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2020年12月

2020年12月14日 (月)

長州の酒~生まれ変わった酒蔵の挑戦

2020年12月21日~2020年12月27日放送 
山口放送 ラジオ制作部 奥田貴弘

【番組概要】
山口県下関市に生まれた酒蔵「長州酒造」。後継者のいない酒蔵を継承する形で始動した、日本で一番新しい酒蔵です。酒造りを指揮するのは杜氏の藤岡美樹さん。香川や三重の酒蔵で人気の銘柄に携わってきた藤岡さんが、理想の酒造りをもとめ山口に移住しました。しかし新型コロナの影響は酒造業界にも暗い影を落とします。長州酒造のはじめての酒造りの現場から、藤岡さんの酒造りへの情熱に迫りました。

【制作意図】
日本酒の需要は年々下がり続ける中、それでも山口の日本酒は全国的に注目をあつめています。そんななか新しい酒蔵ができるという話を聞き、完成した酒蔵を取材したのが6月。それから予想外のトラブルが続き、やっと11月に初めての仕込みを取材することができました。女性杜氏の理想がつまった新しい酒蔵で醸す「天美」 変わらない酒造りと、新しい発想で酒造りに向き合う杜氏の情熱がお伝えできればと思います。

【制作後記】
藤岡さんの酒造りへの情熱にふれ、この酒蔵でできる酒はどんなものだろうと、ずっと楽しみにしていました。出来上がったばかり「天美 The First」は大変な反響で、すべてのお酒が予約分で完売。もう蔵には「天美」無いと聞き、仕方なく自分用に予約していた1本を河野アナに試飲リポートしてもらいました。いまは第2弾、第3弾の「天美」が完成し、全国の酒屋へ出荷されています。この酒蔵がこれから20年、30年、何世代にも渡って愛される酒蔵として、この土地に根付いてくれることを願っています。

2020年12月11日 (金)

音楽のまち・浜松~駅で響くピアノの音色~

2020年12月14日~2020年12月20日放送 
静岡放送 ラジオ局編成制作部 和田紗弓

【番組概要】
静岡県浜松市は「音楽のまち」として親しまれています。そんな浜松の玄関口であるJR浜松駅のコンコースには、グランドピアノが置いてあり、だれでも自由に弾くことができます。そんな浜松駅にとって当たり前な、駅に響くピアノの音色が、今年新型コロナウイルスの感染拡大の影響で消えました。その時の、人々の思いや、再開後のピアノの音色を聴いて感じることを番組にしました。

【制作意図】
浜松駅にグランドピアノを置き始めたのは、41年前。長年、音楽のまち・浜松の象徴として親しまれています。そんな、ピアノが今回、使用禁止になり、駅からピアノの音色が消えました。その時の人々の思いから感じる、「音楽のまち・浜松」にあるピアノの力を番組にしたいと思い、制作しました。

【制作後記】
浜松駅のピアノの再開を問い合わせたところ、「明日再開です」、という返事をいただいたところから始まった番組制作。コロナの影響で、取材拒否をされる方も多く、苦労する部分もありましたが、今年だからこそ伝えられる「浜松駅のピアノ」を描くことができたのではないか、と思います。今、辛い状況の方、多くいらっしゃるかと思います。そんな方々に届いたら、うれしいです。

捨てないパン屋、田村さんのパン

2020年12月7日~2020年12月13日放送 
中国放送 制作部ラジオGr. 宮崎夏音

【番組概要】
広島県広島市、マツダスタジアムから車で10分ほど進んだところにあるパン屋さん【ブーランジェリー・ドリアン】こちらのお店で販売されるのは、カンパーニュ、ブロン、ブリオッシュ…ハード系と呼ばれるパン、3種類。パンを焼くのは、柔らかな雰囲気を持ち、笑うと目が線になる、店主の田村陽至さん。そんなドリアンではここ5年ほど、廃棄したパンの数はゼロ・・・“捨てないパン屋”として注目を集めています。どんなことをして捨てないパン屋になったのか…田村さんが焼くのは一体どんなパンなのか…。田村さんのパン作りへの思いをお届けします。

