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2018年11月

2018年11月30日 (金)

蕎麦打ちに青春をかける高校生たち

2018年12月3日~2018年12月9日放送 
ラジオ福島 放送制作センター 山地美紗子

【番組概要】
県立耶麻農業高校は、喜多方市の山あいにある小さな高校です。学校のあるエリアは、そばの里として知られています。今から30年前、平成元年にそばで町おこしをする様子を取材した「録音風物誌」がラジオ福島に残っており、その音を紹介しつつ、現在、高校生がその文化を継承するなかで地域の方々と触れ合う姿を番組にしました。10人に満たない「そば部」が今年あらたなチャレンジをしています。地域の蔵で、月に1度、そばの店を始めました。蕎麦打ちのみならず、接客もなかなか慣れない様子でしたが、生徒を応援しようとお客さんが次々ときます。その中で、喜びとやりがいを感じ、生徒たちが成長していきます。

【制作意図】
小さな高校の取り組みを発信したかったことと、30年前のこの番組の音源に再び光を当てたかったところからスタートしました。蕎麦打ちは地道な世界。30年前の蕎麦をリズミカルに切る音と、現在、高校生が一生懸命に蕎麦を切る音をつなげ、蕎麦文化の継承を表現したいと思いました。

【制作後記】
いまどきの都市部の高校生のイメージとは全く異なる、朴訥とした雰囲気の中に溶け込むのに一苦労しました。また、そば打ちの音は水回しも伸ばしも何の音かわからないので、すべてカット。インタビューが多くなってしまったことが反省点です。

54年間頑張りました!高野山ケーブルカー

2018年11月26日~2018年12月2日放送 
和歌山放送 報道制作部 寺門秀介/柘植義信

【番組概要】
真言密教の聖地、世界遺産に登録されている霊場高野山に参拝者らを運ぶケーブルカーが開通して88年。3代目のケーブルカーは54年前、2両1組の2編成が導入された。東京の高尾山のケーブルカーに次ぐ急勾配を麓の駅から山上までおよそ5分で結ぶ。ケーブルカー用としては日本一の太さがあるケーブルを使い、大きな巻き上げ機を2台を使い力強く牽引する。このケーブルカー、来年春スイス製の新しいケーブルカーが導入されるため今月25日で引退した。この間に運んだ人数はおよそ2800万人、普段はひっそりと麓と山上を往復している高野山ケーブルカー。一度塗装変更し、54年間頑張ったレトロなケーブルカーを多くの人に知ってもらい、来春登場する新しいケーブルカーへと活躍をバトンタッチしたい。

【制作意図】
和歌山県にある真言密教の聖地の高野山。これまで国内の参拝客や夏の林間学校の子どもたちで賑わっていたが、ユネスコの世界遺産に登録されると共にフランスなどからの外国人観光客も多くなっている。標高およそ860メートルの高野山へのアクセスとして88年にわたり活躍しているのが南海電鉄鋼索線、通称高野山ケーブルカー。3台目のケーブルカーが2018年11月25日で54年の歴史に幕を下ろし引退した。来年春にはスイス製の新しい車両が導入される。車社会でマイカーやバスでの参拝者が多くなり、ケーブルカーの存在が薄くなっているが、外国人観光客の増加で徐々に人気を取り戻している。番組では54年間働き続けたレトロなケーブルカーの勇姿を録音で紹介し、観光資源としても注目されるケーブルカーであり続けて欲しいとの期待を込めてその存在をアピールします。

【制作後記】
高野山への参拝客や夏の林間学校に向かう子どもたちを運ぶことはもとより、山上での生活者の足としても活躍した3代目ケーブルカー。山頂の地下にある大きな巻き上げ機が力一杯ケーブルを引き揚げる。導入当時としては珍しい自動扉を持つ2両編成のケーブルカーの存在が車社会で希薄になっていた。外国人観光客が増えて人気が徐々に復活。運行する南海電鉄も歴代車両のパネル展をしたり、記念イベントをしたりと存在をアピール。当番組とほとんど同じ時間で終点に着いてしまうケーブルカーの醍醐味を多くの人に知ってもらい地方の鉄道の再生に寄与したい。

2018年11月19日 (月)

新潟といえば、酒?米?半身揚げ?

