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2013年1月

2013年1月28日 (月)

かけがえのない時間~百合文庫 娘が教えてくれたこと~

2013年2月4日~2013年2月10日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子

土曜日の午後になると、子どもたちが集まってくる家があります。

山口県下関市の住宅街。岡藤秀子さん(56)は、自宅の一部を改装して、文庫として開いています。文庫では、子どもたちが好きな絵本や児童書を読んだり、借りたり、おしゃべりしたりと、のんびり過ごします。


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年前、岡藤さんは、当時小学2年生だった娘の百合子さんを事故で失いました。百合子さんの面影を求めるように、岡藤さんは百合子さんが好きだった絵本を学資保険で買いました。その数が1,000冊になったとき、「百合文庫」として開くことにしたのです。

それから14年。今も変わらず、地域の子どもたちの居場所となっている百合文庫。岡藤さんは、いま目の前にいる子どもたちとの時間を大切にしています。

2013年1月22日 (火)

さよなら シネマパラダイス

2013年1月28日~2013年2月3日放送
秋田放送 ラジオ制作部 渡邉洋祐


 秋田市にはかつて「有楽町」と呼ばれる映画の街がありました。
最大で10館あった有楽町で最後の映画館として営業してきた「シアタープレイタウン」が2012年の12月24日に閉館しました。1977年以来フイルム映画をスクリーンに映し続けてきた映写機は、時代の流れと共にその役目を終えようとしています。

 しかし、淡い光のなかで映し出されるその魅力は多くの人の心の中に残っています。長年、映写技師として働いてきた小林基之さんは、映写機の回る音を聞きながら、映画が娯楽の中心だった当時を振り返ります。

 最後の上演を終えた後、ロビーには、映画を愛する人たちの輪が広がっていました。デジタル化が進む中で、温かみのあるフイルム映画の文化にもう一度光を当てたいと思い、企画しました。映写機のカタカタという音が、もう一度小さな映画館に足を運ぶきっかけになれば幸いです。

2013年1月16日 (水)

港川人を求めて

2013年1月21日~2013年1月27日放送
ラジオ沖縄 制作報道部 金城奈々絵

 日本の人類学の歴史の中で最大の発見である港川人の化石は、一人の実業家の情熱によって発掘されました。

今をさかのぼることおよそ40年前。当時沖縄県那覇市でガソリンスタンドを経営していた大山盛保(せいほ)さんは、自身の家の近所に農園を築き、給水用の池を作ろうと石材を購入します。その中にイノシシの化石を発見したことがきっかけで採石場に足を運ぶようになり、社長業の傍ら発掘に挑み続けたのです。

一般人の取り組みで、研究者に認めてもらうまでには年月を要しましたが、大山さんは諦めませんでした。「動物のあとには、それを食料とする人間がついてくる。イノシシの化石があるなら、そこに人骨化石も存在するはずだー。」
大山さんのゆるぎない信念は港川人骨の出土に結びつき、人類学の謎を解き明かす大発見へとつながりました。

 本作では、生前の大山さんの声やご家族のインタビューを通じて港川人の発見への情熱を伝えます。同時に大山スピリットをうけつぎ現在も発掘が続けられている沖縄の人類学研究についてお届けします。

2013年1月10日 (木)

町の粉ひき水車

2013年1月14日~2013年1月20日放送
熊本放送 ラジオ編成制作部付 宮川理佳

 熊本県菊池郡大津町にある製粉所「大村彦水車」。
こちらでは、創業200周年を迎えた今でも、近くを流れる川の水を利用し、水車で小麦やそばをひいています。6代目当主の大村彰一さんは、水車小屋の音を聞きながら、水車の回転速度を調整し、じっくりと粉を仕上げています。現役で仕事をする水車が姿を消していく中、大村彦水車には、水車でひいた粉を求めてやってくるお客さんが多くいらっしゃいます。

しかし昨年の夏、大村さんの水車は1ヶ月間操業を停止せざるをえなくなります。
自然の流れに寄り添いながら暮らす当主としての想いを、水車の軽やかな音と一緒に、全国の方々にお届けしたいと思います。

2013年1月 4日 (金)

変わりゆく街と和菓子~甘い湯気の中で~

2013年1月7日~2013年1月13日放送
茨城放送 業務局制作部 西村紗彩

 舞台は、水戸の銘菓「水戸の梅」が特に美味しい、と人気の老舗和菓子屋です。
発案当初は、伝統の職人技を音で表現しながら、30代にして仕込みを任されている若き6代目と、先代の父親、それぞれの考えを伺おうと思っていました。 しかし、取材をしてみると「お菓子は変わっていくもの。古い味に執着しない」と父子の考えは一致。 さらに、仕込みも「うまい職人は、音はあまり立てない」と言われ、音の 拾い方にも悩みました。

結果、長く店を構えているからこそ語れる「街の移り変わり」に「和菓子の移り変わり」を重ねあわせて、作業が進むにつれて微妙に変化する、餡を炊く音・もちをつく音にのせて構成しました。餡の釜ギリギリまで近づて、数分間マイクを構えていると、釜から飛ぶ熱々の餡子を腕、顔、マイクに浴びました。餡を炊く湯気や、もち米を蒸かす湯気など、あま~い湯気が立ち込める中での取材だったので、その香りまで届けられていれば幸いです。

取材中にいただいた、炊きたてのあたたかい餡子を、つきたてのやわらかいお餅で包んだ、まさにできたての餡餅の美味しさは忘れられません。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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