【制作意図】
パン屋さんだけでなく、どんなお店でも、自分が丹精込めて作った商品を捨てたくはない。でも廃棄は仕方がない・・・そんな考えが“普通”になっている中で、「捨てない」という、“難しいこと”を実現できている、ブーランジェリー・ドリアン。どんな努力をしたら、どんな工夫をしたら「捨てない」ことができるのか…とても興味深く、また今の時代にとても合っているテーマだと思い、取材させていただきました。

【制作後記】
「無理なく働く」「手を抜く」「気づくと捨ててなかった」今回、2日間取材をさせていただきましたが、職人の口から出てくるとは思えないフレーズがたくさんあり、驚きの連続でした。また、興味深い話満載で、編集作業をするときに、素材の取捨選択にとても迷いました。捨てないパン屋なのに、捨てる作業をしないといけないなんて・・・。また、田村さんの話は、私の仕事にも共通することが多く、話を聞きながら、学ばせてもらうことがたくさんありました。ふわっとした柔らかさの中にある、確固たる信念。・・・ご一緒したのは、2日間だけでしたが、田村さんの魅力に引き込まれてしまいました。そして、今回の取材をきっかけに、ドリアンのカンパーニュデビューをしました。一口食べると、何とも言えない幸せな気分になりました。

クラフトビール造り~京都での挑戦~

2020年11月30日~2020年12月6日放送 
京都放送 ラジオ編成制作局 制作部 大坪右弥

【番組概要】
京都市十条の住宅街でクラフトビールを造っている「京都醸造株式会社」。
留学プログラムを機に青森県で出会ったアメリカ人のクリスさん、ウェールズ人のベンジャミンさん、カナダ人のポールさんの3人が、京都という地でクラフトビールを造り始めました。京都で始めた理由は「伝統工芸と職人の街で、クラフトビールの気質にも合うはず。」と考えたからだそうです。週末には工場に併設したタップルームで、クラフトビールファンだけでなく、近所の人も一緒になって賑わっていました。なぜ、京都醸造のクラフトビールは人を惹きつけるのか?京都醸造の皆さんがクラフトビールに込める思いや、タップルームが人々にどういった影響を与えているのかに迫りました。

【制作意図】
ビールの瓶を開ける瞬間には、幸せが詰まっている。その幸せのために一生懸命ビールを造る。クラフトビールに込めた精神、お客様への思い、タップルームでのコミュニケーションなど、すべてが「一期一会」という言葉で繋がっているということをラジオを通して伝えたいと思いました。

【制作後記】
コロナ禍であるにもかかわらず、クラフトビールファン、地域住民が足を運び、常に満席状態であることに驚きました。2015年からクラフトビール造りをスタートし、タップルームがその地域にとって、コミュニティーとして着実に根付き、愛される場所になっていることが分かりました。私自身も、「ずっとここにいたい。」「また、来よう。」と思ってしまうほど、心地良い空間でした。

全力プレーのそばで輝く

2020年11月16日~2020年11月22日放送 
熊本放送 ラジオ制作部 上妻卓実

【番組概要】
スポーツの中でも特にスピード感あふれるバスケットボール。短い時間内に次々と得点が加算されたり、選手の交代やタイムアウトと呼ばれる試合を中断して作戦を練る時間など、絶え間なく状況が変化するバスケットボール。こんなにも複雑なスポーツは、どのようにして成り立っているのでしょうか。その答えは、コート横1mにありました。4人の白いジャンパー姿の彼らはテーブルオフィシャルズ、通称TO。試合時間や得点の管理をはじめ、ルール全般を司る、バスケットボールの試合に欠かせない存在です。そんなTOを熊本で8年間続けている若杉玲子さん48歳。小学生の頃にバスケットボールと出会い手、指導者、審判を経験してきました。常にコートの中で情熱を注いできた若杉さんですが、現在はコートの外からTOとして試合を支える存在に。番組では、TOの知られざる仕事と常にバスケットボールに挑戦し続ける若杉さんの人柄に迫ります。

