2025年12月16日 (火)

地域で育てる、地域を育てる 四万十ターキー物語

2025年12月22日~2025年12月28日
高知放送 ラジオ編成制作部 手島伸樹

【番組概要】
中土佐町大野見地区。平成の大合併以前は大野見村、森林率およそ97%の山間の地。この地では60年以上前から七面鳥生産が行われていた。自分たちで食すためから、やがて飼育して卸す、産業として盛んになっていた。しかし、高齢化、人口減もあり大野見の七面鳥生産が岐路を迎えそうな時に、一人の青年が現れた。松下昇平さん、大阪出身でトライアスロンで訪ねた事のある中土佐町で七面鳥に出会い、味に惚れ、地域に移り住み、大野見の七面鳥を「四万十ターキー」として売り出していくことに。

【制作意図】
日本で七面鳥を主に生産しているのは石川県、北海道と高知県西土佐町大野見のわずか3ヶ所。しかも60年以上前から生産されていることは県内でもあまり知られていなかった。そこに現れた一人の青年によって、四万十ターキーの名で、認知度を高めている。清流四万十川が流れる、山間の地。人口減と高齢化という問題を抱えつつ、七面鳥を通して、地域がこれからどう変わっていくのか?地域で育てた七面鳥が、地域をどう育てるか?現状を伝えていこうと制作しました。

【制作後記】
今回の取材では、イベント会場での松下さんの奮闘ぶりと、大野見で地域の方々にお会いできた。イベント会場では既に多くの松下ファン、七面鳥ファンがおり、地元では85歳になる初めて大野見で七面鳥飼育をされた方にも話を聞く事が出来た。そこで感じたのは、松下昇平という一人の青年のバイタリティーが、何か大きなものを動かし始めるのでは?という期待感でした。日本全国、特に地方、なかでも山間部などは高齢化、人口減が喫緊の課題である。課題解決の糸口になるのは、やはりマンパワーであることを感じました。


日本一の温もり纏う 五泉ニットの工場へ

2025年12月15日~2025年12月21日
新潟放送 オーディオコンテンツセンター 齊藤希

【番組概要】
婦人セーターの生産額が日本一であり、品質も日本トップクラスのニットの生産地新潟県五泉市。
寒さが堪え、凍える身体を温めてくれるアイテム「ニット」が、どのように作られているのか。また、生産額日本一や品質トップクラスであるその理由とは。11月中旬に五泉市内で開催されたイベント「GOSEN KNIT FES」の会場の1つである株式会社サイフクに伺い、その品質に迫る。

【制作意図】
新潟県の冬の風物詩というと、鮭の塩引き(村上市)、白鳥の来訪(阿賀野市)、雪まつり(十日町市)、かんずりの雪さらし(妙高市) など色々あるが、私たちの生活を支える、寄り添うもので言うと冬のアイテム「ニット」がある。近年は「五泉ニット」とブランド化をすすめているが、知名度はまだ低い。品質が高い、新潟:五泉市の「五泉ニット」が全国に広まればと、また、五泉の産業が県内の人々にも再発見してもらえればという想いで制作に臨んだ。

【制作後記】
制作を担当した齊藤の地元でもある五泉市。
ブランド化がすすめられてから「五泉ニットっていいよね」と言われることが増えたがその反面、五泉ニットについて詳しくなかった。品質の高い「ニット製品」がどのように作られているか、
また、どのように保たれているかを今回の取材を通して知ることができた。定期的に開催されている「GOSEN KNIT FES」。「これだけ丁寧な手作業があっての品質の高さ、値段があると納得した」と
訪れた来場者が共通して感想を言っていたのがとても印象的であり、地元の産業としてとても誇らしく思えた。株式会社サイフクの斉藤常務が仰っていたことでもあるが、愛媛県今治市の「今治タオル」や福井県鯖江市の「メガネ」のように新潟県五泉市の「五泉ニット」とアイテムと産地が共通して知られるような知名度になっていってほしいなと感じた。

硬くて優しくて懐かしいさぬきの味

2025年12月8日~2025年12月14日
西日本放送 フリー 白井美由紀


【番組概要】
創業明治10年の老舗のお菓子メーカー宗家くつわ堂の瓦せんべいは、とにかく硬い!でも噛むほどにやさしい甘さが口の中に広がります。ポリパリと噛み進めるのがだんだん楽しくなる・・・地元の人はみんな食べたことのある、なじみのあるお菓子です。その工場で、150年変わらず大切に味を受け継ぐ人の想いをお聞きしました。

【制作意図】
地元の人ならみんなおなじみの瓦せんべい、私も口の中で聞こえるあの噛むときの音が忘れられません。自分の耳の中(口の中)で聞こえる音、工場で手作業で丁寧に作られる音、150年たっても手作業で作り続けられるこの音を、伝えたいという思いで制作しました。

【制作後記】
全国的に「瓦せんべい」といえば、兵庫県のものと、香川県のものが有名だそうです。ただ、他県のものと圧倒的に違うのは、「めちゃ硬い」ということと、白下糖による「甘さ」です。この甘さ、単に甘いだけではなく、何ともいえない優しくて癒される甘さなのです。今では、白下糖を作る業者が減ってしまい、実は近年、くつわ堂が契約していた業者が廃業することになったそうです。なんとか、サトウキビを作っている農家さんが受け継いで、白下糖を手に入れることができるようになったとか・・・(今度白下糖の取材もしたい・・・)「続けていく」ことの難しさと大切さを感じた取材でした。

2025年12月 1日 (月)

時間(とき)を刻む音 ~ 別府ラクテンチケーブル線

025年12月1日~2025年12月7日
大分放送(株)OBSメディア21 那賀ひとみ


【番組概要】
大分県別府市・立石山の中腹に、昭和4年・1929年に開園した九州最古の遊園地「 別府ケーブルラクテンチ 」。開園と同時に、メインゲートと遊園地を一直線に結ぶ 「ケーブルカー」の運行も始まりました。現在では、県内唯一の私鉄「 別府ケーブルラクテンチ線 」で、始発から20分間隔で運行しています。今は遠足や観光で来園したお客さんを運んでいますが、実は、周辺住民の交通手段となっていた時期もありました。
小・中学生の頃に利用していた地元の方、そして「ケーブルカー」現役運転運転手の声とともに、100周年を目指して、今も尚、響き渡る音色をお届けします。

【制作意図】
大分・別府の観光地のひとつ「別府ケーブルラクテンチ」。地元でも遠足などで1度はきっと乗車したことがあるはず「ケーブルカー」は、園内へ行くだけのものではなく、周辺住民の方にとっては交通手段だった時代もあります。今はもう無い『定期券』も存在していたとか。
昨年、創業95周年を迎えた九州最古の遊園地「別府ケーブルラクテンチ」が、住民にも観光客にも愛され続けるために運行し続ける『ケーブルカー』の起動音、変わらない車内のアナウンスをお聞きいただきたいと思い、制作しました。

【制作後記】
場する藤野峰雄さんが、中学卒業後に1度もケーブルカーへ乗っていないことを知り、久しぶりに乗車いただきました。たまたま乗車したケーブルカーの前に、突如現れた野生のニホンザル。私はこれまで「ケーブルカー」には何度か乗車したことはありますが、初めての経験でした。そしてクラクションの存在も初めて知りました。「昨日の晩御飯は思い出せないのに、学生の頃に覚えた車内アナウンスのセリフはスラスラと言えるんよ。」と、藤野さん。
100周年を迎えようとしている遊園地やケーブルカーは、観光客も、地域住民も、多くの人々を運び続けているんだなと感じました。

母牛と山に生きる

2025年11月24日~2025年11月30日
秋田放送 ラジオ放送部 高橋渉

【番組概要】
秋田県にかほ市、鳥海山の麓に広がる「上の山放牧場」で黒毛和牛の繁殖と放牧にひとり挑む若き繫殖農家・渡邊強さん。放牧経産牛の生産に日々奔走するのと同時に、放牧場・森・生態系を守ろうと行動する姿を描きました。

【制作意図】

渡邊さんは春にクラウドファンディングを実施し、上の山放牧場の山小屋の修繕を行い、美しい自然や牛を身近に感じられる空間を作りました。
私がこのことを知ったのはクラウドファンディングの実施後でしたが、これからもたくさんの取り組みを続けていくだろうと感じ、渡邊さんの原動力は何なのか、渡邊さんはどんな人なのかを取材したいと思い、制作に至りました。


【制作後記】
渡邊さんは春にクラウドファンディングを実施し、上の山放牧場の山小屋の修繕を行い、美しい自然や牛を身近に感じられる空間を作りました。
私がこのことを知ったのはクラウドファンディングの実施後でしたが、これからもたくさんの取り組みを続けていくだろうと感じ、渡邊さんの原動力は何なのか、渡邊さんはどんな人なのかを取材したいと思い、制作に至りました。



 

シャッター商店街に活気を・起死回生のドロップキック!

