2025年4月 9日 (水)

Hello!黄色いビブス~サインは平和への証~

2025年2月24日~2025年3月2日
中国放送 ㈱RCCフロンティア 兼清 友希

【番組概要】
広島市中区の中心部にある平和記念公園で、ボランティアガイドとして活動する佐々木駿くん。黄色いビブスと黄色い帽子を被って、月2回、外国人観光客に無料でガイドをしています。ガイドを始める前は、戦争・原爆のことはほとんど知らなかった駿くん。なぜガイドをしようと思ったのか?外国人に、英語で平和記念公園の歴史と、被ばく体験を伝える駿くんに注目しました。

【制作意図】
今年、原爆投下から80年という節目を迎える広島。被ばく者の高齢化が進むなか、体験の伝承が大きな課題となっています。そんな広島で、一人の少年がガイドとして活動しています。被ばく地・広島の現状と、ガイドを通して海外と日本の平和の架け橋になっている駿くんの姿を伝えたいと思い、制作しました。

【制作後記】
お母さんいわく、「小さい頃から人見知りしない性格」という駿くん。その言葉の通り、自分からどんどん外国人に声をかけて、ガイドをしていました。ちなみに、駿くんのビブスは現在2枚目。1枚目のビブスも見せてもらったのですが、前・後ろ・肩…と全面にサインがびっしり。書く場所がほとんどありませんでした。取材中、「これからも出来る限りガイドを続けたい」と笑顔で話してくれたのが印象に残っています。今後も活躍を追っていきたいです。

紡ぎ、手すき、繋ぐ者たち

2025年2月17日~2025年2月23日
秋田放送 編成局ラジオ放送部 鈴木悠

【番組概要】
秋田県の中でも特に豪雪地帯、地元では白鳥の飛来地としても人気の横手市十文字町。この町の伝統工芸「十文字和紙」。200年以上もの歴史を持ち、かつては50軒以上の家で作られてきた和紙の担い手は、今やたった一人の職人だけ。その職人、佐々木清男さんも入退院を繰り返していて、今年は和紙作りに参加できません。代わりに立ち上がったのは、清男さんを応援し、自分たちも和紙作りを行う「十文字和紙同好会」。職人が不在の中、毎年1月に訪れる「卒園証書」と「卒業証書」作りの様子を和紙作りの音と共に伝えます。

【制作意図】
十文字和紙に限らず、秋田県内の様々な伝統工芸が直面している「職人の高齢化」や「跡継ぎ」の問題。職人不在の中、その問題にどのように向き合い、解決し、未来に繋げていくのかを和紙作りの音も取り入れながらお伝えしたいと思い、制作しました。ほとんど機械化されている工程も手作業で行うからこそ、和紙に表れる温かみ。そんな和紙同様、十文字和紙同好会の皆さんの温かい人柄なども、言葉や空気感を通してお伝えしたいと思います。

【制作後記】
当初は、十文字和紙のたった一人の職人である佐々木清男さんに密着しようと考えていましたが、取材の電話をかけたときに初めて、清男さんが入院されていることを知りました。事前調査で、地元の中学校と幼稚園に卒業(卒園)証書づくりをしていることを知り「今年の和紙作りはどうなるんだろう…?」と思いながら、和紙作りをしている公民館へ。和気あいあいとしながらも、真摯に和紙作りに向き合う姿を見て、愛好会の皆さんを主役にすることに決めました。                                               手作りの和紙同様、温かい皆さんのお人柄。和紙作りの様々な工程も体験させていただき、取材中も笑いが絶えない現場でした。マイクに私の笑い声も沢山入ってしまい、編集が大変だったのはここだけの話です…。

“おやこ寺子屋”で心の居場所づくりを

2025年2月10日~2025年2月16日
福井放送 報道制作局制作部 松田佳恵

【番組概要】
北陸の小京都といわれる福井県大野市。越前大野城を望む城下町の中心には石畳の寺町通りがあり、今も14の寺が並んでいます。今回の舞台はその中で467年の歴史がある善導寺です。
ここで開かれているのは「越前大野おやこ寺子屋」。
3年前からお寺で親子が様々な学びを深める企画を年4回実施していて、これまでに「日本語」や「性教育」などさまざまなテーマで開催してきました。企画しているのは、3児の父で善導寺副住職の大門哲爾さんをはじめとした地元の大人たちです。取材をしたのは「防災」をテーマにした寺子屋。境内で自分たちで火を起こして非常食を作り、2024年元日に発生した能登半島地震で実際に石川県輪島市にボランティアとして活動をした医師を講師に招き、水やトイレの重要性などの講義を通して学び
を深めました。寺を拠点に、子どもたちの未来を支える居場所づくりが進んでいます。

【制作意図】
私の住む福井県大野市は、山の上にそびえたつ城がまるで雲の上に浮かんでいるようにみえる”天空の城越前大野城”がある、歴史と風情のある町。冬は雪深く、真っ白な美しい光景が見られる自慢のふるさとです。ただ、過疎化が進み人口は年々減少。子どもたちの数も減ってきています。そんな中、ある寺で子どもたちに学びを提供する「寺子屋」を企画していることを知りました。おじゃましてみると、子どもたちは生き生きと活動し、大人は自分の子どもだけじゃなく、周りの子どもとコミュニケーションを取る姿が。そこには、様々な価値観に触れながら人と人とのつながりを構築していき、地域みんなで子どもを育てていく姿がありました。地域や人とのつながりが少なくなってきた今、こうした居場所づくりがこれからの地方をつくるヒントになるのではと思い、制作しました。

【制作後記】
私事ですが、春に第一子が生まれる予定です。ふるさとで子どもを育てていこうという決意をしたころ、この「越前大野おやこ寺子屋」に出会いました。最初はプライベートで参加し、地域の子どもたちと一緒に学びを深めました。その時に感じたあたたかさや子どもたちのキラキラと輝く目をみて、番組として制作し、たくさんのみなさんに知ってほしい、伝えたいと思いました。これからもずっとこの寺子屋が続いてほしいと願っています。

2025年1月31日 (金)

誰もが自分らしく働ける「多様性カフェ」

2025年2月3日~2025年2月9日
四国放送 ラジオ編成制作部 芝田和寿

【番組概要】
徳島駅前の商業ビルにあるカフェ「tabi no otomo」。
接客するのは、窓口の小さなロボットだ。車いすのスタッフが自宅から遠隔操作でお客とやりとりしている。キッチンでは車いすのスタッフがフルタイム勤務で調理にあたる。知的障害のある
スタッフは、デザートの下準備などサポート役に回る。ここは誰もが自分らしく働ける「多様性カフェ」。車いすでも作業しやすいよう什器の配置や高さを考えた。言葉で伝わりにくいスタッフには、絵や図を用いてコミュニケーションを繰り返した。「できないではなく、どうすればできるかを一緒に考えています」と話すのは代表の榎本峰子さん。そうするうち、支える側がいつの間にか支えられる存在であることに気付く。カフェは多様な個性を持つスタッフが支え合い認め合う「共生社会」。
みんなの居場所だ。

【制作意図】
榎本さんは約20年間、介護や福祉に携わる中、障がいがある人には生き方を決める選択肢があまりにも少なく、あきらめざるを得ない現状を痛感した。「ならば自分がその選択肢を増やせばよい」榎本さんは独立してカフェや民宿も経営。介助が必要でも気兼ねなく泊まれる宿として県外からわざわざ足を運ぶ障がい者と家族は多いという。諦めていた仕事や旅を少しの力を借りる事で、無数の選択肢が生まれていくように。その可能性を徳島から、全国に発信したい!
一人ひとりのニーズや思いに寄り添い、支援する榎本さんとスタッフを見つめた。

【制作後記】
オープンは2023年8月。駅前ビル5階の奥まったわかりにくい場所にもかかわらずここを探してくる人は多い。中学・高校生、親子連れ、サラリーマンまで。口コミやSNSには「一度くればまた来たくなる不思議な場所」と出ていた。私も同感。中川さんやお福ちゃんらスタッフとの会話がなんとも心地よい。いつの間にか色んな世代の人がやってきては、おしゃべりやスイーツを楽しんで・・
ゆるりとしたカフェの空気の中、スマホを見ながらうつむいている姿は見られない。昔の家族が集うような錯覚をするのは私だけではないハズ。