【制作意図】
 スポーツをしている多くの人は、年齢による衰えやケガなど身体的な理由から現場を退くことを決断します。また、「本当は好きだし、もっと挑戦したかった」、「第一線で活躍する若手がうらやましい」などの気持ちを抱えながら、引退の道を選んだ人は、スポーツに限らず仕事や学業など様々な分野でいるのではないでしょうか。番組では、バスケットボールの分野で、選手、指導者、審判、そしてテーブルオフィシャルと立場を変えながらも挑戦を続ける若杉さんを取材しました。「挑戦を続けることで輝くことができる」、そんな彼女の生き方はきっと多くの人に勇気と希望を与えることでしょう。

【制作後記】
 試合が始まれば誰よりも声を出し、きびきびと仕事をこなす若杉さんですが、試合終了後、「面白い試合内容でしたね!」と話しかけると、「試合の内容は全く覚えていません!」と満面の笑み。さらに、「試合中はTOに精一杯で余裕がないんです」と続けます。予想外の返答に思わず驚いてしましました。プレーするだけがバスケットボールではない。立場を変えながらも挑戦を続け、100%夢中になれる瞬間こそ一番輝きを発揮するのではないかと今回の制作を通して感じました。

 

屋久島民謡 まつばんだ

2020年11月23日~2020年11月29日放送 
南日本放送 ラジオ制作部 七枝 大典

【番組概要】
1993年。世界自然遺産に登録された「屋久島」は太古から続く自然と その自然と共存するため、人々は様々な知恵を出し合い、暮らしてきました。この屋久島には「まつばんだ」という民謡があります。「屋久の御岳を愚かに思うなよ 金の蔵よりゃなお宝」は、この歌の象徴的な歌詞。音階は琉球音階に似ていますが、いつのころから歌われているのか、だれがつくったのか。そして曲のタイトルである「まつばんだ」の意味を知る人は いません。記録にもありません。しかし、「この歌こそ屋久島の宝」と信じて、後世のために歌い継いでいる人たちがいます。先日、地元の有志で動画が作成され、インターネットでも公開されました。歌に込めた思いや自然との共存について伺うと共に、屋久島は育んできた文化の1つをご紹介します。

【制作意図】
鹿児島県は南北およそ600km。ここには様々な文化や風習、そして歌が残っています。特に南方の島々には サンシンという三味線に似た楽器と歌声で残る「島唄」という素晴らしい文化が残っているのですが 世界遺産の島・屋久島には、オリジナルの楽器は存在せず、代々歌い継がれている歌も ほとんどないという事を知りました。数少ない屋久島民謡「まつばんだ」を多くの方に知っていただきたい、そして途絶えようとしている民謡を独自の解釈で歌う方や集う方を紹介することで この歌のルーツを検証する機会のきっかけの1つとしたいという思いで取材しました。

【制作後記】
ほかの局の皆さんと同じくコロナの影響で取材の目途を立てることができず、
しかも屋久島町から「入島自粛」が発表されたため、取材予定を立てるのは大変難しく、
ようやく取材ができたのが10月下旬。そこからバタバタと…。そもそも、今回のテーマである「まつばんだ」という言葉と出会ったのは自分が小学3年生のころの夏休みに屋久島で見かけた「まつばんだ交通」という看板。地元の観光会社の車だったのですが、それ以来「まつばんだ」という言葉が心のどこかに残っていました。今から2年ほど前に 屋久島に特化した番組を担当することになり まつばんだを調べたところ、民謡らしいことが判明。しかも途絶えかけているという事が分かり 今回取材させていただいた次第です。今回、心の閊え(?)が ようやく解けたのですが、取材をきっかけに知り合った屋久島の方々から頻繁に「まつばんだ情報」をいただき、ありがたい限りです。

 

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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