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2019年9月

2019年9月30日 (月)

笑顔を届ける 86歳のアコーディオン

2019年度録音風物誌番組コンクール 優秀賞受賞作品
(再放送)

2019年9月30日~2019年10月6日放送 
青森放送 制作局 ラジオ制作部 斉藤 暢

【番組概要】
青森県十和田市に住む藤田みつさんは、県内の老人ホームなどを回って音楽療法のボランティアをしています。藤田さんは今年で86歳、入居者の皆さんの平均年齢と変わりません。演奏中、藤田さんは約5kgのアコーディオンを持ちながらも座る事なく、入居者の間を歩きまわります。そうする事で、その場にいる皆さんが参加するようになるのです。音楽療法に大切な事は、入居者自身が曲を選んで歌う事。簡単な事ではありませんが、それでも藤田さんは決して「この曲をやりましょう」とは言いません。約4000曲のレパートリーで、歌謡曲や演歌、民謡など多種多様なリクエストに応えます。
 藤田さん自身の元気の秘訣は、毎日のウォーキングとよく食べる事。今でも20本以上が自分の歯なので、食事が楽しいようです。短命県の烙印を押された青森県でがんばっている、元気な86歳に密着しました。

【制作意図】
1人1人が支える高齢者の数が増え続けている世の中、同じ年頃の人たちを相手に音楽療法を行っている藤田さんは貴重な存在です。若者だから出来る事、同世代だからわかる事、それぞれにそれぞれの出来る事があります。こういった活動をより多くの人に知ってもらう事で、福祉に興味を持つ人が少しでも増えればと思います。また、やっている事だけ聞くとストイックに思える藤田さんですが、併せ持つかわいらしさが伝わってくれれば嬉しい限りです。

【制作後記】
まず、取材のお願いをする電話をかけた時、声のハリに驚きました。そして取材当日、イスに座るものだと思っていましたが、30分間立ったまま弾き続けたではありませんか。ウォーキングにご一緒させていただいた時もピンとした背筋ですたすたと1時間歩き、驚かされてばかりの取材でした。
 今回は番組内で触れる事が出来ませんでしたが、藤田さんの活動の裏には多くの人たちの協力があります。施設へ行くために車を出してくれる友人、スムーズに進行できるように動く施設のスタッフ。まだまだお話を聞きたい事、番組で紹介したい事ばかりです。

2019年9月27日 (金)

親子で繋ぐ”んまい”味。~元祖!日本のハンバーガー

2019年度録音風物誌番組コンクール 新人賞入賞作品
(再放送)


2019年9月23日~2019年9月29日放送 
東北放送 ラジオ局制作部 小笠原悠

【番組概要】
東北随一の繁華街、仙台・国分町に”日本最古のハンバーガーショップ”があります。1950年創業の『ほそやのサンド』です。牛100%にこだわった看板メニューの「ほそやのハンバーガー」は、世代を超えて多くの人に愛され、これまでになんと129万個を売り上げました。戦後、先代の主人が、山形の米軍キャンプで食べた本場の味に衝撃を受けたことが「ほそやの味」の始まり。その先代は8年前に亡くなり、現在は二代目の細谷正弘さん(65)が息子さんとともに厨房に立っています。「親父に教えられた通りに牛100%であること、誠心誠意”ハヤイ、んまい、やすい”を守ること。」が信条と話す細谷さん。親子で繋ぐ”んまい”へのこだわり、そして元祖日本のハンバーガーの美味しい音をたっぷりとお届けします。

【制作意図】
牛タンやずんだ餅といった広く知られた名物以外にも、仙台の街に根付いた味があります。昭和レトロな佇まいのカウンター席で、パティが焼ける音を聞きながらハンバーガーを待つワクワク感。出来立て熱々をほおばったときの幸せ。カウンター越しに見えるご主人の笑顔。時代とともに街並みが大きく変化する中で、70年近く愛される「変わらない味」。そのルーツと親子の絆に迫りたいと思いました。

【制作後記】
テレビでの報道経験はあるもののラジオは今回が初めて。開店前の仕込みから夜の営業終了まで、色々な音を録らせてもらいました。忙しい中、たくさんお話を聞かせてくれた細谷さん。インタビューにその人柄が出ていると思います。50年前から通う常連さんや、元祖の味に感動していた学生さんの”んまい”表情も伝わっていたら嬉しいです。取材後、お土産にと包んでくれたハンバーガー。んまかったなぁ…。

2019年9月20日 (金)

