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2020年2月

2020年2月21日 (金)

牡蠣炭火焼き 駅のホームが食堂に。

2020年2月17日~2020年2月23日放送 
北陸放送 野村未来子

【番組概要】
のと鉄道の穴水駅では、冬の2か月間、朝、七尾湾で水揚げされたばかりの牡蠣を炭火焼きで味わえる食堂が開店します。かつては能登半島の先端まで通じ、住民の生活の足として欠かせない存在だった のと鉄道ですが、現在は中間点であった穴水駅が終着駅になってしまいました。鉄道の利用促進と、終点である利点を生かし考えられたのがホームを食堂にするという取り組み。鉄道ファンのみならず、県内外から多くの人が、鉄道と冬の味覚、牡蠣のコラボレーションを愉しみに訪れます。そして、この食堂の魅力は店員が鉄道マンであること。駅長さんや整備士、運転士がこの時期ばかりはエプロンをして接客をします。慣れないまでも一生懸命、楽しそうに働く鉄道マンを取材しました。                                                          

【制作意図】
海沿いを走るローカル線に揺られながら辿り着く終着駅。その小さな駅で、冬の間だけ開店する牡蠣の炭火焼きの食堂。旅愁を感じさせる鉄道の音と炭火のほっこりとした温かい音、一生懸命に慣れない接客をする鉄道マンたちの姿を表現しようと思いました。

【制作後記】
取材を通して、のと鉄道の職員さんたちの生き生き働く姿に感銘を受けました。その接客ぶりは本職顔負けです。皆さんが口を揃えて言うのは「鉄道も食堂も、おもてなしという点では同じ」鉄道マンの神髄を見た気がしました。

笑顔が開くシャッター通り

2020年2月10日~2020年2月16日放送 
山口放送 ラジオ制作部 千田 正秀

【番組概要】
人口14万人に満たない山口県東部の岩国市。市の中心部、JR駅近くにある中通商店街は普段は人通りが少なく、シャッターを下ろしたままの店も目立ちます。そんな地方都市にありがちな小さな商店街が月に一度、多くの人でにぎわっています。それが10年前に始まった軽トラ市、「軽トラ新鮮組」が開かれる日です。番組では「軽トラ新鮮組」当日の様子を軸に、このイベントを企画した商店街理事長の   商店街に寄せる思いを紹介します。

【制作意図】
笑顔が印象的な商店街理事長の紳士服店店主、藤田信雄さん。「軽トラ新鮮組」は藤田さんを中心にして商店街の店主たちと農家のおじさん、おばさん、そして地域住民が結び付くことで10年続いてきました。何もしなければ文字通り「死んだ」商店街になっていたかもしれない中通商店街を「生きた」街にしているのはそこに人々の笑顔があったからだと思い、今回のサブタイトルを「笑顔が開くシャッター通り」としました。売り手と買い手双方が楽しみにしている「軽トラ新鮮組」の賑わいの一端を伝えます。                       

【制作後記】
自分自身、同じような地方都市の商店街を遊び場にして育ち、進学で街を離れ、帰省の度にシャッターが閉まったままの店が増えていくのを寂しく見ていました。地元の商店街は結局アーケードを解体して街の形を変えましたが、中通商店街は「昭和の商店街」の匂いをとどめながら今も地域に根を張っています。「軽トラ新鮮組」から派生した様々な企画も人気で、中でも獺祭で知られる旭酒造をはじめ岩国市にある5つの酒蔵の酒と「軽トラ新鮮組」の生産者たちの食材を地元の飲食店主が 調理したアテが楽しめる「麻里布酒祭り」は毎回1万人近い吞兵衛を集めていて、それこそ 客の肩と肩が触れ合う賑わいです。酒好きな私も過去にプライベートで足を運んだことが あり、まさに「人、もの、こと」がクロスする商店街です。今回の取材の際には晩御飯のおかずや食材を調達させてもらいました。    

2020年2月 7日 (金)

つなぐ~家康が眠る1159段までの近道~

2020年2月3日~2020年2月9日放送 
静岡放送 ラジオ局編成制作部 和田紗弓

【番組概要】
静岡市には、国宝で徳川家康が眠る久能山東照宮と、富士山を望む景勝地、日本平の二大観光地があります。その2つをつないでいるのが、「日本平ロープウェイ」です。ゴンドラにはガイドが乗り込み、ゴンドラから見える静岡の風景や、久能山東照宮の歴史を独自の語り口で解説してくれます。しかし、ロープウェイが開通する前は、「イチイチゴクロウサン」と親しまれていた石段を登らなければ、久能山東照宮へ参拝することができませんでした。その「イチイチゴクロウサン」のくだりをはじめとする、静岡への思いが、名物ガイドの鈴木美音さんから、今年1月にデビューした新人ガイドの大塚朋美さんへとつないでいきます。

