原発事故から12年 それでもこの地で 牛と共に生きる
2023年4月17日~2023年4月23日放送
ラジオ福島 編成局放送部 佐藤成美
【番組概要】
福島県楢葉町の山間にある蛭田牧場。12年前の原発事故により避難を余儀なくされた町で、唯一営農を再開しました。牧場のオーナー・蛭田博章さんは、避難指示が出され、先が見えず苦しい思いをした時期もありましたが、諦めず地元での営農再開を実現させました。一度は一頭もいなくなった牛舎には、現在、140頭が飼育できるようになりました。蛭田さんの1日は朝5時から始まり、エサ作りから搾乳、掃除など多岐に渡ります。休む暇もなく忙しい日々が続きますが、蛭田さんは、「このように働けるのも営農再開出来たから。逆に楽しい!」と笑顔で話します。そして、最近では、力強い助っ人も現れました。困難を乗り越え、地元・楢葉町で酪農を続ける、蛭田さんの情熱をお届けします。
【制作意図】
原発事故後の営農再開は、前例がなく大変困難なことでした。先が見えない中、“地元で営農再開させる”と強い意思を貫き通した蛭田さんを、皆さんに知ってほしいという思いから取材・制作しました。また、酪農の現場は、重労働、担い手不足に加え、最近では、飼料などの原材料費が高騰するなど問題が山積しています。蛭田さんも休みなく働いていますが、それ以上に、生き物を扱う責任ある酪農の仕事にやりがいを感じています。その輝いている姿を見て、酪農の魅力を多くの方に伝えたいと思い、制作に取り組みました。
【制作後記】
今回の取材を通して、牛への愛着がとても強くなりました。収録の時に牛とかなり接近したのですが、人生の中でこれほどまでも牛と近づいたのは、初めてでした。乳牛(ホルスタイン)はとても大人しく人懐っこい性格で、収録中もつぶらな瞳でこちらを見つめてきました。蛭田さんが笑顔で話す、「手塩にかけて育ててきた娘たちなので、大切にします!」という気持ちが、少しだけ分かった気がしました。
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