2018年11月19日~2018年11月25日放送 
新潟放送 情報センターラジオ放送部  田村 友季子

【番組概要】
新潟県新潟市中央区窪田町にある鳥専門店「せきとり」は、鳥の半身揚げの元祖といわれている。カレー粉をまぶして半身ごと揚げるこの豪快な料理は、今では新潟のソウルフードとして、新潟だけでなく全国にそのおいしさが広まっているが、その元祖である「せきとり」を取材し、半身揚げに対するこだわりなど、新潟市の下町の、活気ある様子とともにお伝えする。

【制作意図】
「せきとり」は新潟県民なら誰もが知っている半身揚げの元祖の店である。絶妙なカレーの風味と、ずっと変わらないおいしさで長年愛されている「せきとり」の半身揚げに加え、お店に集う人たちのにぎやかな様子もお伝えできたらと考え制作した。なんといっても半身を揚げている音が重要と考え、そこから新潟県民に愛される半身揚げのインパクトやおいしさ、さらにはカレーの香りまでお届けできればと思う。

【制作後記】
三代目の関まさひとさんの、創業当時の味を守り続けたい、というお話から、半身揚げに対する強いこだわりを感じた。入り組んだ住宅街に立地する「せきとり」だが開店直後からひっきりなしにお客さんが訪れる。おいしい半身揚げのファンであると同時に、そんな「せきとり」の心意気を感じるからかもしれない。下町に似合うどこか懐かしい店構えで、カレーの香りとお客さんの笑い声が響く幸せな空間であった。

2018年11月 7日 (水)

幸と人 運ぶ讃岐の おいりもの

2018年11月12日~2018年11月18日放送 
西日本放送 営業局 ラジオセンター 出石亜弥

【番組概要】
香川県の伝統菓子とされる「おいり」。小粒でパステルカラーのかわいらしい和菓子がソフトクリームやかき氷など、様々なスイーツにトッピングされ10代~20代女性を中心に人気を集めています。そんな「おいり」元々は、香川県の西の地域に伝わる嫁入り道具の1つ。歴史は丸亀城を築城した生駒親正公の時代までさかのぼります。幾世代にも受け継がれてきた伝統のお菓子が今、「インスタ映え」という言葉と一緒に、全国へと発信されています。幸せを運ぶお菓子「おいり」のブームを、生産者の方はどう捉えているのでしょうか?

【制作意図】
見た目のかわいらしさはもちろん、優しくてほんのりあまく、サクッふわっとした食感。香川の伝統菓子「おいり」は決して「インスタ映え」だけではない魅力がたくさん詰まった自慢のお菓子です。その魅力を地元の人・生産しているお菓子屋さんの声で届けたいと思い制作しました。

【制作後記】
「おいり」にフォーカスをあてようと思ったきっかけはInstergramでした。県外の友人がわざわざ、高松市内ではなく、香川の西の端、観音寺まで電車を乗り継ぎ「おいりソフト」の写真を撮りに行ったと聞き、単純に「素敵なことだ!」と感じました。SNSを通じて、香川の伝統菓子が知られ、若い世代に響き、現地でわざわざお金を使ってそれを求める。きっかけはなんでもいい。ただ、その伝統の正しいルーツを知ればもっとそのお菓子が魅力的にみえるし愛しくなる。今も家族だけで経営しおいりを作っている、菓子工房「遊遊椿」の井下百合子さんは「こんなにもブームになっていることが不思議だ」と戸惑いながらも、とても前向きにとらえていらっしゃいました。

回れ!いつまでも~長崎独楽の復活~

2018年11月5日~2018年11月11日放送 
長崎放送 ラジオ制作部 池本志乃

【番組概要】
約100年の歴史を持つ長崎独楽。長崎市矢の平の閑静な住宅街にある河原コマヤ三代目河原勝吉さん。大正時代初期、勝吉さんのおじいさん、末吉さんが福岡県の久留米で修行したのち、長崎で独楽づくりをはじめます。時代の移り変わりと共に子供たちの遊びも変わってゆき一度は河原コマヤの看板を下ろす決意を・・・。しかし長崎市のかつての風景を取り戻そうと活動している松原一成さんとの出会いにより長崎独楽が復活します。長崎独楽を知らない世代の子供たち、子供の頃独楽で遊んでいたおじいちゃん、おばあちゃんたちが独楽回しを楽しむ様子など、長崎独楽の歴史を振り返りながらお送りします。