【制作意図】
静岡市の二大観光地をつなぐ「日本平ロープウェイ」。そのゴンドラの中で、ガイドが独自の語り口で「静岡」というものを伝えているのが風物であると感じ、このテーマにしました。実は、久能山東照宮へ参拝するには、日本平からロープウェイに乗るルートと、久能山側から1159段の石段を上る2つのルートがあります。ガイドの中には、ロープウェイが開通する前は、1159段の石段を「イチイチゴクロウサン」とシャレを言いながら登っていたことが語られています。この静岡の古き良き風情を感じるガイドに焦点を当て聞かせることで、50年前のガイド、現在の名物ガイドの鈴木さん、新人ガイドの大塚さんへと語り継がれ、静岡への思いもつながっていることを伝えたいと思いました。

【制作後記】
日本平ロープウェイの名物ガイドの鈴木さんに密着していると、研修中の大塚さんに出会いました。取材をすると、大塚さんのガイドの中にも、開通当時から引き継がれているガイドのくだりが含まれていることを知り、「つなぐ」というテーマで番組を制作したいと思いました。富士山と徳川家康をつないでいるロープウェイの中のガイドを聞いていただき、皆さんの頭の中に、静岡の風景が浮かんでくれたらうれしいです。

広島親子三代 この街でビールをつぐ

2020年1月27日~2020年2月2日放送 
中国放送 RCCフロンティア 大橋綾乃

【番組概要】
広島市の中心部にある繁華街・流川で、連日行列ができる「ビールスタンド重富」。重富酒店の倉庫の一角に設けられた店舗は、わずか3坪の敷地ながら「うまいビールが飲める店」として、全国からお客さんがやってきます。営業は1日2時間、注文できるのは1人2杯までと、一風変わった業態のお店を始めたのは、重富酒店の社長で、ビールスタンド重富のマスターでもある、重富寛さん。昭和のサーバーと現代のサーバーを使って、同じ銘柄のビールを注ぎ分けます。「うまいビール」の提供を通して、重富さんが目指すこととは。極上のビールの背景に迫ります。

【制作意図】
流川で育ち、地元を愛する重富さん。この地を元気にするには何ができるのかと考え、自分が得意な「うまいビールを注ぐこと」を思い立ったそうです。集客のための店舗なので、営業時間は短く、「仕事じゃなくて趣味だ」と仰っていました。「ビールスタンド重富」は、流川でやることに意味があります。こだわりのビールが飲める人気店、というだけではなく、地元の活気を取り戻すために活動する姿を伝えます。

【制作後記】
重富さんの地元への愛やビールへのこだわりを聞くと、ビール好きな方はもちろん、あまりビールが得意ではないという方にも、訪れてほしい店だと感じました。また、取材中、ビールを飲んだお客さんの、「うま!」という反応がとても印象的でした。うまいものには人を笑顔にする力がある。それを強く実感する取材でした。重富さんが愛する流川の地、ぜひ訪れてみてください。

雪国に響け おらのスコップ

2020年1月20日~2020年1月26日放送 
青森放送 制作局ラジオ制作部 斉藤暢

【番組概要】
青森県五所川原市で生まれた宴会芸、スコップ三味線。スコップを三味線のように抱え、栓抜きをバチ代わりに叩きます。曲はCD等で再生しますが、まるでスコップから聞こえているかのよう…。
宴会芸とはいえ、究めようとすると奥が深いものです。そんなスコップ三味線の達人である、青森市在住のサフロ吉崎さんに、スコップ三味線の魅力を教えていただきました。

【制作意図】
スコップと言えば今の季節の青森には必需品ですが、それを楽器にしてしまう人たちがいます。津軽三味線のある青森県で、わざわざスコップ三味線に手を出すなら熱い想いがあるはず。軽く見られがちな宴会芸ですが、それが人の心を救うこともあるのです。

【制作後記】
取材にお邪魔するまで知らなかったのですが、吉崎さんは意外な経歴をお持ちの方で驚きました。厳しい状況はいくらでもあったかと思いますが、スコップ三味線があれば笑顔にあふれていたそうです。
細かい音の違いまで教えてくれた吉崎さんですが、スコップ三味線は楽しむことが第一だとしきりに言っていたのが印象的でした。これを機に、少しでも触れる人が増えることを願っております。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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