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2011年5月

2011年5月30日 (月)

親子でつなぐ伝統話芸~活弁~

大分放送 ラジオ局ラジオ制作部 宮崎 真由美

大分県出身の活動写真弁士 麻生八咫さん(59)。
1998年に活弁界初の文部大臣賞を受賞した活弁界の第一人者です。

活弁とは、無声映画に独特の語りを入れる日本だけにある話芸。
まだ映画が活動写真といわれていた明治から昭和初期にかけて親しまれていましたが、時代と共に廃れ、現在、プロの活弁士はわずか10人ほどしかいません。
八咫さんは、活弁を新しい舞台芸としてよみがえらせたいという思いで、全国各地で活弁公演を行っています。

実は八咫さんには子八咫さんという弟子がいます。実の娘でもある子八咫さんは、父に憧れ弟子入り。10歳の時に弁士としてデビューしました。
留学経験のある子八咫さが今取り組んでいるのが英語活弁。日本の伝統話芸を、若い世代や海外の人にも興味を持ってもらいたいという夢を持ち、海外でも活弁を披露しています。

「活弁」という日本の伝統話芸の灯を消さないよう、さらには新しい文化としてより発展するようにと走り続ける麻生親子の姿を描きます。

2011年5月23日 (月)

PANの学校

高知放送 報道制作局 ラジオセンター 越智 義久

高知県の山間部、いの町上東地区は人口120人ほどの過疎の集落です。活性化どころか地域を維持していく為に、何かに取り組まねばと危機感を持った地元の人たちは、休校となった小学校の活用法を探っていました。

その中で出会った人物が、小学校があった頃のイベントにつてを頼りに出演してもらった、大阪で活躍するプロのスチールパン奏者、
山村誠一さん。

上東地区の風土を気に入った山村さんの提案で、スチールパンの演奏・制作を行う「PANの学校」が5年前に設立されました。
学校が開かれるのは月に1回。そのたびに山村さんは大阪から指導の為に訪れています。コンサートを見た人たちが生徒として集まり、さわやかな音色が山里に響きます。

今回は地元の人が「PANの学校」に託した想いを描ければと思い、制作にあたりました。カリブ海の音ですが高知の山里にもなぜか良く合います。
ちなみに山村さんは上東地区に家を借りていて、引っ越すつもりと話しています。

2011年5月16日 (月)

京の伝統工芸~銀が奏でる音色 ものづくりへの思い~

京都放送 ラジオ制作部 永田 和美

京の伝統工芸の一つ、金属工芸。江戸時代からこの技術を伝承する竹影堂を取材しました。

金属といっても様々な種類があります。金や銅は素材そのものの価値が重要視される、手作業の付加価値が認められにくいなどという理由から竹影堂では主に銀を使用されています。
この銀を加工する過程で様々な音が生み出され、一定のリズムを刻んでいきます。この音が熟練された技の証。音を聞くだけで商品のよしあしがわかるんだそうです。

そんな音が響きわたる竹影堂の工房の表では若手職人の活動の場にと立ち上げられたかざりや鐐があります。
お店では太陽がギラギラ照りつける夏でも、雪が舞う冬でも、必ず実演販売をされています。物を作っている姿を見せて、その商品の物語を感じてほしいとの想いからされている販売方法です。

機械化が進む中でもあえて手作りにこだわる、最初に立ち返る。
忘れかけていた”ものづくり日本”がそこにあるように感じました。
そして、私たち買い手自身もその物語に耳を傾ける努力をしなくてはいけないのでしゃないでしょうか。

2011年5月 2日 (月)

120年余りの歴史に幕~木曽川・日原(ひわら)の渡し船

東海ラジオ 制作局制作部 北 敏明

愛知県と岐阜県の県境を流れる木曽川は、長さは日本で8番目、
流域面積としては日本で5番目の一級河川。
この川の両側には、古くから両県を結ぶ交通手段として多くの渡し船があった。
しかし、橋梁の建設により次第に数は減り、今ではわずかに観光目的の渡し船を残すのみとなった。
 
今年3月30日にまた一つ歴史の火が消えた。
河口からおよそ20キロの位置にある愛西市の日原渡船(ひわらとせん)。ここは江戸時代、名古屋城から高須松平藩(現在の岐阜県海津市)を結ぶ重要なルートの一つであった。

この地域は旧八開村と呼ばれ、蓮根が特産物。
船をつかう蓮根農家の副業として、かつては、村の男の7割はこの渡し船の船頭をしていたという。昨今は12名の船頭が交代で、船外機をつけた船を運航していた。
 
最後の運航を前に、地元の歴史研究会有志がツアーを企画した。

道後温泉「今」物語 時計台のカラクリおじさん

南海放送 ラジオ業務部 森山 いくみ

道後温泉の憩いの広場で11年間夜間ボランティアで、ガイドをしている安平賢三(やすひらけんぞう・70歳)さん。
夜、道後の町に行くと、カラクリ時計の下で、口上を述べながらガイドをしている安平さんをよく見かけます。

なぜ夜に他のガイドさんはいないのに、この方だけガイドをされているのだろう? 昔の警察官ぽい服装をしているこの男性はどういう方なのか? そういった取材対象者に対する興味がわいてきて、話しを聞いたのがきっかけです。

番組の中では、安平さんのオリジナルの口上の他、ボランティアを始めたきっかけを支える家族の存在を紹介しています。

この安平さんのガイドの声を、道後を象徴する「音」として制作しました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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