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2016年3月

2016年3月23日 (水)

蛭谷和紙 唯一の継承者を訪ねて

2016年3月28日~2016年4月3日放送
北日本放送 報道制作部 西崎雄一郎

【番組概要】
富山県朝日町にある蛭谷(びるだん)地区に古くから伝わる蛭谷和紙。時代の流れと共に衰退していったその文化・技術を今なお継承し紙を漉き続けている工房はたった一軒。その唯一の継承者である川原隆邦氏を訪ねた。ところが現在は蛭谷ではない別の場所で紙を漉いているという。蛭谷という地を離れた蛭谷和紙。川原氏が考える伝統工芸のあるべき姿など山あいの水がきれいな里山で話を伺いました。

【制作意図】
蛭谷和紙の技術を持ったった一人の継承者が蛭谷の地を離れて別の場所で紙漉きを行ったらそこで作られた和紙は蛭谷和紙なのか?という素朴な疑問からこの和紙職人を取材。紙漉きの音以外にも古き良き里山の風景が浮かび上がる音が聞こえたらと考え、今回のテーマに取り上げました。

【制作後記】
紙漉きのほかにも様々な工程があることに驚かせられたのはもちろんたった一人の継承者としての孤独感や閉鎖的な空間を想像していたのですが実際話してみるとそこには今後の伝統工芸について自分がすべき事や和紙を使っての挑戦など未来への展望がはっきりと見え、そう前向きに話す川原氏の目がとても輝いていたのが印象に残りました。


2016年3月16日 (水)

茅葺の家がはえるまち

2016年3月21日~2016年3月27日放送
ラジオ関西 報道制作部 西口正史

【番組概要】
神戸といえば港町のイメージが強いですが、六甲山をまたいだ北区西区には、900を超える茅葺住宅が残っていて、茅葺の里という顔もあります。肥料や飼料にするために茅(ススキや葦)を刈り、屋根にも葺いて、20年後には土に返す。この営みは、全国各地で1000年2000年と途切れることなく続けられてきた悠久のサイクルといえます。農家を取り巻く環境が変わって茅の確保が難しくなる中、サイクルを途切れさせまいとニュータウンの真ん中でのススキ刈りを続けてきた茅葺職人・塩澤実さん(43)の取り組みを紹介します。

【制作意図】
「茅葺の家は建てるものではなく、生えてくるもの」---塩澤さんが茅葺屋根から学んだ教えです。当然、生えてくるには地中に根っこがあるはず。では、その「茅葺の家の根」を神戸はもちろん日本各地で、太く、広くはるために何が必要なのか。「茅葺の家がはえる(生える・映える・栄える)まち」の地下に広がる、豊かでおもしろい「根っこ」に思いをめぐらせるきっかけになればと思います。

【制作後記】
「神戸に茅葺?!しかも団地で茅刈り??」。神戸の人が持ってもおかしくない、大きな??を抱えながら、取材(というか茅刈り作業)を始めました。茅場の場所は、ニュータウンを通る幹線道路沿いの斜面。車だとすぐにすぎてしまう遊休地。そこに身をかがめて茅を刈り始めると、まったく違う風景があり、万葉の歌に歌われた日本古来の生態系にも触れることができました。

ときのきねんび~時計を通じ引き継がれる思い~

2016年3月14日~2016年3月20日放送
東海ラジオ放送 制作局制作部 福島美織

【番組概要】
愛知県あま市の「美和歴史民俗資料館」では25年前から「ときのきねんび展」を開催しています。この展覧会は6月の「時の記念日」に合わせ、和時計や明治初期から昭和初期までに製造された柱時計を計50点ほど展示しています。この展覧会の時計は全て吉崎照夫さんのコレクションです。宮崎さんは50年近く趣味で時計を集めています。この展覧会を通して出会った福岡晃さんに協力してもらいながら、展示を続けています。古い時計の音とお二人の時計にかける想いをお伝えします。

【制作意図】
時の記念日は「時の大切さを意識する日」なんですが、この番組を通して時を大切にすることは、昔からあるものを大切にする事だと感じました。今、たいていの物は電機で動きます。もしも電気などのエネルギーが無くなった時に動き続けるものはいくつあるのでしょうか。ここに展示されている時計はねじを巻くだけで動き出します。昔からの物や技術を伝承する大切さwくぉ伝えたいと思い制作しました。

