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2014年8月

2014年8月28日 (木)

伝統ふたたび・和傘の里に新たな息吹

2014年9月1日~2014年9月7日
四国放送 ラジオ編成制作部 三浦審也

【番組概要】
徳島県美馬市の美馬町は、かつては全国第二位の和傘の生産地でした。生活の洋風化とともに衰退した和傘作りの復活を目指す、美馬和傘制作集団を取材するとともに、和傘にまつわる様々な音もお届けします。

【制作意図】
伝統工芸の衰退や後継者不足が各地で問題になっている中、復活させようとする取り組みは面白いと感じ、制作しました。

【制作後記】
一度すたれた技術の復興は容易ではありません。和傘作りに必要な道具もないので自作するなど、美馬和傘制作集団の皆さんは試行錯誤を続けたそうです。今では全国から和傘の注文があり、数ヶ月から一年待つ場合もあるとか。和傘を知らない世代の私も、一本欲しくなっちゃいました。

2014年8月22日 (金)

「トゥクトゥク」青島を走る

2014年8月25日~2014年8月31
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 二木 あさこ

【番組概要】
昭和40年代、新婚旅行ブームに沸いた宮崎市・青島。かつての賑わいを知る地元の人からは、昔を懐かしむ声が多くあがっていました。そんな中、4年前、突如青島に登場した3輪自動車「トゥクトゥク」。キュートな見た目、愛嬌のあるエンジン音。宮崎市青島に「トゥクトゥク」が登場してから、「トゥクトゥク」がたくさんの笑顔を乗せて走っています。青島に「トゥクトゥク」を導入した青島神社の長友 安隆宮司、トゥクトゥクドライバー・谷口 礼さんの思いを、「トゥクトゥク」の音と共に、ご紹介します。

【制作意図】
「昔の賑わいを取り戻したい!」観光地が抱える問題を、青島生まれ青島育ちの若い世代が向き合っています。新婚時代に宮崎に来たことがある方はもちろん、青島を知らない方に、宮崎には、おもしろいところがあると知っていただき、遊びに来てもらえるように、思いをこめて、制作しました。

【制作後記】
『観光地として、衰退していた青島が、最近元気になってきている。』
そんな噂を聞きつけて、青島を取材しました。新たな試みとして登場した「トゥクトゥク」が、4年を経て青島にすっかりなじんでいます。「観光地ならではのしがらみもあるんですよ(笑)」と、大変なことも笑い飛ばす、谷口ドライバーの人柄と、開放的な南国宮崎にぴったりな乗り物「トゥクトゥク」があいまって、新しい青島を作っています。「トゥクトゥク」という音と共に、笑い声が響く青島をぜひ、お楽しみください。

銅鑼と太鼓が夏を呼ぶ~長崎ペーロン

2014年8月18日~2014年8月24放送
長崎放送 ラジオ制作部 元永純史

【番組概要】
長崎市中心部から車で30分ほどの所にある、牧島。その牧島の港で、毎年夏が近づくと聞こえてくる音があります。ペーロン船という木造船に乗り込み、渾身の力で舟を走らせるその音です。銅鑼と太鼓のリズムに合わせ、漕ぎ手の掛け声が近隣に谺します。牧島代表は、長崎でも強豪と言われているチームの一つ。毎年長崎では、そのペーロンで一番を決めるための大会が開催されます。今年も我が町の威信をかけた戦いが始まります。

【制作意図】
ペーロンに携わる人間が、一年で最も熱くなる日、それがペーロン選手権大会。代々その地域に受け継がれる漕ぎ手の魂とプライドを賭けて真剣勝負が行われます。ペーロンを通して、地域の子供からお年寄りが交流し、一体となって我が町の代表を応援するペーロン文化、そして、その応援を背に、一番を目指して水面を駆ける漕ぎ手の雄姿が伝わればと思い制作しました。

【制作後記】
体験ペーロンで船を漕いだことはあったのですが、今回初めて伴走船に乗せて頂きました。真横から至近距離で見るペーロンの動きは力強く、一発でその魅力を知る事が出来ます。漕ぎ手の力を一つにし、櫂を水面に突き立てて漕ぎ起こす瞬間の力強さとその格好良さは、是非とも、実物を見て頂きたいです。牧島では体験ペーロンもやっているので、興味がある方は人数を集めて申し込んでみて下さい。

2014年8月13日 (水)

1200年の技~高野山の宮大工~

2014年8月11日~2014年8月17放送
和歌山放送 報道制作局 報道制作部 花井歩高

【番組概要】
和歌山・奈良・三重にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて10年。中でも弘法大師・空海が開いた高野山は来年(2015年)開創1200年を迎えます。木立に囲まれた標高800メートルの盆地内には現在も117の寺院が立ち並ぶ宗教都市を形成しています。高野山の長い歴史は、一方で様々な職人や住民による手仕事が支えてきたともいえます。伝統を継承する宮大工の技と思いに注目しました。

【制作意図】
地域の伝統の営みを音で残しておきたい、そんな思いから今回の番組を制作しました。地元出身、この道30年の尾上恵治さんに山内の廃校舎を利用した作業場をみせてもらいました。高野山から切り出した樹齢200年のヒノキ。墨で線を引き、丸みを持たせながら刻み、細かな曲線で仕上げていく。そこに図面はありません。古い寺院の部材から型を取り、職人たちのチームワークでそれぞれの工程を分業しています。作業場にはノミやカンナで材木を削る音だけが響きます。尾上さんらは今回、172年ぶりの再建となる壇上伽藍の中門(ちゅうもん)の造営を手がけました。最新の耐震基準が求められますが、寺社建築は1000年前に確立され、変えようがないと話す尾上さん。黙々とつづく作業の中に、熱い思いが込められています。

【制作後記】
過去の技術を現代に伝え、未来に受け継がれる。尾上さんが「タイムマシーンを作っている気分」と話していたのが印象的でした。良質な木を育てるための山仕事、伐採した木を製材し、宮大工や桧皮葺、それに建具や表具、畳に左官、金物・・・寺社を1棟作るにしても様々な手仕事が必要です。かつては山上での営みを支えるため、さまざまな産業が成り立っていました。しかし今、高野山でも過疎化は深刻です。
宮大工のみなさんに忙しい作業の合間に、工程や、手作りもする道具についてたくさんお話しいただきました。「ゆりかごから棺まで、なんでも作ります」と尾上さん。厳しい職場、一人前になるまで15年ほどかかるとですが、20代30代の職人も育ちつつあります。

復興願い震災10年 山古志に響く牛の角突き

2014年8月4日~2014年8月10放送
新潟放送 ラジオセンター 丹羽 崇

【番組概要】
新潟県長岡市山古志(やまこし)で1000年もの歴史があるといわれる伝統行事、牛の角突き(つのつき)を紹介。2004年に発生した新潟県中越地震から10年経ち、復興を合言葉に頑張る山古志闘牛会の松井治二(まついはるじ)会長の思いに迫る。

【制作意図】
10年前の大地震によって山古志の牛舎も自宅も失った松井さん。それでも笑顔を絶やさない松井さんを支えているものは何か。今こそ東日本大震災の被災者に、そして何より私たち一人一人に伝えたいとの思いから制作しました。

【制作後記】
震災10年を「節目」と捉える視点は報道機関のエゴではないかと考え続けながら、取材音源と向き合う日々でした。



半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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