【制作意図】
佐世保を代表する郷土民芸の佐世保独楽は全国的にも有名ですが、長崎市の正月遊びの定番でもあった長崎独楽が長崎市にはあります。長崎市で竿後の職人となった河原コマヤ三代目河原勝吉さん。子供たちの遊びも変わってきているこの時代・・・。河原さんがどんな想いで独楽を作っているのか、時代の移り変わりをどう受け止めているのか、今の子供たちは独楽回しをできるのか?約100年の長崎独楽の歴史を振り返りながら河原勝吉さんが作った長崎独楽の音と共にお楽しみ下さい。

【制作後記】
小さい頃からなじみのある長崎独楽。しかし最近では独楽といっても子供たちが手にしているのはベイブレードといわれる、パーツを組み替えて改造できるバトル専用のコマが主流となってきています。長崎独楽の復活イベントに参加した子供たちおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんたちと一緒に独楽回しに挑戦。独楽を得意気に回すおじいちゃん、お父さんに負けじと子供たちも一生懸命になって独楽を回す姿がありました。私も懐かしくなり何度も挑戦。河原さんの教えの元練習するとできるようになりました。子供たちは呑み込みが早い為すぐ回せる子が多かったです。長崎独楽のイベントが好評だったようで次回開催も決まっているそうです。

2018年11月 1日 (木)

江戸から平成、時を見てきた宿場町・熊川

2018年10月29日~2018年11月4日放送 
福井放送 ラジオセンター 松村和也

【番組概要】
福井県若狭町熊川。若狭湾でとれた魚を京都に運ぶ鯖街道の宿場町です。室町の時代に宿場町として開かれ、江戸時代に整備され平成の今も人気のスポットです。そんな熊川は年に一度、「熊川、いっぷく時代村」という祭りを開催。その祭りには都会の大学生も企画に参加しています。宿場町ならではの人を受け入れることの大切さを時を超えてみてきた形で表現しています。

【制作意図】
平成も終わろうとしている今、時代の変わる時を見続けてきた宿場町を舞台にかわらないものの視点から宿場町熊川を表現しようと思いました。熊川で変わらないものと言えば、”がったり”。がったりとは旧家の軒先に設置されている折り畳み式の木製のベンチです。そのがったり目線で静かな熊川、祭りでにぎわう熊川。そして、時の移り変わりの中、変わらない人々、変わらないといけないことを表現したいと思い制作しました。

【制作後記】
宿場町熊川。休みの日にはツーリング、ドライブと観光客でにぎわいます。しかし、平日ともなると、川の流れの音がいつでもきこえる静かな町。ここは作られた観光地ではなく、人々が普通に生活する町で観光客を受け入れる人々の気持ちに長年の宿場町として培ってきたものが継承されています。平成が終わろうとしている今の熊川を表現しました。

ポン菓子の灯を守る

2018年10月22日~2018年10月28日放送 
四国放送 ラジオ編成制作部 清水幸二

【番組概要】
徳島県小松島市の岩田善則さん(74歳)は、地域のポン菓子職人が引退すると聞き、懐かしい昭和の味がなくなるのは惜しいと一念発起、73歳でポン菓子職人を目指して修行する。43万円のポン菓子機を購入、自宅の敷地内に作業小屋を作ってポン菓子を作っている。噂をきいて訪ねる人も多く、懐かしい味を支持する人たちの期待に応えようと、岩田さんも地元のお祭りに出店したり、かつて師匠が出店していた神社の空き地でポン菓子を作る。そんな岩田さんの頑張りと、それを支持する人たちの声をポン菓子つくりの音とともに届ける。

【制作意図】
「ドン!」という音の響きに想起させる昭和の街角の風景やお菓子の味、そのわくわくした体験を若い世代にも受け継いでほしいという岩田さんの思いを伝える。

【制作後記】
この番組はTV特番の取材音をラジオ用に再構成して、ラジオ番組として放送したものです。

 

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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