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2014年6月

2014年6月24日 (火)

つなぐ~畳職人のロマン~

2014年6月23日~2014年6月29日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子


【番組概要】
かつて畳は、稲藁を敷き詰めた畳床(芯材)を、職人が手縫いで作っていました。戦後、手縫いの畳床は、素材の軽量化や機械化と共に途絶えます。山陽小野田市で家業の畳屋を継ぐ荒川有三さん(62歳)は、手縫いの中でも、重要文化財などに使われる特別な畳に必要な「掛け縫い」という技を復活させました。記憶にある祖父の話や亡き父の姿が頼りでした。その職人技には、無駄の無い理屈や智恵が詰っていることを知り、6年前からは技術継承のための勉強会も開いています。荒川さんは、今、国宝・瑞巌寺(宮城県)から手縫いの畳床を使った畳の依頼を受け、製品として初めての製作に取り組んでいます。技術と心を未来へとつなぐ畳職人、荒川さんの挑戦です。

 

【制作意図】
日本の文化「畳」の製作に自分の役目を感じている荒川有三さん。伝統、生活、社会、家庭、どの分野においても、今を生きる私たちは過去から未来へ伝えるべきものを伝える役目があることをみつめたいと制作しました。

 

【制作後記】
昔と同じように畳を作ろうと思ったら、原料から全て、自分たちで再生させないと出来ない…。荒川さんと妻の明美さんは、出来るだけ昔と同じような自然の素材を使った畳を作りたいと挑戦しています。菰はどうやって作るのか。畳の針を1本から作ってくれる工場はあるか。麻糸を自分で紡ぐことは出来るのか。知れば知る程、人が何百年とかけて磨いてきた知恵が財産として輝いて見えると言います。その智恵をもっと大切にすべきだということを教えていただきました。

 

2014年6月17日 (火)

残したい「茶摘み唄」

2014年6月16日~2014年6月22日放送
静岡放送 編成制作部 佐野有利

【番組概要】
駿河路や 花たちばなも茶のにおい」
と俳人、松尾芭蕉がよんだように静岡県はお茶の産地として古くから知られています。お茶の産地、牧ノ原市に住む、中村肇さん(67)は、高校の教師として、郷土史の研究に力を注いできました。その中で茶摘みの時に歌う茶摘み唄は、何十年も前から調査してきました。茶摘み唄は、機械化と共に歌われなくなりましたが、高級茶の産地、大井川沿いの川根地区で何十年も前に古老の声でテープに録音していました。中村さんは1つの文化として残そうと活動しています。

【制作意図】
この数十年で静岡県の生産量は半減してしまいました。明治以降の大量生産、大量消費に伴い、茶摘みも機械化され、人の手でお茶が摘まれることはなくなりました。そして産地から茶摘み唄も消えてゆきました。しかしそこには当時の風景や生活がかいまみられ、当時の1つの文化ともいえるのではないか。1つの文化財として知る必要を中村さんから学べます。

【制作後記】
書籍などでは文字として歌はありますが楽譜はなし。又、まねようと思ってもカラオケ世代の我々にはまねることは容易ではありません。そんな中、番組中で紹介した古老は明治29年生まれ。孫たちも歌が残っていたことも知らなかったとのことです。放送で声が流れることは楽しみにしているとのことでした。

そろばんでつながる、そろばんがつなげる

2014年6月9日~2014年6月15日放送
中国放送 RCCフロンティア 制作営業部 ラジオGr 村山太一

【番組概要】
広島県安芸郡坂町に、67年続くそろばん教室があります。梶谷珠算塾。
梶谷珠算塾の講師、梶谷成子さんは今年で88才。御主人と二人三脚で教室を立ち上げてから、現在も生徒の指導にあたっています。子どもたちが夢中になってそろばんをはじく音と関係者の声をご紹介します。

【制作意図】
そろばんは、パソコンや電卓にとって代わられ、私たちの生活であまり目にしないものになりつつあります。指先でスライドして操作するスマホが当たり前の子ども達が、そろばんとどう向き合っているのかを取材するとともに、戦後すぐから続くそろばん教室を支えた1人の女性が紹介できればと思い、制作しました。

【制作後記】
そろばんを習う子どもたちにインタビューしましたが、「そろばんは楽しい!」「そろばんだったら誉めてもらえる!」と好意的な意見ばかりでした。梶谷さんのそろばんに対する熱意が、これからも1人でも多くの子どもたちに届き、広島に残っていくことを願っています。

2014年6月 2日 (月)

イルカの町の漁師さん

2014年6月2日~2014年6月9日放送
熊本放送 ラジオ編成制作部 宮川理佳

【番組概要】
熊本県天草市五和町周辺の海には約200頭もの野生のミナミバンドウイルカが生息している。20年ほど前から野生のイルカが泳ぐ姿を見ることができるイルカウォッチングが始まり、休日には多くの観光客が訪れる。船頭として案内するのは、地元のベテラン漁師たちだ。番組では去年からイルカウォッチングの船頭を始めた漁師を紹介。漁師として船頭としてイルカ達と共存する姿を描いた。

【制作意図】
この海では、トサカやウニ漁が盛んで、魚も豊富にとれていました。しかし不漁のために漁だけでは立ちゆかず、イルカウォッチングを始める漁師たちが増えてきました。昔から変わらないイルカの泳ぐ風景と、20年ほど前から見られるようになったイルカウォッチングの風景を楽しみながら、そこで生活する漁師さんの生き様を感じてほしいです。

【制作後記】
イルカの潮を吹く音を録るために、船酔いと闘いながら4回も船に同乗させていただきました。大変でした。しかし、漁からの帰り、イルカの群れが船の1m近くを泳ぎ過ぎていく姿を見て、疲れもどこかへ。そしてこれが漁師とイルカが共存してきた五和町の海なのだと感じました。イルカの息づかい、漁師さんの声がする「イルカの町」を耳で感じて頂き、そして五和町に遊びにきて頂きたいです。

白神の春 ~ブナが育む森の声~

2014年5月26日~2014年6月1日放送
秋田放送  ラジオセンターラジオ制作部 石﨑 富士子

【番組概要】
雄大な白神山地に抱かれている町のひとつ、藤里町。秋田県最北端の町に桜の便りが届く頃、山ではどんな風景が見られるのか、この時期の藤里駒ケ岳に登り、春の森の音をお届けします。

【制作意図】
白神山地が世界自然遺産に登録されて20年がたちました。毎日来ても飽きない、感動する!という山のガイド斉藤栄作美さんは日々白神山地の魅力を訪れる方々に伝え続けています。再来年のカレンダーから新たな祝日「山の日」が加わる事になりそうですが、番組を聴いて、白神山地だけでなく、すぐそばの山でも、「山に行ってみたい」と思っていただけたらと思い制作しました。

【制作後記】
ナレーション担当酒井も私も白神山地に登るのは初めてでした。感動と心地よさの中、見た目はまだ冬の森でも春へと動く植物、動物、生きるための水、それを生み出してくれる森、生かされているという事を改めて感じました。今回登りながらいろんな音を録りましたが、木の音は、木のよって木の部位によって良く聴こえるところそうでないところがあり、様々試しましたが、実際に耳に聞こえる音と同じ音をと、聴診器の管にピンマイクを入れて録りました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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