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2022年2月

2022年2月16日 (水)

福岡ストリートピアノ 私が奏でる理由

2022年2月21日~2022年2月27日放送 
RKB毎日放送 RKBミューズ株式会社 荒木風花

【番組概要】
2021年10月、福岡市の商業施設「ソラリアプラザ」に1台のストリートピアノ「フクストピアノ」が設置されました。朝10時から夜8時まで誰でも弾くことができます。福岡市では「音楽都市 福岡」の実現を目標に音楽都市協議会を立ち上げ、福岡の音楽シーンを盛り上げる一環として、初めてストリートピアノが設置されました。平日で20人、休日で40人ほどの市民が代わるがわるピアノを弾いています。そこにピアノが1台あるだけで、誰かの音色を耳にし、思いがけず安らいだり懐かしんだり、思い出に浸ったりできます。ピアノを奏でるのはどんな人?なぜ弾こうと思った?弾く曲をどうやって決めている?ピアノはどんな存在?インタビューを交えながら、その人が奏でる音と想いを表現しています。

【制作意図】
ストリートピアノブームと呼ばれ、商業施設や駅に誰でも弾けるピアノが設置され始めています。福岡市天神の中心施設に設置されたピアノを前に、結婚式の練習のため、YouTubeに動画をあげるため、気分転換に、買い物に来たついでに…様々な理由でピアノを弾いている人たちがいます。どこの誰かもわからない人が奏でる音が、聞く人の足を止め、聞き入ってしまい、拍手を送る姿を見て、新型コロナによって遠くなってしまった人との距離・関わりが“ぎゅっ”と近くなったように感じました。いろんな人が奏でるピアノの音色にのせて、ラジオの前で聴いている方にも癒されたり、思い出に浸ったりしてほしいなと思います。

【制作後記】
ピアノのもとで取材をしていると、年代や性別に関係なく「ピアノ」というひとつの存在のもとに吸い寄せられるように人が集まっていく姿が印象的でした。「ただそこにピアノがあったから」その理由だけでピアノの前に座り、自由に演奏する方たちの根底には「ピアノが好き」という思いがありました。ストリートピアノが持つ意味を体感した経験でした。
                                     

時代を刻む~町にたたずむ時計屋さん

2022年2月14日~2022年2月20日放送 
山陰放送 制作局制作部 桑本充悦

【番組概要】
鳥取県米子市にある森時計店。3代続く町の時計屋さんのお店の中は、壁一面にびっしりと、大きさや年代もさまざまな振り子式の柱時計がかかっています。時計のいろいろな音や、店主の思いを綴ります。

【制作意図】
時計にはいろいろな音があるんだとうこと、そして、使い捨ての時代に、直して使うという、昔からの手法を大切にしていらっしゃる店主の思いが伝わればと。今様にいえば、まさにSDGsなのかもしれません。

【制作後記】
新型コロナウイルスの影響もあり、お客さんとのやり取りなどを入れるのを控えたのが残念です。ただ、その分、ごくごくシンプルに、時計の音と、店主の思いで綴りました。面白かったのは、ほとんどの時計の針は、今の時間をさしていなくて、思わぬ時に、思わぬ数の鐘が鳴ったりと、お店の中にいると、時間の感覚を失うという、不思議な体験が出来ました。

 

勝負を決める一瞬とは…雪上!氷上!真冬の戦い!

2022年2月7日~2022年2月13日放送 
北海道放送 オーディオビジネス局編成制作部 山根あゆみ

【番組概要】
現在開催中の北京オリンピック。ウインタースポーツの聖地である北海道の中でも特に盛んな雪上・氷上競技をピックアップし、「勝負を決める一瞬の音」を聞いていただきます。間近で録音できたからこそ、音から迫力や緊張感が伝わってきます。おうち時間で楽しむ北京オリンピック、パラリンピックをより楽しんでもらえるきっかけになれたらと思います。


【制作意図】
北海道と言えばウインタースポーツ!日本人選手、道産子選手の活躍が期待される北京冬季オリンピックをより楽めるヒントになるような番組を作りたいと思い制作しました。
雪上競技から「スキージャンプ」、氷上競技からは「カーリング」にスポットを当て競技音を録音。会場の客席から聞く音とも違う、テレビとも違う、間近にいなければ聞くことのできない競技音を聞いていただきます。その中でも、結果に直結する「勝負を賭けた一瞬の音」をクローズアップ。ぜひ、北京オリンピックをおうち観戦する際、「勝負の一瞬」に注目して楽しんでもらえたらと思います。

【制作後記】
スキージャンプは、2022年の国内開幕戦となる1月10日に開催された「HBCカップジャンプ」の様子を、カーリングは、国内初の通年型カーリング専用屋内施設「どうぎんカーリングスタジアム」で、北海道銀行チームの練習の様子を取材しました。北海道銀行は、カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレと代表決定戦で戦ったチームです。何となくわかっているつもりだった競技音を間近で聞くと、その音の大きさと迫力に加えて、思わず息を止めてしまうような緊張感がありました。音とともに独特の空気感を楽しんでもらいたいです。

 

2022年2月 2日 (水)

豪雪地の雪下ろし~空から冷蔵庫が降ってきた!

