どうなる?高志の紅(あか)ガニ
2024年10月28日~11月3日
北日本放送 コンテンツ局アナウンス担当 佐藤栄治
【番組概要】
富山県射水市にある新湊漁港では全国的に珍しいお昼12時半からセリが行われ、多くの観光客が見学に訪れます。その昼セリにかけられるのがベニズワイガニです。富山湾の水深1000メートル付近で獲れるこのベニズワイガニ、富山県では「高志の紅ガニ」としてブランド化しています。ところが今年はそのベニズワイガニが例年に比べ水揚げが減っていて、漁業関係者が心配しています。その原因は今年の元日に起きた能登半島地震によって海底で大規模な地滑りが起き地形が大きく変わってしまい、漁にも影響が出ているというのです。今回はセリ場を見学する場所から観光客の声や、漁業関係者の声を聞き、これからの漁に不安を抱きながらも前を向く人々の声を紹介します。
【制作意図】
2024年1月1日に起きた能登半島地震によって、富山県内でも家屋の倒壊や、液状化現象によって、様々な施設にも被害がありました。そんな中、私たちが普段、直接目にすることのない深海1000メートルにおいても大規模な地滑りが起きている事が次第に明らかになり、ニュースで伝えられました。富山湾を生業の場とするカニかご漁師の人たちは大切な漁具を地滑りによって失い、それでも富山を代表する昼セリの風景を守ろうと懸命に試行錯誤を繰り返しています。
地震から半年以上が経過してもまだまだ復興出来ていない多くの人々が富山県内にもいること。被災しながらも富山の名物を守ろうと奮闘する人々に迫りたいと思い企画しました。
【制作後記】
海の中で何が起きていたのか、直接目で見ることのできない深海の様子が、その後の調査により次第に明らかになってきました。我々の日ごろの放送では地上部分の被災状況を伝えることが多くありましたが、直接目に見えにくい場所も大きな被害があり、それによって大変苦しい思いをしている人々がいることを知りました。富山県水産研究所の研究員の方によると私たちが口にできるサイズのベニズワイガニは9年以上成長したものとのこと。資源の回復と新たな漁場の開拓が、いかに苦難を伴うか改めて知りました。
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