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2016年8月

2016年8月16日 (火)

28年呼びかけ続け・・・市場の母の館内放送最終日

20168月15日~8月21日放送
北陸放送 制作局ラジオ放送部 内潟賢太郎


【番組概要】
江戸時代から約300年にわたって金沢市民の台所として親しまれているのが近江町市場です。場内アナウンス、経理、イベントでお客にふるまうカニ汁の調理まで担ってきた小林スミ子さんが退職することになりました。近江町市場での28年間の思い、そして小林さんの市場で最後の日、最後の場内アナウンスを音で追いました。

【制作意図】
威勢のいい売り子の呼び声が印象に残りがちな近江町市場ですが、その裏方で働く人たちの支えが金沢市民の台所に賑わいを生み出し、観光客に旅情を提供しています。そんな裏方の女性の思いを伝えられればと思っております。

【制作後記】
凛とした小林さんの語り口の中に、28年間の自らの仕事への誇りが感じられました。そして近江町市場への限りない愛情に胸が熱くなりました。

100年先の森を描いて

20168月8日~8月14日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子


【番組概要】

山口県下関市豊田町。河田紀美江さん(67)は、7代受け継いだ山を夫と共に守っています。山間の家に嫁いで45年。舅に農業と山仕事を教わるうちに、森の大切さを知りました。森は、木材だけでなく、おいしい空気、水など、多くの恵みを与えてくれます。強い樹木の根は、土砂災害を防ぎます。しかし、林業の後継者不足で、河田さんの集落でも、山の木が一斉に伐採され売られるなど、禿山や荒れた山が目立つようになりました。

河田さんは、自然に雑木林が作られる天然の林を目指して、いろんな種類の木を植林しています。長い年月をかけて成長した丈夫な木を少しずつ売って恩恵を受ける・・・息の長い林業をすることで、家も山も守れると考えています。その思いは、林業を継いだ次男にも、そして、3人の孫たちにも受け継がれています。

 

【制作意図】

今年から新しく、8月11日が国民の祝日「山の日」となりました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日です。しかし、山に目を向けてみると、林業の担い手は減少し、高齢化しています。禿山や荒れた山が増える一方で、植林をしたくても鹿の被害が明らかな状況では躊躇せざるを得ません。山を守り山の恵みを受ける持続可能な林業を目指す女性林家、河田紀美江さんを通じて、未来を考えた上で今何をすべきか考えたいと制作しました。

 

【制作後記】

「山は先代からの預かり物」。河田紀美江さんも、林業の後を継いだ次男・晃幸さんも、口を揃えます。だから、山を荒らしてはいけない、禿山に売ってしまうことはできない、より良い形で次の代に渡さなければいけないと言います。同時に、地域の環境や水を守っているという自負もあります。その背中を見て、晃幸さんの3人の息子たち(高1、中2、小6) は、自分が地域に必要とされていると感じながら将来の夢を描き始めています。課題山積の林業の未来に、今、目を向けなければいけないと教えていただいた取材でした。

 

音楽の宝石箱~商店街に響く手回しオルガンの音~

201681日~87日放送
静岡放送 ラジオ局編成制作部 中尾慎


【番組概要】
静岡市の中心地にある商店街「呉六名店街」。ここでは毎週日曜日になると、路上で「手回しオルガン」のコンサートが始まります。全国でも珍しい手回しオルガンがどうしてこの商店街で響き始めたのでしょうか?商店街を歩く人々はその音に何を感じるのでしょうか?実際の音色に乗せてお届けします。

【制作意図】
商店街の衰退が叫ばれる昨今、呉六名店街も例外ではありません。通りの通行料は最盛期の3分の1程度にまで減ってしまいました。「もう一度楽しい商店街にしたい」その一心で手回しオルガンを奏でる商店街会長の山本耕三(やまもとこうぞう)さんの活動の様子が、ぜひ音として残すべきだと思い、作品にしました。

【制作後記】
私がこの活動を知ったのは、たまたま休日に呉六商店街を歩いていた時です。手回しオルガンのハンドルを回す演奏者、そして親子、カップル、お年寄りと様々なお客さんが1つになって自然と合唱を始めるその光景に私は目が釘付けになり、気付くとその輪に加わっていました。この作品でその雰囲気が少しでも伝われば幸いです。

 

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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