100年先の森を描いて
2016年8月8日~8月14日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子
【番組概要】
山口県下関市豊田町。河田紀美江さん(67)は、7代受け継いだ山を夫と共に守っています。山間の家に嫁いで45年。舅に農業と山仕事を教わるうちに、森の大切さを知りました。森は、木材だけでなく、おいしい空気、水など、多くの恵みを与えてくれます。強い樹木の根は、土砂災害を防ぎます。しかし、林業の後継者不足で、河田さんの集落でも、山の木が一斉に伐採され売られるなど、禿山や荒れた山が目立つようになりました。
河田さんは、自然に雑木林が作られる天然の林を目指して、いろんな種類の木を植林しています。長い年月をかけて成長した丈夫な木を少しずつ売って恩恵を受ける・・・息の長い林業をすることで、家も山も守れると考えています。その思いは、林業を継いだ次男にも、そして、3人の孫たちにも受け継がれています。
【制作意図】
今年から新しく、8月11日が国民の祝日「山の日」となりました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日です。しかし、山に目を向けてみると、林業の担い手は減少し、高齢化しています。禿山や荒れた山が増える一方で、植林をしたくても鹿の被害が明らかな状況では躊躇せざるを得ません。山を守り山の恵みを受ける持続可能な林業を目指す女性林家、河田紀美江さんを通じて、未来を考えた上で今何をすべきか考えたいと制作しました。
【制作後記】
「山は先代からの預かり物」。河田紀美江さんも、林業の後を継いだ次男・晃幸さんも、口を揃えます。だから、山を荒らしてはいけない、禿山に売ってしまうことはできない、より良い形で次の代に渡さなければいけないと言います。同時に、地域の環境や水を守っているという自負もあります。その背中を見て、晃幸さんの3人の息子たち(高1、中2、小6) は、自分が地域に必要とされていると感じながら将来の夢を描き始めています。課題山積の林業の未来に、今、目を向けなければいけないと教えていただいた取材でした。
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