アロハイサイ! ~沖縄とハワイ、125年のつながり~

2025年1月27日~2025年2月2日
ラジオ沖縄 制作報道局 報道部 當銘真喜子

【番組概要】
沖縄でフラスタジオの代表を務める仲本大樹(なかもと・たいき)さん。
高校生の時に「ハワイに親戚がいるよ」と母親から何気なく聞かされ、ハワイへ渡りました。そこで感じた沖縄ハワイ移民たちの沖縄を想う気持ちに動かされ、移民の歴史について継承するために様々な取り組みを行っています。その中のひとつが、去年12月中旬に行われたイベント『ハースー』です。フラの動きを取り入れたストレッチを行い、最後はみんなでフラを踊ります。参加者は小さな子どもからシニアまで男女問わず、青空の下でフラを楽しんでいました。
イベントでコラボレーションした北中城村は、沖縄ハワイ移民2世の比嘉太郎トーマスさんのゆかりの地です。比嘉太郎トーマスさんは、沖縄戦にアメリカの通訳兵として従軍し、沖縄の人々を救ったり、戦後の沖縄救済運動を行った人です。イベントでは、沖縄でフラを踊ることの意義や移民の歴史を参加者へ伝えています。沖縄ハワイ移民の歴史継承のために奮闘する仲本さんの活動への想いを綴っています。

【制作意図】
今年、沖縄からのハワイ移民は125周年の節目を迎えました。
沖縄はハワイの他にも、南米や北米などへ移民が渡った歴史を持ち、世界中に沖縄県系人がいます。沖縄県は、移民県民や県系人も含めた沖縄に関わる全ての人々の繋がりを継承するため、毎年10月30日を「世界のウチナーンチュの日」とし記念日としています。この日沖縄にやってきた沖縄県系人たちが「ただいま!」と涙をする姿を見て、先人たちの沖縄を想う気持ちが世代をこえて受け継がれているんだなと感じています。私は、ハワイへ行ったことはありませんが、現地で聞こえる沖縄の方言(ウチナーグチ)やエイサーなど沖縄らしさに出会うことを想像するだけで嬉しくなります。
沖縄ハワイ移民が初めて海を渡ってから125年経ちましたが、ハワイで脈々と受け継がれてきた先人たちの故郷を想う心や地元に対する愛情、誇り、繋がりについて知るきっかけになればと企画しました。ぜひ皆さんの地元や移住地など愛着のある場所を思い浮かべながら聞いてほしいです。

【制作後記】
当時18歳の仲本さんが、母親から「ハワイに親戚がいる」と聞き、親戚に会いに行ったことは、人生を動かすほどのターニングポイントとなりました。仲本さんは、現地の人々と交流を重ね、フラを習って沖縄へ持ち帰りスタジオを開くことに繋げていてその行動力にも驚かされました。仲本さんの沖縄とハワイへの大きな愛に触れた取材でした。イベント「ハースー」には、県内外のフラ経験の有無を問わない参加者、およそ20人が、リラックスした様子で体を動かしていました。イベントで比嘉太郎トーマスさんの話がありましたが、知っている人は全体の1割程度。認知度は高くありません。
イベント後に参加者へ話を伺うと仲本さんの沖縄とハワイの歴史と、先人たちの故郷を思う心を少しでも知ってもらいたいという気持ちが届いていると感じました。仲本さんは今年、新たな取り組みとして移民をテーマにしたフラや移民劇を行うということなので活動を継続して取材していきたいです。

2025年1月16日 (木)

べっこう夫婦と海の宝石

2025年1月20日~2025年1月26日
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 戸島夢子

【番組概要】
江戸時代、日本で唯一貿易の窓口だった長崎の出島に、中国より伝来した「長崎べっ甲」。
しっとりとした艶、空気のような軽さ、深みのある光沢。その美しさから、「海の宝石」と呼ばれ、国の伝統工芸品にも指定されています。その一方で、ワシントン条約によって1993年にタイマイの輸入が禁止されると、べっ甲業は材料不足に加え後継者不足にも頭を抱えることとなりました。
全盛期には200社ほどあったべっ甲業者も、今では20社ほど。「長崎べっ甲」の歴史と技術を守り継ぐべく、日夜作業台に向かう仲睦まじい職人夫婦を取材しました。