2025年11月17日~2025年11月23日
和歌山放送 報道制作部 寺門秀介

【番組概要】
シャッター商店街化している和歌山市中心部の繁華街”ぶらくり丁”では、まちづくりの会社を立ち上げ、商店街を再生させようとする動きが出はじめ、定期的にイベントも行われ、空き家を活用したレンタルルームも好評だ。古くなったアーケードを撤去して、歩きたくなるまちづくりを計画するなど、
いろんな取り組みに挑戦して活気を取り戻そうとしている。地元産の珍しい野菜の直売や、餅投げに集まる人々。さらには商店街プロレスまでやってくるなど、活気を取り戻しつつある様子を、録音で綴った。

【制作意図】
かつて60を超える店舗がひしめき合ったぶらくり丁も店主の高齢化や郊外ショッピングモールの台頭などで現在では半分程度にまで縮小し、衰退に歯止めがかからない状況だ。
しかし、官民一体となって商店街の賑わいを復活させようとするまちづくり会社や和歌山市の動きに呼応する新しい企業や空き物件をリノベーションして映画館やストリートファッションなど個性的な店舗を起業する若い起業家の姿も見え始め、息を吹き返しつつあるなかで、餅巻きやストリートライブ、キッチンカーによる飲食物販売、さらには、移動式モデルルームの実証実験や商店街プロレスといった
既存の常識を飛び越える催しまでやってくるなど、新しい息吹と賑わいを求める市民の調和を発信することで地方の再興の輪を広げたいという思いを込めた。

【制作後記】
私自身、その”商店街プロレス”のレスラーの一員としてぶらくり丁で試合に出場し、当日は雨天にもかかわらず200人を超える観衆でヒートアップした。リングの設営の段階で、高齢者や親子連れから興味津々に尋ねられ、市民が賑わいに飢えている様子がうかがい知れた。地方鉄道にも似たような特徴が有るが、やはりそこに人が集まるための継続的な仕掛けづくりひとつで、大きなうねりを生み出せると確信した。血流と同じように、人流も止めない。楽しい”何か”を発信し続ける。
やはり人が人を呼ぶ。そのような街の姿を模索するきっかけを得られたと思う。



2025年11月10日 (月)

カウンターの魔法 一歩踏み出す光

2025年11月10日~2025年11月16日
中国放送(株)RCCフロンティア 橋本 照英

【番組概要】
広島市中区にあるカウンタースタイルの靴磨き専門店「92(ナインティーツー)」を2017年にオープンした靴磨き職人の安部春輝さん。「靴磨き」は自分でもできるのに、92にはたくさんの方が通います。人々はなぜ92に通うのか?人々が安部さんの元を訪れる理由に注目しました。

【制作意図】
安部さんのお店「92」は、ただ靴を綺麗にするだけの靴磨き専門店ではありません。
そこには、イマドキのスタイリッシュなお店でありながらも、「職人の技」と「人との繋がり」がある「昭和な温かみ」がありました。人との関係性が希薄だと言われる現代に、職人を頼りにお店を訪れる人たち。そんな関係性や情熱を伝えたいと思い、制作しました。

【制作後記】
今回の取材の際、私も安部さんに革靴を磨いていただきました。今まで、見たことがないほど光り輝く自分の靴を眺め、感動したと同時に、これを履いて仕事をしたいと感じました。
また、私は今回入社して初めて、外での取材をさせていただいたのですが、緊張する私に対して、安部さんはとても気さくに話しかけてくださいました。こういった安部さんの人柄も相まって、お客さんたちは前向きな気持ちになり、きれいに磨かれた革靴とともに頑張っていらっしゃるのだろうと思います。そんな安部さんの人柄と靴の輝きを伝えることができれば幸いです。

さあさあお立合い~筑波山の伝統口上

2025年11月3日~2025年11月9日
LuckyFM茨城放送 上川浩輝

【番組概要】
筑波山にある筑波山神社。その境内で行われている「ガマの油売り口上」。
つくば市の無形文化財にも指定されている。この「ガマの油売り口上」を継承すること目的としている「筑波山ガマ口上保存会」に取材した。口上だけではない道具や環境の音含めたこの「ガマの油売り口上」をお楽しみください。

【制作意図】
「ガマの油売り口上」は落語の要素を含んでいるが、道具を使う点や外で口上を行う点など、音の観点からも面白いものが録れるのでは無いかと思い取り上げた。
口上とインタビューに答えてくださった筑波正治さんの思いも音に乗せたいと思い、両方を組み合わせて制作した。

【制作後記】
私は茨城に住み始めて半年で題材選びに悩みました。先輩社員に題材になりそうなものを聞き込みしていく中でこの「ガマの油売り口上」に出会いました。口上に道具と実演、他でなかなか聞くことのない文化で面白いと思い取り上げました。
「筑波山ガマ口上保存会」では現在、継承のため講座を開いています。「ガマの油売り口上」がこれからも筑波山神社で、そして聞いた人の心に残り続けることを願っています。

