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2019年4月

2019年4月25日 (木)

尾道水道を渡る~60円の近道~

2019年5月6日~2019年5月12日放送 
中国放送 RCCフロンティア 立分美有

【番組概要】
広島県尾道市の南側に、向島と呼ばれる島があります。その向島と尾道の間には「尾道水道」という幅300mもない海峡があり、その海峡をひっきりなしに小さな渡し船が行き交っています。50年前に島への橋ができたにもかかわらず、向島の中心部から尾道駅に向かうには遠回りになる為、今でも渡船を利用する人が多くいます。尾道水道を往復する渡船は3社ありますが、その中でも運賃60円で一番安く乗れるのが今回取材した福本渡船。しかし、船員の高齢化による船員不足により、現在午前中と夕方以降のみの運行となっています。運休となると遠回りをするか、別の渡船を少し高いお値段で利用するかの二択。では実際、福本渡船がどれだけ早くて便利なのか?ということを、全国の視聴者にも体験していただきたく、実際に船を待つ時間から乗って降りるまでの一連の流れをノーカットでお届けします。

【制作意図】
住民の足として欠かせない渡船。お値段が安い、そして乗船時間が一番短いといった理由から学生が多く利用するのが福本渡船。特に朝のラッシュ時の船内は、自転車ごと乗船する多くの学生であふれかえっています。そんな学生の足として欠かせない渡船が、日中は運休状態になっているという現状と、どれだけ便利な交通手段で、どれだけ早いのかということを知っていただきたく制作しました。実際の乗船時間を使って制作しています。体感してみてください。

【制作後記】
操縦室内でのメディア取材は基本的に断っているそうですが、ラジオの取材なら入ってもいいよと特別に許可をいただき操縦室へ。想像していた船の操縦とは程遠く、ハンドルではなく、たくさんのレバーを使い、複雑かつ繊細に操縦されていました。取材をした船長の栗本さん曰く、「他の船と操縦方法が違うので、時間をかけた研修が必要」とのこと。現在研修中の若手研修生が2名いらっしゃいますが、一人で運転できるようになるには、もう少し時間がかかるそう。住民と学生の為にも、早く元の運行状況に戻ることを願っています。



レトロな列車でアツくなる!~津軽鉄道をたずねて~

2019年4月29日~2019年5月5日放送 
青森放送 ラジオ制作部 齊藤暢

【番組概要】
青森県の津軽平野を走るローカル線、津軽鉄道。小規模な鉄道ですが、四季折々のイベント列車を催しています。その中でも特に人気なのが、冬限定のストーブ列車。その歴史は古く、およそ90年前から運行しています。長く続けてこられたのは、ストーブ列車を支える人たちの存在があってこそ。乗客に観光地やストーブ列車の事を教える観光アテンダント、毎日限られた時間でメンテナンスをする整備士。決して大きいとは言えない所帯ですが、1人1人がストーブ列車の事を愛しています。今や1つの観光地となっている、ローカル列車を取り巻く人たちの想いを聞きました。

【制作意図】
初めは地元民を運ぶ列車でしたが、いつしか県外の人たちから注目され、近年では海外からの乗客も増えています。それとは対照的に、青森県に住んでいてストーブ列車に乗った事がない人が増えているように思います。存在が近すぎて、あえて意識する機会がないのかもしれません。恥ずかしながら、私もその1人でした。まだ知らない県外の人たちはもちろん、実はまだ乗った事がないという青森県民にも、魅力が伝わり興味を持っていただければ嬉しい限りです。

【制作後記】
今回の取材にあたって、青森に住んでいながら初めて乗ったのですが、なぜもっと早く気付かなかったのかと自分を責めました。ゆったり流れる景色を見ながら車体の揺れに身を任せ、石炭が燃える熱を味わう幸せ。木製の内装は視覚的にもあたたかく、その中に佇むダルマストーブからは侘び寂びの空気が感じられます。働き方改革が声高に訴えられている昨今、この空間で全てを忘れて過ごす事は最高の贅沢なのではないでしょうか。今回は仕事での乗車でしたが、次は1人の客として存分に楽しみたいと思います。

親子3代~鍛冶屋の心つなぎます!

2019年4月22日~2019年4月28日放送 
熊本放送 ラジオ制作部 日野 禎

【番組概要】
熊本人吉で200年以上 その火を絶やすことなく、その伝統をつないできた「蓑毛鍛冶屋」。8代目の祖父 裕さん84歳、9代目の父 稔さん56歳、10代目で孫の勇さん32歳、親子3代で鍛冶屋を営んでいる。孫の勇さんが家業を継いだのは2年前。それまで11年間勤務してきた海上自衛隊を辞め、「おじいさんと3代で鍛冶屋をやりたい」と人吉に帰ってきた。祖父と父親からその技を学ぶ。最盛期60軒以上の鍛冶屋が軒を連ねていた城下町人吉。鍛冶屋が減っていくなかで、手作り刃物の魅力を伝える努力も続けている・・・

【制作意図】
年々減少しつつある鍛冶屋という職業。その中で、伝統を守る職人、安定した職業を辞めてまで、家業を継いだ青年 勇さんに興味を持った。鍛冶の魅力とは何か?音とインタビューで 鍛冶屋の魅力をどの程度伝えられるのか?そこに奮闘している親子3代の奮闘ぶりと、その家族の絆とは?

