ホーランエンヤ ~勇壮に、晴れやかに
2023年2月13日~2023年2月19日放送
大分放送 OBSメディア21ラジオ本部 音声コンテンツ部 尾上 裕明
【番組概要】
九州の北東部に位置する大分県豊後高田市の「ホーランエンヤ」は、航海の安全と豊漁を祈願する伝統行事で、江戸時代中期に始まったと言われています。町を流れる桂川を舞台に、大漁旗や万国旗などで装飾された宝来船が、締め込み姿の13人の「漕ぎ手」と呼ばれる若者たちをはじめ、総勢50名ほどを乗せて、河口から上流へゆっくりと漕ぎ上がります。途中、川岸の観衆から祝儀が贈られると、締め込み姿の漕ぎ手たちは、厳寒の中、驚きの行動を見せます…
船が進む間、終始聞こえる「ホーランエンヤ!」という勇ましい掛け声に、人々は心を躍らせ、ご利益を願い、笑顔で新たな年の始まりを祝います。
【制作意図】
コロナ禍で中止されていた各地の行事が少しずつ再開される中、タイミング良く取材時期と重なったのが、この威勢の良い行事でした。誰もが耐え忍んだ行動制限の鬱憤を晴らすかのような勇壮な掛け声は、どんな困難にも決して負けない!というメッセージのようで、心強く、安心感さえ与えてくれました。また、漕ぎ手たちの勇姿、町の人々の声援、そこに溢れる笑顔が、厳しい寒さの中、温もりを与えてくれました。豊後高田市の「人」が放つエネルギーを全国の方々に届けたいと思い、制作しました。
【制作後記】
「ホーランエンヤ」では、川を登る船から川岸の観衆に向けて紅白の餅が撒かれます。縁起物の餅を取ろうと人々が必死に船を追いかけ、手を伸ばす中、収音作業で両手が塞がった状態の私の頭や背中には、餅がいくつも降り掛かりました。そんな時、ひとりの女性が声をかけてくださり、私の上着のポケットに餅を入れ、ご利益を分けてくれました。その後、そのエピソードを豊後高田市の方に伝えたところ、「幸せを分け合う優しい町なんです」と嬉しそうに言葉を返してくださり、私自身、年始早々、晴れやかな気持ちになりました。