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2020年11月

2020年11月 2日 (月)

りんごと木村さんの、はしご。

2020年11月9日~2020年11月15日放送 
青森放送 制作局ラジオ制作部 工藤凪紗

【番組概要】
ちょうどりんご収穫の最盛期を迎える青森県。美味しいりんごを育てるには農家さんと、りんご作業を支える道具が必要です。その道具の中でも1年中使うのが「りんご梯子」。番組では大正から令和まで梯子の角度や形を変えずに作り続けている、木村木工所の4代目、木村雄治さんと「木村式」とよばれる「りんご梯子」に迫りました。

【制作意図】
青森、と聞いて最初に思い浮かべるのは「りんご」ではないでしょうか。美味しいりんごを育てるには農家さんと、りんご作業を支える道具があってのことです。その道具作りをしている職人さんにスポットを当てたい!という思いから今回番組を制作しました。職人さんの道具作りのこだわりや思いをラジオを通して多くの人に伝えたいです。聴いた後に食べるりんごは味がちょっぴり違うかもしれません。

【制作後記】
今回取材をして感じたのは、木村さんの優しさです。忙しい中梯子の製作過程も含め何時間もの取材に笑顔で応じていました。また驚いたのは木村さんの梯子作りへの細やかな気づかい。材料に使う青森ヒバはより丈夫な梯子を作りたいという思いから木目がまっすぐなものを選び、金具を打つ場所から、梯子の角度に至るまで農家さんが使うのを第一に考えて製作をしています。出来た梯子は温かみがあり、なめらかな手触りなのに、とっても頑丈。まるで木村さんの人柄がそのまま表れたようでした。こんなにも工夫と時間をかけているのにも関わらず「農家さんが買うものだから」と主流のアルミ製のりんご梯子よりも値段が高くならないようにしているそうです。少しでも木村さんと、はしごの良さが伝われば嬉しいです。

下町に刻み続ける職人の技と人情~江戸切子

2020年11月2日~2020年11月8日放送 
文化放送 放送事業本部 編成局 制作部 住田芙雪

【番組概要】
江戸時代末期から江戸・東京で作られるガラス工芸品、江戸切子。グラスや皿などといったガラス製品の表面をカットし、手作業で切り出された文様は、曲線を多用した独特で繊細なデザインが多く、光の当たり方によって様々に表情を変え、煌めきます。江戸川区で「堀口切子」を営む堀口徹さんは、江戸切子職人だった祖父の影響でこの道にすすみました。自らも弟子を取り、次の世代へ技術を繋いでいく堀口さん。新しいものを柔軟に受け入れ、江戸切子の歴史を紡いできた職人たちの思いに迫りました。

【制作意図】
私の祖父は江戸切子職人でした。工場から聞こえてくるガラスをカットする音は、日常の一部として記憶に刻み込まれています。人が行きかう街の雑踏ではなく、下町風情溢れる東京の町に響き続ける音を録りたい。そう考え、堀口さんのもとを訪ねると、伝統を継承しつつも変化を受け入れ進み続ける江戸切子の根底にあるものが見えてきました。

【制作後記】
堀口さんは、職人気質な江戸切子に対する熱意と、弟子たちの育成や江戸切子の将来像ついて俯瞰的に語る経営者の視点を兼ね備えた方でした。印象的だったのは「江戸切子の職人は一つのチームとなって進んでいる」という言葉。職人たちがそれぞれのやり方で江戸切子の魅力を模索していくことで、相互作用となり江戸切子全体のファンを増やしている。その軸には歴史ある江戸切子の技術が脈々と受け継がれています。堀口さんのように視野を広く持ち技術を継承する職人たちの足跡が、江戸切子の未来を作っているのだと感じました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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