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2016年7月

2016年7月29日 (金)

館長はエンジニア、アナログ博物館へようこそ

2016年7月25日~7月31日放送
中国放送 RCCフロンティア制作部 角賢直

【番組概要】
広島市内から高速道路を使っておよそ2時間。中国山地のほぼ中央にある庄原市の口和郷土資料館が今回の舞台です。廃校になった分校の木造校舎をそのまま使った資料館の概観からは想像もできないアナログ機械の数々が300点も展示されています。

【制作意図】
口和郷土資料館に展示されているアナログ機械はすべて館長である安部博良さんが修復したもので、動態保存されています。中国山地の山奥にある資料館で阿部さんはひとり、どうして古い機械を修復し続けているのでしょうか?番組では安部館長の思いに迫りました。

【制作後記】
館長の安部さんは大手電機メーカーで数々の放送局の立ち上げに携わった元エンジニア。そのため、放送に関する機材の修復にも熱心に行っています。展示品の中にはかつて先輩ディレクターが使ったであろう6ミリテープのデンスケもあり、PCMレコーダーを片手に身の引き締まる思いがしました。

夏陽に輝く、エメラルドの沼

2016年7月18日~7月24日放送
秋田放送 ラジオセンターラジオ制作部 加賀屋晃太

【番組概要】
秋田県の三種町が日本一の生産量を誇るじゅんさい。じゅんさい農家の渡邉憂さんの元を訪ね、じゅんさい作りへのこだわりや、じゅんさいを全国に広めていきたいという胸のうちを取材しました。また、町ぐるみのじゅんさいPR活動として行われた駅のホームでの「流しじゅんさい」の様子を交えてお送りします。

【制作意図】
高級食材として扱われるじゅんさいですが、全国的な知名度は高くありません。全て手作業での収穫のため、収量も少なく、じゅんさい農家の稼ぎも少ないという現状です。魅力たっぷりのじゅんさいを全国のみなさんにも、より知ってもらおうと制作しました。

【制作後記】
取材の時にじゅんさい採りの体験をさせてもらいましたが、これがなかなかハマる!自然に囲まれ、沼の上で黙々と採っていると心が落ち着きます。沼の注ぐ水の音や、水面に手を入れた時の音を聞いて、暑いこの時期の涼みになればと思います。

2016年7月 5日 (火)

思い出を紡ぐ足踏みミシンと思いを繋ぐ修理士

2016年7月11日~7月17日放送
熊本放送 ラジオ制作部付 宮川理佳

【番組概要】
熊本市中央区国府にあるミシンの修理・販売をする店「ミシン一番店」。アンティークにこだわる店では、60年前から100年以上前の足踏みミシンを扱っています。そして今、足踏みミシンの修理を依頼する人は増えており、全国各地から依頼があるのです。どうして今足踏みミシンなのでしょうか?世代を越えて受け継がれるミシンとミシンに寄せる思い出、それを繋ぐ修理士の思いを取材しました。

【制作意図】
電動ミシンが普及する中、古い足踏みミシンの修理の依頼が全国からあるのはどうしてだろう?そんな疑問から店を訪ねてみると、手は油まみれ、額に汗をかきながらミシンと向きあう若い修理士がいました。ミシンに付いた傷ひとつにひとつに歴史がある・・・ミシンに詰まった依頼者の思い出を大切にする修理士の姿をみて、アナログな機械だからこそ繋いでいける思い出があるのだと感じました。足踏みミシンへの思い出は人それぞれですが、修理をしたミシンの軽快な音にそれぞれの「あの頃」を思い出していただけると嬉しいです。

【制作後記】
アンティークにこだわる店では、アンティークのホーンスピーカーでオールディーズやクラシックなど懐かしい曲を流しています。その音楽に誘われて店を訪れた70代の男性が、足踏みミシンを見て目を細めていました。戦後の物のない時代に、母親がミシンで繕い物をする姿を思い出したそうです。「いい物を見せてもらいました」と言い残して店を後にする男性の笑顔が印象的でした。「ミシン一番店」は人々の思い出がよみがえる場所なのかもしれません。

伝統をつないだ葉の繊維

2016年7月4日~7月10日放送
信越放送 ラジオ局編成制作部 中嶋直也

【番組概要】
長野県の「食」といえば信州そば。全国的に知られている信州そばとは少し変わった「須賀川そば」が長野県の北東部に位置する山ノ内町に受け継がれてきました。家庭で日常的にそば打ちが行われてきたこの町に「須賀川そば」が根付いた理由や、守り残していきたいという思いを持つ北沢滋子さんの活動をお伝えします。

【制作意図】
親から子へ、子どもから孫へと、この地域で伝わってた「須賀川そば」を残していきたいとそばうちを続ける北沢さんの思いが伝えられればと制作に取り組みました。

【制作後記】
本当に楽しそうにそばをうつ姿が印象的な北沢さん。冬は手が荒れて困るということを笑顔で話していると、「そばうちをやりすぎて、そばアレルギーになっちゃった」と一言・・・。それでもこの地域に残されてきた「須賀川そば」を下の世代につなげていきたい、という気持ちが伝わりました。

2016年7月 3日 (日)

発酵兄弟、地域を醸す

2016年6月27日~7月3日放送
山梨放送 ラジオ本部ラジオ制作部 渡邉尚

【番組概要】
山梨県甲府市で150年続く老舗のお味噌屋さん「五味醤油」。6代目の五味仁さん(34)は歌って踊れるお味噌屋さんとして有名です。こどもたちに伝統の「てまえみそ」文化を伝えるため、歌とダンスでみそ造りの工程が学べる「てまえみそうた」を企画した五味さん。妹の洋子さんと、友人の発酵デザイナー小倉ヒラクさんと「発酵兄妹」というユニットを結成し、県内各地の小学校、保育園、幼稚園で「てまえみそ」づくりのワークショップを開いています。番組では「てまえみそのうた」をひっさげてのワークショップの様子や「発酵兄妹」のこれまでの活躍を紹介しています。

【制作意図】
古くから日本の食卓に欠かせない味噌ですが、一人当たりの購入量は40年前の半分に落ち込んでいます。お味噌汁を飲まない家庭も増え、自分の家で味噌を作る「手前みそ」文化も失われつつあります。そのような現状の中、「手前みそ」の楽しさ、奥深さを自作の歌で子どもたちに伝える「発酵兄妹」の活動を通して、食育の大切さ、ひいては日本独自の発酵醸造文化に少しでも関心を持っていただければと制作しました。

【制作後記】
5年前に発表された「てまえみそのうた」。動画投稿サイト、ユー・チューブでのアクセス数は8万件を超えます。今や県内だけでなく全国から、てまえみそづくりのワークショップのお呼びがかかるほどになりました。発酵兄妹が制作した「てまえみそのうた」は食育活動や発酵醸造文化の普及活動に使用する場合、著作権フリーでどなたでも使えます。てまえみそ文化を全国に広めたいという彼らの思いが、より多くの人に届くことを願っています。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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