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2014年8月13日 (水)

1200年の技~高野山の宮大工~

2014年8月11日~2014年8月17放送
和歌山放送 報道制作局 報道制作部 花井歩高

【番組概要】
和歌山・奈良・三重にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて10年。中でも弘法大師・空海が開いた高野山は来年(2015年)開創1200年を迎えます。木立に囲まれた標高800メートルの盆地内には現在も117の寺院が立ち並ぶ宗教都市を形成しています。高野山の長い歴史は、一方で様々な職人や住民による手仕事が支えてきたともいえます。伝統を継承する宮大工の技と思いに注目しました。

【制作意図】
地域の伝統の営みを音で残しておきたい、そんな思いから今回の番組を制作しました。地元出身、この道30年の尾上恵治さんに山内の廃校舎を利用した作業場をみせてもらいました。高野山から切り出した樹齢200年のヒノキ。墨で線を引き、丸みを持たせながら刻み、細かな曲線で仕上げていく。そこに図面はありません。古い寺院の部材から型を取り、職人たちのチームワークでそれぞれの工程を分業しています。作業場にはノミやカンナで材木を削る音だけが響きます。尾上さんらは今回、172年ぶりの再建となる壇上伽藍の中門(ちゅうもん)の造営を手がけました。最新の耐震基準が求められますが、寺社建築は1000年前に確立され、変えようがないと話す尾上さん。黙々とつづく作業の中に、熱い思いが込められています。

【制作後記】
過去の技術を現代に伝え、未来に受け継がれる。尾上さんが「タイムマシーンを作っている気分」と話していたのが印象的でした。良質な木を育てるための山仕事、伐採した木を製材し、宮大工や桧皮葺、それに建具や表具、畳に左官、金物・・・寺社を1棟作るにしても様々な手仕事が必要です。かつては山上での営みを支えるため、さまざまな産業が成り立っていました。しかし今、高野山でも過疎化は深刻です。
宮大工のみなさんに忙しい作業の合間に、工程や、手作りもする道具についてたくさんお話しいただきました。「ゆりかごから棺まで、なんでも作ります」と尾上さん。厳しい職場、一人前になるまで15年ほどかかるとですが、20代30代の職人も育ちつつあります。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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