる神事は、お祭りの大きな見どころの一つ。大人の力と力のぶつかり合いを、録音のためということで、最前列にいることが出来ましたが、息をのむほどの迫力に、気がつけば自分もすっかり「やぶ」に魅せられてしまっていました。ひとくちに「やぶ」と説明できない「やぶ」を伝えられたらと思っています。

2022年12月 6日 (火)

鬼師~3代目の挑戦

2022年12月12日~2022年12月18日放送 
熊本放送 ラジオ制作部 日野 禎

【番組概要】
1000年以上の歴史を持ち、神社仏閣をはじめ、日本の家屋や家族を守ってきた鬼瓦。その鬼瓦を伝統の技でつくり出す職人が「鬼師」です。熊本地震で大きな被害を受けた熊本城。その大小の天守閣に、新しいしゃちほこを復元し、熊本復興のシンボルとして県民を元気づけたのは鬼師の藤本さん親子です。神社仏閣の全国的な減少の影響を受け、職業としての「鬼師」も存在の危機にあります。
そんな中息子で3代目、気鋭の34才の若者、藤本修悟さんは、一旦は別の道に進みましたが、職業として成り立つような新しい「鬼師」を目指し、跡を継ぎました。今新しい商品として、ミニチュアのしゃちほこの置物の他、瓦のアロマキャンドル等日用品も制作しました。また新たにペットの日よけなど試作品にも取り組みます。跡を継いで10年、理解し応援してくれるサポーターも増えてきました。一方で、職業としての「鬼師」をPRし、その裾野を広げていく活動も。近くの美術館を借りて、「紙粘土教室」を開いています。将来の子供たちの「鬼師」としての可能性にも目を向けているのです。 藤本修悟さん。そのチャレンジと模索の日々は続きます。


【制作意図】
私たちの生活にも深く関わってきた寺院・神社。その急激な減少に大きな影響を受けている職業の一つが「鬼師」です。お寺や神社の独特な「鬼瓦」は、専門にする瓦職人「鬼師」でないと作ることが難しいのです。日本の歴史を刻んできた寺社・仏閣。そして名城の数々。日本独特の建築は、そこに深い意味があり、細部に渡って表現されている芸術作品です。あの名城「熊本城」の天守のしゃちほこを制作した藤本さん親子ですら、この先これまでの様な仕事があるとは限りません。大変厳しい状況なのです。業界では、九州最後と言われている「鬼師」3代目の藤本さんの新しい取り組みを少しでも知って欲しい。そして「鬼師」という存在も知って欲しい。応援したいという気持ちはもちろんあります。今消滅の危機にある寺社仏閣。そして「鬼師」。日本の伝統文化が消えようとしている現実。このままで本当にいいんですか?そんな思いを持ち、制作しました。

【制作後記】
自分も18代、室町時代から続く寺院の次男として生まれ、お寺で育ちました。思い入れのあるお寺や神社が消滅の危機にある、もちろん他人事ではありません。そこで出会ったのが「鬼師」藤本さん親子です。34才 3代目の修悟さんのその言葉や作り上げた作品はとてもインパクトがありました。新しい「鬼師」を作り上げる。頼もしいと感じました。うまく焼いた瓦は、200年も300年も持つと言われています。土で出来ていて、エコにも優しく今のSDGsにも合ったものです。「鬼瓦」が日本の伝統文化だけでなく、アロマキャンドルなど日常品として、海外にも広がっていく。そんな日も近いと感じました。そして、今後海外から多くの旅行者が来る中で、芸術品としての「鬼瓦」に目を向け、再評価されていく。そんな近い将来がやって来る、そんな期待もしています。

 

母と子を繋ぐ子守唄 よーかい

2022年12月5日~2022年12月11日放送 
南日本放送 音声メディア部 後藤 剛

【番組概要】
令和のこの時代、世の中から消え去ろうとしている子守唄だが、鹿児島県内各地に、その子守唄を歌い継ごうと活動されている方がいる。今回番組では、種子島で歌い継がれている「よーかい」を取材した。ちなみに「よーかい」は、子どもを「よーし、よーし」とあやす時に使う言葉。最初にお話を聞いたのは、間もなく75歳になる南種子町の日高たか子さん。日高さんはどのように子守唄を教わったのか。また、日高さんが「よーかい」を歌い続ける理由とは...。続いて訪れたのは、中種子町で三味線を子供たちに教えている織部佐恵子さん。種子島の子守唄や民謡を今現在も子供たちへ歌い継ごうと思ったきっかけや、教わっている10代の子供たちにも、子守唄への思いを聞いた。

【制作意図】
収束に向かいつつあるコロナ過だが、密集、密接、密閉の三密を避けなければならない暮らしが続いてきた。このような状況にあっても、母親と乳児は密接な触れあいなくして成り立たない。番組では、種子島で歌い継がれている子守唄を取材し、貴重な音源として収録すると共に、人と人が触れあうことの大切さに改めて思いを馳せていただく。

【制作後記】
子守唄「よーかい」の意味について調べると、出稼ぎで種子島特産の鎌を売りに、離れた屋久島へ出かけたまま長年帰らない父親を思いながら、赤ちゃんを寝かしつけている光景が描かれている、切ない唄だった。母と子だけではなく、妻と夫、そして家族全員を繋ぐ願いが込められていたのかもしれない子守唄「よーかい」。ちなみに島の高校生に話を聞くと、「よーかい」を昔聴いたことはあるが、「妖怪」と思っている生徒も少なくないようだ…

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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