2022年1月31日~2022年2月6日放送 
山形放送 アナウンス部 門田和弘

【番組概要】
≪これが豪雪地の雪下ろし!≫                                                                                                                                                                                                                                                                                        山あいに、20件もの旅館が肩を寄せ合うように立ち並ぶ肘折温泉。上を見上げると屋根には2mもの雪の塊が・・・。昨年12月25日から連日のドカ雪となった大蔵村肘折では、今年1月4日には積雪が2m超に。氷点下4℃、この日も もっさもっさ と雪の降りしきる中、朝から夕方まで 「雪下ろし職人」に密着しました。ここでは地元の有志によるいくつかのグループが、旅館や民家の雪下ろしを行っています。肘折では雪下ろしに使う特有の道具があります。それは、ノコギリ!                                         ①ノコギリを使い、屋根に積もった2mの雪を切り出しスノーダンプで運んでいく。                        ②安全確認後、1つ200kgもの雪の塊を、軒先から下に放り出す。                      この作業が何度も何日間も繰り返され、肘折の冬の暮らしが守られています。豪雪地・肘折の雪下ろし現場、その最前線に潜入です!

【制作意図】
≪豪雪地ならではの音風景の発信≫                                  初めて冬の肘折を訪れたのは30年前。温泉街に入ったとたん、一瞬目を疑いました。「空から冷蔵庫が降ってきた」 のです。そのイメージが強く、タイトルに入れました。肘折を訪れると雪下ろしのイメージが覆ります。音風景も豊富です。                           ○ 「どっしゃーん」「ずばばばーん」 と耳をつんざく雪の落下音                  ○ ノコギリを使い、雪を切り出す音                                  ○ 雪を運ぶ職人の息遣い                                        いずれも厳しい自然と闘っている中で生み出される音なので、緊迫感があります。       いつかこの音をラジオで番組にしたいと思っていました。                       冬の関東地方は太平洋高気圧に覆われよく晴れます。一方、肘折はまるっきり違う世界です。このあと雪は2月下旬まで増え続け、必死の雪下ろし作業は春先まで続きます。                                                                                                                                                                                                                                      

【制作後記】
≪過酷な取材でした≫                                                      雪が無ければこの取材は難しくなります。去年の暮れから天気予報を気にしてソワソワしていましたが、年末から年始にかけて寒波が来襲、順調に雪が増えました。今年の私は「雪下ろし」 が仕事始めです。肘折に着くといきなり雪塊しぶきの洗礼が!雪まみれになりながら、まずはこの迫力ある爆音をどう収録するのか?悩みました。200kgの雪塊は大変危険です。落ちてくるギリギリの所にマイクを立て、上手く職人にコントロールしてもらい、収録に臨みました。あまりにも激しい音なので、ひずみが生じ、半分以上が使えませんでした。旅館の屋上では、ノコギリ音に挑戦です。高さ15mの屋上は風も強く、体が芯から冷え、雪の積もったマイクはぶるぶる震え、いい音が録れているか不安でした。そして、氷点下の凍て付く世界から40℃のポッカポカ温泉へ。入浴シーン収録後も皆 「あ~」「う~」「ふぅ~」。過酷な取材も全て忘れ、最高の1日となりました!

笑顔あふれる、ダンスのまちへ

2022年1月24日~2022年1月30日放送 
東北放送 ラジオ局制作部 小野寺穂実

【番組概要】
宮城県の南部にある亘理郡山元町は、2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受けました。震災からまもなく11年目を迎えようとしていますが、まちづくりが進み、地域の交流拠点として新しく整備された施設では、笑いの絶えない、楽しいコミュニティが生まれています。そこでは、小さな子どもからシニア世代まで、多くの方がダンスを楽しんでいます。ダンスを教えているのは、元々仙台市でインストラクターをしていた上野協子さん。津波で被害を受けたまちを元気にしたいという想いから、震災後、山元町でもダンスを教えています。上野さんの想いに共感した、3人のインストラクターとともに、チアダンス・ヒップホップ・ズンバ・ヨガ・よさこい、と幅広いジャンルのダンスをレッスンし、およそ130人へ踊ることの楽しさを伝えています。仲間とともに明るいリズムに乗せて、楽しく体を動かすと、自然とそこには笑顔が生まれます。上野さんが目指す、『ダンスのまち・山元町』が、ダンスを楽しむ人々の笑顔であふれている様子を取材しました。

【制作意図】
東日本大震災からまもなく11年目を迎えようとしている宮城県亘理郡山元町。新しいまちづくりが進む中、少しずつでも元気を取り戻し、笑顔が増えている様子が伝わればと思います。そこには、山元町を元気にしたいという強い想いを持った上野協子さんや、その想いに共感した方々による、ダンスという誰もが楽しめる明るい取り組みがありました。ダンスには、小さな子どもからシニアの方々までおよそ130人が取り組み、その一人ひとりに笑顔が生まれていました。ダンスを通じて生まれる笑顔には、前向きになれるパワーがあり、大きく連鎖していくように感じました。それらの様子と、東日本大震災からの復興を重ね合わせてお伝えできればと思います。