【制作後記】
番組制作を通して、宮崎さんと福岡さんに出会い、昔からのものを残していく大切さを学びました。今年も時の記念日に合わせ、5月30日から『ときのきねんび展』が開催されます。これからも続くように応援していきたいです。

2016年3月 8日 (火)

御山に響け ぼくのわたしの木やり歌

2016年3月7日~2016年3月13日放送
信越放送 ラジオ局編成制作部 小森康夫

【番組概要】
重さ10トンを超える巨木が山奥から切り出され、人力だけで坂や川を越え、街を抜け諏訪大社の社殿に建てられる天下の大祭、「御柱祭」は長野県諏訪地方で7年ごとに執り行われ、今年がその開催にあたります。御柱を実行する曳子に力を与えるのが、「木やり師」が歌う「木やり歌」。下諏訪町の無形文化財ともなっている木やり歌を守り伝えようと「下諏訪木やり保存会」が設立した「子ども部会」の活動の様子をお伝えします。

【制作意図】
記録に残るだけで約1200年という歴史ある大祭を華やかに演出する「木やり歌」を祭りと共に後世に伝えていこうという保存会の活動を紹介することと、この「木やり歌」を心から愛し、歌うことに飽くなき情熱を傾けている人々の様子を伝えたいと考えました。こうした大人たちの気持ちが歌と共に子供たちに受け継がれていることもお分かりいただけると思います。

【制作後記】
幼い頃、諏訪地域に暮らし御柱祭を一度体験したディレクターも、今回の取材を通じて体の奥底に流れる「御柱愛」がまた蘇るような気持ちになりました。御柱祭本番まであとわずか、日に日に高まる祭りへの期待もこの番組を通して伝えられればと思っています。

2016年3月 4日 (金)

果樹に新たな命を吹き込む木工職人

2016年2月29日~2016年3月6日放送
山梨放送 ラジオ本部ラジオ制作部 山田有子

【番組概要】
葡萄、桃、すももの生産量は日本一。その他サクランボ、柿、林檎、梅など多種多様な過日を作っている山梨。果樹は休眠期に入ると来シーズンも充実した実をつけるようにと剪定がおこなわれます。役目を終えた果樹は破棄されますが、その果樹を木工品として蘇らせる職人がいました。果樹と出会い、果樹に学び、そして果樹に命を吹き込む様子と想いをお届けします。

【制作意図】
破棄されるしかないと思っていた果樹が皿や名刺入れとなっていることにまず興味をひかれました。果樹は樹齢が長いほど重宝される杉やヒノキと違い、15~30年でその役目を終えます。廃棄の道しかないと思っていた果樹がどのように生まれ変わるのか?なぜ果樹なのか?この疑問を解明したい、そして地元の新たな魅力を知って欲しいと思い、制作しました。

【制作後記】
「木から教わる」この言葉がとても印象的でした。長年木を扱ってきた荒井さんでも果樹となると未知の世界。品目、品種によって特徴が異なり、使用できる部分もほんの一部。しかし、木に育てられ、愛し、いやされてきた荒井さんだからこそ、木に教わりながらその特徴を活かして蘇らせることができる。手にとった木工品はここにしかない逸品だと誰もが感じることでしょう。

街中に響く園児達のお勤め~繋がる大切な心~

2016年2月22日~2016年2月28日放送
RKB毎日放送 吉留樹里

【番組概要】
福岡県福岡市ヤフオクドーム近く、多くの車が行き交うと買いに「浄満寺」という歴史あるお寺があります。その横にある「浄和幼稚園」は設立された62年前から園児にさせているこ事があります。それは「手を合わせてお経を唱える」というお勤め。10分もの長文を暗記している園児達の声と姿からと買いの幼稚園の”今”と先生達の思いが聞こえてきました。

【制作意図】
短いお経や歌を歌いながら手を合わせる幼稚園はありますが、10分もの長いお経を音で覚えている事に驚きました。福岡の中心部にあるのに12人という少人数。それでも園児達は皆で助け合い、考えながら過ごしています。教育方針の選択肢が増えている今、62年変わらない教えと、来年度には聞こえなくなってしまうこの声を伝えたく制作しました。

【制作後記】
園児達はドキッとするほど素直で、とても優しく、自分が恥ずかしくなるほどでした。それは変わらない教えがあるからなのでないかと思います。12段あるお経のうち11段覚えている年長さんは、卒園までに全て覚えるそうです。卒園式を見に行きたくなりました。


半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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