【制作後記】
祖父、裕さんの暖かさ、孫 勇さんを見守る しい気持ちが取材をしていても、充分に伝わりました。いつも鍛冶屋の魅力を伝えたいと考えている勇さん。この思いは、いつか必ず地球の裏側に伝わる日が来る。「MADE IN JAPAN」の素晴らしいナイフや包丁が世界を席巻する。そんな思いがしました。

拍子木の効能は火の用心

2019年4月15日~2019年4月21日放送 
信越放送 ラジオ局編成制作部 中嶋直哉

【番組概要】
長野県山ノ内町にある渋温泉は大正から昭和初期に建てられた木造の旅館、住宅が並ぶ温泉街。一軒の建物に火災が起きてしまった場合、温泉街全体に燃えうつってしまうかもしれない。明暦3年に江戸の大半を焼いた「明暦の大火」をきっかけに、この街でその頃から続く火災予防活動を取材しました。

【制作意図】
長野県内では、消防団員の高齢化、新入団員の確保が難しいことなどを理由に、消防団活動の縮小が進んでいます。消防団と住民が一体となって、毎日活動を続ける地域は、全国的に見てもめずらしく、古くから残る温泉街が守られてきた活動をお伝えしたいと思い制作しました。

【制作後記】
私も地元で消防団に在籍していますが、年間で地域内の火災予防活動を担当するのは数回。それがこの渋温泉では毎晩消防団以外の方も含めて見回りをしているということにびっくりしました。この地域のみなさんはその活動について口をそろえて「当たり前のこと」とお話されたことがとても印象的でした。

ナマステ!宝石の街・甲府でインドの春祭り!

2019年4月8日~2019年4月14日放送 
山梨放送 ラジオ制作部 上野 美咲

【番組概要】
ジュエリー生産量日本一を誇り、「宝石の街・甲府」と呼ばれる山梨県・甲府市。実はインド人の居住者数が多く、日本で4番目に多いというデータもあります。多くの方は宝石関係の仕事に携わっています。そんなインド人の方が楽しみにしているイベントが、1年に1回開催されるインドやネパールのヒンドゥー教の春祭り「ホーリー祭」。山梨に住むインド人の皆さんは、どんなふうにこの「ホーリー祭」を楽しんでいるのでしょうか。3月24日に甲府市にある曽根丘陵公園で開催された「ホーリー祭」に参加させていただきましたので、そのお祭りの様子を伝えます。

【制作意図】
「実は山梨にはインド人の方が多く住んでいる」「山梨でも年に1回春の訪れを祝う
ホーリー祭が開催されている」。そんな情報を聞いて興味を持ち、制作しようと思いました。
ホーリー祭を調べていくと「世界一カラフルで危険な祭り」という言葉も見つかり、
どんなお祭りなのか、これはぜひ体感してみたい!
そしてラジオを通してこのホーリー祭の賑やかで楽しい雰囲気を味わっていただければ
と思い、制作しました。

【制作後記】
ホーリー祭に参加した感想を一言で言うと、「とにかくすごい」。ホーリー祭に伺う前に、取材に協力してくださったインド人の皆さんから「当日は誰が誰だかわからなくなるくらい粉まみれになるよ!」と言われていましたが、そこまでではないだろうと軽く考えていたら、大間違いでした・・・。赤や黄色、ピンクにオレンジと、本当に全身粉まみれになりました。とにかく容赦なく粉をぶつけられ、私も負けじと粉をぶつけさせていただきました。会場の公園では「ハッピーホーリー!」という元気な掛け声と、とってもノリノリなインド音楽に溢れていて、当日は100人くらいのインド人の皆さんが楽しんでいらっしゃいました。この日を心待ちにしていた方も多く、この日のために東京から来たという方も
いらっしゃいました。カラフルな粉まみれになった皆さんを見て、楽しい春の訪れを感じました。ぜひ来年も参加してみたい!と思いました。

水が運んだ繁栄と残された文化 ~水郷佐原~

2019年4月1日~2019年4月7日放送 
文化放送 編成制作部 渡邉ひかり

【番組概要】
成田国際空港から車で北へ30分ほど、茨城県との県境にある、千葉県香取市佐原。”水郷の町”や”北総の小江戸”などと呼ばれ、1996年に関東地方で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されました。伝統的な商家の町並みの中心を流れる小野川は、佐原が商いの町として発展するのに、非常に重要な役割を果たしていました。そして今、その小野川には、元々佐原村用水を水田に送るための大樋だった橋を観光用につくった、通称「じゃあじゃあ橋」がかかっています。ここでは、「じゃーじゃー」という当時の落水音を今も同じように聞くことができます。舟運によって栄えた佐原の町の歴史と残された文化を船頭さんと歴史ある商家の社長さんの取材音声とともにお届けします。


【制作意図】
「残したい日本の音風景100選」にも選ばれている「じゃあじゃあ橋」と伝統的な商家の町並み。
そして佐原の町の発展に欠かせなかったのが、町の中心を流れる「小野川」。かつてのにぎわいはなくなっても、それらの文化を残そうとしている人々がここにはいます。当時の音を残そうとした「じゃあじゃあ橋」の落水音、佐原の伝統を受け継ぐ人々の声を届けたいと思い、今回制作に至りました。

【制作後記】
生まれも育ちも千葉県の私ですが、佐原から離れたところに住んでいることもあり、今まで足を運んだことはありませんでした。千葉県では、佐原のような歴史的建造物が残った町並みは貴重な光景です。
成田国際空港が近いこともあり、外国人観光客も多く見られましたが、町の経済状況はまだまだ厳しいとのこと。取材をしていくうちに、かつての佐原は本当に江戸に劣らずにぎわっていたことや伝統を残すための苦悩などがわかってきました。今もかつての様子を感じることができる佐原の町を多くの人々に知って、訪れてもらいたいと、取材後はより強く思うようになりました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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