【制作後記】
取材へ行き、レッスンを受けている方へインタビューをすると、皆さん口をそろえて、 ”踊ることがとにかく楽しい” “元気になれる” と笑顔でおっしゃっていたのが印象的でした。子どもたちはダンスの魅力に気がつき、早くもチアリーダーを目指したり、シニアの方々は健康な体を目指して、ダンス仲間とともに定期的に体を動かすなど、それぞれが目標をもって楽しく充実した様子でした。取材でお伺いした私も、思わずその中に加わりたくなる、楽しいコミュニティでした。これを作り上げた、インストラクターの上野協子さんの「ダンスで山元町を元気にしたい」という強い想いは、レッスンを受けている方々にもしっかりと伝わっていました。これからも『ダンスのまち・山元町』を目指して、笑顔で踊り続けてほしいと思います。

白い杖は、わたしの〝目″

2022年1月17日~2022年1月23日放送 
南海放送 メディアセンター 和氣孝治

【番組概要】
愛媛県で唯一、視覚に障害がある人のための学校、愛媛県立松山盲学校で、通常の授業と合わせ、生徒が「社会の中で自立して生きていく」ため実施されているカリキュラム「自立活動」。その中で、‶白杖(はくじょう)″を使い、1人で地域を歩くための技術を学ぶ授業、「歩行訓練」がある。生徒は白杖をどのように使って周囲の状況を確認しているのか?そして、交通事故を防ぐため、ドライバー側に知ってもらいたいサインとは?1本の白い杖が紡ぎだす音にのせて紹介する。

【制作意図】
エフナン南海放送ラジオでは2021年7月から月に一度、愛媛県立松山盲学校を紹介するラジオ番組、「学校ラジオ~愛媛県立松山盲学校の時間です」を制作・放送していて、私もスタッフの1人として携わっています。実は私の両親も視覚障害があり、松山盲学校を卒業しているのですが、実際に取材すると息子の私は知らなかったことの連続!一般の高校と違ったカリキュラムで「社会の中で自立して生きていく」ための教育が実施されていることに驚き、感動しました。私たちが普段何気なく行っている「歩く」ということが、どれだけ大変で集中力を必要とすることなのか。誰もが、少しでも暮らしやすい社会にするためのほんのちょっとの気づきになればうれしいです。

【制作後記】
初めて「録音風物詩」を担当させていただきましたが、‶音だけ″のラジオだからこそ、視覚に障害がある人が感じている世界を想像してもらえるのではないか…そして、障害に甘んじるのではなく、1人の社会人として生きていくための努力を少しでも伝えたい…そう思い今回の制作に臨みました。ただ、クリアな白杖の音をうまく拾えない、思うようにインタビューできない、伝えられない。ラジオマンとしてまだまだ素人であることを痛感しました。そしてそれ以上に、「こうすればもっと伝わるのでは」という改善点がたくさん見つかりました。「盲学校」には我々がまだ知らない、知ってほしい活動や、何より生徒・先生たちの前向きな笑顔があります。これからもそんな彼らの姿を伝えていきたい。私のライフワークになるかもしれません。

雨畑硯 匠の誇り

2022年1月10日~2022年1月16日放送 
山梨放送 ラジオ局ラジオ制作部 佐藤かおり

【番組概要】
山梨県早川町雨畑地区は古くから硯づくりが息づく集落です。その歴史は古く伝説では700年前にさかのぼり、明治時代の最盛期には90人もの職人がいたと伝わります。しかし一世紀を経て、現在雨畑の硯職人は65歳の望月玉泉さん、ただ一人となりました。20才でこの道に入り40年余。望月さんを魅了し続けるのは地元で採れる硯石「雨畑真石」。番組では、他の地域にはない、まさにふるさとの宝と向き合う望月さんの硯づくりを、現場の音に乗せてお送りします。

【制作意図】
雨畑最後の職人、望月玉泉さんの言葉は、静かでありながら硯石に対する誇りと愛情があふれています。40年余りこの石と向き合い、石を知り尽くした望月さんのインタビューと硯づくりの音から、書道や硯という日本の文化を長く支える人々の努力とものづくりの情熱を感じてもらえるような番組制作を心掛けました。

【制作後記】
文化庁の無形文化財に書道が登録されるというニュースもあり、県内の文房四宝で番組ができないかと思ったところ雨畑硯が浮かびました。今回の取材で望月さんが硯づくりを行う町の博物館「硯匠庵」を訪れると、館の皆さんが雨畑硯に誇りを持ち、その存続に真剣に向き合っていらっしゃる姿がありました。そして現在も全国から日々発注が舞い込むほど愛好家や書道専門店の信頼を得ている雨畑硯。実際に墨をすると驚く速さで墨が下り、私もファンになるとともにこれからも残ってほしいという思いを強くしました。 



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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