ふるさとの熱~高浜七年祭~

2025年10月27日~2025年11月2日
福井放送 報道制作局制作部 今川俊

【番組概要】
福井県の最西端に位置する高浜町。人口1万人ほどの小さな町です。この町で、数えで7年に一度行われるのが「高浜七年祭」。神輿の巡幸を中心に、太鼓・太刀振・曳山芸能・神楽・お田植・俄などの各種芸能が、連日連夜7日間に渡って繰り広げられます。小原一輝(こはらかずき)さん(32)。地元・高浜町出身で、現在は高浜町役場に勤めています。妻と子ども1人の3人暮らし。今年初めて「高浜七年祭」で太鼓を披露します。小原さんが所属するのは、東山地区の「東部若連中」。太鼓を打つとき、右手を真っすぐ上に突き上げるダイナミックな動きが特徴です。16歳から41歳までの男衆21人が、5か月間もの間、毎日2時間汗を流して練習し、本番を迎えます。高浜の人を強くつなぐ「魂の音」。この作品は、伝統の祭りに挑む小原さんと、町の熱気を描いた物語です。

【制作意図】
「高浜七年祭」は、活気があふれる町を挙げての祭りです。生まれたばかりの子どもから、お年寄りまで、町中の人が集まります。この「熱」を伝えたい、と思ったのが制作のきっかけです。リサーチをしていくうち、印象的な音に出合います。昼夜問わず、どこからともなく町に響く重低音。祭りに向けて練習を重ねる太鼓の音でした。まさに数えで7年に一度の「風物誌」。この音色を聴くと、祭りが近いのだと実感する町民も多いと聞きます。また、令和の人口減少時代、年々祭りに携わる人は減っていく一方。それでも、新たに祭りを盛り上げたいと挑戦する小原一輝さんに惹かれたことも、大きな原動力となりました。
 この音をラジオから届けることで、全国のみなさんに高浜七年祭の魅力を伝えたい、というのが制作意図です。

【制作後記】
私自身、「高浜七年祭」のことは知っていましたが、現場に足を運ぶのは今回が初めてでした。そこで感じたのは、とにかくみなさんの「熱」があるということです。老若男女、世代を問わずこれだけの人が集まる祭りは、いまだかつて見たことがない情熱にあふれた風景でした。この思いが「音」として伝わるように。編集のときには、特にこだわって作業を進めました。今後も「高浜七年祭」が末永く続いていくことを願って――。高浜町に思いをはせながら聴いていただけますと幸いです。

時の流れと南部せんべい

2025年10月20日~2025年10月26日
青森放送 制作局ラジオ制作部 大野和

【番組概要】
県外で暮らす弟と、地元青森で暮らす姉。姉は最近、地元で愛されている焼き菓子、「南部せんべい」に関心を持ち、青森県の太平洋側にあるおいらせ町(ちょう)で、明治時代からせんべいを作り続けている「川越せんべい店」を訪れます。5代目の店主、川越将弘さんから南部せんべいの製法や歴史を学び、焼きたてのせんべいを味わいます。長い伝統を守りながら地元でせんべい作りを続けていきたい、と語る店主の信念に心を動かされた姉は、弟にその魅力を伝えたいと思い、お土産にせんべいを送ります。弟は届いたせんべいを口にし、懐かしさとともに地元の味の良さを改めて感じます。一方の姉も、どこか実感の祖母に似てきたことに気づかされます。

【制作意図】
いろいろな美味しいものや、見た目も良くお洒落なお菓子が増えていく中で、青森県の県南地域で長い間愛されている焼き菓子、「南部せんべい」。小麦でできたせんべいには、軽やかな食感と素朴な味わい、そして長い歴史があります。かつて飢饉をきっかけに生まれた命をつなぐ食べ物「天保せんべい」が名前を変え、身近な焼き菓子として役割を変えても、人と人とをつなぐ、思い出の食べ物であることは変わりません。この番組を通して、自分の故郷にある思い出の味や家族や地域とのつながりなど、温かい記憶を思い出すきっかけにしてほしいという意図で制作しました。

【制作後記】
今回番組でご紹介した「川越せんべい店」は、実は去年から取材させていただいたお店でした。取材中の11月ごろに火災があったのですが、同じ場所で無事に営業を再開し、今年あらためてご縁を頂き、お話を聞くことができました。取材当時は9月半ばとは思えないほど暑く、石窯の熱気も合わせると気温が40度近くなる中で、大きな石窯でリズム良く正確にせんべいを焼く職人技には圧倒されました。私にも弟がいて、番組制作後に川越せんべい店で購入したせんべいを何種類か弟に送りました。今回番組内では紹介できなかったのですが、バターを使った南部せんべいが特に美味しかったそうです。子どものころよく食べたせんべいが、今になって家族や地元の人と話すきっかけになることの嬉しさを、番組制作を通して改めて感じました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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