【制作意図】
長崎の港には、大きな客船が毎日のように寄港し、海外の旅行客で賑わっています。かつて長崎土産として人気を博した「長崎べっ甲」は、”絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約=ワシントン条約”により国外への輸出入が禁止されました。海外旅行客がお土産として「長崎べっ甲」を持ち帰ることも、原材料となるタイマイの甲羅を海外から仕入れることも出来ないのです。
原材料は残りわずか。後継ぎも業界全体で減少していることを知りました。べっ甲業界は大きな問題に直面しています。「長崎べっ甲」がこれからも長崎の伝統工芸品として残り続けてほしい、
少しでも多くの人にべっ甲の良さを伝えたいと思い制作しました。

【制作後記】
取材した「有限会社 安田 安龍工房」の二代目・藤原慎二さんと佳美さん夫婦。おふたりともとても明るく、終始笑いの絶えない現場でしたが、べっ甲の話となると真剣な表情に。苦境の中にあっても、べっ甲への愛と情熱、新しいデザインを創り出す探究心を忘れずにお持ちなのだと、私も胸が熱くなりました。べっ甲細工職人とそれを支える方々に守られてきたこの技術が、これからも10年、20年と受け継がれていくこと、”長崎べっ甲”が末永く愛される長崎の工芸品であることを心から願っています。

100円モーニングがもたらす希望

2025年1月13日~2025年1月19日
KBS京都 ラジオ編成制作部 西村佳恵

【番組概要】
築50年、190戸中およそ4割が65歳以上の一人住まいという西京極大門ハイツ(京都市右京区)では、自主管理組合の運営のもと敷地内の集会所で毎週日曜8時半から「日曜喫茶」を開いています。
淹れたてのコーヒーとトーストに、ゆで卵が付いてたったの100円。
ボランティアの住民が交代で運営し、毎回30~40名が集う憩いの場となっています。
高齢化が加速し、ますます高齢独居者が増えていく中で、一つ屋根の下、日曜喫茶を通してつながりを深め、「おひとりさま」が明るく暮らしている様子をお届けします。

【制作意図】
今回取材した「西京極大門ハイツ」は築50年で西京極という決して便利ではない駅から徒歩10分のマンションにも関わらず、資産価値が下がらないと話題のマンションです。その理由の一つとして、住民が日曜喫茶やマンション内で開催されるイベントを通して、良好なコミュニティを築いているため、マンション管理の話し合いでも適切な合意形成がなされ、快適な住環境が維持できているそうです。
マンションが古くなるにつれ、住民も老いていく。“人と建物の老朽化”というネガティブな印象を感じさせないマンションの取り組みが気になり、今回取材をさせて頂きました。

【制作後記】
トーストにゆで卵、コーヒーが付いて100円とはお得なモーニングだと思われますが、取材に行くと意外とコーヒーだけ注文する方も多く、皆が皆、朝食目的というわけでもないようです。集会所ではおしゃべりに花を咲かせる人たちもいれば、新聞を読んだり、テレビを見たり、過ごし方は人それぞれ。それでも、ひとり家に籠っているのではなく、ちゃんと身だしなみを整えて、人に会いに行くということを大切にされている印象でした。日曜喫茶は最初隔週開催でしたが、毎週開催に変えた後の方が参加率が高いそうです。管理組合の理事長は週に1回、100円玉を握りしめて来れば、住人の健康確認ができると仰っていましたが、それにより生きがいができたという方もいて、自分もこんなマンションに住んでみたいと思いました。

2024年12月24日 (火)

遠州織物と紡ぐふるさとのぬくもり

2025年1月6日~2025年1月12日
静岡放送 ラジオ局オーディオコンテンツセンター 寺田愛

【番組概要】
静岡県の西部・浜松市を中心とした遠州地方は、綿織物の日本三大産地として知られています。豊かな水と温暖な気候のおかげで、古くから綿花の産地として栄えていた遠州地方。江戸時代には綿織物の製造が始まり、その後明治時代に豊田佐吉氏(トヨタグループ創業者)によって小幅力織機が発明され、生産量は飛躍的に増加しました。
遠州地方で織られたものはすべて遠州織物と呼ばれています。
地域に根ざした産業の一つとなっていた遠州織物ですが、時代の変化などにより現在は厳しい状況に置かれています。
そんな中、地域の誇りとしての「遠州織物」を未来につないでいこうと活動している桂川さんに出会いました。今回は、桂川さんのベイビーボックスの活動を中心に、地域に残る伝統技術と職人の思いを取材し番組にまとめました。

