« 2015年4月 | メイン | 2015年6月 »

2015年5月

2015年5月25日 (月)

青空に響く鯉のぼり~語り継ぐ若者たち~

2015年5月25日~2015年5月31日放送
東北放送 ラジオ局制作部 菊池修司

【番組概要】

東日本大震災で家族を亡くした大学生・伊藤健人さん(22歳)が共同代表を務める“青い鯉のぼりプロジェクト”。毎年5月5日に全国から寄せられた青い鯉のぼりを、心地よい音楽と共に青空になびかせています。今では復興のシンボルとして多くの親子連れでにぎわうこの日ですが、きっかけは青い鯉のぼりが大好きだったという伊藤さんの弟・律君(当時5歳)への真っ直ぐな想いだけでした。そして集まってきたのは様々な支援を申し出る仲間たち。その中で鯉のぼりの修繕と洗濯を手掛けたいと手を挙げたのは、意外にも県をまたいだ、山形西高校の生徒たちでした。これからの時代を担う若い世代、けれども面識もない若者たち。彼らはそこでどんなことを語り、どんな関係を築いていくのでしょうか。

【制作意図】
戦後70年の今年、その記憶を伝える方の多くが80代です。そんな“語りべ”の先輩方の戦争体験は10代の頃に遡ります。一方で今の10~20代の若者たちは震災を体験しました。その記憶を後世に長く伝えていく、彼らにはそんな役割が託されることになるでしょう。青い鯉のぼりプロジェクトに挑む若者たちにスポットを当て、その想いに迫りました。

【制作後記】
“青い鯉のぼりプロジェクト”の共同代表を務める大学生・伊藤健人さん。震災で辛い体験をした彼は「忘れないことも大事だけど忘れなきゃやってられない」と言いました。“代表”とはいうもののそこは普通の大学生、音楽が好きだし、みんなと笑い合うのが楽しい年頃です。そんな若者たちが、彼らなりの全力で生きている姿を通して「世の中捨てたものじゃない!」と感じていただけたら幸いです。



2015年5月22日 (金)

うちん馬はシャンシャン馬!

2015年5月18日~2015年5月24日放送
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 日髙 千明

【番組概要】
「鵜戸さん参りは 春三月よ 参る その日が ご縁日」シャンシャン馬道中唄の一節です。宮崎では江戸時代から大正時代まで結婚すると日南市の鵜戸神宮にお参りをする風習がありました。帰りは美しく飾った馬に花嫁を乗せて、花婿が手綱を引いて家路へと帰ります。馬に付けた鈴がシャンシャンと鳴る事から「シャンシャン馬」と呼んでいます。現在はその風習はなくなりましたが、結婚式で再現する夫婦や行事が残っています。今回は、馬を養って60年以上、馬主の妻木国志さん74歳をご紹介します。妻木さんの宮崎弁と軽やかな鈴の音は必聴です。

【制作意図】
宮崎女性の憧れシャンシャン馬。花嫁さんにケガをさせたらいけないという責任の元に毎日馬の調教をする妻木さん。シャンシャン馬道中が無事に行なえるのも妻木さんの頑張り、そんな妻木さんを多くの方に知っていただきたいと思い制作しました。

【制作後記】
昔は沢山いたシャンシャン馬の馬主も現在は妻木さんだけになりました。始めは、シャンシャン馬の伝統を守り後世に受け継ぐ思いを描こうと考えていましたが、取材するうちに、自分の馬がシャンシャン馬としてみんなに見てもらえる喜びが妻木さんの原動力なんだと思いました。シャンシャン馬の馬主としての自信と誇り。まさに「うちん馬はシャンシャン馬!」なんだと!!今年の秋には宮崎神宮の御神幸祭にシャンシャン馬が登場します。ぜひシャンシャン馬を見に来てください。

踊屋台が紡ぐ未来

2015年5月11日~2015年5月17日放送
ラジオ福島  編成局 放送制作センター 大槻 幹郎

【番組概要】
昨年の秋に約半世紀ぶりに復活した福島市唯一の踊屋台。4月初めに福島市で開かれた山車フェスタに参加し注目をあびました。自身が小学生の時に踊屋を引き回した踊屋台伝承会の高倉さんの声を通して復活の経緯や思いを伺うとともに、実際に山車フェスタで踊った「伝統未来文化研究会」の子どもたちの声をお届けします。

【制作意図】
福島県はいうまでもなく東京電力福島第一原子力発電所の事故により特別な環境にあります。復興に向けて様々な活動が行われている中で復興のシンボルの一つとして歴史のある踊屋台を全国各地の皆さんに知ってほしいと考えるとともに、福島の未来をつくるこども達のふるさと、伝統への思いを伝えたいと思い今回の内容を企画しました。

【制作後記】
なかなか関わる人々すべての思いを伝えることができず、(特に踊屋台に親子三代で関わっている福島市の宮大工の方を紹介したかったのですが) 心残りの部分が正直ありますが、フェスタでの熱気やこども達、踊屋台伝承会の皆さんの思いを感じていただければと思います。

急こう配を駆けあがれ 高野山への登山鉄道

2015年5月4日~2015年5月10日放送
和歌山放送  報道制作局 報道制作部 花井歩高

【番組概要】
弘法大師・空海が開いた高野山は今年で開創1200年。木立に囲まれた標高およそ900メートルの霊場に向かう南海高野線は、急こう配とカーブが続く全国有数の登山鉄道のひとつ。新緑に囲まれた春の沿線風景を音で表現する。

【制作意図】
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録から10周年を迎えた和歌山県高野町高野山。世界的な旅行雑誌「NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELER」が「2015年に訪れるべき場所 世界のベスト20」に日本でただ一つ、この地を選んだという。去年1年間の和歌山県への外国人宿泊客数が初めて30万人を突破し、欧米からの旅行客の7割が高野町で宿泊したそうだ。古都の京都や奈良にはない「何もないところ」が人気を集める要因のひとつと分析する人もいる。今回取材した南海高野線は大阪のベッドタウンとして沿線は発展し、府県境の橋本市までは通勤通学客で混雑するが、この先は様相が一変する。紀ノ川を渡り、真田幸村ゆかりの九度山町、そして高野町へ最大50パーミルというカーブの続く急こう配を、車体をきしませながら最高時速33キロの速さで登っていく。開創1200年の記念行事の人気で高野山に向かう車内は混雑する一方、クルマ一台がやっと通れるような山中にある途中駅はゆっくりとした時間が流れている。昭和初期から変わらない山岳区間の風景を切り取った。

【制作後記】
ジオラマの中を走っているような風景は車内から眺めるにはよいが、録音のために沿線に近づくのは意外と難しい。観光バスが行き交う国道から、地元の人だけが通る細い道を入り集落へ。さらに登山道に分け入っていくと、薄暗い谷あいに真っ赤な鉄橋が姿を現した。竣工は昭和2年。トンネルを出てすぐに鉄橋を渡り、またトンネルへ。通り過ぎる一瞬をとらえたくて、マイクを向け続けた。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad