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2018年7月

2018年7月31日 (火)

甲府のまちなかブルワリー

2018年7月23日~2018年7月29日放送 
山梨放送 ラジオセンターラジオ制作部 渡邉 尚

【番組概要】
山梨県甲府市の中心街でひときわ目を引くガラス越しのタンクたち。全国でも珍しい街中にあるクラフトビールの醸造所「Outsider Brewing」。個性的なビールで愛好家を虜にしていた伝説的な醸造所、岐阜県中津川市の博石館ビールでブルーマスターを務めていたブルワー丹羽智さんが縁あって6年前から甲府で醸造所を始めました。甲府の水道水や、山梨の果物の天然酵母でクラフトビール造りをしている丹羽さんが新たに挑んだのがワインの酵母で醸したビールでした。

【制作意図】
クラフトビールの神様と称される丹羽さんが、ワイン酵母で一年かけて熟成させアルコール度数を15%まで高めたクラフトビール「ピットブルバーレーワイン」が今年の地ビールにホ日を決める大会「ジャパンクラフトビアセレクションアワード」でグランドチャンピオンに輝きました。二年連続受賞という快挙です。そんな丹羽さんが甲府のまちなかでビール作りをする理由や、音だけで発酵の進み具合を判断する熟練の技を伝えたく制作しました。

【制作後記】
甲府盆地の暑い夏が始まりました。アウトサイダーブルーイングの新しいクラフトビールは「ウメ」のビール。この季節にぴったりのさわやかな味わいです。ぜひ日本一のクラフトビール「ピットブルバーレーワイン」と合わせて山梨にお越しの際はご賞味ください。

ブラインドサッカー~音と声のスポーツが私たちに教えてくれること

2018年7月16日~2018年7月15日放送 
文化放送 編成局報道スポーツセンター 岩田清

【番組概要】
メダルラッシュに沸いた平昌オリンピック・パラリンピックが終わり、次はいよいよ2020年東京オリンピック・パラリンピック。開催まであと2年に迫り、東京の街も新国立競技場の建設をはじめ、交通インフラの整備やインバウンドの急増を追いかけるようにホテル建設も進むなど日々変貌しています。オリンピック種目になっている各競技ではメダル獲得の期待が高い選手に注目が集まる一方、パラリンピックの競技も大会やイベントも数多く行われています。なかでも車いすバスケットボールやブラインドサッカーは国際大会や日本選手権など大きな大会が東京で開催されるなど、こちらも盛り上がりを見せています。今回番組では、ブラインドサッカー(5人制サッカー)に注目して、この競技の単なるスポーツにとどまらない奥深さを掘り下げます。

【制作意図】
ゴールキーパー以外は、視覚障碍者の選手がプレーします。このため、音と声がプレーするうえでの重要な情報となります。まずボールは、転がると音が出る特殊なボールを使用します。これで選手はボールの位置を確認します。またコーラーと呼ばれるガイド役が敵陣ゴール裏から、攻撃場面でゴールの位置と距離、角度、シュートのタイミングなどを声で伝えます。また守りについてはゴールキーパーが、ピッチの中盤ではサイドフェンスの外側から監督がそれぞれ声で指示を出します。フィールドプレーヤーは「ボイ」(スペイン語で「行く」の意味)という声を出さないとボールを持った相手に向かっていけません。これは危険な衝突を避けるためのルールです。そして観戦者はゴールが決まった時間以外はプレー中に大きな声を出さないというマナーが求められています。今回は、ボールの音、選手の声というまさに「音の世界」からなる試合の様子をお聴きいただくほか、プレーヤーや一般の人も参加できる体験会でのインタビュー取材を通じて、ブラインドサッカーというスポーツの本質が、私たちにとても大切なことを思い出させてくれます。それは「何か」をお伝えします。

【制作後記】
「伝えること」、「コミュニケーション」の大切さは、日常生活のいろいろな場面でいわれていることであり、私たちラジオ放送の制作場面でもリスナーに分かりやすく伝えることは、常に意識していなければならないことです。今回の取材では、伝える側として言葉の選び方から始まり、内容の吟味、取材対象者や番組ゲストインタビューにおいては、相手が言わんとしていることをしっかり汲み取ることの大切さなど、これらは番組作りの基本ではあるのですが、初心に帰る意味も含め、改めて今後の番組作りに活かしていきたいと思います。

博多織777年 織機が奏でるオーケストラ

2018年7月9日~2018年7月15日放送 
RKB毎日放送 ラジオ局制作部 服部義夫

【番組概要】
誕生して今年で777年を迎えた「博多織」。絹と絹が擦れ合った時に出る音=絹鳴りは何とも言えない音がする。その博多織がどうやって作られているのか、その製作過程を見に工場を訪ねてみると、そこには広い工場に35台の織機をはじめ様々な機械が所狭しと並んでいた。それぞれの工程を担った織機が動き出すと単なる機械音だが、それが一斉に動き出すと圧巻の響きが・・・その姿・音はまさにオーケストラ。目をつぶっていると工場がコンサートホールに感じてくる。そんな博多織は今も生活、街に彩を添えている。


【制作意図】
今年、777年を迎えた「博多織」は、伝統芸能、街や生活を彩り、昔から愛され、息づいているが、実際に博多織がどう作られているか見たことがなく、周りでも知らない人が多かった。そこで、今から157年前、文久元年に創業した博多織最古の織り元・西村織物を取材した。そこには、35台の織機が絶え間なく動いていた。一見、無機質な織機の機械音がひとひとつ重なるとオーケストラの演奏のように感じた。その音は、職人たちにとっては、時間と手間をかけて作っているからこそ、思い入れのある音であり、心地よい音であり、心意気やプライドが詰まった音であった。博多織は、昔から人々の生活に密着し、そして後世に伝えていきたい文化であり音がそこにはあった。

【制作後記】
職人がひとつひとつ手作業で織っているイメージの博多織。
もちろん、そういう製法も受け継がれているが、工場に行ってみると織機で一斉に製造していて驚いた。しかし、それは機械任せではなく、職人の目、技がなければ綺麗な博多織はできないと言う。
また、今は織機を製造しているところも、部品もないと言う。今、使っている織機を大事に大事に手入れをしている職人の目・姿は、我が子、孫と接しているようで印象的だった。
守っていきたい伝統、音である。

 

2018年7月 9日 (月)

廃線は、今 ~旧国鉄倉吉線~

2018年7月2日~2018年7月8日放送 
山陰放送 コンテンツ局制作部 桑本充悦

【番組概要】
1985年、昭和60年に73年の歴史に幕を下ろした旧国鉄倉吉線。廃止から33年が立ち、一部に残っている線路を使って、新たな取り組みが始まっています。例えば、フォークリフトで荷物を運ぶための荷台、パレットに戸車を取り付けて、廃線の上を走らせてみようと。

【制作意図】
その大部分が道路になるなど、廃線は消えゆく運命にあります。そうした中、残っている「遺産」を活用して何か出来ないかという、前向きさを伝えられたらと制作しました。

【制作後記】
担当の桑本自身、倉吉市の出身で、倉吉線を利用したこともあります。ところが、廃線以降地元にいても、鉄路が残っているとか、そこに素敵な風景が残っているとか、灯台下暗しで以外にも気づかないものだと。また、今回弊社に残されていた当時のVTRの音声素材も活用する過程で、諸先輩方々の取材にかける意気込みが伝わり、まさに「遺産」であると感じました。

イカすぜ 松前

2018年6月25日~2018年7月1日放送 
北海道放送 ラジオ局制作部 氏家誠一

【番組概要】
松前町の人々に欠かせない海の幸、イカ。松前町役場水産センターを訪ね、所長の渡辺孝行(こうこう)さんに以下の加工施設を案内してもらいました。機械を動かして「のしイカ」作りや「松前漬け」用の以下の裁断に挑戦、その音でイカの加工の様子を伝えます。また後半では30年に渡り、イカの行商をおこなっている今やすひこさんにスポットを当てました。小さなトラックから聞こえる独特のイカの販売の呼びかけの声をお送りします。また、インタビューでは、イカの行商の楽しみを語ってもらいました。

【制作意図】
蝦夷地と呼ばれていた時代から海産物の生産地として栄えた松前。ニシン漁の盛んな時期は「松前の春は江戸にもない」と言われたほどの活気を見せていました。この当時から前浜でとれるイカを天然乾燥したするめの生産が行われ、昆布とともに結婚式やお正月のお祝い事に欠かせないものでありました。現在は「松前漬け」など多くのイカの産地では昔からあったイカの行商がいまでも残る数少ない街。イカが町の人々の生活に溶け込んでいる姿を描いてみました。

【制作後記】
今さんの取材は朝早く、6時に起きて取材に向かったのですが、その日は風が強く、インタビューの声や、イカ販売の呼びかけの声が風の音に邪魔されきれいに録れなかったのが残念です。しかし、桜が咲いていてもこごえるほど寒い日もある月の初めの北の春を感じてもらえればと思います。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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