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2019年5月

2019年5月30日 (木)

星の話をしよう

2019年5月27日~2019年6月2日放送 
山口放送 ラジオ制作部 千田 正秀

【番組概要】
山口県宇部市にあるプラネタリウムは現役のものとしては 国内で最も古いプラネタリウム。 52年前に作られた施設で解説員を務める久幸美雄さん76歳。 アナログの光学式プラネタリウムを操って、訪れたお客さんの年齢や科学の 知識に合わせた星の話をしてくれます。わずか70席ほどの小さな空間で語られる、デジタル式のプラネタリウムでは 真似できない、久幸さんの温かみのある星の話を伝えます。

【制作意図】
「地球ほどきれいなものはない。外の世界(星の世界)を知ることは 自分自身を知ること」と いう久幸さんの言葉を聞き、 久幸さんが語る星の世界をより多くの人に伝えたいと思いました。 「星の下ではすべて平等」、「われらは、はてしない夢とロマンと想像力をもつ りりしい科学者。つねにワクワクドキドキする柔軟な心を持って、 ユーモアあふれ、謙虚で、やさしい、朗らかな宇宙人でありたいと思います」。 これらは久幸さんが作った宇部天文同好会のきまりです。 久幸さんの人柄と語り口、そしてアナログの投映機が作り出す 星の世界の雰囲気を少しの間でも感じてもらえればありがたいです。

【制作後記】
番組内には入れられませんでしたが、実はこのプラネタリウムのある施設は 数年後には取り壊しが決まっていて、プラネタリウムもその寿命を終えることになります。 新たな施設が建設され、プラネタリウムや天体望遠鏡が整備されるとしても 全く新しいものになるでしょう。 久幸さんの名解説が聴けるのも今のうちなので、天文ファンの皆さん、 天文ファンでなくても一度、宇部市に足を運んで、久幸さんが案内する 星の世界で遊んでみてはいかがでしょう?

平和を奏でる音色 ~カンカラ三線からサンレレへ~

2019年5月20日~2019年5月26日放送 
ラジオ沖縄 制作報道局 報道部 杉原 愛 

【番組概要】
三線は沖縄の人々=うちなーんちゅにとって、ただの楽器ではない。何もかも失った戦時中、うちなーんちゅは悲しみや苦しみを紛らわせるため、空き缶やパラシュートの紐など、ありあわせの材料で“カンカラ三線”を制作した。切なくも力強く響くその音色に人々は生きる希望を託した。カンカラ三線の存在は、過去の沖縄の歴史も物語っている。
一方で、今の時代だからこそ誕生した新たな三線もある。ハワイの「ウクレレ」と沖縄の「三線」を融合させた楽器 ”サンレレ” だ。全く異なる2つの楽器が見事に融合して癒しの音色を奏でるサンレレには、様々な文化を受け入れ、世界とつながり独自に発展してきた沖縄の姿が重なるようにも見える。過去を語り継ぐカンカラ三線の音色と平和を喜び歌うようなサンレレの優しい音色。
どちらにも平和を祈る沖縄の心が宿っている。


【制作意図】
三線には“心”が宿ると言われる。それは、時代の流れと共に 常に三線が人々の心に寄り添ってきたからだろう。戦時中に人々の心を支えた「カンカラ三線」は、うちなーんちゅの悲しい歴史を一緒に乗り越えてきた三線。平和な時代の沖縄に生まれた「サンレレ」は、異文化を受け入れ、新たな時代を切り開いてきたうちなーんちゅのおおらかさを表現する三線。生まれた時代は違えど、そこには平和を愛するうちなーんちゅの精神が息づいている。それぞれの三線が奏でるうちなーんちゅの思いに耳を傾けてほしい。


【制作後記】
「カンカラ三線は、本来はあってはならなかったもの」という言葉が忘れられない。戦争を体験した父に収容所での経験を聞いて育ったという、三線店を営む照屋勝武さんの言葉だ。戦時中、何もかも失った最悪の状態でうまれたカンカラ三線は、平和な時代には弾かれるはずのなかった楽器だ。でも、だからこそ、カンカラ三線が奏でてきた当時の人たちの思いは未来にも語り継ぐ必要があると感じる。一方で、サンレレは全てを包み込むような平和を象徴するような音色だ。カンカラ三線の音色には苦しい状況にも前を向き、立ちあがるうちなーんちゅの強さが。サンレレの音色には異なる文化を受け入れて独自に新たなものを生み出すことができるうちなーんちゅの寛容さがあふれている。どちらの音も、次の世代に残していきたい。

 

2019年5月17日 (金)

明治から令和へ ~受け継がれる太鼓の音色~

2019年5月13日~2019年5月19日放送 
静岡放送 ラジオ局編成制作部 鈴木 保

【番組概要】
全国的に有名な楽器店も数多くあり、音楽の街としても知られる静岡県浜松市。そんな浜松市で、明治27年に創業し今年創業125年を迎えるのが安藤太鼓店だ。日本の祭りと和太鼓の音色は気っても切り離せないが、安藤太鼓店は全国お祭りで使われる和太鼓の製作、修理を全て手作業で請け負っている。
明治から令和と5つ世代を跨いで受け継がれてきた和太鼓の音色とは?
125年に渡って受け継がれている和太鼓作りの技術、手作りの和太鼓の魅力に迫った。

【制作意図】
静岡県浜松市は音楽の街としても全国に知られてはいるが、どちらかというと、有名なのはピアノを始めとした洋楽器のイメージが強いかもしれません。その浜松市の中心部で安藤太鼓店は、和太鼓を作り続けていて、平成が令和に元号が変わった今年、創業125年を迎えます。創業した明治27年から変わらず、すべて手作業で和太鼓の製作、修理を続けていて、静岡県内だけでなく、全国各地から依頼される太鼓の修理も行っている安藤太鼓店。そんな県内に限らず、全国のお祭りを支えている安藤太鼓店で受け継がれる音色や伝統を伝えたいと思ました。

【制作後記】
太鼓の音色は、地域によってそれぞれ違い、いい音の太鼓と悪い音の太鼓というような形で一括りにできない物でした。今回、太鼓の皮の張り替え作業を見せて頂いたのですが、お客さんが求める音色に近づけるための音の調整は地道な作業でした。近年、人口の減少もありお祭り自体も減ってきていていて、和太鼓の音色を聴く機会も減ってきていると感じる。今回、太鼓作りの様子やお祭りの様子を取材し、この和太鼓の音色や日本のお祭り伝統を残し続けていきたいと感じました。



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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