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2020年1月

2020年1月14日 (火)

南阿蘇に生きる!人々を癒し続ける地獄の湯

2020年1月13日~2020年1月19日放送 
熊本放送 ラジオ局ラジオ制作部付 宮川理佳

【番組概要】
阿蘇郡南阿蘇村にある温泉旅館「地獄温泉 青風荘.」は、200年以上に渡り、湯治場として人々の傷を癒し続けてきました。しかし、2016年の熊本地震、その後の大雨により土砂崩れが発生。建物の約3分の2が被害に遭いました。道路は寸断され、誰もが再建不可能だと感じていた中、2019年4月、温泉の一部を再開。営業をしながら、湯治場としての役割を果たすべく、旅館の建物の再建工事を進めています。地震のみならず、土砂災害の被害を受けてもなお、人々に温泉を届けようと前へ進み続ける「地獄温泉 青風荘.」の河津誠さん。その原動力には、限りない自然の恵みと先人達のメッセージがありました。

【制作意図】
2019年4月16日。阿蘇郡南阿蘇村の観光地「地獄温泉 青風荘.」が温泉の一部を再開させたという嬉しいニュースが届きました。しかし、いざ旅館へ行ってみると、工事中の道路は凸凹で、時折目に飛び込んでくる崩れた山肌はとても痛ましかったです。
ようやく辿り着いた「青風荘.」は、温泉の一つが復活したのみで、これまで人々が宿泊していた建物などは無くなっていました。土砂崩れの形跡が残る周囲の風景を見ると、よくこの3年で復活できたなというのが正直な感想でした。地震と、土砂災害・・・自然の猛威を二度も経験した「青風荘.」が、どうして歩みを止めずに前進できたのか?河津さんの原動力を支えているものには、200年以上の歴史と、自然の恵みがありました。
熊本地震からやがて4年が経とうとしています。自然は毎年のように日本各地で牙をむいています。そのような中、自然と向き合い、先人の姿に思いを馳せ、この地が築いてきた歴史の上で生きていくと決めた河津さんの姿を全国へ届けたいとの思いで制作しました。


【制作後記】
河津さんが「青風荘.」の復活を目指す理由の一つには、被災地の希望の光になりたいという思いもあります。被災地というのは、熊本県内のみならず、毎年各地で起きる自然災害により被害を受けた地域も含まれます。「青風荘.」が復活をすることで、一つのモデルが出来上がります。つまり道しるべとして、傷ついた人々が復活できる道筋を示していきたいそうです。「青風荘.」のことだけではなく、もっと広い視野で前進していらっしゃる河津さん。地獄温泉は、温泉だけではなく、河津さんの姿にも力をいただける場所だと感じました。



ひびけ!とっかん

2020年1月6日~2020年1月12日放送 
信越放送 松井健悟

【番組概要】
同じものでも地域によって呼び名が変わるものがあります。「とっかん」もそのひとつ。コメを膨らませたいわゆる「ポン菓子」のことを指す長野の方言です。主人公は長野市でポン菓子の移動加工業をしている新井敬一さん(77歳)。軽トラックにポン菓子を作る器械を載せて各地を回り、その場で加工するというスタイルを半世紀近く続けています。番組では新井さんに密着取材。今では見ることが少なくなったポン菓子加工という文化を伝え、続けていきたいという新井さんの思いを綴ります。

【制作意図】
今ある日常は、未来の子どもたちには違う景色のように見え、聞こえるはずです。変わらないもの、変わりゆくもの。かつて「とっかん加工」が日常に存在した信州の景色は、私の子どもが大人になった時にはなくなってしまう景色・音かもしれません。半世紀近くポン菓子加工を続けてきた新井さんを通じて、今ある日常を描きたいと制作しました。

【制作後記】
ポン菓子加工をするときには、かなり大きな音が出ます。釜の目の前にいると耳をつんざくほどの迫力ある爆音です。新井さんは、この作業を何万回と繰り返してきているはずです。にもかかわらず、新井さんは「うっとうしいから」と耳栓をしません。年齢もあって、最近耳が聞こえにくくなったそうです。これからも健康に続けていくためにも、耳を大切にして仕事を続けてもらいたい…。マイクを向けながら感じていた、私からのささやかな願いです。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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