【制作意図】
赤ちゃんグッズをまとめたベイビーボックスを制作している桂川さん。グッズ一つ一つに「遠州織物」の技術が使われています。それぞれの得意分野を持った職人さんたちとコミュニケーションをとりながら、物事を進めていく姿が印象に残りました。ご自身の子育て経験も踏まえて誕生した「ベイビーボックス」。桂川さんの、素晴らしい伝統技術を地域で育つこどもたちへ繋いでいきたいという願いを番組を通して伝えたいと思い制作しました。

【制作後記】
この取材をするまでは、「遠州織物」について、名前を聞いたことがあるくらいで漠然とした知識しか持っていませんでした。どんな布で、どこがどんな風に素晴らしいのか…桂川さんをはじめ、取材したみなさんがいきいきと語ってくださり、「遠州織物」の魅力をより理解できました。まだまだ奥が深い「遠州織物」。この技術が地域の方たちの誇りとして、途切れることなく未来へ繋がっていくよう願っています。


唄いやんこ~私の山中節~

2024年12月30日~2025年1月5日
北陸放送 ラジオ開発局 中川留美

【番組概要】

日本三大民謡のひとつに数えられる「山中節」。毎年全国コンクールや認定審査会など、緊張する場が多い中、もっと気軽に楽しく唄い合おうという思いから始まった「山中節唄いやんこ」があります。“唄いやんこ”とは、山中弁で“唄いあいっこ”のこと。山中節の愛好家たちが県内外から集まり、好きな歌詞をそれぞれの思いで唄い合います。40年続く「山名節唄いやんこ」は唄の上手下手は関係ない。参加する人が楽しんで唄う場です。

【制作意図】

唄を競い合うこともない、結果を気にすることもない、好きな山中節を思うままに唄い合っているのを聞きながら、山中温泉で大切に唄い継がれてきた歴史を感じました。参加した人の歌声と山中節の歌詞について触れながら、40年続いてきた「山中節唄いやんこ」の様子を伝えたいと思いました。

【制作後記】

“唄いやんこ”という言葉の可愛さに興味を持ちました。取材前は、山中節ばかりが繰り返し唄われることに飽きがくるのではと心配していましたが、全く飽きることはありませんでした。その場で「山中節唄いやんこ」を聴いていると、歌詞から伝わる山名温泉の自然や情景、温泉を訪れた旅人の様子まで思い浮かんできました。哀愁のある曲調に聴き入りながらも、「はぁ~」という歌い出しは、まるで温泉に浸かったときの気持ち良さから出たような声のようにも思えました。山中温泉の自然や人があってこその山中節。ひと節だけでも覚えて、私も山中節を唄ってみたくなりました。

どんぐりピアノ~70年目の音色~

2024年12月23日~12月29日
南日本放送 音声メディア 美坂理恵

【番組概要】
鹿児島県霧島市牧園の三体小学校で70年にわたり引き継がれ、「どんぐりピアノ」の愛称で親しまれる古いグランドピアノがあります。このピアノは終戦直後の物のない時代、三体小や旧三体中学校の児童生徒や地区住民らが協力し、近くの山からドングリの実200キロを拾い集め、5万本のクヌギの苗木に育て、それを植林して得た資金で購入しました。当時、どんぐりを広い集めた女性と、「どんぐりピアノ」の歴史を伝えようと活動するピアニストにお話を伺いました。実は二人は・・・。70年目を迎えた「どんぐりピアノ」の澄み切った音色とともにお伝えします。

【制作意図】
現在、三体小学校の児童数は5人。数年後には休校になるのではという話も聞こえてきます。今年はどんぐりピアノが三体小にやってきてちょうど70年であること、子どもたちの声とともにあるどんぐりピアノの音色を記録し、録音風物誌で多くの方に聴いていただきたいと制作しました。

【制作後記】
どんぐりピアノの音色はとても艶やかでクリア。丁寧に調律されていることが伝わってきます。この古いグランドピアノを調律できる方は県内にはもう1人しかいないそうです。番組の中で子どもたちが歌っている「どんぐりピアノの歌」は当時の教頭が作詞したものだったり、どんぐりピアノの歴史を子どもたちに伝えたいと保護者が中心となって手作りした絵本があったり・・・「どんぐりピアノ」を通して子どもたちへの温かい思いを感じる取材となりました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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