しあわせ運ぶSL銀河

2019年9月16日~2019年9月22日放送 
IBC岩手放送 ラジオ放送部 佐々木美穂 

【番組概要】
SL銀河の汽笛音を背景に流し、東日本旅客鉄道株式会社 盛岡支社 盛岡運輸区 主任運転士 菅原甲子郎さんにSLの魅力や、仕事の大変さについて話していただきました。「震災からの復興」を目的として始まったSLの運行ですが、運転士になりたいと思ったきっかけ、想いを話してもらっています。

【制作意図】
みんなに愛されるSL銀河。一方裏で汗を流しながらSLを運転する機関士に焦点をあて、機関車を運転する人の存在にも注目してもらいたいという意図で制作しました。実際に乗車したお客さんの声も入れながらSL銀河の魅力と共に伝われば幸いです。

【制作後記】
SL銀河に乗った際、壮麗な宮沢賢治の世界感に包まれた空間にお客さんの笑顔が溢れていたこと、また沿道から手を振る地域住民の方々との交流に心打たれました。機関士さんの仕事へのやりがいと想いが、想像以上に熱く、人々を楽しませるための仕事があることをラジオを通してより多くの人に感じてもらいたいです。

 

ヒスイ海岸に誘われて~海の家2days~

2019年9月9日~2019年9月15日放送 
北日本放送 報道制作部 岩本里奈

【番組概要】
富山県の最東端にある朝日町は、海と山が近く自然豊かな町。なかでも宮崎海岸(ヒスイ海岸)は、県内でも有名な海水浴場です。この町に魅了された女性が坂本彩さん、23歳。坂本さんは神奈川県の出身で、大学生の時「ただ安く行けるから」という“軽いノリ”であるイベントに参加したことがきっかけで『海の家プロジェクト』をスタートすることに。そのプロジェクトは、飲食の販売や海岸で映画を鑑賞するナイトシアターを行うなどして地域活性化に一役買っています。今では、大学の後輩たちも後を継いでくれて、その輪はどんどん広がっています。「来るたびに朝日町が好きになっている」。全く縁もゆかりもない土地でなぜ町のために奮闘するのか。その姿を取材しました。

【制作意図】
朝日町は平成26年に「消滅可能性都市」とされるなど、若者、人口も減っている町。そこに、県外からやってきて、町に人を呼び込もうと奮起する20代の女性の存在を知りました。坂本さんは、東京の大学を卒業後も頻繁に訪れています。同世代の彼女が、なぜ“消滅”する可能性のある町で頑張れるのか、そして、ヒスイ海岸に響き渡る彼女たちの賑やかな声が、朝日町の“夏の音”になって欲しいという思いから取材・制作をしました。

【制作後記】
坂本さんの存在に、さぞかし町の住民も喜んでいるのでは?と思っていましたが、スタートするまでは反対意見もあったそうです。住民とぶつかり、投げ出しそうになったことも。でも、そんな彼女を支えて協力してくれたのも町の住民で、「家の前にますの寿しやお米が置かれていることも。」など温かいエピソードも伺えました。イベントにはたくさんの人が訪れていて、年々知名度もあがっているようです。日本海の荒波で風は強く、夏の日差しが厳しい中での取材でしたが、それ以上に坂本さんの思いは熱く、もっと大きな未来を描いています。今後の活躍も目が離せません!

神戸布引の滝~“いま”を象る水の音~

2019年9月2日~2019年9月8日放送 
ラジオ関西 報道制作部 山本洋帆

【番組概要】
神戸の市街地の玄関口である「新神戸駅」のすぐ裏に、神戸屈指のネイチャースポットがある。日本三大神滝のひとつ「布引の滝」だ。今回は雌滝と雄滝の音を中心に、布引の滝が織りなす雄大な自然の姿を収録した。神戸が残し、神戸を生かし続けてきた布引の滝を、神戸の音としてお届けする。

【制作意図】
きっかけは図書館で偶然手にした昭和20年代の史跡。そこには、いまと変わらない滝の美しさが記されており、その歴史の深さを知った。神戸といえば、「山と海が近いまち」と表現されることが多いが、布引の滝に何度も通うことで身を持って実感した。古くは平安の時代にも記録に残されている「布引の滝」。その荘厳な滝の姿を、私は音で残したいと思う。

【制作後記】
厳しい暑さの中での取材となったが、滝の音を聴くと不思議と涼やかな気持ちになれた。これまで時代を繋いできた布引の滝が、これからどんな姿でこのまちに残されていくのか、神戸市民としてとても楽しみに思う。あと、雄滝茶屋のラーメンが、最高に美味しかった。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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